建ぺい率とは。容積率や接道義務についてや土地活用方法も解説!

新しく建物を建てる際は、建ぺい率や容積率、接道義務などの制限やルールを守る必要があります。土地があっても、場合によっては建物の建設に適さない場合があるため注意が必要です。ここでは、建ぺい率や容積率、接道義務などの制限について解説し、住居以外の土地活用方法もご紹介します。

建ぺい率とは。容積率や接道義務についてや土地活用方法も解説!のイメージ

目次

  1. 1建ぺい率とは
  2. 2建ぺい率とセットでおさえたい、容積率とは
  3. 3用途地域によって建ぺい率と容積率は異なる
  4. 4建ぺい率と容積率は条件が緩和されるケースも
  5. 5建ぺい率違反の罰則について
  6. 6家を建てる場合には接道義務もおさえておく
  7. 7再建築不可物件とは
  8. 8他の建築制限についてご紹介
  9. 9住宅建設ではなく違う方法で土地活用する方法
  10. 10駐車場経営もおすすめ!
  11. 11まとめ

建ぺい率とは



これから住居などの建物を建てる場合、大きさは重要なポイントでしょう。ここで重要なのは、建ぺい率です。建ぺい率とは、「その敷地のうちどのくらいの割合を建物の面積に充てることができるのか」を指すもので、これを無視することはできません。
つまり、敷地面積をめいっぱい使って建物を建てることは難しいかもしれない、ということです。建ぺい率は全国一律ではなく、地域によって制限が異なります。その目的は、災害の防止、日当たりの確保などとしています。

建ぺい率の計算方法


建ぺい率の計算はとてもシンプルです。理想とする建物の面積と敷地面積が分かれば簡単に求めることができます。計算式を見てみましょう。
 

建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100

ここでいう建築面積とは、建物を真上から見た場合の面積です。2階や3階のある家なら、最も面積が多い階の面積を計算式に当てはめます。
どのくらいの大きさが建てられるのか把握したい場合は、まずその土地の建ぺい率を先に確認しましょう。すると、敷地面積から建物に使える土地の広さを知ることができます。例えば、建ぺい率40%のエリアで敷地面積100平米の土地を持っていた場合、建物に使える広さは40平米までということになります。

建ぺい率とセットでおさえたい、容積率とは

建ぺい率と容積率は、どちらも建物の大きさに関わる重要な指標となります。容積率は、「その土地に建てられる建物の延床面積」を指し、建ぺい率と同様に地域ごとにその割合が変わります。
建ぺい率の計算では、予定する建物の一番広いフロアの面積をもとに基準内かどうか確認しますが、容積率は「延床面積」で計算します。延床面積の制限は、地域によって50%~1300%まで非常に大きな差があるため、高階層の建物を建てる場合は特に注意が必要です。

容積率の計算方法



容積率の計算は、予定する建物の面積と敷地の面積だけで計算することができます。計算式はとてもシンプルです。
 

容積率(%)=延床面積÷敷地面積×100

例えば、敷地面積100平米の土地に延床面積200平米の家を建てると仮定します。この計算式に当てはめると、容積率は200%です。
もし、どのくらいの大きさの家が建てられるのか、その限度を知りたい場合にもこの計算式は役立ちます。その場合に必要なのは、その土地の容積率の基準と、敷地面積です。仮に、容積率150%のエリアで敷地面積が150平米の場合は、延床面積150平米までの家を建てることが可能ということです。

用途地域によって建ぺい率と容積率は異なる

建ぺい率や容積率は、地域によって異なることをご紹介しました。もう少し詳しく見ていきましょう。

用途地域とは

まず、建ぺい率や容積率を決める上で欠かせないのが、「用途地域」についてです。用途地域とは、その土地をどのように使うのか、行政により利用目的が定められている地域のことで、全部で13種類にも分かれます。例えば、「商業地域」や「工業地域」、「住居地域」などがあります。
住宅は、「住居地域」でなくても建てることができますが、唯一「工業専用地域」だけ建てることができません。ただ、建ぺい率や容積率は、この用途地域によって大きく変わってくるため、これから家を建てるために土地を検討している場合には慎重な判断が必要になってきます。

代表的な用途地域ごとの制限の違いについて

ここからは、住居の建設が可能な用途地域のうちのいくつかをご紹介します。制限の違いについて確認してみましょう。

第一種低層住居専用地域

2階建てくらいの低層住宅が快適に暮らせる環境を保護する地域となっています。基本的には、閑静な住宅街となっており、その他には診療所や小・中学校、飲食店などの日常生活に関する小さめの店舗も建てることが可能です。

