2025年03月27日公開
2025年03月27日更新
建物の耐用年数とは?税制上の基準や種類別の年数を徹底解説
建物の耐用年数は、不動産投資や資産運用を考えるうえで欠かせない要素の一つです。耐用年数を正しく理解することで、減価償却の計算や税金対策に役立ち、物件の長期的な価値を見極める判断材料にもなります。 本記事では、建物の耐用年数の基本から税制上の基準、構造別・用途別の具体的な年数、よくある疑問への回答まで詳しく解説します。

目次
建物の耐用年数とは?
建物の耐用年数とは、「建物が使用に耐えうる期間を示す指標」のことです。
税制上の減価償却計算や資産評価において用いられる基準であり、建物の種類や構造によって異なります。耐用年数を知ることで、不動産投資や資産運用の計画を立てる際に、コストや税負担の見通しを立てやすくなります。
まずは、本章を参考に建物の耐用年数の定義と物理的寿命との違い、耐用年数が重要な理由を確認していきましょう。
建物の耐用年数の定義
建物の耐用年数とは、税法上、または物理的な劣化を考慮して設定される建物の使用可能期間を指します。
一般的に、以下の2つの観点から定義されます。
- 税制上の耐用年数(法定耐用年数)
- 物理的耐用年数
税制上の耐用年数とは、国税庁が定めた減価償却資産の耐用年数のことです。税務計算に用いられ、建物の種類や構造によって異なります。
物理的耐用年数とは、建物が物理的に使用可能な期間のことです。適切なメンテナンスを施せば、法定耐用年数よりも長く使用できます。
具体例としては、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションは税制上の耐用年数が47年とされていますが、適切に管理・補修されていれば60年以上使用できるケースも珍しくありません。
参照:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
建物の物理的寿命との違い
建物の耐用年数は税務上の減価償却計算に用いられる基準であり、国税庁が構造ごとに定めています。
一方、物理的寿命は建物が実際に使用できる期間を指し、適切なメンテナンスをすれば耐用年数を超えての長期使用が可能です。鉄筋コンクリート造の建物は60年以上使用されるケースもありますが、管理が不十分だと寿命が短くなることもあります。
耐用年数は税務処理のための指標であり、物理的寿命とは異なります。建物を購入、あるいは運用する際は、実際の使用可能期間を含めて考慮することが重要です。
建物の耐用年数が重要な理由
建物の耐用年数は、税務、投資、資産管理の面で重要な役割を果たします。
まず、建物は時間とともに価値が減少するとみなされ、耐用年数に応じて減価償却費を計上できます。これにより課税所得を抑え、節税につなげることが可能です。
次に、不動産投資の収益計算にも関係します。耐用年数が短いと減価償却が早く進み、節税メリットが減るため、投資判断に影響を与えます。また、金融機関の融資審査でも重視され、耐用年数を超えた建物はローンの借入期間が短くなる可能性があります。
さらに、修繕計画の指標にもなり得ます。耐用年数が近づくと老朽化が進み、維持費が増加するため、適切な資産管理が不可欠です。
【国税庁】建物の耐用年数の税制上の基準
建物の耐用年数は、税務処理や減価償却計算において重要な指標です。国税庁では、建物の構造や用途ごとに法定耐用年数を定めており、これを基準に減価償却を行います。
本章では、税法上の耐用年数の基準と耐用年数の計算方法を詳しく解説します。
税法上の耐用年数の基準
国税庁では、建物の構造や用途に応じた耐用年数を「主な減価償却資産の耐用年数表」によって定めています。
具体例を挙げると、次のとおりです。
- 木造・合成樹脂造(住宅用):22年
- 木骨モルタル造(住宅用):20年
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(住宅用):47年
耐用年数が長いほど減価償却期間は長くなり、一度に計上できる減価償却費が小さくなります。耐用年数が短い建物は減価償却費を早期に計上できるため、初期の節税効果が期待できます。
建物の構造別・用途別の耐用年数一覧の詳細については、次項にて詳しく解説します。
参照:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
耐用年数の計算方法
減価償却の計算には、定額法と定率法の2種類があります。
定額法
各年の償却費の額 = 取得価額×定額法の償却率 |
例:2,000万円の木造住宅(耐用年数22年)の場合
→ 2,000万円 ×(1 ÷ 22)= 約90.9万円/年
定率法
1年目の償却費の額 = 取得価額 × 定率法の償却率 |
例:2,000万円の木造住宅(償却率0.046)の場合
→ 2,000万円 × 0.046= 92万円/年
※定率法の2年目以降の償却費は、以下のいずれかにて計算
・各年の償却費の額 = 期首未償却残高 × 定率法の償却率 ・各年の償却費の額 = 改定取得価額 × 改定償却率 |
