サブリース契約とは?土地活用でのメリット・注意点・トラブル対策

サブリース契約とは、土地や建物などの物件を貸して、借主に転貸によるサービスを認める契約です。サブリース契約は賃貸による不動産投資でよく用いられている方法ですが、メリットもデメリットもあるので注意が必要です。この記事ではサブリース契約とは何かをわかりやすく解説します。サブリース契約によってトラブルが起きている場合もあるので、トラブルの内容や対策方法も紹介します。

サブリース契約とは?土地活用でのメリット・注意点・トラブル対策のイメージ

目次

  1. 1サブリース契約とは
  2. 2サブリース契約のメリット
  3. 3サブリース契約の注意点
  4. 4サブリース契約のトラブル対策
  5. 5サブリース契約の土地活用なら駐車場経営がおすすめ
  6. 6まとめ

サブリース契約とは

サブリース契約とは、土地や建物などの物件を不動産会社やサブリース会社に賃貸し、借主にその経営を任せる契約のことです。この契約では、物件の所有者が不動産の経営を一括で委託し、一定の賃料を受け取る仕組みで不動産投資を行います。サブリース契約は、マンションやアパートで主に利用されますが、コインパーキングやトランクルームなどのさまざまな種類の経営方法も選ぶことができます。

サブリース契約と管理委託の違い

土地や建物の管理や経営を不動産管理会社などに任せる方法として、管理委託があります。管理委託では、業務内容を選んで契約したり、複数の会社を組み合わせて委託したりすることが可能です。一方で、サブリース契約は包括的に一つの会社に経営を委託します。サブリース契約では賃料保証付きの契約も可能ですが、管理委託では基本的に賃料収入に対して一定の割合で手数料を支払う仕組みです。

サブリース契約と自己管理の違い

不動産経営は自己管理も可能です。自己管理は、不動産の入居者管理や建物管理などの一切の業務をオーナー自身が行う方法です。サブリース契約とは異なり、自己管理では手数料の支払いがありません。しかし、経営戦略の策定、建物の設計、経営開始後の管理業務などをすべて自分で対応しなければならないため、負担が大きい方法です。専業でマンション経営を行っている人もいますが、副業として行う場合には業務負担が厳しく、続けるのが難しくなることがあります。

サブリース契約のメリット

サブリース契約は不動産経営を気軽に始められるメリットがあります。ここではサブリース契約で不動産経営をするメリットを解説します。

管理負担を最小限にできる

サブリース契約は一つの会社にすべての管理業務を任せられるので、不動産経営の管理業務の負担を最小限に抑えられるメリットがあります。管理委託で複数の会社に依頼するとそれぞれに委託する内容を分けて管理する必要がありますが、サブリース契約にすればまとめて依頼できるので簡単です。料金の徴収やクレーム対応などのトラブルになりやすいこともプロとして対応してくれるため、安心して不動産を活用できます。

賃料保証で安定した賃料を得られる

賃料保証が設定されているサブリース契約をすると、安定した賃料を受け取れるのがメリットです。賃料保証とはサブリース会社が転貸して利益を得た金額によらずに、一定の金額の支払いを受けられる保証です。サブリース契約では基本的に貸主に賃料を支払う仕組みなので、賃料保証によって賃貸経営の利益・損失によらない賃料での契約ができます。

例えば、マンションをサブリース契約して全室が空室になったとしても賃料保証を設定すれば一定の賃料の支払いを受けられます。ただし、賃料保証の設定は義務ではなく、金額もサブリース先との相談で決まるので交渉が必要です。

長期契約をしやすい

サブリース契約は、長期契約を前提に運用することが可能です。不動産管理会社やサブリース会社は、サブリース契約を結んだ際に転貸し、賃料収入から利益を得る必要があります。そのため、長期的に利益を見込めるかどうかを契約の段階で慎重に判断します。これにより、契約が成立した場合、長期契約となることが多いです。

