木造アパート経営の特徴・費用・トラブル対策を徹底解説

木造アパートは収益性がある土地活用方法として人気があります。ただ、他の土地活用と比べてどのような特徴があるのか気になっている人も多いでしょう。この記事では木造アパート経営にかかる費用やよくあるトラブルの対策方法も含めて、経営の詳細を解説します。

木造アパート経営の特徴・費用・トラブル対策を徹底解説のイメージ

目次

  1. 1木造アパートの特徴とメリット
  2. 2木造アパートのデメリット
  3. 3木造アパートの防音対策
  4. 4木造アパートの耐震性向上策
  5. 5木造アパートの寒さ対策
  6. 6木造アパートでも高性能でデザイン性の高いものが建てられる!
  7. 7木造アパート経営に向いている土地や広さ
  8. 8木造アパート経営にかかる費用
  9. 9木造アパートの建築費用を抑えるポイント
  10. 10土地活用なら駐車場経営もおすすめ
  11. 11まとめ

木造アパートの特徴とメリット

木造アパートは木材を建築材料として使用しているアパートです。アパートの建築では軽量鉄骨もよく用いられています。ここでは木造アパートを建てて経営するメリットを、軽量鉄骨造との違いも踏まえて解説します。

建築費用が安い

木造アパートは軽量鉄骨造などのアパートやマンションに比べると建築費用を抑えられます。諸説ありますが、一般的な坪単価で比較すると、木造アパート場合には60~90万円程度なのに対して、鉄骨造のアパートの場合には90~110万円程度かかると言われています。その場合、50坪のアパートを建てたとすると、木造なら3,000万円~4,500万円程度、鉄骨造では4,500万円~5,500万円程度がかかります。木造アパートの方が初期の費用負担が小さいのは明らかです。
 

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管理費が安い

木造アパートはマンションと比べると管理費が安いメリットがあります。大きなマンションではエレベーターの管理や消防設備の点検費用などのランニングコストがかさみます。木造アパートは2階建てか3階建てが一般的で、管理コストを抑えやすいのが特徴です。管理費を抑えると家賃を下げやすくなり、空室対策をしやすいのもメリットです。

調湿性がある

木造アパートは調湿性が高いのが特徴です。湿気が溜まってしまってカビやコケが発生するトラブルが起こりにくくなります。冬場の乾燥する時期には木材に含まれている水分が少しずつ蒸発するため、湿度を保ちやすい魅力もあります。適度な湿度の室内環境を整えやすいのが木造アパートのメリットです。

設計の自由度が高い

木造アパートは加工性が高い木材を使用するので設計の自由度があります。建材の重量を抑えられるので、柱を細く少なくする設計も可能です。デッドスペースを減らせるため、広い居住空間を取れるメリットがあります。居住者にとっては部屋のコーディネートをしやすく、家具の設置の自由も大きいのがメリットです。梁が少なくて天井もすっきりとした仕上がりになります。

減価償却費を早期に活用しやすい

木造アパートは減価償却が鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて早いのが特徴です。木造アパートの法定耐用年数は22年なのに対して、一般的な4mm以上の鉄骨を使用する鉄骨造のアパートは34年、鉄筋コンクリート造のマンションでは47年になっています。減価償却期間が短いので、減価償却費を計上して節税しやすいのがメリットです。賃貸経営による土地活用の期間が比較的短くても減価償却費を有効活用できます。


参照:【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(建物/建物附属設備)

 

木造アパートのデメリット

木造アパートによる土地活用にはデメリットもあります。木造アパート経営をするときにはリスクを理解して対策を練ることが大切です。ここでは木造アパートのデメリットやリスクを解説します。

火災の発生に弱い

木造アパートは火災によって全焼するリスクがあります。鉄骨造や鉄筋コンクリートとは違い、木材は容易に燃えてしまうからです。住人の失火によってアパートが全焼する可能性もゼロではありません。隣の建物で火災が発生したときにもらい火をするリスクもあります。火災リスクが高い影響で火災保険料も高いことが多く、ランニングコストが上がるのもデメリットです。

耐震性が課題になる


木造アパートは耐震性の高い設計をする必要があります。鉄筋コンクリート造のマンションに比べると、一般的には耐震性が低いのが一般的です。昭和56年の建築基準法の改正によって耐震性基準が高まったため、近年に建設された木造アパートであれば耐震性の問題は起こりにくくなっています。土地活用の目的で木造アパートを新築する場合には問題ないですが、古い木造アパートを購入するときには注意が必要です。

参照:建築:住宅・建築物の耐震化について - 国土交通省

 

害虫の発生リスクがある

木造アパートは害虫の被害が発生しやすいデメリットがあります。木造の建築物は隙間ができるリスクが高いため、小さな虫が出入りすることが多いのが難点です。シロアリなどによって浸食を受けることもあります。
 

