2024年07月18日公開
2024年07月18日更新
空き地活用の方法9選とチェックポイントを詳しく解説
空き地は積極的に活用してメリットにすることが大切です。空き地活用にはさまざまな方法があります。空き地を活用せずに売却して手放すこともできますが、何もせずに放置することにはリスクがあります。この記事では空き地活用のチェックポイントをまとめました。空き地活用の代表的な方法もわかりやすく紹介します。
目次
空き地の活用が重要な理由
空き地は放置せずに活用することが大切です。ここでは空き地活用が重要な理由を解説します。
税金と維持費用がかかるから
土地は利用しているかどうかにかかわらず維持管理に費用がかかります。空き地の活用によって、土地の保有による損失を補填し、収益化することも可能です。土地を保有していると固定資産税と都市計画税がかかります。毎年、固定資産税評価額に応じた税金を納めなければなりません。
また、空き地でも所有者が管理する責任を負います。土地を更地のままにしていると雑草が繁茂してしまい、除草を定期的に実施することも必要です。使っていなくて荒れている土地はゴミを不法投棄されたり、ペットの糞などが放置されたりすることもあるので、清掃もしなければならないでしょう。空き地を活用していないと費用がかさんでしまいます。
近隣に迷惑をかけるリスクがあるから
空き地にしていると近隣に迷惑をかけてしまい、トラブルが発生するリスクがあります。土地を管理せずに放置していると、周囲の住環境に影響を与える可能性があるからです。例えば、雑草が繁茂すると虫が増えて虫害を周囲に与える場合があります。景観を損なってしまい、周囲から不満に思われることもあるでしょう。不法投棄された生ゴミが腐って異臭が発生する場合もあります。近隣トラブルによって土地の維持が難しくなることもあります。
遊休土地の通知を受ける可能性があるから
空き地を管理していないと、都道府県知事から遊休土地の通知を受ける可能性があります。遊休土地の通知を受けた場合には6ヶ月以内に土地の活用計画または処分計画を作成して提出しなければなりません。土地の利活用を促進するために国土利用計画法に基づいておこなわれる措置です。行政による指示を受けてから転売などの対応をすることもできますが、主体的に利活用を検討した方が焦らずにより良い方法を選べるでしょう。
参照:土地・不動産・建設業:遊休土地制度 - 国土交通省
空き地を活用するメリット
空き地は有効活用できる貴重な資産です。ここでは空き地を活用するメリットを紹介します。
空き地を収益化できる
空き地はそのままにしていると支出があるだけで収入は増えません。しかし、事業に活用すれば収益化が可能です。空き地をそのまま貸したり、マンションやアパートを建てて賃貸経営をしたり、駐車場にして経営したりすれば、賃料や利用料による収益を得られます。土地の立地や活用方法によって収益性には違いがありますが、黒字経営になれば少なくとも税金や維持管理費用の補填が可能です。
建物を建てれば固定資産税・都市計画税の節税ができる
空き地を更地にしておくよりは建物を建てた方が節税になります。居住用の建物を建築すれば、住宅用地の特例によって固定資産税と都市計画税が軽減されるからです。住宅を建築すると1戸ごとに200平米までの土地について、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3になります。200平米を超えた部分の土地も、固定資産税は1/3、都市計画税は2/3になるので節税効果があります。
参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
相続対策になる
空き地を活用すると相続対策になります。空き地があれば小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。小規模宅地等の特例は利用区分に応じて土地の相続税評価額を下げられる特例制度です。賃貸マンションなどを経営している場合には、最大で400平米の土地に対して80%の減額措置があります。賃貸経営などの収益性のあるビジネスをおこなうと、相続人にとっても今後の収入になるメリットがあるので喜ばれるでしょう。
