空き家ってどんな活用方法があるの?そのままにしておくと危険?

実家から離れて生活していると、いずれ自分が相続することになるかもしれません。住む予定はないからと放置してしまうと、経済的な負担が増えたり近隣から苦情が出たりする可能性もあり注意が必要です。ここでは、空き家の活用法について、代表的な選択肢と具体的な活用の仕方、注意点についてご紹介します。

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目次

  1. 1空き家を活用するメリット
  2. 2空き家を活用する方法は主に3つ!
  3. 32.空き家を建て替えて活用
  4. 4空き家を取り巻く問題
  5. 5空き家を相続した時の4つの選択肢
  6. 6まとめ

空き家を活用するメリット

日本では、少子高齢化や核家族化によって、空き家が増えています。これは、社会問題の1つに数えられるほど、実は他人事ではない問題です。

空き家がなぜ問題になるのか。その理由は、放火や不法投棄といった問題を招きやすく、景観を損ね、異臭が発生しやすくなるなどが挙げられます。空き家の問題は、周囲や社会にとっての影響ばかりではありません。持ち主にも、金銭的な負担が増えるというデメリットをもたらします。

空き家を放置したままにしておくと、自治体の調査によって「特定空家」と判断される可能性があります。その判断基準には、倒壊の危険性があることや、衛生上有害であることなどが含まれており、特定空家に認定されてしまうと適切な管理の助言や指導、勧告、命令を受けることとなります。

特定空家となり、自治体の命令があるにも関わらず、この状態が改善されない場合は罰金が生じ、さらに行政代執行によって解体除去が行われることも。この費用は、所有者に請求されることとなります。また、固定資産税が高くなるなどのデメリットも発生します。

こうした不利益を被らないために、空き家は活用するのが得策です。放置するのではなく、売ったり貸したりすることができれば、使い方次第で資産として利益も出てくるかもしれません。具体的に、空家を活用するメリットをご紹介します。
 

近隣とのトラブルが避けられる

空家の周辺に住む人にとっては、放火などの犯罪の温床になりかねない家が近くにあることで、不安に感じたり、景観の悪さから不快に思ったりすることも珍しくありません。家が活用されていると、そのような心配をすることなく暮らすことができ、近隣トラブルにも発展せずに済むでしょう。

特定空家に認定されずに済む

先ほどもご紹介したように、特定空家に認定されてしまうと、さまざまな経済的な負担が増えます。誰かに住んでもらうなどの活用ができると、特定空家になることはなく、修繕の必要が生じたときも早い段階で対処することができます。


参照:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン) |国土交通省


 

空き家を活用する方法は主に3つ!


空き家を活用する方法は、主に以下の3つが代表的です。それぞれ詳しくご紹介します。
 

1.空き家をそのまま活用

十分に人が住める状態の空き家なら、そのまま活用するという方法がよくとられます。一番簡単な方法でもあり、用途もさまざまです。

空き家をそのまま活用するメリット

住まいとして問題ない状態なら、初期費用を最小限に抑えながらすぐに活用できる点がメリットです。借り手がつけば、すぐに収益を得ることができます。

空き家をそのまま活用するデメリット

老朽化がみられる場合は、借り手がつかない可能性があります。また、耐震基準を満たしていない場合は、耐震基準をクリアできるよう手を加える必要も出てきます。空き家が多い地域の場合、競争率が高くなかなか借り手が見つからない可能性もあるでしょう。

空き家をそのまま活用する事例

空き家をそのまま活用する場合、以下のような物件として貸し出すことが可能です。
 

■戸建ての賃貸物件

戸建ての賃貸物件は、ファミリー層を中心に人気があります。学生のように短期間の利用というよりは、長期的に入居する方が多いため、安定した収入を得やすい活用法と言えるでしょう。しかし、老朽化の程度によっては、長期的な入居が見込めない場合もあるため、将来のことも踏まえて検討することが大切です。

