青空駐車場とは?税金対策に役立つ小規模宅地等の特例や具体策も解説

この記事では、青空駐車場について解説しています。青空駐車場の意味、青空駐車との違い、利用者の観点からの注意点などを紹介します。後半では、経営者の観点から小規模宅地の特例を受けるための対策を紹介します。身近な存在である青空駐車場について知識を深めていきます。

青空駐車場とは?税金対策に役立つ小規模宅地等の特例や具体策も解説のイメージ

目次

  1. 1青空駐車場とは
  2. 2青空駐車場を利用する際の注意点
  3. 3青空駐車場ではボディカバーの使用が効果的
  4. 4青空駐車場を経営するデメリット
  5. 5青空駐車場を経営するメリット
  6. 6まとめ

青空駐車場とは

青空駐車場とは、屋根や壁などがない開放的な屋外駐車場のことを指します。

一般的には、アスファルトや砂利などで地面が整備され、白線やロープなどで車室が区切られている簡易的な構造が殆どです。立体駐車場や屋内駐車場のような建造物がないため、初期投資や維持管理のコストが比較的抑えられる点が特徴といえます。

一方で、屋根がないため雨や風、直射日光などの天候の影響を受けやすい特徴もあります。例えば、夏場には車内温度が非常に高くなったり、降雨時には車両が汚れやすくなったりすることがあります。そのため、コスト重視の方には人気ですが、車両の保護を重視する方には不向きな場合もあるでしょう。

次項にて、よく似た言葉の「青空駐車」との違いや平面式駐車場との違いを見ていきましょう。

なお、駐車場経営に関するメリット・デメリット、経営を成功させるポイントや収入事例などを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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青空駐車との違い

よく似た言葉の青空駐車とは、道路など公道部分にマイカーを車庫のように長時間駐車することをいいます。つまり、駐車違反のことを指します。法律では、道路などの路上では同一場所に12時間(夜間は8時間)以上、駐車することを駐車違反と定義しています。

青空駐車は道路の交通障害になるだけでなく、自転車が走行しづらくなったり、青空駐車により無用な死角をつくったりするなど、多くの人に迷惑が掛かる行為です。青空駐車ではなく、近隣のコインパーキングを利用しましょう。


 

平面式駐車場との違い


平面式駐車場とは、建物の敷地内に車を並べて駐車するタイプの駐車場であり、構造的には青空駐車場と似ています。ただし、地下1階にある駐車場も平面式駐車場に含まれるため、この場合は屋根や壁があることから「青空駐車場と全く同じ」とはいえません。

青空駐車場は基本的に屋根や壁がなく、最小限の設備で構成されるのに対し、平面式駐車場には屋根付きのものや舗装・照明・監視カメラなどの設備が充実している場合もあります。そのため、利用者の快適性や安全性が高い傾向があるといえるでしょう。

青空駐車場の特徴を踏まえたうえで、次項にて実際に青空駐車場を利用する際の注意点を見ていきましょう。

青空駐車場を利用する際の注意点

青空駐車場を利用する際の注意点は、以下の3つです。
 

  1. 紫外線・酸性雨・黄砂・花粉がボディにダメージを与える
  2. 直射日光により内装もダメージを受ける
  3. いたずら・盗難のリスクが高い

①紫外線・酸性雨・黄砂・花粉がボディにダメージを与える

青空駐車場には、雨風や直射日光、飛来物を遮るものは一切ありません。車両のボディには、鋼板・アルミ・カーボンが主に使用されています。車は出荷の際、厳しい環境に耐えうるような高い品質基準があるもの、長期間紫外線や環境により酸性雨、黄砂や花粉により徐々にダメージを与えていきます。

したがって、青空駐車場に駐車する際は、車両カバーで車を覆うとこれらのダメージを軽減できます。また、車を毎日使いカバーをいちいち外すのが面倒な場合は、月に1回の車の洗車やボディに撥水性能のあるワックスを塗布すること、黄砂などがあった場合は素早く振り払うなど、日々のメンテナンスが車両の寿命を長くします。

