2023年12月21日公開
2023年12月21日更新
固定資産税はいくらかかる?納税時期・減税方法・計算方法を紹介
固定資産税はいつ、いくら払うものなのでしょうか。一戸建てやマンションを買ったときには固定資産税を納める義務があります。この記事では固定資産税の計算方法や減税措置について詳しく解説します。
目次
固定資産税とは。いつ支払うか
固定資産税とは土地や建物、工作機械などの償却資産に対してかかる税金です。1月1日の時点での固定資産の所有者が納税の対象になります。固定資産税は地方税で、東京23区については東京都、他については市町村が徴収をしています。毎年5月前後に固定資産税・都市計画税納税通知書と固定資産課税明細書が送付されるのが一般的です。
固定資産税の納付は一括納付も可能ですが、年4回に分けて支払うこともできます。6月、9月、12月、2月に納付期日が設けられているのが一般的です。ただし、固定資産税の納付期日は自治体によって異なるので管轄の役所や、送付された資料で期日を確認しましょう。また、固定資産税の口座振替に対応している自治体が多いため、固定資産を持っているときには手続きを済ませておくと安心です。
なお、固定資産税は年の途中で土地の譲渡や建物の解体をしたとしても一年分を納めることになります。逆に、土地を1月2日以降に購入しても、法制上はその年は課税対象にはなりません。しかし、実際には物件の売買をしたときには所有権移転のときに固定資産税清算金を売主から買主に支払います。通常は日割り計算をして売主と買主の間で固定資産税を折半します。
固定資産税の基本的な計算方法
固定資産税は「課税標準額×税率」として計算するのが基本です。税率は標準税率が1.4%と定められている地域が多いですが、新築住宅や長期優良住宅などの場合には減額が認められています。ここでは固定資産の課税標準額を算出し、固定資産税の税額が決定されるまでの流れを解説します。
1.固定資産を評価
固定資産税の課税標準額を計算するには、所有している固定資産の価値を評価することが必要です。日本の税制では適正な時価を土地・家屋・償却資産という3つの区分に分けて評価しています。どの区分の固定資産でも総理大臣が定めた固定資産評価基準に従い、3年に1回の頻度で評価をし直します。
土地は売買価格の実勢価格や地価公示価格を参考にして評価額が計算されます。例えば、宅地であれば地価公示価格の7割が目安です。土地の固定資産税評価額は「固定資産税路線価×面積」として概算できます。
全国地価マップ | トップ
家屋は再建築価格を基準として、経年減点補正率と評点一点あたりの価額を用いて評価がおこなわれます。再建築価格とは新たに同じ家屋を建築するときにかかると想定される建築費です。経年減点補正率は経年劣化による価格の低下を定めた比率です。評点一点あたりの価額とは物価水準などによる影響による補正項です。
償却資産の場合には取得価格を基準として経年劣化による減価を計算して評価額とします。経年減点補正がおこなわれることで固定資産評価額は所有期間が長くなるほど小さくなります。
2.課税標準額
課税標準額は評価額に対して負担調整措置や特例を適用することで計算できます。例えば、土地の場合には負担調整がおこなわれていて、住宅が建てられている宅地には住宅用地の特例が適用されます。小規模宅地(200㎡までの部分)は固定資産税の課税標準額が1/6になり、一般宅地(200㎡を超える部分)は課税標準額が1/3になる特例措置です。自治体によって実施している軽減措置が異なるので、計算時には詳細を確認する必要があります。
3.固定資産税が決定
固定資産税は課税標準額に標準税率をかけることで計算できます。標準税率は1.4%が標準的です。ただし、市町村や都は必要があれば条例で税率を変更することができるので、地域の税率は確認した方が良いでしょう。また、都市計画税が課される地域では都市計画税も課税標準額に基づいて計算されます。都市計画税の税率は一般的には0.3%です。自治体からの通知では固定資産税と都市計画税が同時に請求されます。