■福祉施設

グループホームやデイサービスの事業所として、空き家を活用する例が増えています。身体の不自由な方が利用できるように、バリアフリー化等の改修が必要になる可能性が高いですが、事業のために用いられるという特性上、長期的に安定した収入も見込めます。

■民泊

古民家に興味のある人や、日本の一般的な住まいに興味のある外国人など、民泊のニーズも増えています。経営に関する知識を身に付けたり、設備を揃えたりする必要があり、エリアによっては宿泊希望者が集まらない可能性もあるため、ニーズがあるかどうかを踏まえて検討しましょう。

■レンタルスペース

コワーキングスペースや撮影ルーム、パーティールームなどのレンタルスペースとして活用するという方法もあります。こちらも、民泊と同様に経営のノウハウが必要でしょう。

■太陽光発電

貸し物件にしても入居者が集まりにくい立地にある空き家は、太陽光発電の売電収入で安定した収入を得るという選択肢もあるでしょう。太陽光発電のソーラーパネルは、屋根に設置するタイプと土地の上に設置するタイプがあります。家屋をそのまま残して屋根の上に設置する場合は、構造に問題がないか確認が必要です。
 

2.空き家を建て替えて活用

空き家を建て替えて活用すると、周囲に同じような空き家の物件が多い時に差別化をはかることができます。既に老朽化していて、そのままでは借り手がつかない時などによく選ばれる手段です。

空き家を建て替えて活用するメリット

新築の一戸建て物件は、借り手がつきやすいというメリットがあります。初期費用はかかりますが、家賃は古い戸建ての時よりも高く設定しやすいでしょう。敷地の形状に合わせ、効率的な土地活用ができます。
 

空き家を建て替えて活用するデメリット

建て替えの場合、一度古い家を解体する解体費用と新しい家を建築する費用の両方がかかるため、初期費用が多くかかります。戸建てではなく、アパートにする場合は、さらに費用がかかるでしょう。銀行から借り入れをして建築するケースが多いですが、得られる家賃収入も踏まえてローンの返済が無理なく行えるかどうか慎重に判断する必要があります。
 

空き家を建て替えて活用する事例

空き家を建て替えて活用する場合の例をいくつかご紹介します。

■新築戸建ての賃貸物件にする

新築物件は借り手がつきやすいというメリットがあり、家賃収入も空き家をそのまま活用するよりは高く設定しやすいです。しかし、建て替え時に必要になった費用のローンを返済するために、手取りの収入額は少なくなる可能性が高いです。

■新築アパート・マンションとして賃貸物件にする

借り手が多くつきそうな立地にあれば、アパートやマンションにするという手もあります。戸建てより家賃収入が多くなりやすいですが、そのぶん建て替え費用は高くなるという点も踏まえて検討しましょう。

■トランクルームにする

トランクルームとは、使う頻度が低いものや季節によって使う・使わないがはっきりしているものなどを収納できる貸しスペースのことを指します。住宅専用地域には建てることができません。住宅地に近い、広さに余裕のある土地なら、ニーズも高く活用されやすいでしょう。しかし、高い収益が見込めるとは限らず、稼働率が上がるまでには時間もかかります。

■コインランドリーにする

市街地など、立地によってはコインランドリーという選択肢もあるでしょう。稼働率が高くなるかどうかが、経営の良し悪しを決めるポイントとなります。設備を整えるために、初期費用は高くなる点に注意が必要です。
 

3.空き家を解体して活用

ひとまず古い空き家を解体して、土地だけにして活用する方法もあります。長期的に土地として活用するというよりは、売却等を見越した活用法と言っても良いでしょう。

空き家を解体して活用するメリット

更地の状態になっていると、売却後の活用の自由度が増すため、土地の買い手がつきやすくなります。解体工事以外の費用はほとんどかかりません。また、それまで支払っていた建物への固定資産税はかからなくなります。