アパートローンを利用している場合でも、長期的な契約の重要性を理解してもらいやすいでしょう。

知識が少なくても始めやすい

不動産経営には知識が必要です。どの程度の収益性があるか、どのくらいの期間の経営ができるかといった資産をして収益計画を立ててから経営を始めるのが一般的です。しかし、サブリース契約をする際には、サブリース会社がシミュレーションを行い、利益を得られるかどうかを慎重に吟味します。契約後には運用計画や収益見込みが説明され、手数料も提案されることが一般的です。

この説明を受けることで、不動産経営が初めての人でも詳細を理解したうえで契約することができます。知識や経験がなく不安がある場合でも、収益性のある運用が可能かを理解したうえで不動産経営を始められるため、安心して始めやすい方法です。

サブリース契約の注意点

サブリース契約による不動産経営ではトラブルも発生しています。サブリース契約は見た目では便利で簡単に不動産を運用できるメリットがありますが、必ずしも成功するわけではありません。ここではサブリース契約をする前に押さえておきたいポイントを紹介します。

賃貸経営に直接関与できない

サブリース契約では賃貸経営は一括して任せるため、オーナーが直接経営に関与できないのが原則です。意見や希望を出すことはできますが、必ずしもサブリース会社がその通りに対応するわけではありません。サブリース会社はプロとして自社の利益を最大化するために経営方針を立てて運営しています。アパートの経営で建物を健全に保つためにリフォームして欲しいといった要望を出しても、受け入れてもらえるとは限りません。

他の経営方法よりも費用負担が大きい

サブリース契約は一般的に管理委託での経営よりも手数料の負担が高い傾向にあります。入居者管理だけ、建物管理だけといった形で管理業務を指定して契約できないためです。包括的に管理を任せるため、自己管理できるところは自分でおこなう形にはできず、全面的にサブリース会社に任せる必要があります。管理業務の範囲が広いので、個別業務を委託するよりも費用負担は大きいのが一般的です。

免責期間が設けられている場合がある

サブリース契約には一般的に免責期間が設けられており、この期間中は収入を得ることができません。通常、免責期間は1ヶ月から3ヶ月程度です。また、サブリース契約には再免責期間があり、退居があると免責期間が再度設定される場合もあります。免責期間中は賃料収入がないため、ローンを組んでいる場合には返済が難しくなることがあるので、注意が必要です

家賃が減額されることがある

マンションやアパートをサブリース契約で経営するときには家賃設定のルールを確認する必要があります。部屋ごとの家賃や空室率によらずに一定の賃料を受け取れる場合には問題になりませんが、家賃収入に応じて賃料の金額が決まる場合には家賃が変わると収入が変化します。サブリース会社が家賃を設定できる場合には、空室率が高くなったときに減額して集客するのが基本的な戦略です。想定していた賃料収入を得られなくなる可能性があります。

修繕費用は負担することが多い

修繕費用はサブリース契約をしたときにもオーナーが負担するのが一般的です。マンションやアパートの大規模修繕工事にかかる費用だけでなく、退居時のリフォーム費用もオーナーが支払います。修繕費用がかさんで経営継続が難しくなる場合もあります。大規模修繕工事では数百万円の費用負担になることもあります。退居時のリフォームでも経年劣化による修繕はオーナーの支払いになるため、資金を確保しておくことが必要です。

サブリース先が破綻する可能性がある

サブリース会社が破綻してしまい、不動産経営を続けられなくなる場合もあります。サブリース会社は不動産経営による利益を得なければ立ち行きません。管理業務にかかっている費用に対して利益が十分でないと経営不振になります。契約先のサブリース会社が倒産してしまい、突然自己管理で経営しなければならない状況になる場合もあります。新しいサブリース先を探して経営することもできますが、契約先が決まるまでは自己対応しなければなりません。

中途解約を申し込まれることがある

サブリース契約は中途解約をされる場合があります。サブリース契約は基本的に借主のサブリース会社が有利な内容になっていて、希望するタイミングで解約できる条文が盛り込まれています。サブリースで管理を全面的に依頼して30年間経営を任せ、長期ローンの返済をするといった計画を立てる場合もあるでしょう。想定外に10年で契約を中途解約されてしまい、その後の不動産経営で困るケースがあります。