第二種低層住居専用地域

こちらも、主に低層の住宅に良い環境を保護している地域です。第一種では認められていない、150㎡以下のコンビニなどの店舗も建設できます。第一種低層地域よりも生活の利便性を感じやすいかもしれません。

第一種中高層住居専用地域

3階建て以上の、中高層住宅に良い環境を保護する地域です。中規模のマンションが並ぶエリアは、この用途地域に該当するでしょう。大学や病院、500㎡以下の店舗等を建てることもできます。

第二種中高層住居専用地域

こちらも中高層住宅に良い環境を保護するエリアですが、その他の建物については1,500㎡までの店舗等も可能になります。したがって、病院や小規模のスーパーマーケットなども建設可能です。ただし、工場や遊戯施設等については建てることができません。

第一種住居地域

住居に加えて、3,000㎡以下の店舗等、ホテル・旅館などを建てることが可能な地域です。50㎡以下であれば、工場も建設可能。条件付きではありますが、遊戯施設も建てられます。これまでに見てきた住居専用地域よりは、色々な種類の建物が混在しています。

第二種住居地域

住居に加えて、10,000㎡以下の店舗等を建てることが可能な地域です。第一種住居地域で建てられる建物に加え、カラオケ店やパチンコ店といった遊戯施設も含まれ、より賑やかになりやすいエリアです。環境への影響が少なければ、小規模の工場も認められます。

準住居地域

幹線道路沿いなど、利便性と住環境が調和しているエリアです。道路沿いという特徴から、店舗や倉庫、小規模の映画館。小規模の工場などが建設されることも多いです。

田園住居地域

住宅と農地が調和しているエリアです。良好な住環境だけでなく、営農環境も整っている点が特徴で、住宅以外には生活に必要なさまざまな建物も建設することが可能となっています。

参照:
みんなで進めるまちづくりの話-国土交通省
田園住居地域 - 公益社団法人 全日本不動産協会

 

用途地域は全部で13種類あり、それぞれ環境が異なります。土地を選ぶ段階で、用途地域別の特徴をよく知り、どのような場所で暮らしたいのかを検討されることをおすすめします。

建ぺい率と容積率は条件が緩和されるケースも

建ぺい率や容積率は、用途地域により制限がありますが、場合によっては条件が緩和されることもあります。

建ぺい率の緩和措置

建ぺい率は、要件を満たす場合には緩和措置として基準よりも多くすることが認められる場合があります。具体的に見ていきましょう。

角地緩和

建物を建てる土地が、特定行政庁の指定する角地にあたる場合、基準の建ぺい率よりも10%多く加算されます。したがって、仮に建ぺい率60%のエリアでも、要件を満たす角地なら70%まで認められるということです。
なお、特定行政庁とは、建築に関する専門的な業務を行う職員が設置されている自治体のことをいいます。


参照:角敷地における建蔽率の緩和(角地緩和)、隅切りについて|八王子市公式ホームページ
 

防火地域内にある耐火建築物による緩和

繁華街など、特に火災防止に注力しなければならないエリアは、「防火地域」として厳しい建築制限が行われています。この防火地域において、耐火性能の高い耐火建築物を建てる場合は、10%の建ぺい率の緩和が受けられます。つまり、この要件を満たせば、建ぺい率60%の防火地域内で建ぺい率70%までの建物が建てられるということです。
なお、この場合においても角地緩和の適用が可能なため、両方の要件を満たせば計20%の緩和となります。
もし、耐火建築物のある建物の敷地が、防火地域とそうでない地域をまたぐ場合、その敷地にある建物のすべてが耐火建築物であれば建ぺい率緩和の適用となることも覚えておくと良いでしょう。
さらに、建ぺい率80%の防火地域内で耐火建築物を建てる場合は、建ぺい率の制限がなくなります。つまり、建ぺい率100%でも問題ないということです。都市部のビル街など、建物と建物の間にほとんど隙間がないのは、この条件を満たし建ぺい率100%で建てられていることの表れです。

参照:
建ぺい率・容積率の緩和と建築確認の改正について | 東京/大阪の宅建登録実務講習・宅建登録講習【日本宅建学院】
【宅建過去問】(令和02年12月問17)建築基準法 – 過去問徹底!宅建試験合格情報
 

