2022年08月04日公開
2022年08月04日更新
マンション経営とは?収益の仕組みや経営に向いている人などを解説
まとまった広い土地がある、将来的な資産形成をしたいと考えている人の中には、マンション経営を検討している人もいるのではないでしょうか。実際にマンション経営を始める前に、気になるのがマンション経営にかかる費用や収益の仕組みかもしれません。
マンション経営とは?収益の仕組みや経営に向いている人などを解説
まとまった広い土地がある、将来的な資産形成をしたいと考えている人の中には、マンション経営を検討している人もいるのではないでしょうか。
実際にマンション経営を始める前に、気になるのがマンション経営にかかる費用や収益の仕組みかもしれません。
本記事ではマンション経営の仕組み、マンション経営のメリット・デメリット、経営に向いている人の特徴などを紹介します。参考としてお役立てください。
マンション経営とは
まず、マンション経営とは何かを把握しておきましょう。
マンション経営は、購入したマンションを賃貸物件として貸し出して家賃収入を得ることをいいます。マンションを購入する際は、ローンを組むことがほとんどで、金融機関のローンを利用した場合は、家賃収入をローン返済に充てることになります。
ローン完済後は、家賃収入がマンション経営者の利益になります。マンション経営の収入の仕組みについて、より詳しい内容をチェックしていきましょう。
収入の仕組み
マンション経営の収益を支えるのは、入居者からの家賃です。そのためマンションに入居者がいれば、毎月家賃収入が得られます。
マンションを丸ごと一棟所有して経営を行うこともあれば、マンションの1部屋だけ購入してマンション経営を行う経営者もいます。空室がない状態が続くと、長期間にわたり安定した家賃収入が期待できるでしょう。
ただし、家賃収入からは管理費や修繕積立金のほか固定資産税などが引かれます。ローンの返済がまだ残っている場合は、さらにローンの支払い額も引かれることになります。実質的に得られる収入は、家賃収入から管理費や修繕積立金、固定資産税、ローン返済を引いた金額です。
マンション経営において収益が上がったという判断は、毎月得られる家賃収入から税金や必要費用を引き、トータルでプラスになっているのかが重要視されます。
アパート経営との違い
同じ不動産投資だとしても、マンション経営とアパート経営で内容が異なります。
最も異なるポイントは、投資対象となる物件です。マンション経営は1部屋からでも投資が可能ですが、アパート経営においてはそうはいきません。アパート経営は、一棟まるごとを所有した不動産投資が前提です。
一棟まるごと所有するには、購入に大きなコストがかかります。さらに、空室が増えると家賃収入が極端に低くなる恐れがあることも忘れないようにしましょう。
一方、今後事業を大きくしたいといった人にはアパート経営がおすすめです。賃料の設定をはじめ、共用部の管理など、すべてアパート経営者に任せられています。自分で収益性を高める工夫ができる人には、ぴったりの経営方法といってよいでしょう。
マンション経営における6つのメリット
マンション経営を始める前に、メリットやデメリットも把握しておく必要があります。まずはマンション経営における6つのメリットを紹介いたしますので、それぞれを詳しくチェックしていきましょう。
安定した収入を得られる
マンション経営の最大のメリットは、安定した収入が得られる点です。
マンションやアパートを経営する上で共通の心配事は空室のリスクです。マンション経営では、アパート経営と違い、事前に適正家賃を調べることによって空室のリスクを軽減できます。エリアによって、家賃の相場は決まっています。そのため近隣物件の家賃をインターネットなどで調査すれば、適正な家賃を把握できるはずです。
また、マンション経営で安定した収入が得られる背景には、家賃が暴落しづらいことも挙げられます。周辺の環境が著しく悪くなる、災害で建物に大きな被害がでるといったことが起きなければ、家賃が大幅に下がることはありません。
将来的に大きな資産となる
マンション経営は、そのマンションが将来的に大きな資産となる可能性があることもメリットの1つです。
たとえば、マンションを1棟すべて所有している場合、該当のマンションが建設されている土地も所有していることになるため、不動産の価値が安定します。つまり、どれだけマンションの築年数が古くなり建物の価値が低くなったとしても、土地については安定した価値を発揮するのです。
また、マンションを売却した場合は売却益を得られる可能性もあります。売却するときにマンションが建っている土地の価値が上がっていると、購入した当時よりも高値で取引されるでしょう。
投資用ローンの借入期間を延ばせる
マンション経営をするためには、不動産を購入が必須条件です。しかし、自己資金でまかなうことは難しいでしょう。
マンション経営のためにローンを組む人は珍しくありません。大抵の場合、マンション経営では金融機関の投資用ローンを利用します。マンション経営では、住宅ローンの利用はできないので注意しましょう。