オーナーからは契約解除が難しい

基本的に不動産の賃貸契約では借主が有利です。借地借家法でも借主を守るようにルールが定められています。サブリース契約でもオーナー側から契約解除をするのは難しいのが一般的です。正当な理由があれば契約解除が可能ですが、オーナーの自己都合で契約を解除することはできないのが一般的です。委託している管理業務に不備がある場合には契約を解除できる可能性があります。しかし、不動産経営をやめたくなったという理由では契約解除が困難です。

サブリース契約のトラブル対策

サブリース契約は不動産経営を始める方法として魅力があります。よくあるトラブルに対策して経営すれば成功できるでしょう。ここではサブリース契約のトラブルを踏まえて、具体的な対策方法を紹介します。

経営者としての自覚を持って取り組む



サブリース契約で不動産経営をすると、オーナーは管理業務を一切しなくても経営できます。ただ、経営者としての意識を持っていなかったためにトラブルが発生しているケースが多いので注意しましょう。サブリース先を選定したり、管理業務の状況の報告を受けたり、収益のレポートを求めて確認したりすることは重要です。

サブリース契約をすれば不動産経営の管理をまとめて委託できますが、あくまで不動産経営をしているのはオーナー本人です。サブリース先の管理に問題がある場合には提言や指摘をしたり、契約先を再考したりして利益を上げられるようにする必要があります。サブリースをしていれば放置で不動産経営ができるわけではありません。主体的に経営を進めていくことが成功のコツです。

賃料保証の条件を確認する

賃料保証はマンションやアパートのサブリース契約でよく設けられています。ただ、賃料保証の条件は契約事に異なるので、契約書を読んで確認しましょう。家賃保証率が低くて収益をあまり得られないといったケースもあります。賃料保証の内容が一定期間ごとに見直される内容の場合もあり、数年後には収益が下がる場合もあります。賃料保証の条件に納得できない場合にはサブリース会社との交渉が必要です。

免責期間を確認して交渉する

免責期間は賃料保証の内容と合わせて確認が必要です。サブリースではサブリース会社が不動産経営を開始する時点で入居者の募集や対応などの費用を負担します。すぐに入居者が集まらない場合もあるので免責期間を設けないと赤字になるリスクがあるのは事実です。免責期間を設けて、初期にかかる費用を工面するのが一般的になっています。再免責期間も利益を確保するために設定しているのが通例です。
ただ、免責期間も再免責期間も交渉次第ではなくしたり、短くしたりできます。契約書で免責期間を確認し、3ヶ月を超えるような長期で設定されているときには交渉するのがおすすめです。

契約解除の条件を確認する

サブリース契約の中途解除はサブリース会社はできる条件になっていますが、必ずしもオーナーは自由に解除できる契約になっているとは限りません。契約前にオーナーが契約解除できる条件を確認しましょう。一定期間の猶予期間を設けて契約解除を申し込めるようにするなど、不動産経営をやめたい、他のサブリース会社に変更したいと思ったときに解約できる内容にすると安心です。

修繕費用の負担先を明確にする

修繕費用はオーナーが負担する場合が多いですが、サブリース会社との交渉によっては負担してもらうこともできます。軽微な修繕はサブリース会社が負担し、大規模修繕はオーナーが負担するといった分け方も可能です。修繕費用をどちらが負担するかが明確になっていないとトラブルになるリスクが高いので、具体的なケースを挙げてどちらが費用を負担するかを契約書に明記しましょう。

賃貸住宅管理業者登録制度に登録している業者を選ぶ



マンションやアパートなどの賃貸住宅の経営でサブリース会社を選ぶときには、賃貸住宅管理業者登録制度に基づいて登録している業者かどうかを確認することが重要です。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の施行後、200戸以上の管理をする賃貸管理業を営む業者は登録が義務付けられています。

