2025年04月23日公開
2025年04月23日更新
空き家解体の補助金を申請する方法とは?メリットや注意点も解説
空き家を解体したいものの、解体費用や補助金の手続きが難しそうと悩んでいませんか? 空き家を放置すると倒壊リスクや固定資産税の負担増などのデメリットが生じます。しかし、補助金制度を活用すれば、解体費用を軽減できる可能性もあるでしょう。 本記事では、空き家解体の補助金制度の概要や申請方法、補助金を活用するメリットや注意点を解説します。

目次
空き家を解体する前に知っておくべきポイント
空き家を解体する際には、さまざまな費用や手続きが発生します。そのため、解体に関する基礎知識を理解しておくことで余計な負担を避け、スムーズに進めることが大切です。
まずは、空き家を放置することで生じるリスクや解体費用の目安を確認していきましょう。
空き家を放置するリスクとは?
空き家を放置すると建物の老朽化が進み、倒壊のリスクが高まります。特に、屋根や壁の損傷が進むと強風や地震の影響を受けやすくなり、周囲の建物や通行人に被害を与える危険もあるでしょう。
また、空き家は不法侵入や放火の標的にもなりやすく、治安の悪化につながる可能性があります。さらに、自治体が管理不十分な空き家を「特定空き家」に指定すると、固定資産税の優遇措置が解除され、税負担が大幅に増える場合があります。
空き家を放置することで景観の悪化や資産価値の低下も懸念されるため、適切な管理や解体の検討が必要といえるでしょう。
空き家の解体にかかる費用の目安
空き家の解体費用は、建物の構造や立地条件によって異なります。
一般的な目安として、木造で1坪40,000円、鉄骨造で1坪60,000円程度のため、仮に30坪の場合の費用目安は、以下になります。
・木造:40,000円×30坪=120万円
・鉄骨造:60,000円×30坪=180万円
また、基本費用に加え、廃材の処理費用や整地費用が発生する場合があります。アスベストが含まれていると専門的な処理が必要になるため、追加費用も視野に入れておきましょう。
解体費用を抑えるためには、自治体の補助金制度の活用が有効です。多くの市町村では空き家の解体を促進するために補助金を用意しており、一定の条件を満たすことで解体費用の一部を補助してもらえる可能性があります。
しかし、補助金の有無や金額は自治体ごとに異なるため、事前に確認をしましょう。
参照:空き家の解体費用はどれくらい?高くなるケースや抑えるコツもご紹介-NPO法人 空家・空地管理センター
空き家解体の補助金とは?
空き家解体の補助金とは、老朽化した空き家の解体を促進するために、費用の一部を補助してくれる制度です。空き家の放置が社会問題となっている現代において、安全性の確保や地域の景観改善を期待される制度です。
本章では、空き家解体の補助金の給付元や申請方法を紹介します。
空き家解体の補助金の給付元は「自治体」
空き家解体の補助金は、主に市区町村などの「自治体」が給付元となります。国による一律の補助金制度はなく、各自治体が独自に設けているため、補助金の内容や給付条件は地域ごとに異なる点に注意しましょう。
また、自治体によっては、補助金以外にも税制優遇や助成金などの支援制度を併用できる場合があります。そのため、空き家の解体を検討している場合は、自治体の窓口や公式サイトで最新情報の確認をおすすめします。
補助金制度の具体的な情報は、自治体の住宅政策課や建築指導課が担当していることが多いため、直接問い合わせてみるのもよいでしょう。
空き家解体の補助金申請手続きの主な流れ
補助金を申請する際には、必要な書類を揃えて自治体へ提出する必要があります。
一般的な手続きの流れは、以下のとおりです。
- 自治体の補助金制度を確認する
- 事前相談を行う
- 必要書類を準備する
- 補助金の申請を行う
- 審査・承認を受ける
- 解体工事を実施する
- 工事完了報告と補助金を受け取る
まずは、自分が所有する空き家が補助金の対象になるかどうかを自治体の公式サイトや窓口で確認しましょう。次に、事前相談を行い、必要書類を準備したうえで補助金の申請を行います。
注意点として、解体工事の審査・承認を受けた後で解体工事を実施することを忘れないようにしましょう。工事の途中で補助金の対象外となるような変更を行うと、補助金が受けられなくなる可能性もあるため、注意が必要です。
詳細な手続きは自治体によって異なるため、自治体の公式サイトなどをご確認ください。
空き家の解体補助金を活用するメリット3選
ここからは、空き家の解体補助金を活用するメリットとして、以下の3つを解説します。
- 解体費用の負担を軽減できる
- 近隣トラブルや固定資産税のリスクを減らせる
- 解体後の土地活用がしやすくなる
①解体費用の負担を軽減できる
空き家の解体には、建物の構造や立地条件によって異なりますが、一般的に数十万円から数百万円の費用がかかります。特に、鉄骨造の建物や狭い道路に面した物件は解体作業が難しく、費用が高額になる場合もあるでしょう。