参照:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
目的に合わせた活用方法を選べる
空き地活用は目的に合わせて方法を選択できます。初期費用をかけたくない、すぐに活用を始めたい、他の目的で使いたくなったときに転用しやすい方法を選びたいといったニーズに応えられます。活用方法が多数あるので、こだわりたいポイントに沿って活用を始められるでしょう。
空き地を活用するデメリット
空き地の活用を始めるときにはデメリットにも留意して検討することが大切です。ここでは空き地活用に伴って起こり得るデメリットを説明します。
初期費用がかかる場合が多い
空き地活用は初期費用がかかるのが一般的です。空き地をそのまま貸す以外の方法では、建物を建てたり、造作物を設置したりするのに費用がかかります。空き地の状態によっては最初に土地の整備費用がかかる場合もあります。
維持管理費用はかかり続ける
空き地はそのままにしていても維持管理費用がかかりますが、活用を始めてもなくなるわけではありません。土地の固定資産税や都市計画税は継続してかかり、建物を建てた場合には建物に対する税金もかかります。活用方法によって必要な費用は異なりますが、維持管理費用がゼロになるわけではありません。
黒字経営になるとは限らない
空き地を活用すれば必ず黒字になるとは限りません。収益性が高く安定した利益を得られる方法を選ばなければ、赤字経営になって損失が大きくなります。建物や設備の投資を伴わない土地活用では収益性が低くなる傾向があります。また、ローンを利用する場合には金利変動リスクもあります。金利が上がると利息が大きくなって黒字から赤字に転じる場合があるので注意が必要です。
仮設建築物では運用可能な期間が短い
空き地活用では仮設建築物を設置しても運用可能な期間は1年以内です。建築基準法に定められている仮設建築物の設置許可を受けて、一時的な利用目的の施設を作っても継続的に経営することはできません。プレハブやテントなどの形状の場合には仮設建築物になります。初期費用を抑えて、簡易的な建築物を設置して空き家を活用したいときには気を付けましょう。
参照:建築基準法 | e-Gov法令検索(第八十五条)
空き地活用でおすすめの方法9選
コインパーキング経営
コインパーキングは経営方法の選択肢が多く、土地が広くなくても活用できる方法です。コインパーキング経営では駐車場の時間貸しで、一時的に駐車場を利用したい人をする人に提供するサービスです。商店街や医療モール、駅などの周辺ではコインパーキングのニーズがあります。
コインパーキングは土地の舗装や精算機などの設備の設置の初期費用がかかりますが、数十万円程度で済むのが一般的です。一括借り上げ方式で契約をして、管理負担のない土地活用をすることもできます。コインパーキングは収入が利用の頻度や時間によって変わるため、ニーズの高さを調査してから選ぶことが大切です。
月極駐車場経営
月極駐車場経営は毎月一定の賃料で長期契約をおこなえる駐車場経営方法です。個人の駐車場としても、企業の駐車場としても利用してもらえます。月極駐車場はスペースを割り当てるだけで契約できるため、更地から手を加えずに経営を始めることも可能です。舗装をしたり、車止めを設置したりすると環境が良くなるので契約を取りやすくなるでしょう。
月極駐車場は初期投資が少なくて済み、安定した収益を得やすい方法です。賃貸住宅の多い住宅街やオフィス街では月極駐車場のニーズが高くなっています。
賃貸マンション・アパート経営
賃貸マンションや賃貸アパートの経営は高い収益を手に入れられる可能性がある方法です。空き地にマンションやアパートを建てて賃貸経営をすることにより家賃収入を手に入れます。戸数を増やすと家賃収入を大きくできます。ただ、空室リスクがあるため、戸数が多すぎると空室が多くなって利回りが低くなるのが注意点です。ローンを組んで建築した場合には団信に加入するため、生命保険の代わりになるのも特徴です。
オフィスビル・テナント経営