賃貸住宅管理業者は業務管理者の配置や管理委託契約前の重要事項説明、委託者への定期的な業務内容の報告などのさまざまな業務を求められます。契約先のオーナーが安心して利用できるサービスを提供するための基本を守っているので、トラブルが起こるリスクが低いでしょう。登録していない小規模の管理業者ともサブリース契約はできますが、国土交通省に登録している事業者の方が安心です。

参照:賃貸住宅管理業登録の方法 | 賃貸住宅管理業法ポータルサイト - 国土交通省
参照:管理業者の業務 | 賃貸住宅管理業法ポータルサイト - 国土交通省

信頼性を事前の打ち合わせで確認する

サブリース契約をするときには事前に打ち合わせをして信頼できる会社を選ぶことが重要です。サブリースをして適切な管理をできるかは実際に担当者と話をしてみると推察できます。入居者や利用者が不満を持ったときのクレームの窓口にもなるので、丁寧な対応をしているかを確認しましょう。

また、賃貸管理の実績の紹介を受けて、適正な管理ができるかを吟味することも大切です。サブリースでは賃貸経営の計画を確認して収益性がある事業を進められるかを考える必要もあります。事業計画の提案を受けて、利益の上がる経営を続けられるサブリース会社を選ぶことが成功につながります。打ち合わせの段階で詳しくヒアリングをして、納得して管理を任せられる会社と契約しましょう。

初期費用を抑える

サブリース契約で不動産経営をするときには初期費用を抑えるのがおすすめです。マンションを建築してサブリースする場合には、建築費として莫大な費用がかかります。不動産投資ローンで初期費用を工面して経営を始めるのが一般的です。しかし、もしサブリースでの経営が成功しなかったら、返済が難しくなってマンションを手放すことになりかねません。

サブリースでは少額費用で始められて、もしトラブルがあったとしても対応しやすい方法を選ぶと安心です。少額投資でサブリース契約による不動産経営の経験をしてから、大きな投資に踏み出すと成功しやすくなります。

サブリースで経営する事業を比較検討する


サブリース契約でできる不動産事業は増えているので、比較検討してトラブルが少ない事業を選ぶのがおすすめです。不動産の賃貸をすると多かれ少なかれ契約者とのトラブルは発生するリスクがあります。どのようなトラブルが起こり得るのかを把握したうえで選ぶことが大切です。

サブリース契約ではマンションやアパートなどの居住用物件の経営だけでなく、テナントやコインパーキングなども選択肢になります。立地によってはマンションよりも事業用のテナントの需要が高かったり、駐車場が不足していてコインパーキングが必要とされていたりする場合があります。需要のある事業を選んでからサブリース先を探すと、収益性の高い経営を実現できます。経営が安定するのでトラブルも起こりにくいでしょう。

サブリース契約の土地活用なら駐車場経営がおすすめ

サブリース契約はアパートやマンションだけでなく他の不動産でもできます。土地活用では契約先によって、どのような転貸による経営をするかが異なり、必要な初期費用や管理費なども違います。土地をサブリース契約で運用するなら駐車場経営をまずは考えてみましょう。

サブリース契約による駐車場経営で主流なのはコインパーキングです。駅前の土地やオフィス街、商店街などに近い土地では需要が高いので、高い収益性を期待できます。サブリース契約ならコインパーキングの設備の設置や運営をすべてプロに任せられるため、安心して経営できます。初期費用も抑えられるので、遊休地を有効活用する方法としてもおすすめです。

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まとめ

サブリース契約とは転貸を前提として不動産を賃貸する契約です。土地やマンションなどの不動産を経営する方法としてよく用いられています。サブリースは経営状況によらずに一定の賃料収入を得る契約もできるのがメリットですが、トラブルも多いので契約内容を詳しく確認することが大切です。

サブリース契約をすると管理を一元的に一社に任せられるため、経営しやすいのも特徴です。不動産経営の経験がない人でも始めやすい方法です。土地活用では駐車場なら初期費用を抑えて気軽にサブリース契約で始められます。余剰の土地を有効活用できるので検討してみましょう。

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