遊休地とは?遊休土地になる前に活用・処分する方法を紹介

遊休地とは、土地を持っていても家を建てたり、駐車場にしたりせずに遊ばせている状態の土地です。遊休地を放置しているとトラブルになる可能性があるので、遊休地の所有者は速やかに活用か処分の検討をすることが大切です。この記事では遊休地の活用・処分を決断する必要がある理由と具体的な方法をご紹介します。

遊休地とは?遊休土地になる前に活用・処分する方法を紹介のイメージ

目次

  1. 1遊休地とは?遊休土地との違い
  2. 2遊休地のまま放置しない方が良い理由
  3. 3遊休地を活用するか処分するか
  4. 4遊休地を処分せずに活用するメリット
  5. 5遊休地を処分せずに活用するデメリット
  6. 6遊休地の活用方法6選
  7. 7遊休地の処分方法
  8. 8遊休地の活用には駐車場経営がおすすめ
  9. 9まとめ

遊休地とは?遊休土地との違い

遊休地とは、利用されずに放置されている土地です。土地が遊んでいる状態で、アイデアがあれば活用できるはずなのに何にも使われていないときに遊休地と呼ばれます。土地を所有しているだけで、更地や荒れ地のままにしている場合には遊休地です。遊休地には法的な定義はありませんが、関連する用語として遊休土地があります。
 

遊休土地とは

遊休土地とは、国土利用計画法による遊休土地制度に定められている要件を満たす土地です。遊休土地制度は土地の適正な利用を推進する目的で創設された制度です。同法の第28条第1項では以下の遊休土地の要件を定めています。

1号要件:一定規模以上の広さがある土地
2号要件:取得後2年が経過している土地
3号要件:未利用または低利用の土地
4号要件:周辺状況から利用促進の必要性がある土地

例えば、市街化区域の規制区域では1号要件は1,000平米以上の広さです。1,500平米の土地を取得して2年以上経過した時点(2号要件)でほとんど利用せず(3号要件)、荒れ地になって環境の劣悪化の原因になっている(4号要件)場合には遊休土地になる該当する可能性があります。

参照:土地・不動産・建設業:遊休土地制度 - 国土交通省

 

遊休土地になるとどうなる?

遊休土地の要件を満たしている場合には、市町村が都道府県知事を通して土地の所有者に通知して改善を求められます。遊休土地の通知を受けた所有者は、土地の利用または処分の計画を立てて6週間以内に都道府県知事に提出しなければなりません。

土地の活用計画をしたときには、計画についての助言や勧告等を受けます。改善点を考慮したうえで土地活用を実施することが必要です。

土地の処分計画をしたときには、都道府県知事による買取協議の通知を受けます。地方公共団体等による主導で協議をおこなって、土地の買取に処分を進めます。

遊休土地に該当すると土地の活用または処分を検討・実施しなければなりません。遊休土地に該当する可能性がある遊休地を所有している場合には、早めに対応をすることが大切です。

 

遊休地のまま放置しない方が良い理由

遊休地のまま放置すると遊休土地になって対応を求められます。土地を取得してから2年間は遊休土地になることはありません。市町村が通知を決断しなければ通知を受けないので、長期間にわたって放置できる場合もあります。しかし、以下の理由で遊休地は放置しないのがおすすめです。
 

固定資産税や都市計画税がかかるから

土地の所有者は固定資産税や都市計画税の納税義務を負います。遊休地で何の目的にも使用していない状況だったとしても、所有者は税金を納めることが必要です。固定資産税評価額に対して、固定資産税は1.4%、都市計画税は最大3.0%がかかります。

しかし、土地を遊休地にせずに活用している場合には、特例による軽減税率が適用される場合があります。居住用の住宅を建てていれば、住宅用地の特例の適用が可能です。敷地が200平米以下の部分は固定資産性が1/6、都市計画税が1/3、200平米を超える部分は固定資産税が1/3、都市計画税が2/3に軽減されます。遊休地のまま放置すると固定資産税や都市計画税の負担が大きくなるので、土地を活用した方が良いでしょう。

参照:
総務省|地方税制度|固定資産税
総務省|地方税制度|都市計画税

 

