再建築不可物件とは?メリット・デメリットと有効活用方法を解説

再建築不可物件は魅力のある土地なのかどうかが気になっていませんか。物件を探していると「再建築不可」と記載されていることがあります。この記事では再建築不可物件の意味やメリット・デメリットと有効活用方法を解説します。

再建築不可物件とは?メリット・デメリットと有効活用方法を解説のイメージ

目次

  1. 1再建築不可物件とは
  2. 2再建築不可物件が建て替えできない理由
  3. 3再建築不可物件のメリット
  4. 4再建築不可物件のデメリット
  5. 5再建築不可物件に住みたい場合
  6. 6再建築不可物件を土地活用する方法
  7. 7まとめ

再建築不可物件とは

再建築不可物件とは既存の住宅などの建物の建て替えが原則として認められていない物件です。現在建てられている建物が、現行の建築基準法によって定められている要件を満たさないために新たに建物を建てられない土地を指します。建築基準法は1950年に制定されてから繰り返し改正がおこなわれて基準が変わってきました。既存の建物が建築された当時は建築基準法の基準を満たしていても、現在では建物を建てられない場合があります。

再建築不可物件がどのくらいあるか

とある調査によると、再建築不可物件と見なされる物件数は5%ほどを占めるとされています。都市計画法による都市計画区域、準都市計画区域にある建物が該当する場合には建築基準法に定められている基準が厳しく、古い住宅の建っている土地は再建築不可になることがよくあります。
例えば、東京都23区は都市計画法によって都市計画区域に定められています。総務省による平成30年の住宅・土地統計調査では、東京都23区内の住宅数は4,901,200戸でした。とある調査によるとこの約5%にあたる242,600戸が再建築不可物件と疑われると公表しています。

参照:統計局ホームページ/平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果
 

再建築不可物件と2項道路(みなし道路)

再建築不可物件になるのは、建築基準法の第43条で定められている接道条件を満たさなければ建築が認められないからです。建築基準法上の道路は同法第42条に定められています。第42条では幅員4メートル(一部は6メートル)以上の道路を定義しています。道路法や都市計画法などによって認められている道路です。

ただ、現実的には幅員が4メートル以上の道路に面している土地に建物が建っていることは多くはありません。実態を鑑みた例外措置として「みなし道路」と呼ばれる道路も存在しています。建築基準法の第42条2項では都市計画区域や準都市計画区域などの指定を受けている場所で、特定行政庁が指定した道路については幅員が4メートル未満でも建築基準法上の道路としてみなす措置を取っています。42条2項道路と呼ばれるものです。

再建築不可物件の問題解決によく用いられているのが建築基準法の第42条2項です。ただ、同法同項によると、道路の中心線からの水平距離2メートルの線を道路の境界線と見なすため、幅員が4メートルない道路の場合には再建築のときに建物の位置を後退させなければなりません。第42条2項道路のみなし道路を利用する場合には、土地の広さがないと境界線の影響で再建築が難しくなる可能性があります。


参照:建築基準法 | e-Gov法令検索


 

再建築不可物件が建て替えできない理由

再建築不可物件の建て替えが認められないのは建築基準法を満たしていないからです。再建築不可になる原因として多いのは接道義務違反です。
 

接道が2m未満

道路に対して土地の接している面が2メートル以上なければ再建築はできません。道路が土地に直結していたとしても、幅員が2メートル未満であれば十分ではないので法律上は再建築ができないという判断になります。接道を拡張しない限りは原則として再建築不可です。
 

道路に接していない

袋地になっていて道路に接していない場合にも接道条件を満たしません。建築当初は道路に面している土地も所有していたけれど、分筆して道路に面している土地を譲渡してしまったというときに起こるパターンです。相続のときに土地を分筆して遺産分割をしたときに、接道条件を考慮せずに土地の切り分けた場合によく発生します。
 

建築基準法上の道路に接していない

道路に2メートル以上の幅で接していたとしても、その道路が建築基準法上で道路として認められていない場合には再建築不可物件になります。建築基準法第42条で定められている道路でなければ、建築基準法上は道路に接していると認められません。幅員が不足していて都市計画法や土地区画整理法、その他の特別措置法によって認められた道路に2メートル以上接していることが求められます。
 

再建築不可物件のメリット

再建築不可物件が流通しているのはメリットがあるからです。ここでは代表的なメリットを簡単に解説します。
 

購入価格が安い

再建築不可物件は購入価格が安いのがメリットです。再建築不可物件には購入した物件の建物は解体したり、倒壊したりしてしまうと建て直しができない性質があります。物件価値としては低くなり、買い手も見つかりにくいことから売買の相場が低くなるのが一般的です。

固定資産税や相続税が低い

再建築不可物件は一般的に固定資産税や都市計画税などの税金が低いのがメリットです。購入価格が低く、資産価値としても類似の再建築可能な物件よりも低いからです。固定資産税評価額が低くて節税になります。相続のときにも相続税評価額が低いので相続税を抑えられるのが魅力です。
 