定額法は毎年一定額を減価償却費として計上する方式であり、定率法は初期の減価償却費が大きく、年々減っていく方式です。
参照:国税庁 No.2106 定額法と定率法による減価償却
参照:国税庁:減価償却資産の償却率等表
建物の構造別・用途別の耐用年数一覧
建物の耐用年数は構造や用途ごとに異なり、国税庁の「減価償却資産の耐用年数表」にて分類されています。一般的に、耐久性の高い構造ほど耐用年数が長く、耐久性が低い構造は短くなります。
本章では、建物の構造・用途ごとの耐用年数を解説します。
参照:国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表
木造・合成樹脂造
木造建築や合成樹脂造の建物は、軽量でコストが低い一方、耐久性が比較的低く、火災や湿気による劣化リスクが高いことが特徴です。
耐用年数は、次のとおりです。
- 事務所用:24年
- 店舗用、住宅用:22年
- 飲食店用:20年
- 旅館用、ホテル用、病院用、車庫用:17年
- 公衆浴場用:12年
- 工場用、倉庫用(一般用):15年
湿気やシロアリの影響なども受けやすいため、適切なメンテナンスが必要といえます。適切な管理を行えば30年以上の使用も可能ですが、資産価値が下がりやすいため、中古市場での評価には注意が必要です。
木骨モルタル造
木骨モルタル造は、木材の骨組みにモルタル(砂とセメントを混ぜた材料)を塗って仕上げた構造です。耐火性はやや向上していますが、木造同様に耐久性は比較的弱いといえます。
耐用年数は、次のとおりです。
- 事務所用:22年
- 店舗用、住宅用:20年
- 飲食店用:19年
- 旅館用、ホテル用、病院用、車庫用:15年
- 公衆浴場用:11年
- 工場用、倉庫用(一般用):14年
特に、モルタル部分が劣化すると建物の強度が低下してしまうため、補修やリフォームが必要になる場合があるでしょう。
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)は、耐久性・耐火性・耐震性が非常に高いため、耐用年数も31〜50年と長く設定されています。
耐用年数は、次のとおりです。
- 事務所用:50年
- 住宅用:47年
- 飲食店用(延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの):34年
- 飲食店用(その他):41年
- 旅館用、ホテル用(延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの):31年
- 旅館用、ホテル用(その他):39年
- 店舗用、病院用:39年
- 車庫用:38年
- 公衆浴場用:31年
- 工場用、倉庫用(一般用):38年
RC造やSRC造の建物は資産価値が落ちにくく、不動産投資としても人気があります。ただし、建設コストや修繕費用が高くなる点には注意しましょう。
れんが造・石造・ブロック造
れんが造・石造・ブロック造の建物は耐火性や耐久性が高いものの、地震の影響を受けやすい点が特徴です。
耐用年数は、次のとおり。
- 事務所用:41年
- 店舗用、住宅用、飲食店用:38年
- 旅館用、ホテル用、病院用:36年
- 車庫用:34年
- 公衆浴場用:30年
- 工場用、倉庫用(一般用):34年
特に、日本の地震リスクを考慮すると、耐震補強やメンテナンスが重要といえるでしょう。
金属造
金属造の建物は、使用する鉄骨の厚さによって耐用年数が変わります。厚いほど耐久性が高く、耐用年数も長くなります。
耐用年数は、次のとおり(以下の数値は、骨格材の肉厚を指すものとする)。
- 事務所用(4mm超):38年
- 事務所用(3mm超、4mm以下):30年
- 事務所用(3mm以下):22年
- 店舗用、住宅用(4mm超):34年
- 店舗用、住宅用(3mm超、4mm以下):27年
- 店舗用、住宅用(3mm以下):19年
- 飲食店用、車庫用(4mm超):31年
- 飲食店用、車庫用(3mm超、4mm以下):25年
- 飲食店用、車庫用(3mm以下):19年
- 旅館用、ホテル用、病院用(4mm超):29年
- 旅館用、ホテル用、病院用(3mm超、4mm以下):24年
- 旅館用、ホテル用、病院用(3mm以下):17年
- 公衆浴場用(4mm超):27年
- 公衆浴場用(3mm超、4mm以下):19年
- 公衆浴場用(3mm以下):15年
- 工場用、倉庫用(4mm超):31年
- 工場用、倉庫用(3mm超、4mm以下):24年
- 工場用、倉庫用(3mm以下):17年
薄い鉄骨は腐食が進むと耐震性が低下するため、定期点検が重要といえるでしょう。
参照:国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表
建物の耐用年数のよくある質問
ここでは、建物の耐用年数に関するよくある質問に回答しながら、耐用年数の正しい考え方を解説します。
耐用年数が過ぎた建物は使えなくなりますか?