周囲からクレームがないように維持管理する必要があるから

遊休地は維持管理をしなければトラブルが発生するリスクがあります。遊ばせている土地の周辺の住民からクレームを受ける場合があるからです。遊休地にして管理していないと、土地は荒れ放題になります。雑草が繁茂して周囲に迷惑をかけたり、ゴミが不法投棄されて行政から指導されたりする可能性があります。

クレームや指導があったときには対応が必要で、損害賠償を求められる場合もあります。問題が起こらないようにするためには、遊休地を放置せずに管理して良好な状態に保つことが必要です。
 

土地の価値が下がるリスクがあるから

遊休地を放置すると土地の価値が下がる場合があります。土地の価値は地域での需要によって変動します。人が集まってきていて土地の需要が高い地域では地価が上がりますが、人口が減っていて土地が余っている地域では地価が下がるのが一般的な傾向です。遊休地をそのままにしていると、本来は活用可能な土地が無駄になり、地域社会にとって経済的なメリットを生み出せません。

土地の相場が上がったら遊休地を売却しようと考えている場合もあるでしょう。ただ、都市開発が進められている地域などの特別なところでなければ、地価が短期間で大きく上がることはあまりありません。遊休地を活用して地域に貢献しないと、地価が下がって売り時を逃す可能性があります。
 

遊休地を活用するか処分するか

遊休地は放置せずに、収益化を目指して活用するか、処分するかを考えて決めることが大切です。活用と処分で悩んだときには以下のように考えましょう。
 

  • 遊休地の継続的な収益化を目指すなら土地活用
  • 売却益で一時的な収入を得たいなら売却処分
  • 遊休地の活用が困難な場合は処分

遊休地を生かしてこれからずっと収益を得たいという気持ちがあるなら土地活用を始めるのが適切です。土地に合わせて方法を選んで活用を開始しましょう。長期的な収益源として活用したい気持ちがあるなら、遊休地の使い方を検討してみるのがおすすめです。

遊休地を売却すれば一時的な収入を得られます。土地を長期的に活用するよりも、すぐにまとまった収入を手に入れたいなら遊休地を売却するのが効率的です。また、遊休地の立地や面積などによって活用が難しい場合があります。土地活用をしても収益を見込めない、経営や管理の負担が大きいといったときには売却した方が良いでしょう。

遊休地を処分せずに活用するメリット

遊休地を処分せずに活用するとメリットがあるので、まずは有効活用を考えるのがおすすめです。ここでは遊休地の活用によるメリットを解説します。
 

収入源になる

遊休地の活用をすれば収入源になります。遊休地を放置していると固定資産税や都市計画税によって支出が発生するので、資産は減っていきます。遊休地を活用して賃貸経営などを始めれば収入源になるのがメリットです。遊休地の処分でも一時的な収入を得られますが、土地活用をすると継続的な収入を得ることが可能です。
 

税金対策ができる

遊休地の活用は税金対策にできます。遊休地のまま保有しているよりも、活用した方が固定資産税や都市計画税、相続税などの節税が可能です。例えば、更地の遊休地に居住用の建物を建てると、住宅用地の特例によって固定資産税と都市計画税を減額できます。相続税についても小規模宅地の特例を適用して相続税評価額を減らすことが可能です。

また、給与所得者や事業者が遊休地を使って不動産経営を始めると所得税の節税もできる場合があります。不動産所得は総合課税で給与所得や事業所得との損益通算が可能です。不動産所得が赤字になっているときには所得総額から差し引けるため、課税所得を減らせます。

参照:
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算|国税庁

 

将来的に土地を自由に使える

遊休地を売却しなければ、将来的にその土地を自由に使えます。今は使わないけれど将来的には家を建てたいと思っているときには、売却してしまうと買い戻すことが難しいでしょう。土地活用をしなかった場合にも土地は自由に使えます。しかし、土地活用をすれば経営による収益を得ることが可能です。必要なタイミングになったら使えるように計画できるので、資金が溜まったら家を建てたいと思っているときにはメリットが大きいでしょう。

地域に貢献できる

遊休地を活用すると地域社会に貢献できます。人口を増やしたり、経済活動を促進したりすることに貢献できます。

例えば、駐車場がある店舗がない商店街の近くにある遊休地をコインパーキングにすれば、商店街の店舗を利用しやすくなるでしょう。住みやすい環境になって人口が増えていき、地価が上がると期待できます。地域の需要に合わせて土地活用をすると、将来的に土地を高く売れる可能性があります。住宅や駐車場などの不足しているものに着目して地域に貢献すると、巡り巡って自分の利益になるでしょう。
 