しかし、自治体の補助金制度を活用すれば、解体費用の一部を負担してもらえるため、自己負担額を大幅に軽減できます。補助金の金額は自治体ごとに異なり、上限額が設けられている場合もあるため、事前に自治体の公式サイトや窓口で確認しましょう。
また、補助金対象になる条件を満たす必要があるため、申請手続きを進める前に要件を確認し、必要書類を準備しておくとスムーズに手続きを進められます。
②近隣トラブルや固定資産税のリスクを減らせる
空き家を長期間放置すると建物の老朽化が進み、倒壊や屋根・壁の崩壊といった危険が増します。強風や地震の影響を受けやすくなり、建物の一部が落下した結果、近隣住宅や通行人に被害を与えた場合は、所有者が損害賠償責任を負うリスクもあるでしょう。
また、空き家は不法侵入や放火リスクが高く、近隣住民とのトラブルの原因にもなり得ます。自治体によっては管理が不十分な空き家を「特定空き家」に指定することがあり、固定資産税の軽減措置が解除され、税負担の1/6の減額が無くなる可能性もあります。
具体的には、以下のような管理が不十分な空き家は「特定空き家」として指定されます。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
補助金を活用して早めに解体を行うことでリスクを回避し、安全な環境の維持が大切といえるでしょう。
参照:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国税庁
③解体後の土地活用がしやすくなる
空き家を解体し、更地にすることで土地活用の幅が広がります。老朽化した建物が残ったままでは売却が難しく、購入希望者が見つかりにくい場合もありますが、更地にすることで売却の可能性も高まるでしょう。
また、自分で活用する場合は駐車場経営や家庭菜園、賃貸住宅建設などの選択もできます。自治体によっては、解体後の土地活用を促進するための補助制度やアドバイスを提供している場合もあるため、解体と併せて土地の有効活用を検討するとよいでしょう。
空き家の解体補助金を活用することで、費用負担を抑えながら土地活用を進められます。将来的な資産価値を高めるためにも、積極的な活用を検討しましょう。
空き家解体の補助金に関する注意点3選
ここからは、空き家解体の補助金に関する注意点として、以下の3つを解説します。
- 自治体によって補助金の有無や内容が異なる
- 空き家解体の補助金を受ける条件を確認しておく
- 土地の固定資産税・都市計画税の減免措置が不可になる
①自治体によって補助金の有無や内容が異なる
空き家解体の補助金制度は国の統一基準があるわけではなく、各自治体が独自に設けているため、補助金の有無や内容は地域によって異なります。
補助金を実施していない自治体もあれば、特定のエリアや建物の条件を満たしている場合にのみ支給される自治体もあります。また、補助金の上限額や補助割合にも違いがあり、一部の自治体では解体費用の半額程度を補助するケースもあれば、定額で数十万円の補助金が支給される場合もあります。
例えば、東京都墨田区には「老朽危険家屋除却費等助成制度」という助成制度を2016年6月1日より実施(現在募集中:2025年3月時点)しています。
本制度の特徴は、以下のとおりです。
- 住宅地区改良法に規定する「不良住宅」に該当すると、建物所有者に除却費が助成される
- 助成金額は、工事費の1/2(上限50万円)
- 無接道敷地に建てられた再建築不可住宅は、上限100万円が助成される
自治体によって制度は異なるため、補助金申請をする際は、自治体の公式サイトや窓口を確認し、自分の物件が対象になるかどうかを確認しましょう。
参照:老朽危険家屋除却費等助成制度 墨田区公式ウェブサイト
②空き家解体の補助金を受ける条件を確認しておく
補助金を受けるためには、各自治体が定める条件を満たす必要があります。一般的には、建物が老朽化していることや「特定空き家」に指定されていること、所有者が一定の税金を納めていることなどが挙げられます。
また、解体後の土地の利用計画書を求められる場合もあり、更地のまま放置する予定の土地では補助金を受けられないこともあります。さらに、補助金申請には期限が設けられていることが多く、年度ごとの予算が上限に達すると受付が終了する場合もあるでしょう。
申請の際には、補助金の要件や期限、必要書類などを事前に確認し、計画的に手続きを進めることが大切です。
③土地の固定資産税・都市計画税の減免措置ができなくなる
空き家を解体して更地にすると、固定資産税や都市計画税の負担が増える可能性があります。「住宅用地の特例」により、住宅が建っている土地では、固定資産税が200平米以下の部分で最大1/6、都市計画税が同じく200平米以下の部分で1/3に軽減される特例が適用されます。ただし、200平米を超える部分には通常の税率が適用されます。しかし、建物を解体し、更地にしてしまうと特例が適用されなくなり、税負担が大幅に増加するリスクがあります。