建ぺい率・容積率に上乗せされない緩和規定



建ぺい率や容積率は、家の大きさに関わる重要なポイントとなります。これから家を建てる人の中には、「建ぺい率や容積率の範囲内でできるだけ大きな家を建てたい」と考える方もいるでしょう。
土地のあるエリアによっては、建ぺい率や容積率の制限が厳しく、理想とする家の大きさが確保できないかもしれません。ただ、間取りによっては、建ぺい率や容積率の緩和が適用されるケースもあり、こうしたルールを踏まえておくとゆとりのある住まいも実現しやすくなるでしょう。
代表的なのは、バルコニーやベランダ、ひさしの扱いです。これらは、建物の外壁から突き出たとしても1m以内であれば建築面積に含めずに計算することが可能です。地下室においては、その広さが建物全体の1/3までなら容積率の計算からはずせます。ロフトや吹き抜けについても、こうした緩和規定があるため、工務店等に確認されることをおすすめします。

建ぺい率違反の罰則について



もし、建ぺい率を違反して建物を建ててしまった場合、建築基準法違反として罰則を受けることとなります。なぜなら、安全や衛生、防災などの面で問題になる可能性があり、所有者だけでなく周辺の住民にも不利益が生じる恐れがあるからです。建築基準法に則っていない違反建築物は、行政から徐却や使用禁止といった命令を受けることがあります。
実際は、まず行政指導によって違反の是正を求められるのが一般的です。これを無視すると、強制力のある行政処分を受けることとなり、それにも従わずにいると刑事罰が科される可能性があります。違反の是正がクリアになるまで、ライフラインの供給が保留されるなど、建物の使用そのものが難しくなる手続きがとられることもあり、早めの対処が不可欠です。
この違法建築物の是正の責任は、建築主・施工業者・建築物の所有者などが受けることとなり、これに関与した工事の関係業者は業務停止や営業許可の取り消しなどの処分も発生する可能性があります。新たに取得する建物が違反建築物だった場合、その新たな所有者が是正に応じなければならないこともあるため、きちんと確認しておく必要があるでしょう。
なお、中古の物件を取得したい場合は、「既存不適格建築物」についても知っておくと安心です。昔に建てられたものは、今の建築基準法ではなくその当時の法律に則っています。つまり、法律が変わることで、昔は問題なかった建物が今の建築基準法には適合しないケースもあるのです。これについては、違反建築物とは区別し、「既存不適格建築物」に該当します。
したがって、既存不適格建築物の場合は、今の法律には適合しなくても罰則は受けません。増改築や大規模修繕などをする時に、現行の規定に適合させれば良いというルールです。

参照:建築基準法違反となる違反建築物とは? 行政処分や罰則、責任の所在
 

家を建てる場合には接道義務もおさえておく


家を建てる際には、道路と敷地に関するルール「接道義務」についても押さえておきましょう。
 

接道義務とは

接道義務とは、建築基準法第43条「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない」という決まりのことを指します。

この接道義務によって、道路に2メートル以上接していない敷地への建物は新しく建てることができません。言い換えれば、奥まったところに広い敷地がある場合でも、道路に面する部分が2メートル以上あれば建てられるということです。

参照:建築基準法 | e-Gov法令検索(第四十三条)

接道義務の目的

接道義務は、人の命や暮らしの安全性を高めるために決められているルールです。火災や急病人が発生したとき、消防車や救急車が通れる通路がなければ、救助活動が遅れてしまう可能性があります。また、地震や台風、大雨などで避難が必要な時の避難通路も必要です。

接道義務の例外

道路に2メートル以上接していない敷地でも、建物の建て替え時には例外が認められるケースもあります。細かな要件については、特定行政庁により違いもあるため、詳しくは市区町村などに確認しましょう。

再建築不可物件とは



昔からある建物を取り壊して建て直したい場合、再建築ができる土地かどうかを確認しておく必要があります。昔の法律では問題なかった建物が、現行の法律では適合しないケースがあるということです。こうした物件のことを、「再建築不可物件」と呼びます。
先ほどご紹介した接道義務もまた、再建築の可否に関わる重要なポイントです。再建築不可物件に該当する場合、建物を解体して更地にしてしまうと新しい建物が建てられなくなります。したがって、その土地に住み続けたい、かつ家屋を良い状態に変えたい場合は、リフォームやリノベーションで対応することとなります。

参照:
空き家ものがたり 「空き家発生の原因としての再建築不可物件とは」|日本建築学会 住まい・まちづくり支援建築会議委員

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再建築不可物件に家を建てる方法

再建築不可物件では、更地にして家を建て直すことはできません。ただし、土地の条件に手を加えると、通常の土地活用ができるようになる可能性があります。

自分の土地に私道をつくる

敷地が大きく、何分割かして宅地造成をする場合によく用いられる方法です。この場合、敷地内の奥部分にあたる土地は道路から離れてしまうため、「私道」という位置指定道路を敷地内につくって接道義務を満たします。これには、自治体への申請と許可が必要になります。