ローンの借入期間には、不動産の法定耐用年数が大きく影響します。鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造の法定耐用年数は長めに設定されているので、借入期間を長くできる可能性があります。ところが、木造や鉄骨造で建てられたアパートは法定耐用年数が短く、ローンの借入期間を延ばすのは困難です。
借入期間を延ばせれば、それだけ毎月のローン返済額を少なくできます。利回りの改善にもつながるので、経営には鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造のマンションが向いているといえるでしょう。
面倒な管理を委託できる
マンション経営は収益性の高さが期待できますが、管理が面倒であることも忘れてはいけません。
少なくともマンション経営には、入居者希望者の募集や物件案内、入居者との契約関連、家賃の徴収、共用部の清掃、共用部の修繕計画策定や修繕手配、家賃滞納時の対応やクレーム対応、退去時の立ち合いや修繕手配などの業務が含まれています。時間や労力、手間がかかるものばかりなので、負担が大きいのも事実です。
しかしマンション経営の業務は、管理会社に委託する方法もあります。手数料を支払うことで管理会社が管理業務を代行してくれるため、副業としてマンションを経営することも可能です。管理会社への手数料は、基本的に家賃の数%が相場です。
資格を取得していると有利に働く
マンション経営自体に資格は要りませんが、資格があれば有利に働くことはたしかです。不動産のほか、経営、財務、税金、法律などの知識があって損をすることはありません。
まれに、不動産投資を検討する人をターゲットにした悪徳業者がいるので、ある程度の知識を身につけておかなければ騙されてしまう恐れがあるのです。資格取得は、悪徳業者と優良業者を見極める目にもつながります。
マンション経営に役立つ資格は、主に賃貸不動産経営管理士、マンション管理士、日商簿記3級、不動産実務検定、ファイナンシャルプランナー3級、電気工事士第二種です。中にはハードルの高い資格もあるため、多大な勉強時間を費やす必要があります。賃貸経営に無関係の知識も学ばなければならないので、余裕のある人はチャレンジしてみてください。
場合によっては節税効果が期待できる
マンション経営は、節税対策につながる場合があります。節税につながる税金は相続税、固定資産税、所得税の3つです。
相続税は、現金で相続するよりも、土地に賃貸物件を建てて相続した方が安くなります。
また、固定資産税は不動産を所有している限り毎年かかるものです。固定資産税を抑えるためには土地に物件を建てた方がよいのですが、建てる物件を賃貸にすると固定資産税はさらに低くなります。
所得税の節税に関しては、減価償却が影響しています。マンション経営をすると、建物購入費の一部を減価償却費として毎年計上することになります。経費として計上することで、不動産所得を減らすことができ、結果的に所得税を節税できるのです。
マンション経営における5つのデメリット
続いて、マンション経営のデメリットを紹介いたします。マンション経営はメリットだらけだと思われがちですが、きちんとデメリットにも目を向けるようにしましょう。5つのデメリットを解説いたしますので、メリットと照らし合わせながらマンション経営について理解を深めてください。
一定の自己資金が必要となる
マンション経営をするには、ある程度の自己資金が必要になります。頭金なしのフルローンを組んだ場合でも、空室の発生や設備機器の故障で想定外の自己資金が必要になることがあります。
自己資金の負担で悩まないためには、マンションを経営する前に収支シミュレーションをしておくことが大切です。しっかりとした収支シミュレーションを行うには、信頼のおけるハウスメーカーや建設会社を見つけ出す必要があります。マンションを建ててからもプロに経営などの計画を相談できれば、デメリットも軽減できるはずです。
共用部の修繕費用が発生する
マンション経営のデメリットには、共用部の修繕費用が発生する点も含まれます。
共用部の修繕費用は、マンション経営の落とし穴になることも多いポイントです。共用部には修繕費用のほか、原状回復費用がかかることもあり、想像以上に多大なコストがかかる場合もあるのです。
費用面での不安がある人は、事前に管理会社に相談することをおすすめします。管理会社は修繕計画を作成してくれるので、修繕金をあらかじめ積み立てられます。管理会社の中には修繕金を自動的に貯められるプランを用意しているところもあるので、利用を検討してみるとよいでしょう。
空室や家賃滞納のリスクがある
マンション経営を行う際は、あらゆるリスクを考えておく必要があります。とくに大きいリスクは、空室や家賃滞納です。
空室のリスクといっても、1棟まるごと所有していると空室のリスクは分散できます。しかし、もし同時に空室が何室もできてしまった場合は、赤字になるリスクが出てきます。また、入居者が家賃を滞納する場合も大きなリスクになります。家賃滞納が発生し収入がなくなったとしても税金はかかるので、かなり負担が大きくなるでしょう。
