2024年03月25日公開
2024年03月25日更新
軽量鉄骨の耐用年数は何年?減価償却費の計算方法と合わせて解説
軽量鉄骨はアパートによく用いられている鋼材です。土地活用として軽量鉄骨造アパートを検討する際には耐用年数を知ることが重要です。この記事では軽量鉄骨の耐用年数と減価償却費の計算方法を合わせてご紹介します。

軽量鉄骨の特性
軽量鉄骨とは厚さ6ミリ未満の鋼材です。厚さが6ミリ以上の場合には重量鉄骨になります。建築業界で一般的に用いられている用語で、法的な定義があるわけではありません。軽量鉄骨はアパートの建築でよく用いられている建材です。軽量鉄骨造と呼ばれる建物は主に軽量鉄骨を使用しています。
軽量鉄骨は安価で適度な耐久性を持っているのが特徴です。重量鉄骨に比べると強度が劣りますが、使用する鋼材の量が少ないので建築費用を抑えられます。軽量鉄骨造では柱、梁、ブレースを組み合わせて強度を高める技術もあり、耐震性や寿命の課題への対応も進んでいます。しかし、3階建て以上の建物の建設では強度の問題が生じやすいのが現状です。
軽量鉄骨のメリット
軽量鉄骨はアパートの建築で人気がある建材です。建築では軽量鉄骨以外にも木材や鉄筋コンクリートなどを使用できますが、軽量鉄骨が選ばれているのには理由があります。ここでは軽量鉄骨のメリットを解説します。
工期を短くしやすい
軽量鉄骨はアパートなどの建物の建築の工期を短くできるのがメリットです。建築技術が確立されていて、プレハブ工法のように工程を簡略化できる工法もあります。プレハブ工法ではあらかじめ工場で建材を用意し、現場では建材を組み上げるだけで建築が可能です。部材の組み合わせによってさまざまな広さの建物を建築できます。土地を早く有効活用したいときには軽量鉄骨が適している建材です。
建築費用を抑えやすい
軽量鉄骨は建築費用を削減しやすい性質があります。工期が短くなれば人件費を抑えられるので、建築工事全体の費用が低くなります。プレハブ工法などに用いられる軽量鉄骨は規格化されて大量生産されているため、材料費を抑えやすいのもメリットです。
土地活用を早く始めやすい
土地活用の方法として賃貸経営をするときには、軽量鉄骨造アパートにすると比較的速やかに賃貸を始められるのがメリットです。建築中も土地の固定資産税などの負担があるので、土地を手に入れたらすぐに経営できるのが理想的です。土地を貸したり、駐車場を作ったりするのに比べると時間がかかりますが、一般的には4~5か月でアパートを建てて経営を始められます。
品質の安定性が高い
軽量鉄骨は安定した品質で建築できるメリットのある建材です。汎用されている建材なので生産技術が確立されていて建材自体の品質が安定しています。JIS規格も建築用鋼製下地材(壁・天井)(JIS A6517)や一般構造用軽量形鋼(JIS G 3350)も定められています。
参照:
建築用鋼製下地材(壁・天井)JIS A 6517:2010
一般構造用軽量形鋼JIS G 3350:2017
長期経営をしやすい
軽量鉄骨造アパートは長期経営をしやすいのがメリットです。軽量鉄骨は肉厚の製品を使用すると耐用年数が長くなるからです。肉厚が6mmを超える重量鉄骨に比べると耐久性は低いですが、6mm以下の軽量鉄骨でも耐用年数が長いので木造より長期経営をしやすいでしょう。
空室対策をしやすい
軽量鉄骨造アパートの経営では家賃の調整による空室対策をしやすい面があります。軽量鉄骨にすると建築コストを抑えやすいので、初期投資額を減らすことが可能です。家賃を下げてもローンの返済を続けながら収益を上げられる可能性があります。
耐震性がある
軽量鉄骨造は耐震性があります。鋼材は比較的衝撃に強いのが特徴で、適度な軟らかさも兼ね備えているので地震の揺れに対する抵抗性がある建材です。鉄筋コンクリート造に比べると耐震性が低く、木造住宅よりは耐震性が高い傾向があります。地震による建物の倒壊はアパート経営に支障を来すので耐震性があるのはメリットです。
軽量鉄骨のデメリット
軽量鉄骨は建材としてデメリットもあります。木材や鉄筋コンクリートなどを使用して建築されることも多いのは軽量鉄骨に弱点があるからです。ここでは軽量鉄骨を使用するデメリットを紹介します。
通気性や調湿性が低い
軽量鉄骨造は木造に比べると通気性や調湿性が低いのがデメリットです。軽量鉄骨は木材のように水分を吸収して保持する性能がないため、自然に居住空間の湿度を調整する力が劣ります。室内環境を快適にするには冷暖房を効かせたり、加湿器や除湿器を使用したりすることが必要です。心地よく生活できる環境を作るために光熱費の負担が大きくなるリスクがあるのがデメリットです。
防音性が低い
