2025年05月30日公開
2025年05月30日更新
コインパーキングの不正駐車を防ぐには?原因・罰則・対策などを解説
コインパーキングで「不正駐車に困っている」や「無断駐車が後を絶たない」とお悩みではありませんか? 不正駐車は利用者の機会を奪うだけではなく、料金の未払いにもつながりかねません。 そこで本記事では、駐車場経営をされている方や、コインパーキングの運営に興味のある方に向けて、コインパーキングでの不正駐車の実態や原因、罰則の内容に加え、効果的な対処法や未然に防ぐための対策を解説します。

目次
コインパーキングにおける不正駐車とは?
コインパーキングを利用する際は、料金の支払いや利用ルールの遵守が求められます。しかし、実際には料金を支払わずに駐車したり、管理者の許可なくスペースを占有したりするなどの不正行為が発生することがあります。こうした行為は、トラブルや損害の原因となるため、あらかじめ正しい知識を持っておくことが不可欠です。
まずは、不正駐車の代表的なケースや発生の原因を確認していきましょう。
不正駐車の定義と代表的なケース
不正駐車の定義とは、「料金の支払いを行わず、もしくは契約条件を無視して駐車場を利用すること」を指します。
具体的なケースは、次のとおりです。
- ロック板や精算機を壊して無理やり出庫する
- 駐車場の理不尽なクレームを入れ続ける
- 駐車場の爆破予告などで営業を妨害する など
例えば、ロック板や精算機などの設備を故意に壊した場合は「器物損壊罪」に該当する可能性があり、駐車場の爆破予告で意図的に営業を妨害すると「信用毀損及び業務妨害」として扱われる場合もあります。
悪質なケースでは民事訴訟に発展する場合もあり、不正駐車は単なる迷惑行為では済まされない重大な違反となり得ます。
なぜコインパーキングで不正駐車が起こるのか?
コインパーキングで不正駐車が発生する主な理由としては、「料金を支払いたくない」「見つからなければ問題ないだろう」といった考えが挙げられます。特に、夜間や人通りの少ない時間帯では監視の目が行き届きにくく、不正行為への心理的ハードルは下がりかねません。
監視カメラや警告看板が設置されていない場所では不正駐車は見つかりにくいと思われ、悪質な利用者の標的になりやすい可能性もあります。
万が一ロック板の故障や精算機の不具合などがあれば、システムの隙を突いた出庫も可能です。また、「短時間なら問題ない」などの軽い気持ちで駐車をするケースもあり、悪意の有無に関わらず不正行為に該当する場合もあるでしょう。
コインパーキングの不正駐車がもたらす具体的なトラブル
不正駐車は単なるマナー違反に留まらず、利用者やオーナーへのさまざまな実害をもたらす深刻な問題といえます。特に、正規の利用者が駐車できない状況を引き起こしたり、オーナーの収益を損なったりするケースが多く見られます。
本章では、不正駐車によって生じる具体的なトラブルを解説します。
駐車スペースの利用機会損失
不正駐車が発生すると、その駐車スペースを正規の利用者が使えなくなり、本来得られるはずの収益を失うことになります。例えば、1台分のスペースしかない小規模なコインパーキングでは、1件の不正駐車でその日の営業が止まってしまう可能性もあるでしょう。さらに、周辺の利用者が「いつも満車だから使いにくい」と感じればリピーターが減り、長期的な稼働率の低下にもつながりかねません。
また、商業施設やイベント会場の近くなどの短時間の回転率が収益に影響する立地では、1時間でも不正に占有されることで複数回分の利用機会が失われる可能性もあります。
上記より、不正駐車は目に見えにくい形で駐車場の効率と収益性に悪影響を及ぼす可能性があるといえます。
料金未払いによるオーナーの損失
不正駐車による料金未払いは、コインパーキングのオーナーへの金銭的損失につながります。通常は利用時間に応じた収入が得られますが、無料で長時間占有されてしまうため、売上がゼロになることや対応や管理にかかるコストまで上乗せされてしまいます。
悪質な不正駐車が繰り返されると、警告や張り紙、管理会社との連携、場合によっては警察への通報が必要になり、精神的・時間的な負担も発生するでしょう。設備強化や監視カメラなどの新たな対策を講じることになれば、初期費用や維持費もかかり、経営を圧迫する原因になりかねません。
コインパーキングは無人で運営されることが多いため、不正が発覚しにくく、被害が積み重なりやすいという点には注意しましょう。
コインパーキングの不正駐車に関する罰則とは?