空き家を解体して活用するデメリット

建物への固定資産税はなくなるものの、「小規模住宅用地の特例」が受けられなくなることで、結果的に土地の固定資産税が高くなります。建て替え等に比べて初期費用は安く済みやすいですが、その後の収益についても少なくなりがちです。

空き家を解体して活用する事例

空き家を解体して活用する例は以下の通りです。
 

■駐車場にする

土地の暫定的な利用方法としてよく選ばれるのが、駐車場としての活用です。車一台分のスペースから始めることができ、初期費用も少なくて済みます。売却に切り替える際は立ち退きやすく便利です。

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■貸地にする

空き家の解体費用以外にお金をかけずに活用する代表的な方法です。ただ、一度誰かに貸してしまうと途中で売却に切り替えるのが難しくなる可能性があります。
 

空き家を取り巻く問題

日本の空き家率が増えている

日本の空き家はどんどん増えていると言われ、およそ7軒に1つは空き家の状態だそうです。空き家の割合自体は短期間で急増したわけではありませんが、いわゆる「実家の空き家」はどんどん増えており、これからも増加することが予想できます。
 

国や地方自治体の空き家への対策

特定空家の指定以外にも、国や地方自治体は空き家対策を行っています。

空き家に係る譲渡所得の特別控除

空き家の建築が昭和56年5月31日以前に行われた家屋など、一定の要件を満たす場合は、相続した空き家を3年後の年の12月までに売却すれば譲渡益から最大3,000万円まで控除されます。

参照:空き家の発生を抑制するための特例措置|国土交通種

 

相続登記の義務化

持ち主が不明の空き家が増えないように、2024年4月1日からは相続登記が義務化されます。不動産を取得した日から3年以内に登記の手続きが必要となり、これに正当な理由なく違反する場合は10万円以下の過料が認められるようになります。

参照:相続登記が義務化されます(令和6年4月1日制度開始)   ~なくそう 所有者不明土地 !~:東京法務局

 

解体、耐震診断、耐震改修への助成

空き家の倒壊を防ぐために、解体や耐震改修の費用の一部を自治体が助成する制度をもうけている地域も少なくありません。空き家を所有している地域の役所のホームページや窓口で確認してみましょう。

空き家を相続した時の4つの選択肢

もし、自分が空き家を相続することとなった場合、どのような選択肢があるのでしょうか。
 

保有しておく

いつか自分が住むかもしれない、相続した実家を売るための気持ちの整理がつかないなどの理由で、ひとまずは空き家のまま保有しておくという選択肢を選ぶ方は多いです。しかし、空き家を保有している間は税金がかかり、維持管理の負担も増えます。人が住まない家は早く傷むとされており、いずれ修繕やその対応を考える必要も出てくるでしょう。
 

活用する

先ほどご紹介したように、誰かに貸したり建て替えて利用者を募ったりして、資産として活用するという方法もあります。立地などの特徴をよく踏まえ、ニーズに合う状態で活用できれば、安定した収入につながる可能性があるでしょう。
 

相続放棄

実家をふくめ、他の遺産もすべて放棄する場合は、相続放棄で手放すという方法も考えられます。しかし実際は、あまり現実的とは言えないでしょう。

相続土地国庫帰属制度

実家は相続放棄したいものの、他の遺産は引き継ぎたい場合、2023年4月27日から施行された「相続土地国庫帰属制度」が活用できるかもしれません。更地にするなど多くの条件があり、必ず認められるとは言いきれませんが、いったん相続した土地を国に引き取ってもらうことができます。

参照:相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」 | 政府広報オンライン

 

まとめ



空き家を放置していると、老朽化がどんどん進み手がつけられなくなるかもしれません。特定空家に指定されてしまうと、経済的な負担も増えます。空き家はどんどん増えてはいるものの、「他にもたくさんあるから」と油断するのは禁物です。空き家の活用方法は、いくつかの選択肢があります。ぜひ、早いうちにどのような活用が適しているのか考え、行動にうつしましょう。


※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。

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