2024年08月13日公開
2024年08月13日更新
コインパーキングVSアパート経営!土地活用を13項目で比較
土地活用ではアパート経営が昔から人気がありますが、近年ではコインパーキング経営も注目されるようになりました。コインパーキングとアパート経営ではどちらが優れているのでしょうか。この記事では土地活用の方法としてコインパーキングとアパート経営のメリット・デメリットを比較してご紹介します。
目次
コインパーキングとアパート経営のメリット・デメリットを徹底比較
コインパーキングとアパート経営はどちらも利用者から支払いを受けて利益を得る不動産投資です。しかし、土地活用の方法としては違いが大きいので、目的や目標、希望するやり方などを考慮してメリットが大きい方を選ぶことが大切です。ここでは土地活用でチェックしておきたい13項目でコインパーキングとアパート経営を比較しました。
管理方法
管理方法はコインパーキングにもアパート経営にも自由度があります。自己経営、管理委託経営、一括借り上げの仕組みでも管理できます。
自己経営で労力をかけてでもできるだけ収益を増やしたい、一括借り上げで管理負担をなくして土地活用をしたいといったときにはどちらも候補です。管理委託の自由度も高いので、一部の業務を外部委託して土地活用をしたい場合にも両方とも適しています。コインパーキングとアパート経営では管理方法については甲乙つけがたい状況です。
収益性の高さ
収益性の高さは立地条件や地域による影響を受けます。表面利回りで考えるとコインパーキングは5%~15%程度、アパート経営では5%~10%程度です。どちらも表面利回りで考えるとあまり違いはありません。
管理やメンテナンスのコストの影響も考慮した実質利回りでは、アパート経営は修繕費や入居者の仲介手数料などの負担がある点では不利です。コインパーキングの方が高くなる可能性があります。収益性の高さは個別の土地の事情によって変わるので、個々にシミュレーションをして比較してから土地活用を始めた方が良いでしょう。
収益の安定性
収益の安定性はアパート経営の方が優れているでしょう。アパート経営では入居者が決まったら数年間は安定した家賃収入を得られるからです。退去する場合にも1ヶ月前までに告知するルールを定められるので、入れ替わりで入居する人を早めに募集できます。
コインパーキングでは毎日、利用者の状況が変わるのであまり収入が安定しない場合があります。立地とニーズによってはほぼ常に満車になることもあるため、コインパーキングでも収益が安定する可能性はあります。しかし、アパートと違って長期で継続的に利用する人がいるという保証がない点で収益の安定性は一般的に高いとは言えません。
初期費用の高さ
土地活用の初期費用はコインパーキングの方が安くて済みます。コインパーキングの場合には100万円前後から始められます。コインパーキング業者に一括借り上げを依頼すれば、初期費用無料で土地活用を開始することも可能です。
しかし、アパート経営をする場合には、アパートの建築費用だけで2,500万円~1億円くらいがかかります。収益物件としてアパートを建築するときには、不動産投資ローンを使用可能です。手持ちの資金が足りないときでもローンを組んで土地活用を始められます。ただ、毎月返済をしなければならず、利子によって投資総額も大きくなるので注意が必要です。
維持費用の高さ
土地活用を始めてからコインパーキングやアパートの経営を続けるにはメンテナンスが必要です。中長期的な維持費用はアパートの方が高くなるので気を付けましょう。
アパート経営では建物と部屋の状態を両方とも良好に保つことが必要です。退去者が出たときには部屋のリフォームをして入居者を募ります。リフォーム費用が退去の度にかかるので、維持費用は高くならざるを得ません。さらに建物自体の大規模修繕工事も計画して費用を積み立てる必要があります。
コインパーキングではゲートやロック板、精算機などの点検・メンテナンスに維持費用がかかります。アパート経営に比べると大規模修繕工事や部屋のリフォームのような大きな費用が発生しません。
投資期間
投資期間はコインパーキングの場合には自由度がありますが、アパート経営の場合には長くせざるを得ません。アパート経営をするときには初期投資が大きく、ローンを組むことも多いからです。20年の不動産投資ローンを組んでアパートを建築した場合には、20年くらいは経営を続ける覚悟が必要です。土地活用で成功するには、家賃収入で少なくともアパートの建築費用や諸経費をカバーできなければならないので一般的には長期投資になります。