②直射日光により内装もダメージを受ける

また、直射日光により内装もダメージを受けます。これらの影響により座席部分の色褪せ、室内装備機器の劣化、内装の剥がれなども起きてきます。これらを防ぐにも車両カバーはおすすめです。また、夏場炎天下に車を駐車すると車内温度は50℃を超えますが、車両カバーは温度上昇を抑制する効果もあるのです。

③いたずら・盗難のリスクが高い

青空駐車場は、自宅から離れているケースが多く、常に車を監視することはできません。また青空駐車場内には人気はあまりなく、特に夜間は皆無です。このような条件の場合、車両へのいたずらや車上荒らし、盗難のリスクが高くなります

近頃の駐車場は、敷地内に防犯カメラ設置のケースもありますが、数は多くありません。これらのリスクを回避するには、ドライブレコーダーを停車時にも撮影できる機種にすること、車両の盗難保険への加入、タイヤ止めの設置などの対策をしておきます。

青空駐車場ではボディカバーの使用が効果的

最近ではあまり見ない車のボディカバーですが、青空駐車場利用時には十分な効果を発揮します。先述でも触れたように、紫外線・酸性雨・黄砂などから降り注いでも、ボディカバーがあれば車体を守ってくれます

それ以外に、盗難やいたずら防止にもなります。盗難やいたずらを行う犯人は、時間が掛かる行為を嫌がる傾向があるため、ボディカバーを外す行為は素早く犯行を行うには邪魔な存在であり面倒です。よって、ボディカバーを掛けることは、盗難等に遭わない抑止力になっているのです。

毎日車を使う方にとっては、少々面倒でもありますが、大切な車を天候と盗難から守るために充分な効果があるのが、ボディカバーになります。

次項では経営者目線に立ち、青空駐車場を経営するメリット・デメリットを見ていきましょう。

青空駐車場を経営するデメリット

青空駐車場を経営するデメリットとして、天候の影響を受けやすい点が挙げられます。屋根がないため、雨や直射日光、風雪によって車両が汚れやすく、夏場は車内が高温になることもあり、利用者離れにつながる可能性もあるでしょう。

次に、収益は立地に左右されやすい点です。駅や商業施設周辺なら稼働率が見込めますが、需要の少ないエリアでは空きが発生しやすく、安定収入に結びつかない場合もあります。

また、防犯対策が不十分な場合は無断駐車や不法投棄のリスクも高くなります。簡易的な構造だからこそ、日常の管理や設備導入が重要といえるでしょう。

さらに見落とされがちなのが、固定資産税の増加です。住宅が建っていた土地には軽減措置が適用されますが、青空駐車場に転用するとその特例がなくなり、税額が大きく跳ね上がる可能性があるため、注意しましょう。

青空駐車場を経営するメリット

青空駐車場は、遊休地を活用したいと考える方にとって魅力的な選択肢です。屋根や建物がない分、初期投資が少なく、スピーディーに事業を開始できる点は大きなメリットといえます。

また、構造がシンプルで維持管理費も比較的安価です。舗装を行えば雑草の管理も容易になり、長期的に安定した収益源として活用できるでしょう。

さらに、月極や時間貸しなど柔軟な運営スタイルを選べるのも魅力の一つです。駅や住宅街、商業施設周辺などの需要が見込める場所であれば、稼働率の高い経営が期待できます。

最後に見逃せないのが、税務上のメリットです。青空駐車場として土地を活用することで、相続時に「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例の適用対象となる可能性があります。

この特例を受けることで相続税評価額を大きく抑えられるケースもあるため、次項にて、小規模宅地等の特例を受けるための条件や具体策を詳しく見ていきましょう。

小規模宅地等の特例を受けるための条件

青空駐車場の相続税上の評価は「自用地」となります。自用地とは、自身で自由に使える土地という意味で、この場合相続税の評価は高くなるのが一般的です。しかし、同じ駐車場でも小規模宅地等の特例の一種である、「貸付事業用宅地等」と評価されると、相続税の評価を下げることができるのです。具体的には、土地200㎡まで相続税の評価を50%減額できます。