対策をすればお得になる

再建築不可物件はそのままでは建物を建てられません。しかし、隣の土地を買うなどの対策をすれば建物を建てられるようになります。法律に則って対策をすればお得な土地を手に入れられる可能性があるのがメリットです。
 

再建築不可物件のデメリット

再建築不可物件が問題として話題に上がるのはデメリットがあるからです。ここでは再建築不可物件を保有する上で注意すべきポイントを解説します。
 

建て替えが原則としてできない

再建築不可物件は建て替えができないのがデメリットです。古くなって老朽化したから建て替えたいというときだけでなく、地震や津波などの自然災害で建物が倒壊してしまったときにも新たに建物を建築できないので注意が必要です。

売却が難しい

再建築不可物件は売れにくいのが課題です。再建築ができないデメリットがあるので、買い手が見つかりにくい傾向があります。相場よりも安い販売価格にしても誰も申し込んでくれない状況になることもあります。申し込みがあっても再建築不可物件という点を挙げて価格交渉をされることも多いでしょう。不動産買取業者に売ろうとしたときにも業者にとっては在庫リスクが高いため、高額での買取をしていないのが一般的です。

担保価値が低い

再建築不可物件は担保価値が低いのがデメリットです。不動産の購入時には住宅ローンを利用することが多いですが、担保価値が低いのでローンの審査が通りにくくなります。住宅ローンを組める場合でも、頭金の割合が大きくなったり、金利が高くなったりするのが一般的です。

また、不動産担保ローンを借りるときにも再建築不可物件は資産価値が低いので上限額が低くなる傾向があります。担保として使用する際に資産価値が低いのは再建築不可物件のデメリットです。
 

再建築不可物件に住みたい場合

再建築を可能にする方法

再建築不可物件に住みたい場合には再建築をできるようにする方法がいくつかあります。必ずできるというわけではありませんが、以下のような方法で解決できる可能性があります。再建築不可物件をこれから買うときには、対策できるかどうかを確認する上でも再建築可能にする方法を知っておくことが重要です。
 

隣の土地を手に入れて接道条件を満たす

接道条件を満たさない原因を調べて、土地を手に入れるのが解決策です。例えば、土地につながっている道路の幅員が1.5mしかないときには、0.5m分の土地を隣の土地のオーナーと交渉して手に入れることができれば解決します。

土地の一部を道にする

土地の一部を道にすることで幅員が4メートル以上という建築基準法上の接道条件を満たせる可能性があります。セットバックと呼ばれる方法で、幅員が狭い道に面している土地を後退させて接道条件を満たせば建築可能です。

セットバックを依頼する

自分の土地ではなく、接している土地のオーナーに交渉してセットバックを依頼することで接道条件を満たすことも可能です。現実的には難しいことが多いですが、親戚が向かいの土地を持っているようなときには対応してくれる場合があります。
 

道路の位置指定を申請する

道路の位置指定を特定行政庁に申請して認めてもらえれば再建築ができるようになります。建築基準法第42条第1項第5号では建築物の敷地とする目的で、特定行政庁から一の指定を受ければ道路として認められることを定めています。位置指定を受けた上で2m以上の接道条件を満たしていれば建築可能です。
 

43条但し書き道路の申請をする

43条但し書き道路を申請して接道条件を満たせる場合があります。建設基準法第43条第2項第2号に定められている例外則です。敷地の周囲に広い空地を有していて、国土交通省の定める基準に適合する建築物であり、特定行政庁が認めた上で、建築審議会の同意が得られれば再建築が認められます。

再建築が難しい場合はリフォームする


再建築不可物件ではどのような方法を取っても建て替えは難しい場合があります。今の住宅をリフォームして長く暮らせるようにするのは賢い方法と言えるでしょう。解体して新たに建築しようとする行為は法的には認められません。しかし、既存の建物をリフォームすることは現状としては可能です。軽微なリフォームだけでなく、間取りの変更を伴うような大規模のリノベーションをしてより良い住まいにすることもできます。
住宅の躯体を置き換えることはできないので、住める期間が長くはない場合もあるのは確かです。ただ、リフォームをして建物の保護を心がけていれば寿命を延ばすことができます。現行の建築基準法では建て替えずにリフォームすることについて制限はありません。住みづらくなってきたらリフォームするという考え方で再建築不可物件を手に入れるのは選択肢の一つでしょう。所有している再建築不可物件を生かして住み続けていく上でも重要な視点です。
再建築不可物件を手に入れてリフォームする上で一つ気にかけなければならないのが2025年の法改正です。2025年に建築基準法が改正されて、接道義務を満たしていない再建築不可物件では耐震補修などの大きなリフォームが難しくなるリスクがあります。2025年以降は再建築不可物件の活用方法を慎重に考えることが必要です。改正建築基準法は2022年6月17日に公布されました。今後はリフォームの難しさも念頭に置いて再建築不可物件を生かすことが重要です。
再建築不可物件をリフォームする際には一度専門家に相談されることをおすすめいたします。

参照:改正建築基準法について※令和4年6月17日公布|国土交通省
 

再建築不可物件を土地活用する方法

再建築不可物件の土地は、土地を広げて再建築したり、リフォームして住み続けたりする以外にも活用方法があります。再建築不可物件の土地活用の方法を広く紹介するので、有効なかたちで土地を生かしましょう。
 

