2024年11月01日公開
2024年11月01日更新
成功できる空き家ビジネス12選!活用の重要性と注意点を解説
空き家はビジネスに活用して収益化できます。相続した家や、やむを得ない引越しで生じた空き家は、放置してしまうことが多いですが、そのままにしておくとデメリットが増えるだけです。しかし、空き家活用が進んでいる現在では、ビジネスに活用して収益を上げることが可能です。この記事では、空き家を有効活用してビジネスで成功する方法をご紹介します。また、空き家を使ってビジネスを始める際の注意点も押さえ、資産を有効活用しましょう。
目次
空き家をビジネスに活用する重要性・メリット
空き家のビジネスでの活用が注目されているのはメリットが大きいからです。ここでは空き家ビジネスを始める重要性を解説します。
かかる税金をビジネスでカバーできる
空き家は保有していると固定資産税がかかります。使用していないと損失になるだけなので対策が必要です。ビジネスで空き家を収益化すれば賃料収入によって利益を得られます。利益を固定資産税の支払いに充てることも可能です。空き家の固定資産税は建物と土地のそれぞれについて以下のように計算されます。
固定資産税=課税標準額×1.4%(標準税率) |
固定資産税評価額に対して特例措置が認められる場合があります。例えば、住宅用地の特例では居住用に使用している空き家の建っている土地の固定資産税評価額を、200㎡までは1/6、200㎡を超える部分は1/3に軽減しています。それでも空き家を持っている限りは税金がかかるので、ビジネスでカバーする対応を考えるのがおすすめです。
参照:総務省|地方税制度|固定資産税
参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
特定空き家や管理不全空き家になるリスクを回避できる
空き家は放置すると自治体によって特定空き家や管理不全空き家と見なされる可能性があります。空家等対策の推進に関する特別措置法によって、市区町村等の自治体が特定空き家または管理不全空き家の指定できるようになっています。
特定空き家とは放置すると倒壊リスク、保安リスク、衛生リスクなどが発生する空き家や管理不十分によって景観を損なう原因になっている空き家、生活環境の保全を図るために放置することが不適切と判断される空き家です。管理不全空き家とは、適切な管理ができていないために特定空き家になる可能性がある空き家です。
特定空き家に指定または管理不全空き家として自治体から改善の勧告を受けた場合には、住宅用地の特例が適用されません。最大で固定資産税が6倍になります。さらに、自治体から命令を受けても改善しなかった場合には最大で50万円以下の罰金を科されます。
空き家を持っているときには放置せずにビジネスに活用し、特定空き家や管理不全空き家になることを防ぎましょう。
参照:空家等対策の推進に関する特別措置法 | e-Gov 法令検索
参照:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
空き家バンクで比較的安く調達できる
空き家を持っている場合でなくても、空き家を購入してビジネスに活用できます。空き家は全国的に問題になっているので、国土交通省や地方自治体が活用を支援しています。空き家バンクは国や自治体が推進している空き家活用の施策です。空き家バンクを通して空き家を購入すると探しやすいだけでなく、比較的安価に手に入れることが可能です。空き家バンクは賃貸にも利用できるため、ビジネスに活用する方法もあります。
参照:建設産業・不動産業:空き家・空き地バンク総合情報ページ - 国土交通省
ビジネス支援になる制度が増えている
空き家活用は社会貢献になるため、都道府県や市区町村によってビジネスでも活用できる補助金制度も整えられてきています。空き家のリフォームにかかる費用を補助金によって工面できる場合があります。都道府県や市区町村ごとに補助金制度を定めているので、空き家ビジネスを始める地域ごとに詳細な確認が必要です。しかし、初期費用を抑えてビジネスを始められるチャンスがあります。
また、国土交通省によって安心R住宅制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)が整えられたことで、中古住宅の品質保証をしやすい状況もできました。仲介業者が安心R住宅の登録事業者なら、インスペクションを実施して安心して住める住宅かどうかを確認してある住宅を提供しています。空き家を賃貸する際に登録事業者を選ぶことで消費者から選ばれやすいビジネスにすることが可能です。