耐用年数が過ぎても建物の使用は可能です。耐用年数は税務上の減価償却の基準であり、物理的な寿命とは異なります。鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションの耐用年数は47年ですが、適切なメンテナンスを行えば60年以上使用できるケースもあります。
ただし、老朽化による修繕費や金融機関の融資が受けにくくなる点には注意が必要です。耐用年数を超えても安全に使うためには、適切な補修やリノベーションが不可欠といえるでしょう。
建物の耐用年数は延長できますか?
税法上の耐用年数の延長はできませんが、建物の適切な維持管理を行うことで、実際の使用可能期間は延ばせます。
耐用年数は国税庁が定めたものであり、税務処理の基準として固定されています。しかし、リフォームや補強工事を行うことで、建物の寿命を延ばすことは可能です。
外壁補修や耐震補強、屋根や配管の修繕などを実施することで、築年数が経過した建物でも長期間使用できるでしょう。
中古物件の耐用年数は?
中古物件の耐用年数は、築年数に応じて短縮されるため、新たな計算方法が適用されます。
法定耐用年数の全部を経過した資産 | その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数 |
法定耐用年数の一部を経過した資産 | その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数 |
法定耐用年数30年で経過年数10年の中古資産の見積耐用年数(簡便法)は、次のとおりです。
①法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数 | 30年 - 10年 = 20年 |
②経過年数10年の20%に相当する年数 | 10年 × 20% = 2年 |
耐用年数(①+②) | 22年 |
中古物件を購入する際は耐用年数が短いほど減価償却の期間が短縮されるため、節税効果が変わる点に注意しましょう。
参照:No.5404 中古資産の耐用年数|国税庁
建物の老朽化リスクを減らすためには「駐車場経営」がおすすめ
建物が老朽化してしまうと、修繕費や維持管理費が増え、資産価値が低下します。耐用年数を超えた建物は、多額のリフォーム費用や建て替えが必要になる場合もあるでしょう。
こうしたリスクを軽減する方法として、駐車場経営がおすすめです。
駐車場は建物のような修繕が不要で、低コストで運用できる資産活用方法です。建物を取り壊して駐車場に転用すれば、固定資産税の負担を抑えつつ、安定収益を狙えます。
また、都市部や駅周辺ではコインパーキング、郊外では月極駐車場として活用することで、長期的な収益が見込めるでしょう。
建物の管理が難しくなった場合は、駐車場への転用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
建物の耐用年数は、税務処理や資産管理において重要な指標です。
耐用年数を理解することで減価償却の計算や節税対策ができ、不動産投資の判断材料にもなります。
耐用年数が過ぎても建物は使えますが、老朽化に伴う修繕費や維持管理費の増加、資産価値の低下などのリスクがあるため、適切なメンテナンスが欠かせません。また、中古物件の耐用年数は築年数に応じて短縮されるため、減価償却計算や融資条件にも注意しましょう。
老朽化によるリスクを軽減し、安定した収益を確保する方法として「駐車場経営」も有効な選択肢の一つです。建物を取り壊して駐車場に転用すれば、維持管理の手間が減り、長期的な収益が見込めます。
不動産の活用方法の検討では耐用年数の影響を考慮しながら、適切な選択を行いましょう。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。