2024年06月18日公開
2024年06月18日更新
お金のかからない土地活用6選!特徴と少額投資による活用方法も紹介
使っていない土地があって積極的に活用して収益化したいと考えていませんか。ただ、余剰資金がなくてお金のかかる方法は避けたいという方もいるでしょう。この記事ではお金のかからない土地活用方法と、お金をかけないメリット・デメリットをご紹介します。少額投資をして土地活用をする場合と比較して、より良い土地活用をしていきましょう。
目次
お金のかからない土地活用6選
土地活用にはお金のかからない方法があります。土地が余っていて収益化をしたいときには、以下の6つの方式からまず検討しましょう。
- 定期借地方式
- 土地信託方式
- 建設協力金方式(リースバック方式)
- 等価交換方式
- 買い替え方式
- 暫定利用方式
ここでは6つの方法について、どのような仕組みで収益化するのかを特徴と合わせて解説します。
定期借地方式
定期借地方式は期間を定めて土地を貸すことにより賃料収入を得る方法です。定期借地は土地を貸して借主に使用してもらう仕組みなので、更地の土地を所有している人ならお金のかからない土地活用方法になります。
借地には普通借地権または定期借地権を設定する方法があります。土地活用で貸主が不利にならないためには定期借地権にする方法がおすすめです。普通借地権を設定すると貸主が有利な立場になり、貸主の都合で契約を解除することが難しくなるからです。
定期借地方式では借主がマンションやアパートを建てられる一般的借地権での契約もありますが、店舗やオフィスなどを建築できる事業用定期借地権が貸主にとって有利です。賃料を高めに設定できるだけでなく、借地権の期間設定を10年以上50年未満の範囲で決められます。一般定期借地権の場合には50年以上にわたって契約が存続します。
参照:建設産業・不動産業:定期借地権の解説 - 国土交通省
土地信託方式
土地信託方式は信託会社に土地活用を委託する方法です。土地活用を通して信託会社が得た利益の一部の還元を受けることで利益を得ます。土地を貸して信託会社が運営するので初期費用は基本的にかかりません。
土地信託をすると信託会社は土地の調査・審査をして収益性のある活用が可能な土地かどうかを判断します。信託会社が土地活用によって収益を得られると判断したら、条件を定めて契約することが可能です。立地や面積などの影響で収益性のある事業を営めないと判断されると契約を取れないこともあります。
土地信託方式では信託会社による経営が成功して利益が出ることで収益の還元を受けられます。土地が好立地だったとしても、信託会社の土地活用が適切でなかった場合には収益が出ず、利益にならないリスクがあります。
建設協力金方式(リースバック方式)
建設協力金方式は土地に建物を建てて経営したい事業者との協力により、希望の建物を建設して賃貸経営をする方法です。リースバック形式とも呼ばれています。事業者が希望する店舗やオフィスビルを建築して、その事業者が入居することを前提にして取引をします。
一般的には事業者が建築費を利息なし、または低利息で融資して建物を建設する資金を提供します。建設後、事業者はテナントとして入居します。融資を受けた資金を賃料によって返済していき、完済した後は賃料の支払いを受けられるようになるという仕組みです。
建設協力金方式では、オフィスビルやショッピングセンターなどを建てて事業者が専有利用する場合には、建築費の支払いが終わるまでは利益になりません。ただし、事業者が入居しない部分についてはテナント経営をおこなえる場合もあります。その利益についての権利関係は交渉が必要になりますが、建築費の支払いを終える前から利益を得られる経営ができる可能性があります。
等価交換方式
等価交換方式は土地の一部の権利を譲渡または貸与し、残りの部分の土地活用に有効な対応をしてもらう取引です。デベロッパーや建設会社などとの交渉をして契約し、土地の一部を提供する対価としてマンションやオフィスビルなどの建築をしてもらいます。基本的には取引先に提供する土地によって相手が得る想定利益と、建築費用が等価になるように交渉します。
等価交換方式は広い土地や地価が高い土地を持っているときに有効な土地活用方法です。ただし、等価交換による土地活用をすると権利関係が複雑になります。分筆をして土地を切り分けて譲渡すれば問題が起こりにくいですが、共同所有者として登記すると相続や譲渡のときに全員の同意や書類の用意をする必要があるので問題になるリスクがあります。
買い替え方式