防音性が低い

木造アパートは防音性が低いのがデメリットです。木材は重量が軽くて遮音性が低い材料だからです。隣の部屋から話し声が聞こえたり、上の階から足音の振動が伝わってきたりする場合が多くなります。外を走っているバスやトラックの振動や、バイクの音などが部屋の中まで伝わりやすいため、住環境に不満を持たれるリスクがあります。

気密性・断熱性が低い

木造アパートは隙間ができやすくて気密性が低い影響で、光熱費が高くなる可能性が高いのがデメリットです。気密性が低いと室内と屋外で空気が行き来し、熱を通しやすいからです。外壁や窓のサッシなどを通して熱が出入りしてしまうため、冷暖房の効率が下がります。断熱性を向上させる対策をしないと住民の光熱費負担が大きくなり、退去されるリスクが上がります。
 

長期運用が難しい場合がある

木造アパートは耐用年数が短い建築物なので、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のアパートやマンションと比較すると長期運用には向いていません。法定耐用年数を過ぎた時点で減価償却費を計上できなくなるからです。建て替えの時期を想定して運用することが必要になります。

借主からのイメージが悪い場合がある

木造アパートは賃貸物件を探している人からのイメージがあまり良くない場合があります。入居物件を探す時点で騒音問題が起こるのではないか、耐用年数が低くて長く住めないのではないか、隙間風があって寒いのではないかと不安になる人もいます。入居者を募集してもなかなか空室が埋まらないリスクがあるのが木造アパートのデメリットです。実際に住んでみてから持つ印象ではなく、元から不安のイメージを持っていることが多いので対策を考える必要があります。

木造アパートの防音対策

木造アパートの集客力を上げるには防音対策が重要です。建築時点から防音性能の高い設計をしていれば木造アパートでも音や振動が気になりにくい物件にできます。防音壁を使用したり、間取りの工夫をしたりする対策が典型的な方法です。水回りのように水音がする場所や、団らんの声が漏れやすいリビングを壁から離して設計すると対策になります。

建築後の木造アパートでもリフォームで防音対策が可能です。以下のような方法は木造アパートでよく用いられています。
 

  • 防音対策壁の設置
  • 防音シートの貼り付け
  • 防音対策カーテンの採用

防音対策はアパートの設計や状態、周辺環境によって適切な方法を選ぶことが大切です。防音シートと防音対策壁を組み合わせるといった対応もできるので検討しましょう。
 

木造アパートの耐震性向上策

木造アパートの耐震性は建築基準法の基準が厳しくなった影響もあって、現在ではあまり心配はありません。古い木造アパートを購入して経営する場合には耐震基準を満たしていないリスクがあるので注意しましょう。基本的には中古の木造アパートを購入するときには耐震基準をクリアした物件を選定するのが適切な対策です。耐震性を向上させる必要なく木造アパート経営を始められます。

耐震基準を満たしていない木造アパートを買いたい場合には耐震補強工事を実施しましょう。これから新しく木造アパートを建てるときには地盤についても注意が必要です。地盤が緩いと耐震性に懸念が生じます。沼地だった土地に木造アパートを建てるときには地盤調査をして、必要に応じて地盤改良工事をするのがおすすめです。
 

木造アパートの寒さ対策

木造アパートの寒さ対策には断熱性を高める工事が有効です。例えば、以下のようなリフォームによって断熱性を高められます。
 

  • 窓やサッシの断熱化
  • 断熱フィルムの貼り付け
  • 床下の断熱化
  • 断熱塗装の実施

外壁や屋根の断熱塗装は定期的に必要になるので、塗装のタイミングで断熱塗料を使用すると良いでしょう。また、エアコンの設置も寒さ対策として有効です。リビングや寝室にエアコンが完備された木造アパートにすると集客力が高くなります。部屋にエアコンがあるという場合でも、古いエアコンを使用していると電気代がかかる割に部屋が暖かくならないというトラブルが起こる場合があります。新しいエアコンに交換するのも寒さ対策として効果的です。
 

木造アパートでも高性能でデザイン性の高いものが建てられる!


木造アパートは防音性、耐震性、断熱性、耐火性などが低いというイメージを持たれがちです。デザインも鉄筋コンクリート造のマンションに比べると劣っていると思われてしまう場合もあります。しかし、日本では性能や機能、デザインにこだわった木造住宅も生まれてきています。デザイナーズ賃貸住宅やデザイナーズアパートの中には木造も多く、耐震性や耐火性なども兼ね備えている木造アパートも入手可能です。
木造でも遮音等級で鉄筋コンクリート造と同等のL-50を満たす遮音性を持つ住宅を建築できます。技術革新によって木造アパートに対して抱かれているイメージを払拭できる高性能な住宅を建てて経営できる時代になっています。
 

木造アパート経営に向いている土地や広さ

土地に木造アパートを建築して経営するときには、賃貸経営に向いているかどうかを見極めることが重要です。法制的には2階建ての木造アパートであれば用途地域として工業専用地域に指定されている土地でない限りは建築できます。工業専用地域以外でも賃貸物件のニーズがあることが必要です。