オフィスビルや商業施設のテナントの経営は、企業や店舗の入居を募って賃料収入を得る方法です。1階は販売店やサービス店、2階以上は事務所のテナントを入れるといった工夫ができます。ビジネス目的の賃貸物件は賃料を高く設定可能で、長期契約ができる場合が多いのがメリットです。ただ、立地による需要の差が大きく、駅前や街中などの好立地でないと契約を取れないこともあります。
資材置き場経営
資材置き場経営は空き地を更地のまま活用できる簡単な方法です。土木工事や建設工事などのときに必要な資材を一時的に保管する場所として建設会社などと契約して提供します。資材置き場は収益性が高くありませんが、活用したい空き地の近くに建設会社がある場合や開発が進んでいる地域の場合には長期契約ができる可能性があります。初期費用がかからず、管理費用もあまりかからないのが資材置き場のメリットです。
トランクルーム経営
トランクルーム経営は荷物を預かって管理するサービスを提供する方法です。経営方法の選択肢が多いので空き地活用を始めやすいでしょう。フランチャイズ契約をしたり、一括借り上げで経営したりすると管理や経営の負担が小さくなります。コンテナを設置するだけで始めることも可能なので、初期費用も抑えられる方法です。住宅地やオフィス街でニーズがありますが、地域差が大きいことに注意して事前調査をする必要があります。
太陽光発電経営
太陽光発電は太陽光がよく当たる立地なら都会か地方かによらずに活用できる方法です。太陽光発電システムを設置して、電力を売却することで利益を得ます。FIT制度によって固定価格での電力を買い取ってもらえるので、収益性を試算しやすい方法です。固定価格が下がってきているため、太陽光発電経営は収益性が高い方法ではありません。しかし、安定した収益を得やすいのはメリットです。
自動販売機の設置・経営
自動販売機の設置は狭い空き地でも活用できる方法です。自動販売機を設置するだけで始められます。自動販売機の経営では電気の供給は必要ですが、飲料の補充や空き缶ゴミの回収などは委託できます。自動販売機は売上の20%くらいが収入の相場で、立地が良ければ高い利回りになる方法です。空き地に余裕があるときには、自動販売機の設置を他の方法と併用することもできます。
貸し農園の経営
貸し農園は空き地が農地のときに、地目変更をせずに始められる活用方法です。土地を貸して農業をする目的で利用してもらいます。農地は放置すると荒れ放題になりやすいですが、貸して利用してもらうと管理の手間がなくなります。家庭菜園のニーズがあるため、住宅街の近くや、交通アクセスのよい地方なら借主を見つけやすい方法です。
空き地活用方法を選ぶ9つのチェックポイント
空き地活用ではどの方法を選ぶかによって成功の可否が変わります。ここでは空き家の活用目的をするときのチェックポイントを説明します。
どのようなニーズがある地域か
空き地活用では収益性を確保して黒字経営にすることが必要です。ニーズを調査して活用方法の候補を絞り込みましょう。商店街のあるエリアならコインパーキングやテナントビル、駅前ならオフィスビルや月極駐車場などのニーズがあります。利用者を想定できないエリアでは太陽光発電をすると有効活用できるでしょう。
用途地域による制限にかからないか
用途地域によって制限を受けている土地の場合には注意が必要です。用途地域には12種類あります。例えば、第一種低層住宅専用地域に指定されている場合には、低層住宅や店舗兼用住宅などは建てられますが、独立店舗や高層マンションなどは建てられません。建物を建てて賃貸経営をするときには用度地域を確認して、建築可能な建物から候補を選びましょう。
参照:12種類の用途地域のイメージ図|国土交通省
建ぺい率と容積率を考慮したか
建物を建てて賃貸経営をする場合には、建ぺい率と容積率の考慮が必要です。建物の規模や密度を制限する目的で以下のように定義されている指標で、土地によって割合が異なります。
建ぺい率=建築面積/敷地面積 容積率=延床面積/敷地面積 |
建物を建築するときには建ぺい率と容積率の範囲以下でなければなりません。土地を全面的に使おうとしても建ぺい率が低くて使えない、高層ビルを建築しようとしても容積率を超えてしまって階数を減らさざるを得ないという場合があるので注意が必要です。