買い替え方式はそのまま土地活用をするのではなく、現在所有している土地を売却して別の土地を購入して活用する方法です。売却価格よりも購入価格が低ければ、差額の分だけ土地活用に使える資金を手に入れられます。立地が悪くて土地活用の方法が見つからないときにも、買い替えて好立地の土地を手に入れれば活用できます。
土地の買い替えでは登記費用や仲介手数料などの費用がかかります。しかし、買い替えの費用も加味して土地の販売価格や購入価格を調整すれば、お金のかからない形で新しい土地を手に入れて活用を始めることが可能です。
暫定利用方式
暫定利用方式は本格的な土地活用をする前に、一時的に土地を使って利益を得る方法です。暫定利用方式には特別な形式があるわけではありません。必要なときに土地活用方法を切り替えられるようにすることを重視して方法を選ぶのが一般的です。例えば、以下のような方法なら、お金のかかららない形で暫定利用による土地活用ができます。
- 資材置き場
- 青空駐車場
- 貸し農園
- 貸し看板用地
更地のまま土地を一時的に貸して、借主に用途を限定して使用してもらうのが暫定利用方式の基本です。資材置き場として貸すときには、借主は建物を建てられないといった条件を契約で明確にします。駐車場や貸し農園のように特定の目的で賃貸経営をするときには、一括借り上げで賃料収入を得る方法もよく選ばれています。
お金のかからない土地活用のメリット
お金をかけずに土地活用をする方法のメリットは、気軽に土地の収益化を目指せることです。ここでは具体的にお金のかからない土地活用を始めるメリットを紹介します。
自己資金の負担なく始められる
まず、土地活用を始めるときに費用がかからないのがメリットです。自己資金を供出できないときでも初期費用をかけずに始められます。土地活用をしている間も特にオーナーがお金を負担する必要がない方法です。契約のときに印紙税などがかかる場合がありますが、ほぼ自己負担ゼロで始められます。
すぐに土地活用を開始できる
お金のかからない方法なら自己資金を出せない人でもすぐに土地活用を始められます。マンション経営やオフィスビル経営などの建築費用が大きい方法では、お金が十分に貯まるまで土地活用を始められません。土地を相続や譲渡で手に入れたときに速やかに活用できるのがメリットです。
土地活用が失敗しても損失が小さい
お金を一切かけずに土地活用をすれば、もし失敗したとしても損失があまり大きくなりません。お金の負担はしていないので、取引先の選定や契約の手続きなどにかかった労力はコストです。しかし、費用としての損失は小さくできるメリットがあります。
収益で税金をカバーできる可能性がある
土地を所有していると固定資産税や都市計画税を毎年納めなければなりません。土地を持っていて何にも使用していないと、税金によって損をすることになります。土地活用にはお金がかかるからためらっていた人も、お金のかからない土地活用で利益を得れば税金の支払いをカバーできる可能性があります。土地活用で利益を得ることが前提ですが、お金のかからない土地活用でも税金分くらいの利益を得ることは可能です。
参照:
総務省|地方税制度|固定資産税
総務省|地方税制度|都市計画税
お金のかからない土地活用のデメリット
土地活用ではお金をかけるケースが多いですが、お金のかからない方法があるのになぜわざわざお金をかけているのかが気になる人もいるでしょう。お金をかけずに土地活用をするとデメリットがあるからです。ここではお金のかからない土地活用方法を選ぶデメリットを解説します。
収益性が上がりにくい
収益性が低くてまとまった利益を出しにくいのはデメリットです。お金のかからない土地活用では取引先にすべて任せる仕組みだからです。取引先との契約内容によって収益性には違いがありますが、相手はビジネスをしているのでリスクを最小限にする契約内容で提案を受けるでしょう。収益性を上げることが難しく、あくまで始めやすい土地活用として考えるのが適切です。
立地によっては土地活用が難しい
土地は立地によって活用メリットのある用途が違います。定期借地や土地信託などのお金のかからない方法では、取引先が土地を借りて運用するメリットがあるかを慎重に吟味します。立地が悪いと取引先が見つからない場合もあるのがデメリットです。
土地の広さや形状によっては活用が難しい
定期借地や土地信託などのお金のかからない土地活用方法では、土地の広さや形状によって取引先の見つかりやすさが違います。広くてデッドスペースがない土地なら、立地が悪くなければ取引先を見つけられるでしょう。しかし、狭小地や変形地の場合には取引先が見つからずに苦労する場合があります。
専門知識を学ぶ必要がある
定期借地、土地信託、等価交換などの契約をして土地活用をするには専門知識が必要です。契約内容のチェックをして交渉できる専門知識がないと、希望に合わない契約をしてしまって後悔するリスクがあります。土地や契約に関する法律の専門知識を学ばなければならないのがデメリットです。
