2025年03月27日公開
2025年03月27日更新
家賃収入の確定申告は必要?条件・計算方法・節税対策を解説
家賃収入には、確定申告が必要なケースがあります。申告を適切に行えば、税務リスクを避けるだけでなく、節税対策を活用して手元に残る利益を最大化できるなどのメリットがあります。 しかし、申告方法や経費計上の判断などは初心者には難しいでしょう。 本記事では、家賃収入の確定申告の基礎知識や計算方法、節税対策などを解説します。

目次
家賃収入の確定申告は必要?基礎知識を解説
家賃収入が発生した場合は、一定の条件を満たすと確定申告が必要になります。
その理由は、家賃収入が不動産所得として扱われるため、収入の額や他の所得状況によって税務申告の義務が生じるためです。
まずは、確定申告が必要なケースと不要なケース、さらに申告を怠った場合のリスクについて確認していきましょう。
家賃収入の確定申告が必要なケースと不要なケース
確定申告の必要性は、収入額や所得状況によって決まります。
給与所得者は、家賃収入から経費を差し引いた不動産所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
給与所得がない個人事業主やフリーランスの場合、原則として確定申告が必要ですが、年間の所得金額が48万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。合計所得金額が2,400万円以下の場合、基礎控除の48万円が適用されるため、年間の所得金額が48万円以下であれば、課税所得がゼロになり、所得税は発生しません。
また、不動産会社を介さず契約している場合や、青色申告特別控除・住宅ローン控除を受ける場合も申告が必要です。
ただし、確定申告は不動産所得が基準を超えた場合だけでなく、不動産所得以外のすべての所得も対象になるため、注意が必要です。
参照:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
参照:No.1199 基礎控除|国税庁
参照:No.2020 確定申告|国税庁
確定申告をしない場合の罰則とリスク
確定申告を怠ると、追加の税負担が発生します。
無申告加算税は、法定申告期限等の翌日から調査通知前までに申告すると5%、税調査通知以後から調査による更正等予知前までに申告すると10%(50万円を超える部分は15%)が課税されます。
また、短期間に繰り返し無申告を行うなど、税務省から悪質と判断された場合は「重加算税(最大50%)」が発生することもあります。
さらに、税務調査の対象となるリスクもあります。家賃収入は銀行口座の取引で収入実績を把握しやすいため、申告漏れが発覚しやすいです。
確定申告を怠ると青色申告の承認が取り消され、節税メリットを失う可能性があるため、適切な申告を行いましょう。
参照:加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし|国税庁
家賃収入の確定申告の流れと必要書類
家賃収入の確定申告は、必要書類を準備し、所得を計算した上で申告書を作成する流れで進めます。特に、申告の種類によって準備する書類や計算方法が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
本章では、確定申告に必要な書類、確定申告のための所得の計算方法、青色申告と白色申告の違いを解説します。
確定申告に必要な書類一覧
確定申告に必要な書類一覧は、次のとおりです。
- 確定申告書
- 青色申告決算書(青色申告の場合のみ)
- 不動産所得の収支内訳書(白色申告の場合のみ)
- 必要経費の領収書(修繕費、管理費、固定資産税など)
- 源泉徴収票(給与所得者のみ)
- ふるさと納税や医療費控除の関連書類(申請をする場合)など
上記はあくまでも一例であり、正確な収入や経費の計算には、借入金の返済予定表(ある場合)や地震保険、火災保険などの証券が必要な場合もあります。
スムーズな確定申告のために、事前に必要な書類を把握しておくことが重要です。
確定申告のための所得の計算方法
確定申告では、家賃収入から必要経費を差し引き、所得を計算する必要があります。
所得の計算方法は、【不動産所得=家賃収入−必要経費】で算出します。家賃収入には家賃はもちろん、更新料や共益費、敷金・保証金のうち返還する必要のない金額も含まれます。必要経費として計上できるものは、後ほど詳しくご紹介します。
青色申告・白色申告の違い
家賃収入の確定申告では、青色申告と白色申告のいずれかを選択できます。
青色申告の特徴は、次のとおりです。
- 最大65万円の特別控除が適用
- 3年間の赤字繰り越しが可能