参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
固定資産税の減税方法や特例
固定資産税は課税標準額の負担調整措置や税率の軽減ができる場合があります。固定資産税の減税方法や特例措置は、都や市町村が定めています。国税のように全国で一律の措置が取られているわけではないので、適用できる減税や特例の内容は役所の窓口やホームページなどで確認するのがおすすめです。例えば、東京都では以下のように固定資産税・都市計画税について土地・家屋と償却資産に分けて利用可能な特例や条例減額をまとめています。
東京都の場合:軽減制度 | 東京都主税局
ここでは固定資産税の代表的な軽減措置について説明します。
新築住宅減額
新築住宅減額は居住用住宅を新たに建てたときに床面積の要件等を満たすときに適用できる固定資産税の減額措置です。原則として初回の課税から合計3年分、3階建て以上の耐火建築物・準耐火建築物については合計5年分の固定資産税が減額対象になります。減額されるのは1戸あたり120㎡相当分までで、減額率は1/2です。
新築住宅減額を適用するには、50㎡以上、280㎡以下の床面積要件を満たすことが求められます。戸建て住宅だけでなく併用住宅でも居住部分の床面積が要件を満たしていれば減額対象になります。アパート、マンションでも居住部分の床面積に、階段や廊下などの按分を加算したときに要件を満たせば固定資産税の減額が可能です。賃貸経営をする場合には床面積要件が軽減され、40㎡以上、280㎡以下であれば減額を適用できます。
また、認定長期優良住宅の場合には減額措置が強化されます。要求される床面積要件は通常の新築住宅と同じです。しかし、要件を満たしていれば減額対象となる期間が通常は5年、3階建て以上の耐火・準耐火建築物では7年に延長されます。
参照:【家屋】5 新築住宅の減額は | 東京都主税局
バリアフリー改修工事をした住宅に対する減額
バリアフリー改修工事をした住宅に対する減額は、高齢者等居住改修住宅等の減額とも呼ばれる制度です。高齢社会に対応できる住宅へのバリアフリーリフォームについて、翌年度分の固定資産税を減額できます。固定資産税の減額率は1戸あたり100㎡相当分までの範囲で1/3です。以下の条件を満たしたときに減額を適用できます。
|
参照:バリアフリー改修工事をした住宅の固定資産税が減額されます―高齢者等居住改修住宅等の減額― | 東京都主税局
省エネ改修工事をした住宅に対する減額
省エネ改修工事をした住宅に対する減額は熱損失防止改修等住宅の減額とも呼ばれる制度です。断熱工事などによる冷暖房の効率を上げる省エネリフォームをしたときに、翌年度分の固定資産税を減額できます。固定資産税の減額率は1戸あたり120㎡相当分までの範囲で1/3です。以下の条件を満たしたときに固定資産税が減額されます。
|
参照:省エネ改修工事をした住宅の固定資産税が減額されます―熱損失防止改修等住宅の減額― |東京都主税局
住宅用地の特例措置
住宅用地の特例措置は居住用の目的で用いられている専用住宅と、併用住宅が建っている土地に対して適用できる固定資産税の減額特例です。住宅の床面積の10倍までの土地に対して適用できます。併用住宅の場合には居住部分の割合と家屋の種類に応じて50%・75%・100%の適用範囲になります。5階建て以上の耐火建築物の場合には固定資産税の減額条件がやや厳しくなりますが、一般的な戸建て住宅では居住部分が1/2以上なら100%、1/4以上1/2未満なら50%の適用率です。
住宅用地の特例措置では小規模住宅用地として認められる1戸あたり200㎡までの土地にかかる固定資産税の課税標準額が1/6に減額されます。200㎡を超える一般住宅用地に該当する部分については課税標準額が1/3になります。住宅用地の特例措置は都市計画税にも適用され、小規模住宅用地では1/3、一般住宅用地では2/3の減額率です。
参照:2.住宅用地の特例措置|東京都主税局
一戸建て、マンション、新築、中古で固定資産税って変わる?