セットバックをする

建築基準法では、「道路」の幅員は4メートル(指定区域では6メートル)という規定もあります。これに満たない場合は、敷地自体を後退させてもともとの自分の敷地を道路として使う、セットバックという方法があります。ただし、セットバックをすると住居に使える敷地が減り、セットバックした部分は公道になります。

参照:セットバックとは|不動産用語集|三菱UFJ不動産販売「住まい1」

 

隣地の買う・借りる

接道義務を満たすために必要なぶんだけ隣地を購入したり借りたりするという方法もあります。ただし、これは専門的な知識のある人を含めた交渉でなければ、相手との理解の行き違いなどでトラブルのもとにもなるため、ハウスメーカーや建築会社、不動産会社などに代理人になってもらいましょう。

「43条但し書き」の許可を得る

接道義務の本来の目的である、緊急車両の乗り入れ幅の確保や住民の安全性の確保などが満たされるのであれば、接道義務がクリアできていない土地でも例外が認められる場合があります。これを、「43条但し書き」といいます。
「43条但し書き」がクリアできるかどうかは、自治体の建築審査会の判断による部分でもあるため、まずはハウスメーカー等の意見を聞いてみましょう。

参照:第43条第2項に基づく認定・許可の取扱い | 東京都都市整備局

他の建築制限についてご紹介

建築に関する制限は、建ぺい率や容積率ばかりではありません。その他の制限についても基準を満たす必要があります。
 

  • 絶対高さ…建物の高さの制限
  • 道路斜線制限…前面道路の通風や採光確保のための制限
  • 北側斜線制限…敷地の北側にある道路や隣接地の通風、採光を確保するための制限
  • 隣地斜線制限…隣の敷地の通風、採光を確保するための制限
  • 日影規制…土地周辺の日照を確保するための制限

これらの制限があることで、自宅やその周辺の住居がともに快適に暮らせる環境が守られています。

住宅建設ではなく違う方法で土地活用する方法

土地は、家を建てる以外にもさまざまな活用の仕方があります。活用の仕方によっては十分な資金源となり得るため、需要を考慮しながら使い方を考えてみてはいかがでしょうか。家を建てる以外の土地活用の例をいくつかご紹介します。

シェアオフィス

自由な働き方を好む人が増え、リモートワーク可能な企業も多いことから、シェアオフィスの需要が高まっています。設備はマンションなどに比べるととてもシンプルで初期投資が少ないのもメリットです。リモートワーカーを対象にするという特性上、エリアを問わず収入が得られやすいでしょう。

トランクルーム

トランクルームは、初期投資が少なく維持費もかかりにくいため、管理にたくさんの時間が割けない人にも便利な活用方法です。住宅街の近くや交通量の多い道路沿いなら、特に需要もあるでしょう。

店舗

道路沿いの土地なら、店舗としての需要も多くなります。飲食店や小売店を開きたい人にとっては、道路沿いの土地は好条件です。そうした人に土地を貸すのも良いでしょう。

貸し農園

都市部・郊外問わず一定の需要があるのが、貸し農園です。建物を建てるよりも初期投資が少なく、リスクも抑えやすいでしょう。複数人に貸し出す場合は区画の整備なども必要になり、どこまでお世話をするのかによって管理にかかる手間も変わりますが、必要なら管理会社に委託という方法もあります。
 

▼土地の活用方法についての詳細はこちらもチェック
土地活用を楽しもう!面白い土地活用方法や注意点を紹介

 

駐車場経営もおすすめ!

空いた土地の活用方法で、特におすすめなのが駐車場経営です。駐車場の場合、必要な広さは車1台分以上であり、変わった形状をしていても問題ありません。建物を建てるわけではないため、初期投資が少なく維持費も安くて済みます。
駐車場経営をする場合、コインパーキングと月極駐車場の2択があります。コインパーキングの場合、時間の管理や料金の支払いのための設備投資が必要ですが、稼働率が高い場所なら収入も高くなりやすいです。一方、月極駐車場の場合、利用者と契約を結び貸し出すため、おおよそ収入の上限が決まってしまいます。しかし安定した収入を得やすくコインパーキングほどの設備が要らない点がメリットです。

「本格土地活用」特集ページ|駐車場経営を始めてみよう
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まとめ

建物の建設にはいくつかの制限やルールがあり、建ぺい率や容積率はその一部に過ぎません。これから家を建てるために土地の購入も検討していきたい方は、建ぺい率や容積率、その他の制限などをしっかりと把握して検討するようにしましょう。こうした専門的な判断は、ハウスメーカーや不動産業者などのアドバイスをもとに行うと安心です。土地活用の方法に悩んでいる方は、住居以外の選択肢も含めて検討していきましょう。

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