初期費用にいくらかけられるか
空き地の活用を始めるときには初期費用を考慮して方法を選びましょう。初期費用は活用方法によって大差があります。マンションやオフィスビルを建てるときには建設費用として数千万円以上の資金が必要です。ローンを組む場合でも頭金として数百万円がかかります。空き地をそのまま貸す場合に比べると費用負担が大きい投資方法です。空き地活用を始める時点で初期費用にかけられる資金を確認して候補を選びましょう。
管理の手間をかけられるか
空き地活用では経営をして利益の獲得を目指します。土地や施設、設備などの管理をして、利益を高められるように取り組むことが必要です。管理の手間をどのくらいかけられるかを最初に考えておくことが大切です。管理委託をして業務負担を軽減したり、一括借り上げによるサブリース契約をしたりして空き地を活用することもできます。管理負担も考慮して方法を選ぶことが成功につながります。
収益性と安定性のバランスを考えたか
土地活用では収益性と安定性のバランスを考えることが重要です。アパート経営は土地を貸すよりも収益性が見込まれますが、空室リスクがあるので家賃収入がゼロになるリスクもあります。土地を貸し続けるのに比べると、アパート経営は収益の安定性では劣っています。空き地の保有による税金や維持管理費用の対策が目的なら、一定以上の収益を安定して得られる方法を選びましょう。
将来的に土地活用の予定があるか
資金ができたら将来的にマイホームを建てたい、定年後には店舗を作って経営したいといった理由で空き地にしていた場合には、思い立ったときにすぐに希望する方法で土地を使えるようにすることが大切です。コインパーキング経営のように長期契約がない方法なら、すぐに経営をやめて新しい形で土地活用を始められます。別の土地活用を始めるタイミングが決まっているときには、月極駐車場で期間を定めて契約するといった方法も有効です。
節税効果を考えたか
節税対策として空き地活用を始める場合には、節税効果を試算してより大きなメリットがある方法を選びましょう。居住用の建物を建築すると固定資産税、都市計画税、相続税を軽減できます。節税効果がどのくらいあるかは具体的に計算してメリットを確認することが大切です。また、建物の建築費用は大きいので注意が必要です。収益のシミュレーションをして黒字経営にできることは確認してから決めましょう。
複数の活用方法を検討したか
空き地の活用方法は多数あるので、比較して検討することが大切です。少なくとも2つか3つの方法を比べて、より良い方法を選びましょう。空き地の将来的な利用予定がないなら売却する選択肢もあります。何をしても収益化が難しい土地は売却した方が良い場合もあるので、比較するときには候補の一つとして検討しましょう。
空き地のスムーズな活用には駐車場経営
駐車場経営は始めやすい空き地の活用方法です。空き地の広さを問わずに駐車場として運営することが可能で、青空駐車場ならすぐに運営を始められます。舗装や足止めの設置などの最低限の工事をしてから経営を始める場合でも、アパートやオフィスビルを建築する方法に比べると短期間で済みます。
駐車場にはコインパーキングと月極駐車場の選択肢があります。利用者層が異なるため、ニーズに合わせて選ぶと収益性を上げられます。どちらも少額投資で始められるメリットがある方法なので、スムーズに空き地活用を始めたいなら駐車場経営を検討しましょう。
まとめ
空き地は放置せずに活用して収益化を目指しましょう。空き地は使っていなくても維持管理費用がかかるので、せめて損失にならないように活用することが大切です。大きな投資をして収益化に挑むこともできますが、少額投資でも空き地活用を始められます。駐車場経営は小資金で土地活用をスムーズに始められる方法です。ニーズがある地域なら安定した収益を見込める魅力もあるので、空き地の活用方法で悩んだときには駐車場をまずは考えてみましょう。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。