なるべく空室を避けるためには、ハウスメーカーや建設会社に協力してもらって空室率を予想してもらうことも重要です。家賃滞納については、信頼できる管理会社を選ぶのが1番の方法です。
自然災害のリスクがある
マンション経営では空室や家賃滞納のほか、自然災害のリスクも考える必要があります。
たとえば1棟のマンションを所有すると、経営者が共用部の火災保険や地震保険に加入しなければなりません。火災保険は、ローンを組んでいる場合は加入が必須の保険となります。
一方で、地震保険は任意加入です。火災保険と比べると保険料が高くなる傾向があり、保険の負担額が高くなれば、それだけ赤字になるリスクが増えます。なるべく地震の少ないエリアでマンションを経営した方がよいかもしれません。
マンション経営とアパート経営の優劣を比較
マンション経営のメリットとデメリットをチェックしてきましたが、次はアパート経営と比べた優劣を見ていきましょう。マンション経営とアパート経営にはどのような違いがあるのか、詳しく解説します。
建物性能
マンションはアパートよりも建物の性能が高いことで知られています。ただし、耐震性についてはマンションとアパートでそれほど大きな差はありません。最近新築されたアパートであれば、現行の耐震基準で建設されている物件がほとんどなので、問題ないでしょう。
マンションとアパートの性能で差が出るのは、耐久性です。耐久性に関しては、アパートよりマンションの方が優れています。マンションのほとんどは鉄筋コンクリート造です。さらに、マンションの外壁材は石やタイルなど硬めの材質を使用することが多く、見た目にも劣化しにくい構造になっています。
耐用年数
鉄筋造や鉄筋コンクリート造のマンションは、木造のアパートより法定耐用年数が長く定められています。先述の通り、法定耐用年数が長いことで、ローン返済期間を延ばすこともでき、毎月の負担が軽減されるのです。
耐用年数が長いと、築年数を重ねても資産価値が落ちにくくなります。将来的にマンションの売却も視野に入れている人は、資産価値が落ちにくいマンション経営はとてもメリットが大きいでしょう。
収入
アパートと比べるとマンションの方が得られる収入が高い傾向があります。マンションはアパートよりも家賃が高く設定されている場合が多く、その分経営者が得られる収入も高くなっているのです。
一方、収益率ではアパートの方が高い場合があります。収益率とは、投資額に対する収益の高さを表しています。マンションとアパートで1室あたりの収入額を比較すると大差はありません。しかしマンションよりもアパートは投資額が低いので、賃料に若干の差はありますが収益率はよくなります。
賃料下落
賃料については、マンションの方が下落幅は小さくなります。
マンション自体の性能が優れているため、入居者のニーズも高くなります。したがって、家賃がアパートよりも高くなっていようと、暮らしの快適性を求めて入居者がたくさん集まってくるでしょう。
アパートは築年数が古くなると家賃を下げざるを得ない状態になりますが、耐久性のあるマンションであれば、賃料の大きな下落を防げるはずです。
相続対策
不動産投資は、相続対策になります。相続税を節税する点に限って考えると、マンションとアパートでの差はありません。
実際に相続した物件をマンションやアパートとして貸し出せば、建物の相続税評価額が減額となります。また、マンションやアパートを建設するときに借入金を利用すれば、相続財産から借入金が引かれることになり、こちらも相続対策に効果があります。
資金力がある人は、アパートよりも投資額の大きいマンションを建てた方が相続対策に有利です。
マンション経営はこんな人におすすめ
マンションの経営には、向き・不向きがあります。どのような人がマンションの経営に向いているのか、3つのポイントを紹介いたします。
自己資金にある程度余裕がある人
マンションの経営は、自己資金に余裕のある人が向いています。
すでにご存知の通り、マンションの経営には、多大な初期費用がかかります。不動産投資の中でもマンション経営の初期費用は高い傾向があるので、自己資金にある程度余裕がなければ投資に失敗する恐れがあるのです。
マンション経営に必要な自己資金は、初期費用の20〜30%が目安となっています。万が一、初期費用の20〜30%以上の自己資金が必要になる場合は、ローンでまかなうことになるでしょう。しかし、ローンでまかなうといっても、安定した自己資金がなければマンション経営は難しいかもしれません。
マンションの建築が可能な土地を所有している人
広い土地を持っている人は、マンション経営に向いています。
マンションを建築するのならば、それ相応の広さがある土地が必要です。マンションの魅力は戸数の多さでもあるので、土地が広くなければ経営面でのリスクのみが目立ってしまいます。
そのため、マンション経営を検討しているのならば、マンションの建設が可能な土地を所有するようにしてください。広くない土地を活用したい場合は、マンションよりも駐車場やトランクルームなどを経営した方がよいでしょう。場合によっては一戸建てを建築し、経営することもおすすめです。