特に、土地をそのまま売却せずに所有し続けると税負担が増える点を考慮し、解体後の活用方法を慎重に検討する必要があります。駐車場や賃貸住宅として活用する場合は、税制上の優遇措置を受けられる可能性もあるため、事前に専門家や自治体に相談しながら計画を立てることがおすすめです。
参照:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国税庁
空き家の解体費用を抑えるための3つのコツ
ここからは、空き家の解体費用を抑えるための3つのコツを解説します。
- 補助金を最大限活用する
- 複数の解体業者から見積もりを取る
- 売却やリサイクルを活用して処分費用を抑える
①補助金を最大限活用する
まずは、空き家の解体費用を抑えるために、自治体の補助金制度の活用がおすすめです。自治体によっては、解体費用の一部を補助してくれる制度を設けており、適用されれば数十万円以上の費用負担を軽減できます。
なお、補助金の金額や条件は地域によって異なり、特定空き家に指定されていることが条件の場合や解体後の土地の活用計画が求められる場合もあります。補助金は申請期間や受付件数の上限があることも多いため、気になる方は自治体の公式サイトを確認してみましょう。
②複数の解体業者から見積もりを取る
解体業者によって費用が異なるため、複数業者から見積もりを取って比較してみることがおすすめです。
同じ規模の建物でも、業者によって数十万円以上の差が出ることもあるでしょう。見積もりを依頼する際は、解体費用の内訳や追加費用の有無を確認し、不明点があれば業者に詳しく質問をすることが大切です。
また、解体業者の実績や口コミを調べ、信頼できる業者を選ぶことも重要です。一括見積もりサイトなどを活用すると、複数の業者を効率よく比較できるため、コストを抑えながら信頼できる業者を選定できるでしょう。
③売却やリサイクルを活用して処分費用を抑える
解体費用を削減する方法の一つとして、建材や設備売却・リサイクル活用などがあります。
例えば、まだ使用できる木材や金属、古材、瓦などはリサイクル業者に引き取ってもらうことで処分費用を削減できる可能性があります。また、古い家でもアンティーク家具や再利用可能な建材が含まれている場合は、不動産業者や専門業者を通じて売却できる可能性もあるでしょう。
さらに、解体前に不動産会社に相談をしたうえで土地ごと売却をすることで、解体費用をかけずに処分する方法もあります。
上記の方法を組み合わせることで、解体費用を最小限に抑えることが可能です。
空き家解体後の土地活用は「駐車場経営」がおすすめ
空き家解体後の土地活用にはさまざまな方法がありますが、「駐車場経営」は手軽に始めやすく、安定収益を見込める活用方法の一つです。
駐車場経営のメリットは、初期投資が少なく済むことです。アスファルト舗装を施したコインパーキング型の駐車場や簡易的な砂利敷きの月極駐車場など、予算や需要に応じた運用が可能です。また、駐車場は建物と違って維持管理コストが低いため、手間をかけずに安定収益も狙えるでしょう。
さらに、立地次第で高収益を見込める点も魅力です。例えば、駅や商業施設の近く、住宅街などの駐車場需要が高いエリアでは、一定の稼働率を維持しやすくなります。都市部では、駐車場不足の問題もあるため、適切な価格設定を行うことが重要です。
ただし、駐車場経営を行う際は、事前に需要を調査し、適切な運営方法を選ぶことが重要です。周辺の駐車場の料金相場や月極と時間貸しのどちらが適しているかを把握し、収益が見込める形で運用することが成功のポイントといえます。
月極駐車場経営の成功のための基礎知識を詳しく知りたい方は、「月極駐車場経営は儲かる?成功のための基礎知識、デメリットや注意点も紹介」をご覧ください。
空き家解体後の土地を活用し、手間をかけずに収益化を図りたい方は、駐車場経営を選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
空き家の解体には費用や手続きが伴いますが、空き家のまま放置をすることで固定資産税の増加や近隣トラブルのリスクが高まるため、適切な対応が不可欠です。
解体費用の負担を軽減するためには、自治体の補助金制度を活用し、複数の業者から見積もりを取るなどの工夫を行いましょう。
解体後の土地活用としては、駐車場経営が手軽に始めやすく、維持管理の負担も少ないためおすすめです。特に、立地条件が良い場所では、安定した収益も期待できるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、空き家の解体とその後の土地活用についての理解を深め、適切な選択肢を検討してみてください。