駐車場経営

駐車場経営は再建築不可物件でも問題なくできる有効な土地活用の方法です。建物を建てないので建築基準法に抵触することはありません。狭い土地でも車で入れる道さえあれば、広さに応じた駐車場を作って経営できます。

駐車場経営は初期コストが少なく、フランチャイズを利用してサポートを受けながら始められるのも魅力です。コインパーキングの経営は簡単に始められる方法で、機器を設置すればほぼ不労所得として駐車場料金を収益にできます。近くに商業施設や駅などがある場合には利用者が自然に集まってきて売上が出るでしょう。

再建築不可物件は都市計画区域や準都市計画区域にされている住宅街に多いので、月極駐車場のニーズもあります。ある程度の広さがある土地ではコインパーキングと月極駐車場を同時に経営することもできます。同時経営でも初期コストが小さくて始めやすい点は同じなので、気軽に始められる土地活用の方法です。
 

「本格土地活用」特集ページ|駐車場経営を始めてみよう
駐車場経営のメリットや注意点を説明し、気になった運営会社へのお問い合わせをサポートするサイト...

貸しコンテナ経営

再建築不可物件には貸しコンテナを設置してレンタル経営をする方法があります。コンテナは建築物ではないので、再建築不可であっても問題ありません。コンテナを土地に置くだけでビジネスを始められる点で気軽です。貸しコンテナの需要がある地域ならすぐに借り手が見つかるでしょう。地域によって需要は異なりますが、街中でものの置き場所に困っている家庭が多い地域なら、貸しコンテナ経営を始めると安定した利益を上げられるようになります。
 

太陽光発電経営

太陽光発電システムを設置する方法は社会貢献にもなる点で魅力があります。太陽光発電システムを設置して、生産した電力を自宅で利用したり、売電して利益にしたりすることができます。再生可能エネルギーの代表格として知られる太陽光発電をする土地として使うと、今後のエネルギー問題の対策として貢献できるでしょう。FIT制度の改正によって売電価格は下がってきているのが難点ですが、自家消費する目的で設置すれば大きな経済効果を期待できます。
 

貸農園・自家菜園

再建築不可物件で野菜、果物、花などを栽培することも選択肢の一つです。自家菜園のためのスペースとして使用し、好きな野菜や果物を育てるため有効活用になるでしょう。また、農地として貸して経営することも可能です。自家菜園をしたいけれど土地がないという人や、農作物の世話に自信がないという人が貸農園を利用するようになってきたので需要があります。シェアをして自家菜園と貸農園といった切り分けをして経営することもできます。
 

戸建て住宅の賃貸経営

再建築不可物件に住宅が残っていて住める状況であれば賃貸経営をする活用方法があります。建て替えて住むことはできませんが、リフォームして賃貸向きの物件にすることは可能なことが多いです。不動産会社に相談すれば入居者を募集できます。賃料によって収入を得られる不動産経営方法です。戸建て住宅は独立した空間で住めることから、ファミリー層から人気があります。借り手は建て替えを想定していないので、再建築不可物件でも優良物件なら借りてくれます。
 

土地の賃貸経営

建物を解体しなければならない状況の場合には、解体を済ませてから土地の賃貸経営をする方法があります。建物を建てられなくても、駐車場や資材置き場などとして使用することが可能です。開拓や改築が進んでいる地域では資材置き場の需要は高いので、すぐに借り手が見つかる可能性があります。土地のまま賃貸経営をすると、借り手が自由に使えるので広い顧客を探せるのがメリットです。初期コストも小さくて済むので魅力的な賃貸経営方法です。

自動販売機経営

再建築不可物件の有効活用方法として自動販売経営という選択肢があります。自動販売機を土地に設置するだけで良い簡単な方法です。自動販売機の飲み物の補充などは専門業者に任せることができます。売上に応じて利益を得られる仕組みが一般的で、メンテナンスも不要なので簡単です。駐車場経営をするときに敷地内に設置して、利用者に買ってもらうといった工夫もできます。他の土地活用と相性が良いので組み合わせて使うのがおすすめです。

土地の売却

再建築不可の土地は売却して済ませる方法もあります。建築可能な土地に比べると用途が少ないからです。買い手が見つかりにくいデメリットはありますが、不動産会社に相談して地道に販売活動を続ければきっと買い手が出てくるでしょう。長い期間がかかることもあるので、売れるまでは賃貸経営をするのもおすすめです。コインパーキングの駐車場経営のように長期契約をせずに始められる土地活用は相性が良い方法です。
 

まとめ

再建築不可物件は建築基準法に照らし合わせると既存の建物を建て替えられない土地になっています。接道条件を満たしていないために、新たに建築しようとしても法律上、認められないのが一般的です。再建築不可物件は安く購入でき、固定資産税も低いメリットがあります。運用の仕方によっては利益を上げやすい土地です。駐車場経営のように簡単に始められる事業に使用する土地として再建築不可物件を活用しましょう。


※専門家と相談し慎重に決めることをおすすめします。  

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