トランクルーム経営は儲かる?失敗例から学ぶ経営のコツ

土地活用の方法として、トランクルーム経営をする方が増えています。なぜなら、マンションやアパートなどに投資するより、初期費用がかからず高利回りと言われているからです。

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目次

  1. 1トランクルーム経営は儲かる?失敗例から学ぶ経営のコツ

トランクルーム経営は儲かる?失敗例から学ぶ経営のコツ

土地活用の方法として、トランクルーム経営をする方が増えています。なぜなら、マンションやアパートなどに投資するより、初期費用がかからず高利回りと言われているからです。

しかし、どんな投資でもリスクは付きものです。投資というのは、何も学ばずに儲けられるほど甘い世界ではありません。トランクルーム経営で失敗しないよう、過去の失敗例をもとに経営のコツをご紹介します。

トランクルームとは

トランクルームとは、自宅や会社で収納スペースが足りなくなった際に、利用料金を支払って、収納スペースをレンタルするサービスのことです。支払いは利用する期間ごとに決めることができるので、短期でも長期でも利用可能なのが魅力といえるでしょう。

会社によって、トランクルームが設置されている場所はさまざまです。屋外に設置されているコンテナタイプを想像する方が多いかと思いますが、ビルのなかに設置されているタイプや、倉庫と一体化しているタイプもあります。

トランクルームを利用する理由としては、引越しまでの一時的な荷物の保管、趣味で使うものの保管、レコード・書籍など愛着があり捨てられないものの保管などが多いです。自宅からの近さや、利用のしやすさを加味して、トランクルームの種類を選ぶとよいでしょう。

運営方法は大きく分けて3タイプ

トランクルーム経営には、大きく分けて3つの運営方法があります。運営方法によって、収益の得方や契約形態、管理方法などが変わってきます。

それぞれ特徴があるので、運営する側の状況に合ったタイプを選択するとよいでしょう。ここからは、トランクルームの運営方法をそれぞれご説明します。

管理業務委託式
管理業務委託式は、トランクルーム運営で必要となる管理業務を、一部もしくはすべて業務委託する運営方法です。この運営方法は、トランクルーム経営をする会社でもっとも多く利用されている方法です。

土地を所有する個人もしくは法人がトランクルームの設置まで行い、それ以降の管理は、トランクルーム運営会社に委託します。管理業務は非常に多く手間もかかるため、利用料を支払ってもこの方法を行う方が多いです。

しかし、利用者がいない場合でも管理費用は発生するため、始めたばかりの頃は赤字になってしまいます。その分、利用者が増えれば利益が大きくなるのが特徴といえるでしょう。

サブリース式
サブリース式は、土地所有者がトランクルーム運営会社に物件を丸ごと貸出し、管理からすべて行ってもらう運営方法です。大まかな内容は管理業務委託式と同じですが、大きく違うのは収益の得方です。

管理業務委託式は管理費用の支払いと収益は切り離されていますが、サブリース式の場合は管理費用も収益も一定額に決められています。利用者が少なくても一定額の収益が保証されているため、赤字の心配がありません。

その反面、トランクルームが満室になって大きな利益が出たとしても、収益に反映されないのがデメリットといえるでしょう。

定期借地式
定期借地式は、土地所有者がトランクルーム運営会社に土地を貸出し、地代のみをもらう運営方法です。

管理業務委託式とサブリース式の場合は、トランクルームの設営を行う必要がありますが、定期借地式の場合は設営を行う必要はありません。

土地所有者に入るのは地代のみで、トランクルーム運営で発生した収益はトランクルーム運営会社に入ります。そのため、収益が少ないのがデメリットといえます。トランクルームの設営に時間や労力を費やしたくない方には、この定期借地式がおすすめです。

トランクルームとレンタル収納スペース

トランクルームには、屋内型と屋外型の2種類があります。屋内型は、会社やマンションなどの一部がトランクルームとなっており、近くに住んでいる住民などが物置として利用することが多いです。

屋外型は、コンテナ倉庫を利用したものが多いです。トランクルーム自体が広い作りになっているので、長期間使わない業務用資材などを預ける方が多くいます。

それ以外にも、トランクルームには認定トランクルームと、レンタル収納スペースというタイプがあります。両者には大きな違いがあり、国土交通省からの許認がおりたものを認定トランクルームと呼びます。

では、トランクルームとレンタル収納スペースの違いについて、より詳しくご説明していきましょう。

認定トランクルーム
認定トランクルームは、国土交通省から許認を得ないと運営ができません。一定の基準を満たしている優良なトランクルームには、国土交通大臣から認定マークを得ることも可能です。