土地を自由に使えなくなる
土地活用を始めると、土地は自由に使えなくなります。定期借地のように長期間の契約になると、ずっと土地を使えないので転用できません。近い将来に自宅を建てたいといったイメージがあるときにはデメリットになります。
節税対策は難しい
節税を目的として土地活用をするときには、お金のかからない方法では難しい場合があります。土地の固定資産税の節税では住宅用地の特例がよく活用されています。土地に専用住宅や併用住宅を建てて住宅用地の特例の条件を満たせば、固定資産税は1/6または1/3、都市計画税を1/3または2/3に減額可能です。相続税でも建物がると減額が可能で、土地の評価額を50%~80%に減らせます。
しかし、お金のかからない土地活用では、通常は居住用の建物を建てて経営しません。節税になる特例を適用できないため、節税対策としては適していない方法です。
参照:
固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
お金のかからない土地活用の選び方
自己資金がない状況で土地活用を始めたい場合には、お金のかからない方法を選ぶことが重要です。ここでは失敗市内ための土地活方法の選び方を紹介します。
土地活用の目的を明確にする
土地活用は目的に合わせて適切な方法を選ぶことが重要です。お金のかからない方法で土地活用をする理由も加味してよく考えましょう。
収益化が目的の場合でも、少額の利益があれば良いか、土地を生かして不労所得を得て生活を楽にしたいかによって適切な方法が違います。必要なタイミングですぐに撤退して土地を別の用途で使いたい場合には、契約期間が長い方法を選ぶと後悔するでしょう。土地活用の目的を明確にすると候補を絞り込めるので重要なポイントです。
収益性を検討する
土地活用は収益性が重要です。需要によってどの方法の収益性が高いかが変わります。ニーズに合っていて取引先が利益を出しやすいと、契約条件を交渉して収益性を上げやすくなります。
リースバックや等価交換であればビジネス街にある土地の収益性を上げやすいでしょう。土地信託なら土地のニーズを信託会社に調査してもらって、ニーズを開拓してもらえる可能性がありますが、収益性は低くなる場合があります。ニーズを自分自身で把握して、収益性を上げやすい方法で取引先を探しましょう。
安定性を目的に合わせる
収益の安定性は土地活用の目的に合わせて選ぶことが大切です。長期的に安定した収益を得たいのであれば定期借地が適しています。土地を貸す取引なので、毎月一定の賃料を手に入れられるからです。長期契約が可能なのもメリットになります。他の方法でも長期契約ができる場合がありますが、賃料が取引先の収益の数パーセントという形になっていることもあります。取引先の経営状況によっては収入が減る場合もあるので注意が必要です。
管理負担を考慮する
お金のかからない土地活用では管理負担を考えて決めましょう。土地信託では土地の管理からすべて信託会社に委託するので管理負担がありません。定期借地やリースバックでは土地自体の問題について管理対応を求められる場合があります。管理で負担を感じると土地活用を続けにくくなるので、無理のない範囲で対応できる方法を選ぶのがおすすめです。
土地活用のプロにサポートを受ける
土地活用のときにはプロに相談してサポートを受けると安心です。土地の立地や広さ、状態などの基礎情報に加えて、土地活用における希望も加味してより良い方法を提案してもらえます。目的に合っている方法なのかどうかを評価してもらうことも可能です。
ただし、プロによるサポートにはコンサルティング費用がかかる場合があります。ただ、土地活用のサービスを提供している企業では、自社サービスに合うかどうかを無償で評価しているときもあります。問い合わせをして意見をもらうと、より良い土地活用方法を選び出すサポートになるでしょう。
お金のかからない土地活用の課題を解決する方法
お金のかからない方法で土地活用をするには課題が多いので悩んでしまう方もいるでしょう。土地活用の課題は少額でもお金をかけて良いと考えると解決できる可能性があります。
資金があればさまざまなアプローチで土地を収益化できます。資金を投入するとマンションやオフィスビルを建てたり、更地にアスファルト舗装をしたりして付加価値を付けられるからです。
ローンやクラウドファンディングなどを使って資金を調達して土地活用を始めることもできます。少額でも資金を使って可能性を広げると、希望する形の土地活用を進められるようになるでしょう。
少額資金で始められる土地活用5選