コインパーキングでの不正駐車は、法律の違反行為として罰則になる可能性があります。
具体的な違反行為は、次のとおりです。
- 信用毀損及び業務妨害(刑法第233条)
- 威力業務妨害(刑法第234条)
- 器物損壊等(刑法第261条)
例えば、店員に理不尽なクレームを繰り返すことや駐車場の爆破予告を行うなどの虚偽の風説を流布し、業務を妨害した場合は、信用毀損及び業務妨害(刑法第233条)および威力業務妨害罪(刑法第234条)により「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」になります。
また、ロック板や防犯カメラなどを故意に破壊した場合は、器物損壊罪(刑法第261条)により「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料」が科されます。
次項にて、実際にコインパーキングで不正駐車をされたときの対処法を見ていきましょう。
参照:E-GPV 法令検索|信用毀損及び業務妨害(刑法第233条)および威力業務妨害罪(刑法第234条)
参考:E-GPV 法令検索|器物損壊罪(刑法第261条)
コインパーキングで不正駐車をされたときの対処法3選
コインパーキングで不正駐車をされたときの対処法として、以下の3つを解説します。
- 不正駐車の証拠を記録する
- 管理会社・運営会社に連絡する
- 警察に通報して状況を報告する
①不正駐車の証拠を記録する
不正駐車を確認したら、まずは証拠を記録することが重要です。スマートフォンやカメラで車両のナンバープレート、車種、色、駐車している位置、停車時間などを撮影しましょう。
ロック板が下がったままの状態や精算機の表示画面を合わせて撮影しておくと、後の対応に役立ちます。映像だけではなく、日時や状況をメモしておくこともおすすめです。
証拠が明確であればあるほど、管理会社や警察への報告時に状況を正確に伝えられるため、対応がスムーズになるでしょう。
②管理会社・運営会社に連絡する
不正駐車の証拠を押さえたら、駐車場の管理・運営会社への連絡を行いましょう。コインパーキングには、精算機や看板に問い合わせ窓口の電話番号や運営会社名が記載されていることが多いです。
連絡の際は、不正駐車の状況や車両情報、どのような対応を希望するかを正確に伝えましょう。管理会社は監視カメラの映像を確認したり、現場にスタッフを派遣したりして対応を取ってくれます。
管理会社側が動くためには通報が前提となることが多いため、不正駐車の証拠を押さえ次第、すみやかに連絡をしましょう。
③警察に通報して状況を報告する
悪質な不正駐車や暴言・威圧的な態度などのトラブルを伴うケースでは、迷わず警察に相談することも検討してください。
不正駐車が「不法侵入」や「業務妨害」にあたる場合は警察が介入し、注意喚起や事情聴取を行ってくれることがあります。特に、度重なる迷惑行為や損害が発生している場合には、被害届を提出することで正式な対応も求められます。
通報する際には、状況を簡潔にまとめたメモや先に記録した証拠写真を用意しておくと対応がスムーズになるでしょう。
上記の対処法を実行することで、不正駐車による被害を最小限に抑えられます。次項では、コインパーキングの不正駐車を防ぐための具体策を紹介しますので、単発の対応だけではなく、再発防止を意識した仕組みづくりを進めていきましょう。
コインパーキングの不正駐車を防ぐための3つの方法
不正駐車を防ぐには発生後の対応に加え、不正を起こさせない環境づくりが重要です。利用者に「不正が発覚する」や「すぐに特定される」と思わせる仕組みを整えることで、不正駐車の抑止効果が期待できるでしょう。
本章では、コインパーキングの管理者やオーナーが導入すべき防止策を3つ紹介します。
- 車両ナンバー認識システムを導入する
- 監視カメラや警告看板を設置する
- ロックレス駐車場を導入する
①車両ナンバー認識システムを導入する
近年、多くの駐車場で導入が進んでいるのが、車両ナンバーを自動で読み取る「車両ナンバー認識システム」です。
駐車場の出入口に設置されたカメラで車両のナンバーを撮影し、入庫・出庫のタイミングを記録します。精算時にはナンバー情報と照合し、未払いの場合は自動ゲートが開かない仕組みになっているため、料金を踏み倒すことが難しくなります。
また、トラブル発生時に警察や運営会社への証拠として提出できるため、防犯対策としての役割も大きくなります。ロック式・ロックレスに関わらず、あらゆるタイプの駐車場への後付けが可能です。
不正駐車が多発しているエリアでは、高い抑止効果を発揮してくれるでしょう。
②監視カメラや警告看板を設置する
不正駐車の多くは「発覚しなければ大丈夫」という心理から生まれます。その心理に対抗するのが、監視カメラや警告看板の設置です。駐車場内の目立つ場所に防犯カメラを設置し、「監視中」や「不正駐車は通報します」といった警告文を掲示するだけでも、不正行為へのハードルを上げられるでしょう。
また、カメラの映像はトラブル発生時の証拠としても有効活用できます。録画機能を備えたシステムを導入すれば、特定の時間帯に集中する不正の傾向も把握でき、今後の対策立案につながりやすいでしょう。
監視カメラや警告看板は低コストで導入できる対策として、多くの駐車場で実践されている対策の一つのため、積極的な導入検討をおすすめします。
③ロックレス駐車場を導入する
従来のコインパーキングでは、車両の下に設置されたロック板を使って駐車を管理していましたが、近年ではこのロック板を使用しない「ロックレス駐車場」が増えています。
ロックレス駐車場とは、入出庫と料金支払いをシステムで一元管理できる点が特徴です。多くの場合は、ナンバー認識システムなどと組み合わせて利用され、車両情報と精算データを紐づけることで未払いのまま出庫できない仕組みになっています。
ロック板がないことで出庫時のトラブルや機器の故障リスクが減り、利用者にとってもストレスの少ないスムーズな駐車が可能です。また、設備費やメンテナンスコストの削減にもつながるため、管理側にとっても導入メリットが大きいといえるでしょう。
以下の記事にて、ロックレスパーキングの仕組みやメリット・デメリットを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ
コインパーキングで不正駐車が発生してしまうと、正規利用者の機会損失やオーナーの収益減少といった実害が生じるだけではなく、場合によっては法的なトラブルに発展するリスクもあります。
だからこそ、あらかじめ不正を防ぐための対策や万が一不正が発生した際の対処法を知っておくことが重要です。
不正駐車のリスクを減らすためには、監視カメラやナンバー認識システムの導入、ロックレス駐車場の検討など、状況に応じた設備面の強化が効果的です。また、利用者側のモラルの意識を高めるような警告表示も一定の抑止力になるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、コインパーキングにおける不正駐車の問題と向き合い、安心・安全な駐車場運営に向けた第一歩を踏み出してみてください。
なお、土地活用で駐車場経営をするための基礎知識や成功させるためのコツについては、以下の記事で紹介しています。

※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。