遊休地を処分せずに活用するデメリット

遊休地は処分してしまった方がメリットが大きい場合もあります。ここでは遊休地を処分せずに活用する方針を立てたときのデメリットを説明します。
 

継続的に管理や経営の負担や費用がかかる

遊休地の活用では物件の管理をして経営による利益を目指す必要があります。管理や経営の業務をしなければならないのがデメリットです。設備の点検や業務委託などによる費用もかかります。遊休地の活用を続けている限りは、負担し続けなければならないので、無理のない経営が可能な方法を選ぶ必要があります。
 

投資リスクがある

土地活用では遊休地に限らず、投資リスクを伴います。必ず黒字経営になるわけではなく、赤字になって損をするリスクもあるのがデメリットです。

例えば、アパートやマンションの経営では空室リスクがあります。入居者が集まらない、退去者が続出するといった理由で空室が多くなり、想定していた家賃収入を得られないと赤字になる可能性があるでしょう。他にもローンの金利変動リスクや地価変動リスクなどのさまざまなリスクがあるので注意が必要です。
 

節税効果が得られるとは限らない

遊休地の活用をしても節税効果が得られない場合があります。例えば、住宅用地の特例や小規模宅地の特例によって節税するには建物の建築が必要です。住宅用地の特例を受けるには居住用の物件でなければならず、事業用の事務所物件を建てても適用できません。節税目的で遊休地を活用するときには、税制を詳しく確認してから方法を決めることが重要です。
 

遊休地の活用方法6選

駐車場経営

駐車場経営は月極駐車場やコインパーキングとして駐車スペースを提供し、利用料金を徴収する活用方法です。月極駐車場では利用者と契約をして、毎月定額の賃料を徴収します。コインパーキングでは時間貸しによる経営をして、利用時間に応じた料金を手に入れます。

駐車場経営は遊休地の活用を速やかに始められます。舗装をしたり、車止めなどの造作を設置したりするだけで経営を開始できるからです。また、遊休地が狭小地や変形地でも、車を駐車できるスペースを確保できれば駐車場経営が可能です。家を建てるほどの広さがなくて困っていた土地でも駐車場にできるでしょう。駐車場経営は始めやすいので、遊休地の活用方法として優れています。
 

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アパート・マンション経営

アパートやマンションの経営は、土地に居住用の建物を建てて入居者を募り、賃貸経営による家賃収入を得る方法です。賃貸住宅の需要がある駅前や住宅街などに遊休地があるときには収益性の高い土地活用ができます。アパートやマンションの建設に初期費用がかかりますが、不動産投資ローンを組んで資金調達をすることも可能です。

アパートやマンションは空室リスクがあるため、需要を調査して部屋の間取りや設備の設計をすることが重要です。初期投資額が大きいので長期運用を前提にして経営計画を立てる必要があります。大規模修繕工事のための積立をしたり、管理方法を検討したりする大変さはありますが、大きな利回りを実現できる可能性がある方法です。
 

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オフィスビル経営

オフィスビル経営は事務所として使えるビルを建築して、オフィス物件として賃貸経営をして賃料収入を得る方法です。駅周辺やオフィス街の好立地に遊休地があるときに適しています。ビジネス用地として人気のある都会ほど賃料を上げて経営できるので収益性を上げられます。

オフィスビル経営は長期契約を取りやすいため、安定した賃料収入を得られる方法です。立地や床面積によって顧客候補になる事業者が異なるので、遊休地のある地域での需要を調査してオフィスビルを設計することが重要です。
 

医療・福祉施設経営

医療施設や福祉施設の経営は医療や福祉の施設を経営して収入を得る方法です。医療モールの建物を建設してテナント経営をしたり、施設を建設して医療法人や福祉法人に賃貸したり、土地を貸して施設の建設からすべて借主に任せたりする方法があります。遊休地を活用して社会貢献にすることができる活用方法です。

高齢化に伴ってクリニックや介護施設などの需要が高まっているため、テナント経営や土地の賃貸の契約先を見つけやすいメリットもあります。医療・福祉施設経営は経営方法によって初期費用も管理費用も変わるため、収益性と管理負担のバランスを考えて運用できます。
 