倉庫内に預けたものは、基本的に管理者のみが出し入れできるため、利用者が好き勝手に出し入れすることができないのが特徴です。

その分管理が徹底されているので、貴重品を預けることもできます。寄託契約を結んで管理会社が一括管理するので、防犯対策が徹底されています。

レンタル収納スペース
レンタル収納スペースは、国土交通省からの許認を得なくても運営ができます。トランクルーム経営で多いのが、この運営スタイルです。レンタル収納スペースの場合、24時間365日自由に預けたものを出し入れできるのが特徴です。

その代わり、管理は利用者自身で行わなくてはいけないので、万が一預けたものを紛失してしまっても保証はありません。出し入れの自由度を重視する場合は、レンタル収納スペースを利用するとよいでしょう。

よくある失敗例と対策

トランクルーム経営は、比較的手軽に行える土地活用方法です。しかし、手軽に行える分リスクもあります。

そこでここからは、トランクルーム経営のよくある失敗例とその対策をご紹介します。今後トランクルーム経営を行おうと考えているなら、ぜひ参考にしてください。

立地選びが適切ではない

住宅を建てるときと同じように、屋内と屋外のどちらのトランクルームにも適した立地というものがあります。利用者の動向に合っていないタイプのトランクルームを設営すると、まったく利益を得られないこともあるので注意しましょう。

実際にトランクルームを設営する前に、自分が保有している土地にはどのようなトランクルームが適しているのか、調べることが必要です。

対策
屋内型のトランクルームは、マンションや会社のビル内に作られるため、車を利用せずに運べる程度の手軽なものを預けることが多いです。

たとえば、家に入りきらない分の洋服を預けるために利用している場合には、頻繁に出し入れを行います。そのような方のために、ビルの1階など出入りのしやすい場所にトランクルームを設けるといいでしょう。

また、手で運ぶことを想定して、住宅街や駅に近い場所にあるのが理想的です。仕事帰りや買い物帰りに利用することができるので、必然的に利用者が増えます。

屋外型のトランクルームの場合は、設備自体が大きいので、車を利用して大型のものを預ける方が多いです。そのため、車でアクセスしやすく、なおかつ車で入ることのできる広い敷地を設けることが必要です。

屋外型のトランクルームを利用する方は、もともと車で出入りする方が多いので、少し場所が移動しても解約されずに済むことが多いでしょう。

また、コンテナタイプのトランクルームであれば、万が一所有している土地の場所が条件に合っていなかったとしても、コンテナごと移動できます。自分の所有している土地が屋内・屋外ともに適していない場合には、条件に合った土地を新しく購入することをおすすめします。

最初のうちは集客が困難

トランクルームは住宅と違い、誰でも最低ひとつは必要なものではないため、アパートやマンションに比べると集客しにくいのが問題点です。自宅以外に倉庫や物置が必要な方にしか需要がない性質上、どうしても市場が狭められます。

しかも、1件あたりの収益が数千円〜数万円のみなので、広告費用の捻出は困難でしょう。最初のうちはなかなか周知されず、利用者が少なくなる傾向にあります。

多くのトランクルームでは、トランクルーム運営会社がポータルサイトなどで集客を図ります。それでも、開業当初は数件のみの申し込みで、約1年経ってやっと80%〜90%が稼働するようになるのが一般的でしょう。

対策
満室状態が見込まれるまでに約1年かかるので、それまで運営会社へ管理費用を支払えるだけの資金を準備しておくことが必要です。初めのうちは赤字経営になることを想定して、ビジネス計画を立てましょう。

また、トランクルームの設営場所がそもそも集客を見込める場所なのか、入念な下調べも必要です。別会社のトランクルームが多くある場所であれば、これ以上トランクルームが増えたとき需要があるのかどうか、確認しておくとよいでしょう。

トランクルームを経営するうえで十分な資金の用意がむずかしい場合には、前述したサブリース式の運営方法を行うのがおすすめです。サブリース式であれば、利用者の数によって赤字になることがないため、安心して経営することができます。

賃料の設定ミス

トランクルームは、賃貸住宅などと比べて1人あたりの利用料が安くなります。屋外型の場合は3,000〜20,000円、屋内型の場合は2,000〜7,000円ほどが平均です。

そのため、利用者を増やしたいがために料金を安くしてしまうと、利益がまったくでなくなってしまうので注意しなくてはいけません。

トランクルーム経営は比較的楽に運営できるうえに利回りがいいため、競合が多くなりがちです。同じエリア内に別会社のトランクルームがあることが多いですが、無理な価格競争は避けた方がよいでしょう。

対策
競合との価格競争を防ぐために、トランクルームの運営会社と契約することをおすすめします。専門会社と契約することで、トランクルームの経営を一括して任せることができるほか、専門的な経営のノウハウを学ぶことが可能です。