- 家族に支払う給与を経費に算入可能
青色申告では、複式簿記で申告をすると「最大65万円」の特別控除を受けられます。さらに、3年間の赤字繰り越しや青色事業専従者給与届出書を提出すると、家族に支払う給料を経費にできます。ただし、事前に税務署へ青色申告承認申請書を提出する必要があるため、ご注意ください。
参照:No.2072 青色申告特別控除|国税庁
次に、白色申告の特徴は次のとおりです。
- 事前の申請が不要
- 単式簿記で管理が簡単
- 控除額が少ない
節税を重視する場合は青色申告がおすすめですが、手続きや記帳の手間を考慮すると、白色申告も選択肢になり得るでしょう。
参照:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁
家賃収入の確定申告で控除・経費にできるもの
家賃収入を確定申告する際、必要経費を適切に計上することで課税所得を抑え、税負担を軽減できます。不動産所得の場合は、経費として認められる範囲が広いため、正しく申告することが重要です。
本章では、経費として計上できるものや減価償却費の計算方法、住宅ローン控除や固定資産税の取り扱いを解説します。
確定申告で経費として計上できるもの
家賃収入に関する経費は、賃貸経営のために必要な支出であれば、計上可能です。
主な経費は、次のとおりです。
- 固定資産税
- 収入印紙
- 管理費、修繕費
- 減価償却費
- ローン返済金のうち、利息分
- 火災、地震保険料
- 広告宣伝費
- 水道光熱費
- 通信費、事務用品費
- 交通費など
これらの経費は、領収書や契約書を保管し、正確に記帳することが求められます。一方、ローン返済金の元本分や住民税、個人で利用した自宅の修繕費などは経費に算入できません。
プライベート利用と共通する支出は、事業に関係する部分のみを按分して計上しましょう。
減価償却費の計算方法
減価償却費とは、建物の購入費用を耐用年数に応じて分割し、毎年経費として計上する仕組みです。土地は減価償却の対象外ですが、建物部分については減価償却の計算が必要になります。
耐用年数や償却率は資産ごとに異なり、構造や用途で以下のように定められています。
- 木造の住宅用:耐用年数22年
- 鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅用:耐用年数47年
- れんが造の住宅用:耐用年数38年 など
減価償却の計算方法には定額法と定率法があります。
定額法:各年の償却費の額=取得価額×定額法の償却率 定率法:1年目の償却費の額=取得価額×定率法の償却率 |
例えば、取得価格2,000万円の新築木造アパートの減価償却費(定額法)は、次のとおりとなります。
所得価格2,000万円×定額法の償却率0.046=92万円(1年間の減価償却費) |
減価償却費を適切に計上することで、毎年の所得を抑えることが可能です。
参照:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
参照:減価償却資産の償却率等表|国税庁
住宅ローン控除や固定資産税の取り扱い
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、原則として自宅用の住宅ローンに適用される制度であり、基本的に賃貸用物件には適用されません。ただし、マイホームの一部を賃貸に出している場合は、居住部分に限り控除を受けられるケースもあります。
一方で、固定資産税は賃貸物件の維持に必要な経費として全額経費計上できます。固定資産税は毎年自治体から通知されるため、支払額を確認して申告時に忘れずに計上しましょう。
参照:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
参照:総務省|地方税制度|固定資産税
家賃収入の確定申告を効率的に行う方法
家賃収入の確定申告を効率的に行う方法は、以下のとおりです。
- 家賃の入金と経費の支払い口座をまとめる
- 会計ソフトを活用する
- 税理士に依頼する
家賃の入金と経費の支払い口座をまとめる
家賃収入の管理を簡単にするためには、入金と経費の支払いを一つの銀行口座にまとめる方法が有効です。
具体的には、家賃収入を受け取る口座と管理費や修繕費、固定資産税などの支払いを行う口座を統一することで、収支の流れが明確になり、申告時の確認作業が効率的になります。
生活費用の口座と分けておけば、通帳を見ながら家賃収入に関する取引を整理できるため、経費の集計や記帳作業の手間が減ります。また、税務調査の際にも、家賃収入と経費が明確にわかる状態にしておくことで、スムーズに対応できるでしょう。
会計ソフトを活用する