参照:補助金等一覧 | 東京都 空き家情報サイト | 東京都住宅政策本部
参照:住宅:安心R住宅 - 国土交通省
成功できる空き家の賃貸ビジネス10選
<h2>成功できる空き家の賃貸ビジネス10選
空き家ビジネスでは賃貸経営をするのが一般的です。空き家をビジネスに利用するには主に以下の4つの方法があります。
- クリーニングする
- リフォームやリノベーションをする
- 建て替える
- 解体して土地活用をする
空き家の建物自体をそのまま生かすか、建て替えたり解体したりするかは、建物の状態によって考えることが大切です。ここでは、さまざまなシチュエーションに対応できるように空き家の賃貸ビジネスを幅広く紹介します。
戸建て賃貸住宅
空き家を戸建て賃貸住宅として経営するのはとてもシンプルなビジネスです。不動産会社と媒介契約を締結し、入居者募集をしてもらうのが一般的な方法です。戸建て賃貸住宅は立地によって需要に大きな差があります。住宅街の中にある空き家なら需要がある可能性がありますが、郊外で中心街から遠いと借主を見つけるのが困難です。
ただ、契約できれば長期的に住んでもらえる可能性が高いメリットがあります。初期費用も状態が良い空き家ならクリーニングをするだけで賃貸できるので、最小限に抑えられます。空き家ビジネスではまず検討してみると良い方法です。
マイホーム借上げ制度
マイホーム借上げ制度は不動産会社ではなく、JTI(一般社団法人移住・住みかえ支援機構、Japan Trans-housing Institute)による公的支援を受けて住宅を賃貸できる制度です。同制度では住宅をJTIとサブリース契約を含む借家契約をして一定の賃料収入を得る仕組みです。JTIは賃借した住宅を消費者と定期借家契約をして家賃収入を得ます。
マイホーム借上げ制度ではJTIが国の基金を使用して運営している公的制度です。制度を利用すると入居者トラブルの対応はJTIに任せられます。また、定期借家契約を前提としたサービスで、JTIに借り上げてもらう期間は事前に設定可能です。空き家だけでなく海外駐在時の住宅のビジネス活用でも用いられています。
参照:住まない家を活用する「マイホーム借上げ制度」|JTI|一般社団法人 移住・住みかえ支援機構
住宅セーフティネット制度
住宅セーフティネット制度は住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づいて、高齢者、障がい者、子育て世帯、低額所得者などの住宅確保要配慮者に公営住宅を提供するための制度です。都道府県などの自治体に住宅セーフティネットの物件として登録すると、「セーフティネット住宅情報提供システム」を通して物件を探した住宅確保要配慮者に空き家を賃貸できます。
住宅セーフティネット制度の利用には以下のような住宅基準を満たすことが原則として求められますが、条件の悪い空き家でも借主を見つけられる可能性が高くなる方法です。
- 独立住居では床面積が25㎡以上ある
- シェアハウスでは専用居室が9㎡以上、住宅全体の面積が15㎡×居住人数+10㎡以上で台所、食事室、便所、浴室、洗面所などが設けられている
- 耐震性があって建築基準法を満たしている
- 住宅確保要配慮者の入居を拒まない
- 家賃や家賃債務保証料の低廉化をしている
参照:住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律 | e-Gov 法令検索
参照:住宅:住宅セーフティネット制度 - 国土交通省
参照:セーフティネット住宅情報提供システム
サブスクリプション型賃貸住宅
サブスクリプション型賃貸住宅(サブスク住宅、サブスク賃貸)は期間ごとに定額で住居を提供するサービスです。賃貸との違いは、敷金や保証料などを申し受けずに、シンプルに月額料金や日額料金を設定する仕組みになっていることです。一般的には水道光熱費やインターネット料金なども込み料金にしてサービスを提供します。サブスク住宅やサブスク賃貸の運営会社に登録すれば簡単に空き家ビジネスを始められます。
多数の空き家を保有している場合には、住宅のサブスクリプションサービスを始めることも可能です。さまざまなサービスについてサブスクの需要が高まっているので、市場に参入してビジネスを展開するのも一案です。
シェアハウス
シェアハウスは広い空き家を賃貸ビジネスに活用するのに適している方法です。都市部ではコンセプト型のシェアハウスの需要が高まっています。コンセプトを明確にすることで、同じ目的で入居者とコミュニケーションを取りながら暮らしていきたいという考えを持っている人を集めるのが基本的なビジネス戦略です。起業、デザイン、料理などのさまざまなコンセプトでシェアハウスを提案できます。
