2021年09月01日公開
2025年07月24日更新
事前精算機とは?仕組みやメリット・デメリット、注意点も詳しく解説
大規模な駐車場には、事前精算機が設置されていることがあります。この記事では、事前精算機の役割や利用することによるメリット・デメリットを解説します。また、事前精算機利用時の注意点や、事前精算機の仕組みなど、関連する知識も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

事前精算機とは
事前精算機とは、出口の精算機とは別に設置されているものです。主に、大型の自走式立体駐車場においては、エレベーター室や駐車場に通じる渡り廊下等に設置されています。駐車場利用者が事前精算機を使うと、出口での精算手続きを簡略化できスムーズに出庫できます。
事前精算機は大きく2種類あります。一つ目は、入庫時に駐車券が発行される駐車場です。出庫時に事前精算機に駐車券を入れると、その時点までの利用時間に対する料金が表示されます。料金を精算するとその駐車券は一旦手元に戻されます。その後、出庫時に出口の精算機にその駐車券を投入すると、駐車バーが上がり出庫できる仕組みになっています。
もう一つは、車両ナンバー読み取り型の駐車場です。入庫時に車両ナンバーを読み取り、出庫時に事前精算機で精算すると、出口ではその車両は精算済みであると機械が認識しているため、出口での操作は何もなく駐車バーが上がる仕組みの駐車場です。尚、この方式でも駐車券は必要ですが、出庫時に駐車券の投入がないことが先述の方式との違いです。
尚、事前精算機利用後の出庫には、時間制限があります。時間制限が何分後であるかは、駐車場により異なりますが概ね30分以内の設定となっています。
次項にて、事前精算機の種類と具体的なメリット・デメリットを見ていきましょう。
事前精算機の種類
事前精算機には、さまざまな種類があります。スタンダードなものは、硬貨と1,000円紙幣のみで精算ができる機種です。ここに、5,000円や10,000円の高額紙幣も対応できる機能や、交通系ICカードでも精算できるオプションを追加できます。
また、機種によっては、以下のような機能が搭載されている事前精算機もあります。
- 釣銭の自動循環機能
- 大型ディスプレイ
- 音声ガイダンス付き
- 屋外対応の防塵、防水仕様 など
釣銭の自動循環機能があることで、支払時に投入された硬貨や紙幣を釣銭として再利用できるため、釣銭補充の手間や頻度を大幅に軽減できます。また、大型ディスプレイが搭載されていることで料金や操作内容が大きく表示されるため、高齢者や初めて利用する方でも安心して利用できるでしょう。
さらに、操作手順を音声で案内してくれるタイプもあり、屋外設置に適した設計を行うことで、雨風やほこりに強く、長期的な運用が可能なタイプもあります。
事前精算機のメリット
事前精算機のメリットを挙げていきます。
- 出口での精算手続きがなく、スムーズに出庫できる
- 出口の渋滞防止
- 利用時間が余計にカウントされる心配がない
まずは、出口での精算手続きがなくなることでスムーズに出庫出来ます。このような大型の駐車場でネックになるのは、出口での精算です。車の運転が苦手な人にとっては、精算機に車を近づけるのもおぼつかない様子のことがあります。また、車に乗りながら精算機で料金を支払う行為が、意外と時間が掛かります。
更に、万が一小銭や紙幣がなかったり、駐車券をなくしたりしていることが精算時に発覚してしまえば、精算手続きができずに後続車に迷惑が掛かることもあります。よって、事前精算機を利用することは、利用者のあらゆるネックを解消してくれるのです。
次に、出口での精算がないので渋滞を防止できます。仮に出庫する際に、出口が渋滞していたらドライバーはイライラするでしょう。また、事前精算機がなければ渋滞に費やした時間もカウントされてしまうのです。
事前精算機のデメリット
事前精算機はさまざまメリットがある反面、いくつかのデメリットも存在します。
- 支払い忘れによる出庫トラブルの可能性
- 精算機までの移動が必要
- 導入、設置コストがかかる
まずは、利用者側のデメリットとして、事前に精算を済ませていないと出庫できないという点があります。特に、初めての利用者は事前精算の存在に気づかず、出口で精算機がないことに戸惑うケースもあるでしょう。また、駐車場によっては精算機の場所が分かりづらく、探し回ることになる可能性も考えられます。
さらに、運営者側のデメリットとしては、精算機の導入にあたり初期費用や設置スペースの確保が必要になる点が挙げられます。加えて、ICカードやQR決済対応の多機能タイプを導入する場合、コストがさらに高くなることもあるため、導入判断には慎重な検討が求められます。
このように、事前精算機は利便性が高い一方で、利用者・管理者双方に一定の注意点があることも理解しておきましょう。
事前精算機の仕組み
ここでは、車両認証型の駐車場で事前精算機を使った場合の仕組みとして、以下を解説します。
- ゲートが自動で開く理由
- 車番認識システムの駐車場以外での活用方法
ゲートが自動で開く理由
このような駐車場には、車両ナンバーを読み取るカメラ、駐車場の管理サーバー、駐車ゲートで構成されています。入庫時に利用者が駐車券を受け取りますが、このときに車両ナンバーが読み取られ、瞬時に管理サーバーに登録されます。
その後、出庫時に事前精算機を利用すると、管理サーバーに精算済みであることが登録されます。したがって、精算済みであるナンバーと、出口から出庫時に読み取ったナンバーを管理サーバーで照合し、精算済みであれば駐車バーが上がる仕組みになっています。