コインパーキングは初期費用が小さいので比較的短期間で元を取ることができます。ローンを組まないので、撤退もしやすいのが特徴です。数年くらい土地活用をして経営の経験を積むのにも適している方法です。
節税効果
節税目的で土地活用をする場合には、コインパーキングよりもアパート経営が優れています。アパートを建築すると住宅用地として認められるため、税制の優遇措置を受けられるからです。固定資産税や都市計画税では住宅用地の特例を適用できます。住宅用地で1戸あたり200平方メートルまでの土地について固定資産税が1/6、都市計画税が1/3になります。200平方メートルを超える部分も固定資産税が1/3、都市計画税が2/3です。
アパート経営では土地の相続税も軽減できます。小規模宅地等の特例を適用すると、200平方メートルまでの土地については相続税の課税評価額が1/2になります。
コインパーキングでは住宅用地の特例を受けられませんが、アスファルト舗装や立体駐車場にすれば小規模宅地等の特例は適用可能です。また、コインパーキングでもアパート経営でも経営による損失を給与所得と損益通算することはできます。ただ、コインパーキングはアパート経営に比べると大きな支出が生じることがあまりありません。所得税の節税効果でもアパート経営の方が優れています。
参照:
固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
立地条件
土地の立地条件によってコインパーキングとアパート経営では収益性に違いが生じます。駅周辺でアクセスが良い立地条件なら、コインパーキングもアパートも需要があって収益を上げやすいでしょう。コインパーキングは一時的に駐車したいというニーズがある地域で収益性が上がります。商業施設の近くやオフィス街にあると利用者が増えるのが特徴です。
アパートはオフィス街の近くや住みやすい住宅街の中にあると入居者が集まります。商業施設の周辺も買い物をしやすいので需要があります。ただ、中心街から離れてしまって生活しづらい立地ではニーズがあまりありません。コインパーキングは郊外にあるアウトレットモールの近くでも利用者を集められる可能性があるので、土地活用の可能性が広いのが特徴です。
土地の要件
土地の広さや形状によってはアパートの建築はできませんが、コインパーキングなら最低1台分の駐車スペースを確保できれば経営できます。土地の要件について要求が小さいのはコインパーキングです。狭小地や変形地でもコインパーキングを始められます。
アパート経営では広い土地が必要です。土地によっては用途地域になっていて建築できる面積、建ぺい率、容積率などによる制限があります。制限が大きい土地の場合には戸数を増やして収益を上げることが難しい、余剰の土地ができてしまうといった問題が生じやすいのがアパート経営のデメリットです。
参入しやすさ
参入しやすい土地活用を選びたいならコインパーキングの方がメリットがあります。コインパーキングは初期費用があまりかからず、狭い土地でも始められるからです。コインパーキングは更地にアスファルト舗装をして精算機などの設置をするだけなので、数週間で経営を始められるメリットもあります。
アパート経営の場合にはアパートの建築費用が高く、建築期間も数ヶ月かかります。すぐに市場参入したいと思っても資金や建築期間の影響で始められないのがデメリットです。
転用しやすさ
土地の転用はコインパーキングの方が簡単です。将来的に自宅を建てたいけれど、しばらく先のことだから当面は土地活用をしたいということもよくあります。
アパートを建築してしまうと、ローンを組んでいるので完済するまでは解体できません。アパートを解体するときには入居者に退去を求めなければなりませんが、賃貸物件の入居者は借地借家法によって守られているので強制退去をさせることはできません。定期借家契約にして期限を定めれば退去してもらえます。しかし、期限になるまでは土地を転用できません。
コインパーキングならすぐに更地にして転用できます。もし経営がうまくいかなかったとしても、他の土地活用を速やかに始められます。
出口戦略の必要性
土地活用では最後にどのようにして終わるかを考えて出口戦略を立てることが重要です。しかし、コインパーキングでは出口戦略の必要性があまり高くありません。初期費用が低く、いつでも撤退できる経営方法だからです。