トランクルーム経営

トランクルーム経営は保管するスペースを提供するサービスを通して利益を得る方法です。トランクルームはコンテナを設置するだけでも経営できます。温度や湿度などの環境も管理できる建物を建てて経営する方法もあり、付加価値を上げて契約単価を上げることも可能です。

トランクルームは契約を取れると長期的に利用してもらえることが多いのがメリットです。集客が重要なので、付加価値が高い方が良いか、利用料金が安い方が良いかを需要に合わせて考えてトランクルームを設計する必要があります。狭小地や変形地でもトランクルーム経営はできるので、遊休地の活用方法として魅力があります。
 

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資材置き場経営

資材置き場経営は土木工事や建設工事などで資材を置く場所を提供して対価を得る土地活用方法です。 資材置き場は工事で必要な資材を一時的に置いておく場所です。工事現場に近い場所に資材置き場を確保できると効率が上がるため、工事が多い地域では高い需要があります。

資材置き場は土地に手を加えることなく経営を始められるのがメリットです。都市開発が進んでいる地域では工事の頻度が高いため、長期契約ができる場合があります。また、地方で活用しづらかった遊休地でもダム建設などの土木工事の資材置き場として契約できる可能性があります。
 

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遊休地の処分方法

遊休地の活用よりも処分を考えたいと思ったときには処分方法を検討することが重要です。ここでは遊休地の処分に使える方法を紹介します。

売却する

遊休地の処分によって収益化するなら売却が適切な方法です。不動産会社に仲介を依頼すれば、販売活動をして買主を探してもらうことが可能です。需要ある地域の土地なら速やかに売れる可能性があります。ただ、土地活用の方法がない立地の場合には買主が見つからずに苦労する場合もあります。売れないときには不動産会社に買い取ってもらうことも可能です。

寄付する

遊休地は寄付して処分することができます。自治体では土地の寄付を受け付けている場合があるので、役所のホームページで確認してみましょう。公益財団法人やNPO法人などの各種法人や団体でも土地の寄付を募集している場合があります。寄付する側は費用がかからないので、遊休地を処分したいときには検討してみましょう。

相続土地国庫帰属制度を利用する

遊休地は相続土地国庫帰属制度によって処分できる場合があります。相続や遺贈によって土地を取得し、遊休地になってしまって処分に困ったときに有効な方法です。法務局に申請して審査が通れば、負担金を納付することで国庫に土地を帰属させることができます。利用予定がなく、担保権や使用収益権が設定されていない更地であれば制度を利用できる可能性があります。

参照:法務省:相続土地国庫帰属制度の概要

 

農地バンクを利用する

農地が遊休地になっているときには、農地バンクを利用して処分する方法があります。農地バンクとは農林水産省の管轄にある農地中間管理機構です。遊休農地や所有者不明農地を有効活用するため、農地の集積・集約化をしています。農地バンクは所有者から農地を借り受けて、農業の担い手に貸し付けているサービスです。遊休農地を完全に手放せるわけではありませんが、遊休農地の管理の負担がなくて処分に近い方法になります。

参照:農地中間管理機構:農林水産省


 

遊休地の活用には駐車場経営がおすすめ

遊休地の活用では気軽に始められる駐車場経営がおすすめです。以下のような理由で遊休地にしてしまうことがよくあります。

・土地の広さや立地の問題で活用方法が思い当たらなかった
・資金ができたらマイホームを建てたかった
・将来的には不動産投資に使いたいと考えていた
・相続してからつい放置してしまった


駐車場経営なら狭い土地でも少額資金で始められます。撤退しやすいので、マイホーム建築や他の投資のための資金ができたときにはすぐに切り替え可能です。放置を続けてしまった遊休土地でも更地にすれば駐車場経営を始められます。土地の活用方法で迷ったときには初心者でも始めやすい駐車場経営に取り組んでみましょう。
 

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まとめ

遊休地は土地を遊ばせていて税金による損失や周辺環境への悪影響を生み出します。遊休土地になって行政を介した活用・処分を進めざるを得ない状況になる前に、自分にとってベストの対応を始めましょう。遊休地は土地活用によって収益化することも、売却や寄付などによって処分することも可能です。土地を今後も生かしていきたいと思っているなら、遊休地の活用を始めましょう。駐車場経営は始めやすくて止めやすい遊休地の活用方法です。処分よりも活用と考えたなら、まずは駐車場経営から検討してみましょう。

※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。
 

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