シェアハウスではコンセプトに合ったデザインにリフォームやリノベーションをすると入居者を獲得しやすくなります。リビングを会議室にしたり、キッチンを広げたりするといった工夫をするのも効果的です。
民泊・宿泊施設
空き家を宿泊施設として提供することで収益化するビジネスが可能です。ホテルのようにしして宿泊予約を受け付けて利用者を探す方法もありますが、Airbnbなどを活用して民泊のサービスに空き家を活用することもできます。民泊は家主不在型で住宅宿泊管理会社に管理委託をして経営できるため、自分が住んでいなくても空き家を宿泊施設にできます。
民泊ビジネスをするには住宅宿泊事業の申請が必要です。申請が受理されるには床面積(1人あたり3.3㎡以上)、清掃や換気の対応、避難経路や非常用照明器具の用意などのさまざまな対応が求められます。宿泊施設にする際にはリフォームや設備投資が必要なことが多いですが、建て替えせずに空き家をビジネスに使える可能性があります。
参照:住宅宿泊事業者編 | 民泊制度ポータルサイト「minpaku」
シェアオフィス・サテライトオフィス
シェアオフィスやコワーキングスペースはオフィスとして使用できるスペースのシェアリングエコノミーのサービスです。空き家をリノベーションしたり、建て替えたりしてシェアオフィスにすればビジネスにできます。リモートワークの普及やフリーランスのITエンジニアやデザイナーなどが増えたことによって、駅近などの立地の良い場所ではシェアオフィスの需要が高くなっています。
シェアオフィスは会員制で利用者一人ごとに定額の利益を得られます。会員を集めるのに苦労する場合もあるので、立地やビジネスモデルをよく検討して競争力のあるシェアオフィスを作り上げることが重要です。
サテライトオフィスもリモートワークの増加に伴って需要が高まっています。空き家をリフォームしてサテライトオフィスにして働きやすい環境を整えるのも、立地が良いときにはおすすめです。
介護施設
空き家をリフォームすれば介護施設にできます。デイケアなどの介護施設は住宅を転用している場合もあり、入居者や通所者からはアットホームな雰囲気で喜ばれます。高齢社会になってどの地域でも介護施設が不足している状況があるため、空き家をビジネスにするには効果的な方法です。介護福祉法人と連携すると、空き家を介護施設として運営しやすいでしょう。
レンタルスペース
空き家はレンタルスペースとしてビジネスに使えます。多目的ルームとしてホームパーティーやビジネスミーティングに使えるようにしたり、トランクルームや倉庫として荷物の一時的な収納目的でサービスを提供したりする方法があります。設備を入れれば美容室やヨガスタジオ、キッチンなどとして利用してもらうことも可能です。
古民家ビジネス
古い空き家なら趣のある佇まいをそのままにして内装をリフォームし、古民家ビジネスを展開する方法があります。宿泊施設、会食場所、レストラン、カフェなどのさまざまな形でビジネスに使うことが可能です。京都や鎌倉などの歴史がある地域では古民家に対して憧れを持つ人もたくさんいます。風情がある古民家の空き家があるなら、もともと持っているデザインを生かしてビジネスを始めるのがおすすめです。
空き家を解体して使う土地活用2選
空き家は解体して土地にしてビジネスに応用することも可能です。土地をそのまま貸すことも可能ですが、利益率を考えると特定の目的で利用できるサービスにした方が良いでしょう。ここでは空き家を解体して使う土地活用のおすすめを紹介します。
駐車場
駐車場は月極駐車場やコインパーキングとして利用者を募るビジネスです。月極駐車場は月単位の契約で車を自由に出し入れできるスペースを貸して賃料を受け取る仕組みです。駐車場がない住宅やアパートが多い地域で需要があります。オフィス街や商店街でも従業員や顧客の駐車場を確保したいという需要があるので、事業者との長期契約ができる可能性があります。
コインパーキングは一時利用を目的とする駐車場で、レストランやクリニックなどの商用施設・医療施設の周辺で需要があります。イベント施設やアミューズメント施設、観光スポットなどでも駐車場が不足する場所では需要が高い駐車場です。コインパーキングなら車1台分以上の広さがあればすぐに収益化できます。小さい空き家でビジネスに使うのが難しいといった場合でも、解体して更地にすれば数台分の駐車マスを確保してビジネスにできます。