少額資金で始められる方法にはたくさんの選択肢があります。ここではお金のかからない土地活用のデメリットを考慮して、少額ならお金をかけてみたいと思った方のために代表的な方法をまとめました。それぞれの土地活用方法の特徴をわかりやすく解説します。
月極駐車場
月極駐車場は毎月の契約で駐車スペースを貸して賃料収入を得る方法です。月極駐車場は青空駐車場でも構わないので暫定利用としても用いられているくらいにお金のかからない土地活用方法です。車室を区別するラインを引いたり、タイヤ止めを設置したりすると使いやすい駐車場になるでしょう。
月極駐車場は数年間にわたって契約を更新してくれる可能性が高いので、収益の安定性が高いメリットがあります。集客や契約手続きは駐車場会社や不動産会社によるサポートを受けることが可能で、駐車場の管理も委託して経営できる方法です。駐車場がない賃貸マンションやオフィスビルなどが多い場所なら、契約希望者を安定して確保できるでしょう。
コインパーキング
コインパーキングは時間単位で駐車スペースを貸して、利用時間に応じた料金を徴収する仕組みの駐車場経営です。コインパーキングはゲートやロック板などの設置が必要なので初期費用がかかりますが、一括借り上げに対応している会社と契約すれば費用を負担してもらえる場合もあります。土地の舗装やライン引きなども無償対応してくれる会社もあるので、お金のかからない土地活用も可能です。
コインパーキングは一時利用の多いエリアでの土地活用に適しています。駅前や商店街、クリニックや介護施設などの施設の近くなどで収益性を上げやすい方法です。コインパーキングは委託すれば管理負担がかからないので経営しやすいのもメリットです。
駐輪場
駐輪場は自転車やバイクの駐輪スペースを提供して賃料を得る方法です。駐輪場なら自動車を停められる広さがない狭小地や変形地の活用もできます。駐輪場は月極でも時間貸しでも経営が可能で、両方に対応するサービスにすることも可能です。駅前の土地では駐輪場のニーズが高いので、安定した収益を得られる可能性が高いでしょう。アスファルト舗装をしてラインを引くくらいの整備をするだけで始められる土地活用方法です。
トランクルーム
トランクルームは収納スペースを貸して、スペースの広さに応じた月額料金を徴収する仕組みのビジネスです。トランクルームとして建物を建てるには大きな資金が必要ですが、コンテナを使用すれば初期費用を抑えて経営を始められます。一括借り上げに対応していて、初期費用ゼロで管理を任せて運営できる業者にも相談可能です。住宅やオフィスが多いエリアの土地なら、荷物の一時保管場所としてニーズがあります。
自動販売機
自動販売機による土地活用は、自動販売機を設置して販売手数料によって利益を得る方法です。土地を貸して自動販売機の設置と管理運用を専門業者に依頼すれば、初期費用ゼロで始められます。自動販売機の設置工事、商品の補充、故障時のメンテナンスなどの負担なく経営可能です。狭小地でも活用できるメリットががありますが、売れる立地でないと収益が上がらないのがデメリットです。
お金の負担が少ない土地活用なら駐車場経営がおすすめ
土地活用はお金のかからない方法に魅力があるのは確かです。しかし、お金をまったくかけないと管理の負担が大きいだけでなく、選択肢が少ないので希望する形で土地を生かせない場合があります。お金の負担が少なくて、汎用性が高い土地活用として駐車場経営を検討してみましょう。
駐車場経営には月極駐車場もコインパーキングもあるので、立地や資金に合わせた方法を選べます。土地活用をすぐに始められるだけでなく、転用したくなったときにも撤退しやすい方法です。更地のままにしている土地は駐車場にして収益を得るのが賢い方法です。
駐車場経営では管理会社による一括借り上げによって、お金のかからない始め方も選べます。管理も運営も任せられるので負担が少ない方法です。土地活用のお金の負担を減らしたいときに適している方法です。
まとめ
土地活用ではお金のかからない方法もありますが、少額投資をして始めると選択肢が広がります。定期借地、土地信託、リースバック、等価交換などによる土地活用では、立地が良くて十分な広さがある土地でないと活用が困難です。専門知識の要求も大きく、契約によっては管理負担も大きくなるので注意しましょう。
少額でもお金をかければ、希望する形で費用対効果の高い土地活用ができます。一括借り上げや管理委託をすると支出が発生するリスクを抑えられます。駐車場経営は初期費用ゼロで対応している管理会社もあるので、お金のかからない土地活用方法を探している人はぜひ検討してみてください。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。