以下に、小規模宅地等の特例を受けるための条件を挙げていきます。
 

  • 土地の上に建物又は構築物がある
  • 貸付の事業(駐車場など)が相当な対価を得て、継続的に行われていること

この特例が受けられるわかりやすい例は、アパートです。アパートは土地の上に建物があり、貸付事業を継続的に行えるのでこの特例を使えます。駐車場においてこの特例を使うには、駐車場の上に構造物若しくは建物があることが条件になります。

では、青空駐車場の場合どのような評価になるのかですが、構造物と認定できるものがなく、他の用途への転用がしやすいため、小規模宅地の特例が適用になりません。適用を受けるためには、駐車場設置にある程度費用を掛け、駐車場からの転用がしにくいと判断されるかがポイントになります。

 

小規模宅地等の特例を受けるための具体策

ここからは、小規模宅地等の特例を受けるための具体策として、以下を紹介します。
 

  1. アスファルト舗装を行う
  2. しっかりと整備し砂利を敷く
  3. マンションの入居者専用駐車場として利用する
  4. コインパーキング機器などの構造物を設置する
  5. 自宅に隣接した宅地として運用する

①アスファルト舗装を行う

一つ目はアスファルト舗装を行うことです。アスファルトは構造物と見なされます。また、アスファルト舗装は費用が掛かり、他に区画線、車止めを固定するなど工事費用も掛かります。また、アスファルト舗装された駐車場から別用途への転用は、一般的に容易ではありません。

因みに、街中に駐車場でもないのにアスファルト舗装されている土地があれば、相続税対策で行っていると考えてよいでしょう。

②しっかりと整備し砂利を敷く

砂利敷きでもしっかりと整備された駐車場であれば、小規模宅地等の特例を受けることができます。砂利敷きの中に土のむき出し部分があったり、敷地内に穴が多く整備がされていなかったりする駐車場は、従来通りの青空駐車場という評価になります。

③マンションの入居者専用駐車場として利用する

三つ目は、マンションの入居者専用の駐車場として運用する方法です。入居者の生活に不可欠な設備として位置付けられるため、事業としての実態があると判断されやすく、小規模宅地等の特例が適用される可能性があります。

ただし、形だけの名義貸しや実際に利用されていない状態では認められないリスクもあるため、注意しましょう。

入居契約書で駐車場利用の有無が明示されている、使用実態があるなど、事業としての実体が分かる証拠を残すことが重要です。

④コインパーキング機器などの構築物を設置する

四つ目は、コインパーキング機器や看板、料金表示板、精算機、車室のロック板などの明確な構築物を設置する方法です。これにより、単なる青空の空き地ではなく、「貸付事業用宅地」としての実態が明確になります。

こうした機器は設置コストがかかるものの、構築物としての認定を受けやすくなるため、特例適用に向けた対策として非常に有効です。

外部業者に委託する場合でも、契約内容によっては特例が受けられないケースもあるため、運用形態には注意をしましょう。

⑤自宅に隣接した宅地として運用する

最後は、自宅に隣接した土地を駐車場として活用する方法です。例えば、自宅の一部として利用しており、自家用車の駐車や来客用スペースとしても使用しているといったケースでは、「居住用宅地」としての評価を受けられる可能性があります。

ただし、貸付用ではなく自用地として扱われる場合は適用される特例の種類や評価額の軽減割合が異なるため、注意が必要です。自宅敷地との一体性や利用実態の説明がポイントといえるでしょう。

小規模宅地等の特例を適用するには、細かな条件を満たす必要があります。より確実な適用を目指す場合は、税理士などの専門家に相談し、適切な判断を仰ぐことをおすすめします。

まとめ

青空駐車場は、一般的に馴染み深い形式ですが、駐車場利用時や経営時にはさまざま注意も必要です。また、一般的に節税のメリットがない青空駐車場経営ですが、アスファルト舗装など一定の条件を満たすことで、相続税の節税になります。青空駐車場を経営する場合には、専門家等に相談しながら進めていきましょう。

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