アパート経営ではいつ経営をやめるかを慎重に考えて出口戦略を立てることが必要です。アパートは経年劣化によって価値が毎年下がります。設備も古くなり、他の物件に比べて人気がなくなります。空室リスクが年々高くなり、空室対策として家賃を下げざるを得ない場合も少なくありません。収益が小さくなるため、経営が厳しくなる可能性があります。
アパートが古くなると売れなくなり、解体せざるを得なくなります。どのタイミングで撤退するかを見極める必要があるのがアパート経営の難しいところです。
災害リスクの大きさ
災害リスクはコインパーキングにもアパート経営にもあります。ただ、大きな災害があったときに被害が大きくなるのはアパート経営です。
例えば、大地震が発生したときにコインパーキングではゲートや精算機などが倒れて故障する程度で済むでしょう。アパートの場合には倒壊してしまう可能性があります。保険に加入して災害対策をすることはできますが、土地を更地に戻してアパートを再建築するには何ヶ月もかかります。ローンを組んでいる場合には、アパート経営ができていない期間も返済しなければならないのが原則です。災害があったときにはアパート経営では厳しい状況に陥るリスクがあります。
コインパーキングかアパート経営かを選ぶチェックポイント
コインパーキングとアパート経営の選択で迷ったときには、総合的に判断してメリットの大きい方を選ぶことが大切です。ここではコインパーキングとアパート経営の選ぶときに重要なチェックポイントを紹介します。
土地活用の目的
土地活用の目的に合う方を選ぶことをまずは優先しましょう。土地活用の目的は人によって違います。例えば、以下のような目的ではコインパーキングがおすすめです。
- 遊休地を気軽に運用したい
- マイホームを建てる資金ができるまで固定資産税の負担を補いたい
- すぐに土地を収益化したい
- 経営の経験を積んで今後に生かしたい
コインパーキングは少額資金ですぐに始められます。面積当たりの売上はあまり高くはありませんが、固定資産税の支払いをするくらいの収入は十分に期待できます。気軽に土地活用を始めるならコインパーキングが魅力的です。
一方、以下のような目的ではアパート経営が適しています。
- 大きな収入を得たい
- 老後の資金対策をしたい
- 固定資産税を減らしたい
- 相続対策をしたい
戸数を増やして収入額を増やせる可能性があるのはアパート経営の魅力です。節税対策にもなり、定年退職がないので老後も大きな収入を得る仕事を続けられます。収益性や節税を考えるならアパート経営が良いでしょう。
投資資金
投資資金がいくらあるかは重要なチェックポイントです。投資資金が少ないならコインパーキングが適しています。十分に投資できる資金的余裕があるならアパート経営も候補にできます。
投資資金は今後の収入も考慮して考えます。もしアパート経営をして空室のままになってしまったら、当面は赤字経営です。不動産投資ローンを組んだ場合には、赤字でも返済をしなければなりません。入居者が少なかったとしても当面はローンを返済できる程度の資金は必要です。資金に余力がないときにはコインパーキングにするのが安全策です。
土地の広さ・形状と周辺環境
活用したい土地の状況によってコインパーキングとアパート経営のどちらの方が収益性を期待できるかが変わります。特に重要なのは土地の広さや形状と周辺環境です。土地が狭いときや変形地で建物を建てるのが難しいときにはコインパーキングしか選択肢がありません。土地の接道が悪くて入居者を集めにくいといったときにも、コインパーキングを検討した方が良いでしょう。
周辺環境では駅や商業施設、オフィスなどの状況を確認してニーズがあるかどうかを検討することが大切です。ショッピングモールの近くでも、モール自体に大きな駐車場があって十分な場合にはコインパーキングの需要は低いでしょう。モールのイベントで騒音がある場合にはアパートの入居者が集まりにくくなります。競合が多い場合にも不利な環境です。周辺環境はプラスになる面とマイナスになる面を調べて総合的に考えることが重要です。
転用の可能性
将来的に土地の転用をする可能性があるなら、撤退しやすいコインパーキングがおすすめです。まったく使用する予定がない土地ならどちらを選んでも問題ありません。しかし、マイホームを建てたい、店舗経営を始めたいといった希望がある場合には、準備ができた時点ですぐに転用できる土地活用が理想的です。コインパーキングなら短期間で更地に戻せるので、転用の可能性があるうちはコインパーキングにした方が良いでしょう。