将来のことを考えて資産形成したい人
将来に向けて資産形成したい人には、マンション経営はうってつけでしょう。マンションの資産価値は落ちにくいので、安定した家賃収入につなげられます。
将来的にマンションを売却する場合も、高値で取引される可能性は高いはずです。「老後の蓄えを少しでも増やしたい」「着実な資産運用を実現したい」「仕事が忙しくて投資への時間が思うようにとれない」といった人には、マンション経営がぴったりです。マンション経営は長期的な計画が必要ですが、収入は大きくなりやすいので将来抱える金銭面などの不安は取り除けるでしょう。
マンション経営に必要な初期費用
マンション経営には、多大な初期費用が必要になります。初期費用にはどのような種類があるのか、深掘りしていきましょう。
物件取得費用
物件取得費用とは、物件を所有する際にかかる費用です。主に新築物件を購入する費用のほか、建築するときにかかる費用のことを指しています。
物件取得費用の目安は、だいたい数千万〜数億円です。しかし物件取得費用は、マンションの経営者がどのような物件を建設・購入するかによって変動するものです。なるべく初期費用を抑えたい人は、物件取得費用から考えるとよいでしょう。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得した人に課されるものです。相続した不動産の場合は非課税となりますが、基本的には不動産を取得すれば有償か無償かに関わらず支払う必要があります。
不動産取得税は、固定資産課税台帳に登録された価格の4%です。ただし、2021年3月31日以前に取得した住宅は税率が3%となっているので、税率の違いに気をつけてください。
印紙税
印紙税とは、経済的な取引が行われる契約書などの書類にかかる税金を指しています。
マンションの購入や建設時には契約書が必要です。たとえばマンションを建設する場合、工事請負契約書や融資を受ける際の契約書が課税対象となります。印紙税は契約金額に応じて変動しますが、相場は1〜10万円です。
ローンの事務手数料と保証料
マンションの購入や新築の際には、ローンを組むケースがほとんどです。ローンを組むと、利息のほかに事務手数料と保証料がかかることも念頭においておきましょう。
ローンの事務手数料と保証料にかかる費用は、借入金の1〜3%が目安です。ただし事務手数料と保証料は、物件の資産価値や金融機関の融資規模によって異なるので、ローンを組むときにあわせて確認するとよいでしょう。
登録免許税
登録免許税とは、登記をするときにかかる税金です。新築の建物を建てる場合、表示登記と所有権保存登記が必要になります。表示登記には登録免許税はかかりませんが、所有権保存登記には登録免許税がかかります。
所有権保存登記は、抵当権を設定するためには欠かせないものです。マンションを新築する際には、登録免許税がかかることも覚えておきましょう。
各種保険料
マンションの経営において忘れてはならないのが、各種保険への加入です。主に、火災保険や地震保険などへの加入が必須です。
各種保険料は、加入する保険の種類や数によって異なりますが、長期間をまとめて支払った方がトータルで安くなる可能性があります。支払い方法は1年ごとに保険料を支払う方法もありますが、10年分を一括で納める方法もあるので、加入を検討している保険会社に相談するとよいでしょう。
司法書士報酬
登記をする際には、司法書士に相談する人が多いです。登記には複雑な手続きが必要になるため、専門家に依頼した方がスムーズな手続きが実現します。
司法書士への報酬は、約10万円が相場です。司法書士は登記手続きをはじめ、取引の立会、抵当権設定などを代行してくれます。どの司法書士に依頼すればよいか悩むという人は、不動産会社に紹介してもらいましょう。
不動産仲介手数料
不動産仲介手数料とは、マンションを取得するにあたって売主と買主を仲介した業者に支払われるものです。売主の不動産会社から直接マンションを購入した場合にはかかりません。
不動産仲介業者は、売主と買主の意見を調整したり、契約事務を行ったりします。不動産仲介手数料は、マンションの仲介を希望し、売主と買主の取引が成功した場合にのみ支払うものなので、仲介を望んでいない人は気にしなくても問題ないでしょう。
まとめ
マンション経営の仕組みや、マンション経営に向いている人などを解説しました。
マンション経営は、安定した収入が得られ、場合によっては節税効果も期待できます。購入したマンションは、将来的には大きな資産となります。一方、マンション経営にはかなりの初期費用がかかり、空室や家賃滞納、自然災害のリスクもあります。
自己資金に余裕がある人や、広い土地を所有している人、将来のことを考えて資産形成したい人にはマンション経営が向いています。
不動産投資のメリットだけではなく、デメリットも知っておくことで、不利な条件を抱えたまま投資してしまうリスクを減らせます。マンション経営を行う際には、まず収入の仕組みやアパート経営との違いを理解した上で投資に踏み切りましょう。