業者のブランドを使うことで、競合が参入しにくい状況をつくることができます。参入してくる会社は、自分が競合に勝てそうな場所にしかこないので、ブランド力をアピールすることで参入防止に繋がるのです。

また、所有している土地が広い場合は、トランクルームと一緒に別の土地活用をするとよいでしょう。余った土地で飲食店などを経営することで、収益性を高めることができます。

収益化する前に短期間で撤退

前述したように、トランクルーム経営は安定した収益を得るまでに約1年の時間がかかります。短期的に収益を得られず赤字が膨らんでしまい、1年以内に撤退してしまう方も多いです。

その原因として考えられるのが、1年間収益を得られなくても問題ないような、しっかりした経営計画を立てられていないことにあります。ぎりぎりの資金でスタートしてしまうと、結果的に収益が得られる前に経営自体が回らなくなってしまうのです。

収益化する前にやめてしまうのは非常にもったいないので、最低でも半年は続けられるように準備しましょう。

対策
トランクルームの経営が安定してくるまでには、約1年かかります。そこまで万が一赤字経営が続いても問題ないように、ある程度余裕をもった資金準備が必要です。

目安として、初年度は損益分岐点の値を超えるくらいの追加予算を準備しておくとよいでしょう。そうすることで、経営に余裕ができます。

トランクルーム経営のよい点は、一度契約してくれた顧客は、長期的もしくは何度も利用してくれるケースが多いことです。そのため一度満室状態になると、それ以降安定した経営を行えます。それまで時間がかかるので、余裕をもった経営計画を立てるようにしましょう。

顧客ニーズの調査不足

しっかり顧客ニーズを調べずにトランクルーム経営を始めてしまうと、需要が無く、なかなか収益がでない傾向にあります。

トランクルーム経営は市場が狭いため、ニーズの調査を丁寧に行わなければ、失敗してしまう可能性が高くなります。長く経営を続けたいなら、事前の調査を怠らないようにしましょう。

所有している土地がトランクルーム経営に合っていない場合は、別の土地活用方法の検討も必要です。その場所によって、マンション・アパート・駐車場などマッチしているものがあるはずなので、トランクルーム経営に縛られないようにしましょう。

対策
顧客ニーズの調査不足の場合は、事前の調査を丁寧に行うに限ります。トランクルームの設営場所付近には、どのような層が住んでいるのかがもっとも重要です。

独身なのかファミリー層なのか、それによって預けるものの種類が変わってくるので、設置すべきトランクルームのタイプも変わります。

また、トランクルームの種類とあわせて、料金設定なども調整しなくてはなりません。顧客ニーズと合っていないと、見学にきてもなかなか契約に結びつかないので、慎重に調査しましょう。

競合相手の登場で利益ダウン

運営を順調に行っていても、近隣に大手のトランクルーム運営会社が参入してきたことによって、利用客を奪われてしまうことがあります。

大企業のトランクルームは、資金に余裕があるので規模や衛生面のクオリティが高いです。なかでも違いが生まれやすいのが、セキュリティ面です。

個人や中小企業が行うトランクルームは、国土交通省に許認されていないレンタル収納スペースであることが多く、無人での運営がほとんどです。

いっぽう、大手の場合は警備会社との提携や警備員を常駐するなど、セキュリティに力を入れる会社が多々あります。資金を考えるとセキュリティの高さで戦うことは困難なので、このような部分が利用客を失ってしまう原因となるのです。

対策
普段から利用者が快適に使用できるように管理していれば、突然競合が現れたとしてもあまり焦る必要はありません。

利用者の多くが大切にしているのは、利用しやすさと料金の安さです。初めのうちは少量のみ預けていたとしても、利用しやすいことがわかると、預けるものが増えてきます。

預けているものが増えてくると、わざわざ利用場所を移動するのが面倒なので、余程のことがない限りトランクルームを解約することはないでしょう。

大手企業が参入してきても問題ないように、最大限のサービスをニーズに合わせた金額で提供するようにしましょう。

節税につながらず収支のバランスが取れない

不動産投資をする方のなかには、節税効果を目的としている方も多いです。アパートやマンションなどの住宅を経営する場合、借地借家法が適用され、法律によって入居者の権利が保障されます。

持ち主の権利に対し、ある程度制限がかかることによって不動産の価値が下がり、結果的に相続税を節約することに繋がるのです。

しかしトランクルームの場合は住居ではないので、借地借家法が適用されません。よって、相続税の節税効果は得られないのです。

対策
相続税の節税を目的とするのであれば、トランクルーム経営ではなく、不動産経営に変える必要があります。トランクルーム経営でも節税をしたいのであれば、所得税と住民税の節税を目的にしましょう。