リスク許容度
土地活用にはリスクがあります。リスク許容度の大きさはコインパーキングとアパート経営のどちらが合っているかを判断する基準の一つです。基本的にコインパーキングはローリスクローリターン、アパート経営はハイリスクハイリターンです。リスクの不安があるときにはコインパーキングの方が初期投資も少なく、撤退も転用もしやすいので安心でしょう。
経営がうまくいかなくて失敗したときには、初期投資が大きいアパート経営の方が大きな痛手になります。空室ばかりで撤退したいと思っても、入居者が1人でもいれば撤退できません。当面は赤字経営を続けなければならない状況になるリスクがあります。災害リスクも大きいので、経営手腕にかかわらずに損失になる可能性もあります。資金の余裕が小さいときにはリスク許容度が低くなるのでコインパーキングにするのが無難です。
コインパーキング経営がおすすめの人
コインパーキング経営は以下のような人におすすめです。
- スモールスタートで不動産投資をしたい人
- 狭小地や変形地を持っている人
- 土地を一時的に活用したい人
- すぐに土地活用を始めたい人
- 不動産投資の経験を積みたい人
コインパーキングは車1台分少々の土地があれば少額投資ですぐに始められる土地活用です。土地の形状が悪くてもレイアウトを工夫すれば有効活用できます。コインパーキングは転用性が高いので、いつかは家を建てたいと思っている土地を活用して収入源にするのにも適しています。
コインパーキングは更地から数週間で経営を開始できるのも特徴です。思い立ったときにすぐに始められるので、不動産投資に興味を持っている人はコインパーキング経営を検討してみましょう。
アパート経営がおすすめの人
アパート経営は以下のような人におすすめです。
- 長期的に土地活用をして安定した利益を得たい人
- 大きな資金を投下して土地活用で生計を立てたい人
- 好立地に遊休地を保有している人
- 住みながら不動産経営をしたい人
- 節税対策をしたい人
アパート経営は大きな収入源にできる可能性がある土地活用です。広くて好立地に土地があれば、大きなアパートを建てて生計を立てることも可能です。アパートは入居者が安定して入るようになると家賃収入も安定するので、収入の用途を具体的に考えやすいメリットもあります。
また、固定資産税や・市計画税、相続税、所得税の節税対策ではアパート経営が優れているのでおすすめです。アパートの1室に住むこともできるので、老後の住む場所を確保したい人もアパート経営を考えてみましょう。
駐車場経営は土地活用としておすすめ
コインパーキングとアパート経営で悩んでいるときには、駐車場経営を広く考えて検討するのもおすすめです。アパート経営で収入を増やしたいけれど、広い土地に大きなアパートを建てる資金がない、立地が良くないから入居者をたくさん集めるのは難しいといった悩みが生じる場合があります。このときには広い駐車場付きのアパートにして、駐車場の一部は居住者用、残りは駐車場経営用にする方法があります。
最近では店舗の駐車場をコインパーキングにしている事例も多くなりました。アパートやマンションでも駅やデパートなどの周辺エリアでは、駐車場の一部または全面をコインパーキングや月極駐車場にしている場合があります。近くに二つの土地を持っている人が一方でアパート経営、他方で駐車場経営をして、アパートの住人は駐車場を契約できるようにしている事例もあります。
駐車場経営にはコインパーキングと月極駐車場があります。コインパーキングの収益が毎日変わるのが不安な人は、月極駐車場にするのもおすすめです。月極駐車場経営とアパート経営も並行しておこなえるので検討してみましょう。
まとめ
コインパーキングとアパート経営は利用者から料金を受け取るビジネスという点は共通していますが、土地活用の性質は大きく異なります。コインパーキングは初期費用が少なくて始めやすく、土地の転用もしやすいのがメリットです。アパート経営は収入を上げられる可能性があり、節税対策になる優遇措置が多いメリットがあります。
アパートの駐車場をコインパーキングや月極駐車場にする方法もあるので、広い土地がある場合には活用の可能性を広く考えることが大切です。最終的に重要なのは何を目指して土地活用をするかを具体化することです。土地活用の目的を明確にしてより良い方法を選びましょう。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。