会計ソフトを活用すると、家賃収入の記帳や確定申告作業を大幅に効率化できます。
手作業での帳簿作成は時間がかかりますが、会計ソフトを使えば自動で収支を管理できます。さらに、銀行口座やクレジットカードと連携すれば経費仕訳も簡単です。青色申告の複式簿記にも対応しており、65万円の控除をスムーズに受けられるでしょう。
また、領収書を写真で撮影してデータ化できる機能もあり、書類整理の手間も減ります。確定申告書の作成機能を使えば、税務署への提出までオンラインで完結できるため、手軽に手続きができます。
税理士に依頼する
家賃収入が増えて管理が煩雑になった場合や節税対策をしたい場合は、税理士への依頼もおすすめです。
税理士へ依頼することで確定申告のミスを防ぎながら、適切な節税方法のアドバイスを受けられます。さらに、青色申告控除や減価償却費の計上、法人化の検討などの専門知識が必要な場面では、税理士のサポートが役立ちます。
また、税務調査が入った場合にも税理士が対応することでスムーズに進められます。税理士費用は年間10~30万円程度が相場ですが、適切な申告と節税対策によってコスト以上のメリットを得られる可能性もあるでしょう。
家賃収入の確定申告で節税するポイント
家賃収入の確定申告で節税するポイントは、以下のとおりです。
- 青色申告特別控除を活用する
- 不動産所得の分散ができないかを検討する
- 個人事業主と法人化の税率の違いを理解する
- ふるさと納税を活用する
青色申告特別控除を活用する
青色申告を選択すると、最大65万円の特別控除を受けられます。
控除を受けるためには、複式簿記で記帳し、貸借対照表や損益計算書を提出する必要がありますが、会計ソフトを活用すれば比較的簡単に対応できます。また、10万円の控除を受けられる簡易的な方法もあるので、国税庁のホームページなどを確認してみましょう。
さらに、青色申告では赤字を3年間繰り越せるため、不動産所得が赤字になった場合でも翌年以降の所得と相殺することで節税につなげられます。
参照:国税庁:No.2072 青色申告特別控除
不動産所得の分散ができないかを検討する
家賃収入が個人に集中してしまうと、累進課税により税率が高くなる可能性があります。
そのため、配偶者や家族に不動産を一部譲渡し、所得を分散させることで税負担を軽減できる場合があります。ただし、単なる名義変更ではなく、実際に家族が収益を受け取る実態が必要なため、注意しましょう。
また、家族に不動産所得を分散させる方法として、家族を青色事業専従者にし、給与を支払うことで経費計上する方法もあります。
個人事業主と法人化の税率の違いを理解する
個人で不動産所得を得ている場合、所得税は累進課税のため、所得が増えるほど税率が高くなります。
例えば、課税所得が900万円を超えると33%、1,800万円を超えると40%の税率が適用されます。一方、法人化すると、法人税は一定の税率で課税されるため、個人よりも税率が低くなることがあります。
また、法人化することで、役員報酬を経費として計上できるため、課税所得を抑えられる可能性があります。ただし、法人化には設立費用や事務手続きの手間がかかるため、家賃収入がある程度の規模になってから検討することをおすすめします。
参照:国税庁:No.2260 所得税の税率
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税を活用することで、実質的に税負担を減らしながら返礼品を受け取ることができます。
ふるさと納税の寄付額は、翌年の住民税から控除されるため、節税効果が期待できます。ただし、控除を受けるためには、確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請する必要があります。
家賃収入がある場合でも、給与所得と合わせて計算されるため、寄付可能な上限額を把握したうえで活用を検討してみましょう。
家賃収入の確定申告に関するよくある質問
家賃収入の確定申告では、副業収入や赤字の場合の対応、申告忘れの対処法などに疑問を持つ人が多くいます。
ここでは家賃収入で確定申告をするときのよくある質問と回答を紹介します。
副業の家賃収入でも確定申告は必要ですか?
副業として家賃収入を得ている場合でも、一定の条件を満たすと確定申告が必要です。
給与所得者であれば、不動産所得(家賃収入から必要経費を差し引いた金額)が年間20万円を超える場合に確定申告をしなければいけません。一方、給与所得がない方や個人事業主の場合は、基礎控除の48万円を超えた場合に申告が必要になります。
また、たとえ20万円以下であっても、住民税の申告が求められることがあるため、自治体のルールを確認しておくことが重要です。
赤字の場合も確定申告をしたほうが良いですか?