所得税と住民税は、減価償却をうまく活用することで節税できます。減価償却とは、月日が経つにつれて価値が落ちていく資産を購入した際に、一度に費用として計上せず、毎月少しずつ計上していく方法のことです。

実際には支払っていないのに、減価償却によって費用として扱うことができるため、かなりの節税効果が見込まれます。1回に計上する金額が大きいほど、節税効果は多くなるので、法定耐用年数をもとに利用するものを選定するといいでしょう。

また、節税し続けるためには、減価償却期間が終了したタイミングで新しいコンテナを追加することが必要です。もしくは、既存のコンテナを売って新しいものと入れ替えることで、継続して節税効果を得られます。

災害時への準備が不十分

自然災害は、どんな場所でも起こりうることです。管理が不十分だと、実際に災害が起こったときに、利用者の預けているものが被害にあってしまいます。

具体的な自然災害による被害は、以下のようなものがあります。
・地震によって建物が倒壊し、荷物が破損する。
・近隣の火災に巻き込まれて、荷物が焼失する。
・台風による水漏れによって、荷物が水浸しになる。

災害がおこっても、レンタル収納スペースの場合管理者が常にいるわけではないので、迅速な対応はできかねます。そのため、利用者の荷物に大きな被害が出てしまうことが多いです。

認定トランクルームでない限り、災害がおこっても管理者に補償義務はありません。しかし、災害がおこって被害が大きいと、利用者が離れていってしまうことが多いので、結果的に経営へ悪影響が及びます。

対策
災害による被害に備えるために、一部屋ずつに火災保険を掛けるシステムの大手トランクルームへ加盟するという手段があります。保険内容はフランチャイズ企業によって変わってきますが、加盟する前に保険適用のある会社なのか、確認するようにしましょう。

また、個人で火災保険に入る方法もありますが、建物全体に対してしか掛けられず、個人の荷物に対して保険を掛ける商品は存在しません。そのため、結果的に自己管理になってしまうことは理解しておきましょう。

盗難などのトラブル発生

レンタル収納スペースの場合、いつ誰が出入りしても問題ないので、盗難などのトラブルがおこる可能性が高いです。しかも無人運営のパターンが一般的なので、即時対応することができません。

基本的には利用者による自己管理の範囲ですが、実際にトラブルが発生すると噂が広まり、既存の利用者が離れ、新規の利用者もなかなか契約しづらくなってしまいます。

そのため、無人での経営を続けていくのであれば、それなりのセキュリティ対策を検討する必要があります。

対策
レンタル収納スペースの場合は、契約のときに盗難などの被害があっても、経営側では一切の責任を負うことができないことをしっかりと伝えましょう。口頭と書面で丁寧に説明することで、利用者に意識してもらうようにします。

責任の有無について説明することで、利用者自身が管理を徹底するようになるほか、預けるものを選定するようになるので、結果的にトラブルの発生を防ぐことができます。

また、盗難のリスクに備えて、最低限のセキュリティ設備を導入することも必要です。監視カメラの設置だけでも被害は格段に抑えられるので、利用者を減らさないための投資だと思って導入をおすすめします。

トランクルームの市場規模は増加傾向にある

トランクルームは、過去10年間で急速に市場が広がってきています。2008年に270億円だった市場規模は、2020年に670億円にまで成長しました。今後2026年には1,000億円規模まで成長すると見込まれています。

日本は狭い土地に人が密集しているため、1軒ごとの敷地面積が狭くなります。しかも、20年前に比べて一戸あたりの床面積が15㎡以上減少しており、以前よりももっと収納場所を用意することがむずかしくなってきました。

家に十分な収納場所が用意できないと、外部に預ける必要がでてきます、そこで利用者が増えているのがトランクルームです。もとはアメリカで多く使用されていましたが、日本の生活環境にとても合っているといえるでしょう。

また、コロナの影響でオンライン授業やテレワークが増えたことにより、自宅に作業道具や場所を確保しなければいけなくなりました。もともと物置だった場所が仕事部屋として利用され、物置としてトランクルームを利用するというケースも増えています。

コロナをきっかけに今後もオンライン授業やテレワークが増えていくと予想されるため、それに伴いトランクルームの市場規模も増加していくことでしょう。

まとめ

今回は、トランクルーム経営の形式や失敗例から学ぶ経営のコツをご紹介していきました。トランクルーム経営は、不動産投資に比べて比較的手を出しやすい土地運用の方法ですが、何も勉強せずにうまくいくほど甘くはありません。

持っている土地がトランクルーム経営に適した場所にあるのか、丁寧に事前調査をし、適切な方法で経営を始めるようにしましょう。

また、トランクルーム経営の失敗例は多くあります。事前に知っているかいないかで今後事業をうまくやっていけるか変わってくるので、今回の記事を参考にしてみてください。

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