木造アパート経営では住宅地として人気があり、主要駅から近い土地が有利です。競合の木造アパートが少なく、新たにこの地域に住みたいというニーズがある場合には賃貸経営に向いています。

土地の広さについては30坪くらいあれば木造アパートを建てることは可能です。都市圏では60坪、地方や郊外では100坪が目安になります。地方や郊外では駐車場の必要性が高いので、土地の一部を駐車場にすると集客力が上がります。駅に近い土地だったとしても日常生活では車が必要ということもあるため、地域事情を調査して土地の使い方も考えることが大切です。

参照:みんなで進めるまちづくりの話-国土交通省

 

木造アパート経営にかかる費用


木造アパート経営では初期費用と維持費がかかります。経営を始める時点で大きな負担になるのは初期費用の建築費です。初期費用として別途工事費や諸費用もかかりますが、建築費が全体の7割~8割を占めます。木造アパートの坪単価は55万円~80万円くらいが相場なので、延べ床面積が60坪の木造アパートなら3,300万円~4,800万円の建設費がかかると想定されます。この他に以下のような別途工事費と諸費用の負担が必要です。

<別途工事費>

  • 水道工事
  • ガス工事
  • 電気工事
  • 空調工事
  • 外構工事
  • 地盤改良工事
  • その他、地方自治体の定める負担金など

<諸費用>
  • ローン手数料
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 司法書士報酬
  • 印紙税
  • 火災保険料
  • 建築確認申請などの手数料

実際に建築にかかる費用はハウスメーカーや工務店、建築会社に相談して確認するのがおすすめです。建築する木造アパートの設計やデザインなどによって違いがあるので、住宅業者と相談して建築計画を進めましょう。

木造アパートの建築費用を抑えるポイント

木造アパートを建築して土地活用をする際には費用の高さが悩みになります。ここでは木造アパートの建築費用を抑えるポイントを紹介します。

設計をシンプルにする

アパートの設計をできるだけシンプルにすることが費用削減につながります。建物全体も部屋もできるだけ単純にして余計な費用がかからないようにしましょう。柱や壁などが多くなると建築費用が高くなります。規則性があって部材の加工や組み立てをしやすい設計にすると建築期間も短くなって、人件費も抑えることが可能です。また、規格化されている建材を使用して建築すると安上がりになります。

アパートの規模を検討する

アパートを小さくすれば建築費用を抑えられます。木造アパートを小さくすると部屋数を減らしたり、部屋の間取りを小さくしたりしなければなりません。大きな木造アパートに比べると満室のときの家賃収入は少なくなるでしょう。しかし、部屋を増やしたために空室ができてしまうと収益性が低くなります。無理のない建築費用で木造アパートを建てて、満室にした方が空室リスクを下げられます。

土地が広くて余った場合には駐車場にすることも可能です。入居者向けの駐車場としても使えますが、残った部分を月極駐車場にする選択肢もあります。
 

設備の選定を慎重におこなう

建物や部屋の設備を充実させると建築費用が高くなります。外装や内装についても同様で、こだわりを持つと費用がかさみがちです。最新の住宅設備を導入すれば良いとは限らないので、ニーズに合わせて費用対効果の高い設備を選定することが大切です。

設計と施工を同じ会社に発注する

木造アパートの建築では設計施工一括方式にすると費用を抑えられます。設計施工一括方式は建物の設計と建築の施工を同じ業者に依頼する方法です。すべての作業を一括管理して進められるので、個別に依頼するよりも安くなる傾向があります。業者によって建築費用が異なるため、相見積もりを取って比較することも大切です。設計施工一括方式の業者を有力候補にして、2~3社くらいと相談を進めましょう。

 

土地活用なら駐車場経営もおすすめ

木造アパートは建築費用も管理費も抑えられるメリットがあります。しかし、木造アパートは賃貸探しをしている人からのイメージが悪く、入居者が集まりにくいのがデメリットです。木造アパート経営では空室リスク対策が大きな課題になります。将来的な収益性の不安が募ってしまって木造アパート経営を始められないこともあるでしょう。

駐車場経営は収益の安定性を確保しやすいのでおすすめです。土地の広さを最大限に生かして駐車スペースを確保することが可能で、月極駐車場もコインパーキングも運営できます。駐車場は初期費用が安くて管理費用も小さいというメリットがあります。トラブルが少なくて安定経営しやすい駐車場経営も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
 

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まとめ

木造アパートによる土地活用は建築や管理などの費用面を抑えながら、安定した家賃収入を期待できる土地活用です。入居者のネガティブなイメージを払拭するために、防音対策、耐震対策、寒さ対策などを実施して人気の物件に仕上げることが安定経営につながるでしょう。土地活用では木造アパートは魅力的な選択肢の一つですが、駐車場経営も比較してみるのがおすすめです。初期費用が小さくて土地活用を始めやすい方法なので検討してみてください。
 


※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。

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