家賃収入の経費が多く、結果的に赤字になった場合でも確定申告をすることで税制上のメリットを受けられる可能性があります。
青色申告をしている場合は、赤字を3年間繰り越すことができ、翌年以降の不動産所得や他の所得と相殺できます。例えば、翌年に黒字となった場合でも、前年の赤字分を差し引いて課税所得を減らすことができ、結果として税負担を軽減できます。
白色申告の場合は繰越控除が適用されませんが、申告することで税務署の記録が残るため、将来的に青色申告へ移行する際にスムーズに対応できるメリットもあるでしょう。
確定申告を忘れた場合の対処法は?
確定申告を忘れた場合でも、早めに対応すればペナルティを最小限に抑えられます。
申告期限後でも、自主的に申告を行えば、無申告加算税の割合が軽減される可能性があります。税務署からの指摘前であれば、加算税は5%程度ですが、指摘後では10%(50万円を超える部分は15%)に増えるため、早めに申告をしましょう。
また、申告が遅れた場合は、延滞税が発生します。これは申告期限を過ぎた日数に応じて加算されるため、遅れれば遅れるほど負担が増えます。申告漏れに気づいたら、速やかに必要書類を準備し、申告手続きを行いましょう。
確定申告の手間を減らしつつ、安定収入を得る方法とは?
家賃収入の確定申告は、必要書類や収支管理の手間がかかるため、負担に感じる人も多いでしょう。特に、不動産経営では修繕費や管理費などの経費処理が煩雑になりがちです。そうした手間を減らしながら安定収入を得る方法として「駐車場経営」が注目されています。
ここでは、駐車場経営が確定申告の負担を軽減できる理由と成功のポイントを解説します。
駐車場経営では確定申告の手間が減る理由
駐車場経営は、賃貸経営よりも収支管理が簡単で確定申告の手間を減らしやすいビジネスモデルといえます。
賃貸では、家賃収入のほかに修繕費や管理費、固定資産税、減価償却費などの経費を計上する必要があります。一方で、駐車場の場合は減価償却費の計算が必要な建物はなく、管理費や修繕費もほとんどかからないため、経費計上が簡単です。
契約形態によっては、管理会社に運営を一任できる場合もあります。例えば、コインパーキング業者と契約し、土地を貸す形にすれば毎月の賃料を受け取るだけで済むため、確定申告時に申告する項目も少なくなります。
駐車場経営では収入と経費管理がシンプルなため、確定申告の負担を減らせるでしょう。
駐車場経営のメリットと成功のポイント
駐車場経営は、確定申告の手間が減るだけではなく、賃貸物件と比較して初期投資が少なく建物も不要なため、コストを抑えて運営できるメリットがあります。
また、空室リスクがなく、入居者募集や管理の手間も省けます。立地が良ければ安定収益を確保しやすく、固定資産税の負担も比較的軽い傾向があります。
成功するためのポイントは、立地選びです。駅や商業施設の近く、オフィス街などの駐車需要が高い場所を選ぶことで、安定収入を得やすくなるでしょう。
また、コインパーキング運営会社と契約するか、自主管理にするかを慎重に検討することも重要です。自主管理なら手数料を抑えられますが、集金やトラブル対応が発生するため、長期的な負担を考慮して判断しましょう。
まとめ
家賃収入がある場合は、確定申告が必要かどうかを確認し、適切に申告を行うことが不可欠です。
家賃の入金と経費の支払い口座をまとめることや、必要に応じて会計ソフトを活用することで、確定申告をスムーズに進められます。節税対策では、青色申告特別控除の活用や不動産所得の分散、法人化の検討などが有効です。さらに、ふるさと納税を活用することで、実質的な税負担を抑えられるでしょう。
さらに、確定申告の手間を減らしながら安定した収入を得たい場合は、管理の負担が少なく、初期投資を抑えられる駐車場経営も選択肢の一つといえます。
本記事を参考に、家賃収入における確定申告の方法を理解し、必要に応じて自分に合った不動産投資方法を検討してみましょう。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。