固定資産税を減らす目的で物件の種類や新築か中古かを決めたいと思う方もいるでしょう。一戸建てかマンションか、新築か中古かによって固定資産税には違いがあるので簡単に解説します。
一戸建てとマンションでは固定資産税が異なる
一戸建てとマンションでは固定資産税に違いがあるのは、建物の構造が異なることと、土地面積の考え方が異なるからです。日本では一戸建ては木造が一般的ですが、マンションは鉄筋コンクリート造が主流になっています。この違いによって建物の経年減点補正率が異なるため、同じ築年数でも固定資産税に差が生じます。木造に比べて鉄筋コンクリート造の方が固定資産税が高くなるので注意が必要です。
また、マンションでは土地面積を戸数で割って按分します。そのため、相対的に一戸建てよりもマンションの方が土地面積が狭くなり、固定資産税評価額も低くなるのが一般的です。
新築と中古でも固定資産税が変わってくる
新築と中古でも固定資産税が違います。建物は経年劣化によって評価額が下がるからです。経年減点補正率は築年数が古くなるほど補正が大きくなる仕組みになっています。一定期間が経過すると同じ補正率になりますが、中古なら古い方が固定資産税が少なくなるのが一般的です。ただ、新築の場合には減税措置を適用できる場合があります。築年数が浅いうちは新築の減税効果が大きいため、中古よりも固定資産税が安くなる場合があります。
参照:経年減価補正率表
具体的な固定資産税の計算例
固定資産税について以下のような小規模住宅用地のケースで具体的にいくらになるのかを計算してみましょう。
<条件>
- 土地の固定資産税評価額:3,000万円
- 建物の固定資産税評価額:4,000万円
- 土地面積:100㎡
- 建物面積:80㎡
※ここでの計算は、土地の固定資産税評価額が一戸建て、マンションともに同じ評価額として行います。
このモデルケースでは土地全体に対して住宅用地の特例を適用できるため、土地の固定資産税は以下のようにして計算できます。
土地の固定資産税=3,000万円×1/6×1.4%=7万円 |
しかし、建物については種類や築年数によって経年減点補正率が異なります。ここでは木造の新築住宅と築30年の中古住宅、非木造の新築マンションと築30年の中古マンションの場合の固定資産税を計算します。
新築一戸建ての場合
新築一戸建てでは固定資産税は以下のようにして計算できます。新築住宅減額を適用したときの計算結果です。
家屋の固定資産税=4,000万円×1.4%×1/2=28万円 |
中古一戸建ての場合(築30年)
中古一戸建てでは築年数によって経年原価補正率によって固定資産税が異なります。法務局が公開している経年減点補正率表を用いて固定資産税を計算できます。築30年の木造住宅の場合には経年減価補正率は0.2なので、固定資産税は以下の通りです。
家屋の固定資産税=4,000万円×0.2×1.4%=11.2万円 |
参照:経年減価補正率表
新築マンションの場合
新築マンションの場合には新築住宅減額を適用することで、以下のように固定資産税を算出できます。
家屋の固定資産税=4,000万円×1.4%×1/2=28万円 |
中古マンションの場合(築30年)
中古マンションでは経年減価補正率表の非木造住宅に該当します。築30年の場合には経年減点補正率が0.3059なので、以下のように固定資産税を計算できます。
家屋の固定資産税=4,000万円×0.3059×1.4%=17.1万円 |
まとめ
固定資産税は土地や建物を所有していると、評価額に応じて納めなければならない地方税です。毎年5月前後に都または市町村から金額が計算された明細が送られてきます。約3ヶ月ごとに4回に分けるか、一括で納めるかを選ぶことが可能で、口座振替にも対応している自治体がほとんどです。減税できる特例もあるので適切に適用して節税を心がけることが大切です。固定資産税は基本的には課税標準額と標準税率からわかるので、いくらになるのかが気になったら計算してみましょう。
土地活用なら駐車場経営がおすすめ
土地は保有しているだけで固定資産税や都市計画税がかかります。土地を所有していても、何にも使わなかったら損失になってしまいます。相続などで土地を手に入れたときには有効活用しましょう。駐車場経営は土地活用の中でも少額投資でスタートできるのでおすすめです。駐車場経営は1ヶ月未満で経営を始められるので、使っていない土地がある場合は駐車場経営を検討してみてはいかがでしょうか。