尚、車両ナンバーに汚れがあったり、曲がっていたりするなどして読み取れない場合、精算済みの駐車券を出口の精算機に投入することで出庫できます。
車番認識システムの駐車場以外での活用方法
ここでは車番認識システムが、駐車場以外で活用されている実用例を挙げていきます。
- Nシステム
- オービス
Nシステムは、警視庁が主に犯罪捜査の為に設置している、自動車ナンバー読み取り装置です。主に、高速道路や幹線道路など全国の道路に約1,500箇所設置され、そのデータは警視庁に保管されています。Nシステムは、通過した車両のナンバーや運転者の顔を撮影しています。
もう一つが、オービスです。オービスは、スピード違反を取り締まる機器で、こちらも高速道路や幹線道路に設置されています。オービスは速度違反者が通過すると、ナンバーと運転者の顔を撮影します。
これらの他にナンバー読み取りシステムは、道路の交通調査用として使用されています。新規道路整備の効果検証として使われ、他の道路に転換した交通量の割合や所要時間など基礎データ収集に活用されています。
事前精算機を使用する際の注意点
ここでは、事前精算機を使用した際の注意点について、以下の3つを紹介していきます。
- 事前精算後に時間経過したときの対応
- ナンバープレートを読み取らないときの対応
- ご当地ナンバープレートに対応していない可能性
事前精算後に時間経過したときの対応
事前精算機を利用した後は、出庫に時間制限があります。何分後までに出庫すればよいのかは、駐車場により設定が異なりますが、仮にこの時間制限を超えてしまった場合はどうなるのでしょうか?
時間制限を超えてしまった場合、超過した時間分の駐車料金が出口の精算機で表示されるので、所定の料金を支払うことになります。よって、事前精算機を利用した後は、素早く出庫する必要があります。
ナンバープレートを読み取らないときの対応
ナンバープレートが折れて曲がっていたり、汚れていたりするなどしている場合、車両ナンバーが読み取れないこともあります。このような時は、精算済みの駐車券を出口の精算機に投入することで出庫できます。
ご当地ナンバープレートに対応していない可能性
ご当地ナンバープレートは、地域・観光振興の目的から、全国的に知名度が高い地名をナンバープレートに使用しているものです。2006年から導入されており、代表的なのは「富士山」ナンバー等です。このようなご当地ナンバーには、図柄が入りのものがあります。
一部、駐車場ではこのようなご当地ナンバーに対応していない可能性もあるので注意が必要です。
事前精算機に関するよくある質問
最後に、駐車場の事前精算機に関するよくある質問に回答します。
事前精算機を初めて利用する方や少しでも利用時の不安がある方は、利用前に確認をしておきましょう。
駐車場の事前精算機の使い方は?
事前精算機の基本的な使い方は、以下の通りです。
- 駐車券を挿入、または車両ナンバーを入力する
- 料金を確認する
- 支払い方法を選択して精算する
- 領収証の発行や出庫可能時間を確認する
支払い方法については、現金・交通系ICカード・クレジットカード・QRコード決済など、複数の決済方法が用意されている機種もあります。
精算後は、レシートまたは領収書が必要な場合はその場で発行可能です。また、出庫可能時間(例:30分以内)が画面や駐車券に表示されることがあるため、必ず確認をしておきましょう。
事前精算機は何分後まで出庫できますか?
事前精算機での支払い完了後、無料で出庫できる猶予時間は、一般的に「15分〜30分程度」に設定されている駐車場が多いです。
これは駐車場の運営会社やシステムによって異なり、一部の施設では60分まで猶予があるケースもあります。
もしこの猶予時間を過ぎてしまうと、追加料金が発生し、再度事前精算機または出口の精算機で支払いを行う必要があります。特に、大型商業施設やイベント時などの出庫が混雑するタイミングでは時間のロスが発生しやすいため、精算後は速やかに車へ戻り、出庫をしてください。
駐車場の事前精算をしないとどうなりますか?
事前精算が必要な駐車場で精算せずにそのまま出庫しようとすると、出口ゲートが開かず、出庫できない仕組みになっています。
その場合は、以下のような対応が必要です。
- 一旦車を脇に寄せ、精算機の場所まで徒歩で戻る必要がある
- 後続車がつかえて迷惑をかける可能性がある
- 管理センターに連絡し、対応を依頼するケースもある
また、近年ではナンバー認識システムを採用している駐車場も多く、駐車券が不要なタイプであっても精算手続きは事前に済ませておく必要があります。
表示案内がある場合は必ず確認し、初めての駐車場では入庫時に「出口精算式」か「事前精算式」なのかを把握する習慣をつけておきましょう。
まとめ
事前精算機は、従来の出口精算方式と比べて利便性に優れたシステムといえます。
特に、運転に不慣れな方や出庫時の混雑が気になる方にとっては、スムーズに出庫できるという安心感があります。また、出口での精算渋滞を軽減できる点も大きなメリットといえるでしょう。
設置台数はまだ限られているものの、今後の認知拡大などにより、より多くの駐車場で導入が進む可能性が高いと考えられます。駐車場経営を検討する際には、こうした事前精算機の導入も視野に入れることで、利用者満足度の向上やトラブル回避などにも繋がることが期待できるでしょう。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。