資材置き場
資材置き場は空き家を解体してできた土地を更地のまま利用できる土地活用です。地方であまりニーズがない土地でも活用できる可能性があります。資材置き場は都市開発が進んでいる地域などの土木工事や建設工事が多い場所で需要があります。立地が悪くて住みづらいから空き家になってしまった場合にも、近くで都市開発が進んでいる場合には資材置き場にするとビジネスで成功できる可能性があります。
空き家をビジネスに使うときの注意点
空き家はビジネスに活用するのが難しい場合があります。ここでは空き家をビジネスに応用するときの注意点を解説します。
築年数が古いとそのまま使うのは難しい
空き家の築年数が古い場合には、建物の躯体が劣化していて安全に使えない場合があります。耐震補強などによって一時的な対応ができる可能性はありますが、老朽化が進んでいると入居者や利用者からマイナスの印象を持たれてしまうので注意が必要です。
築年数が比較的新しくても、管理されていなかった空き家は老朽化が著しい場合があるため、クリーニングや簡単なリフォームでビジネスに使いたいときには建物検査を受けて問題がないことを確認してから活用を始めるのがおすすめです。
初期費用・維持費用がかかる
空き家ビジネスでは初期費用や維持費用が大きくなる場合があります。空き家のリノベーションや建て替えが必要な場合には数百万円~数千万円の費用がかかるのが一般的です。長らく放置されていた空き家の場合には、老朽化が進んでいてリフォームの費用も高くなる可能性があります。建物の維持費用も新築に比べると塗装や耐震補強などの工事費用がかさむので、空き家を長期的にビジネス活用する場合には収支計画を正確に立てることが大切です。
経営業務の負担がかかる
ビジネスを始めると経営業務の負担がかかります。空き家活用に限ったことではありませんが、経営者として利益を生むことを目指して取り組む必要があるからです。建物の管理や収支の確認、ビジネス戦略の策定などのさまざまな仕事が発生するので注意しましょう。ただ、経営業務の実務部分は委託することも可能です。一括借り上げで経営すれば、営業やマーケティングなども含めてすべて管理会社に任せられるので負担を減らせます。
収益化までに時間がかかる場合がある
空き家ビジネスは収益化までにかかる期間が長くなる場合が多いので注意しましょう。リフォームや建て替えの計画をして設計し、ビジネスができる状態にするには数週間~半年くらいかかります。クリーニングして戸建て住宅として賃貸する場合にも、入居者が見つかるまでに時間がかかり、見つからなかったら利益になりません。収益化を急ぎたいならコインパーキングなどのすぐに経営開始できる方法を選ぶことが重要です。
空き家のビジネス活用には駐車場経営もおすすめ
空き家をビジネスに活用するときには駐車場経営を始めるのがおすすめです。古い空き家では借り手が見つかりにくく、リフォームやリノベーションには大きな費用がかかります。解体して駐車場にするだけなら初期費用を抑えられます。駐車場経営ならすぐに始められるので、空き家を持っている人は速やかにビジネスを収益化できるのもメリットです。
駐車場は簡単に更地に戻せるので転用しやすい特徴があります。駐車場経営をしながら周辺調査をして、マンションの需要が出てきたらマンションを建てて賃貸経営をするといったビジネスの転換も可能です。空き家を放置せずにすぐにビジネスに活用して、今後の展開も考えられるのは駐車場経営を選ぶ魅力です。空き家を持っているならまずは駐車場にしてコインパーキングや月極駐車場の経営を始めましょう。
まとめ
空き家対策は全国的に大きな課題になっているため、ビジネスに活用しやすい環境が整っています。空き家はクリーニングやリフォームをして賃貸したり、建て替えたり更地にしたりして活用することが可能です。空き家を放置していると税金の負担がかかり、周囲にも迷惑がかかります。空き家はさまざまなビジネスに活用できるので、積極的に可能性を検討しましょう。
空き家ビジネスは初期費用や維持費用と今後の土地活用を考慮して選ぶことが大切です。経営負担があることも念頭に置いて、気軽に始められる方法で空き家ビジネスを始めるのがおすすめです。今ある家にこだわらずに土地を活用する視点を持つとビジネスの可能性が広がります。立地が良い土地ならまず解体してすぐに始められる駐車場経営を開始し、他の用途に気づいたら転用して収益率の高いビジネスに展開するのもおすすめです。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。