軽量鉄骨造は適度な防音性がありますが、鉄筋コンクリート造に比べると防音性が高くありません。建材の比重が大きく、密度が高いほど遮音性が高くなります。軽量鉄骨は鉄筋コンクリートに比べると比重が小さく、密度が低いので騒音トラブルに注意が必要です。木造と比べても軽量鉄骨造の防音性能はほぼ同等です。気密性の高い設計をしたり、防音シートを使用したりするなどの対策が重要になります。
柱が多くなる
軽量鉄骨は柱が多い設計になるのがデメリットです。部屋の中に動かせない柱が多くなるため、間取りの自由度が低くなります。壁で建物を支える設計にすると、動かせない壁があって間取り変更のリフォームが困難です。一人暮らしの入居者のニーズが減ったから、部屋をつないでファミリー向けのアパートにしたいと思っても、簡単なリフォームで対応できないリスクがあります。
テナントを入れにくい
軽量鉄骨造のアパートの1階部分を店舗物件にしてテナントを入れるという経営方法もあります。ただ、軽量鉄骨では柱や壁が多くなるため、テナントを入れにくいのがデメリットです。店舗経営をするときには広々としていて商品棚などのレイアウトもしやすい物件が好まれます。同じ広さの店舗物件でも柱の多い軽量鉄骨造と柱のない鉄筋コンクリート造では後者が選ばれる傾向があります。
耐用年数の定義
耐用年数とは減価償却資産を通常の用途で使用したときに、予定される効果を上げられる年数です。「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって耐用年数が定められています。
同省令で定義されている耐用年数は法定耐用年数と呼ばれていて、償却資産の寿命と必ずしも一致するとは限りません。法定耐用年数は償却資産の減価償却費を計算する際に用いられます。減価償却費とは償却資産の原価を会計期間ごとに分けて費用として分配する手続き上の費用です。固定資産評価基準によって減価償却費の算出には同省令に記載されている耐用年数を使用することが定められています。
軽量鉄骨造のアパートなどの耐用年数は建物/建物附属設備の項目に記載されています。軽量鉄骨の場合には鋼材の厚さによって耐用年数が異なります。住宅用のアパートの場合の耐用年数は以下の通りです。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
鉄骨造(肉厚3mm以下) | 19年 |
鉄骨造(肉厚3mm超4mm以下) | 27年 |
鉄骨造(肉厚3mm超) | 34年 |
木造 | 22年 |
木骨モルタル造 | 20年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
軽量鉄骨は鋼材の厚みが6mm未満なので、軽量鉄骨造アパートの耐用年数は上記の鉄骨造のいずれかに該当します。木造や鉄筋コンクリート造のアパートやマンションとは異なり、軽量鉄骨造アパートでは鋼材の厚みがわからなければ法定耐用年数もわかりません。軽量鉄骨造アパートを購入あるいは建築するときには、減価償却を正しくおこなうために鋼材の厚みを確認しておくことが必要です。
軽量鉄骨造のアパートを建設したメーカーに問い合わせれば軽量鉄骨の肉厚がわかります。業者の提案書には肉厚が記載されていないことが多いので注意しましょう。
参照:
償却資産の評価に用いる耐用年数 | 固定資産税(償却資産) | 東京都主税局
【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(建物/建物附属設備)
減価償却資産の耐用年数等に関する省令 | e-Gov法令検索
固定資産評価基準
軽量鉄骨の耐用年数について
耐用年数には法定耐用年数以外にも寿命という意味での物理的耐用年数と経済的耐用年数があるので、軽量鉄骨の場合の年数を紹介します。
軽量鉄骨の平均的な耐用年数
軽量鉄骨の物理的耐用年数は50年~60年、経済的耐用年数は30年程度が平均的です。物理的耐用年数と経済的耐用年数のバランスを考えて、軽量鉄骨造アパートは30年~40年くらいに一度の建て替えを計画するのが効果的でしょう。
物理的耐用年数とは建物が太陽光や風雨にさらされたり、使用によって劣化したりすることで使えなくなるまでの年数です。技術力の向上によって近年の軽量鉄骨造アパートの物理的耐用年数は法定耐用年数よりも長くなっています。建築した業者の技術や地震などの自然災害の影響によって個々のアパートの物理的耐用年数は変わります。
経済的耐用年数とは市場価値があって入居者を集められる年数のことです。アパートを経営して利益を出せる年数という解釈もできます。経済的耐用年数を過ぎると借り手も売り手も見つかりにくくなります。建物の市場では30年程度でニーズが大きく変わる傾向があるため、構造によらず30年程度で賃貸も売買も難しくなるのが一般的です。
軽量鉄骨の耐用年数を延ばすためのメンテナンス方法
軽量鉄骨の法定耐用年数は財務会計上の減価償却資産の寿命を示す指標で、軽量鉄骨造アパートの物理的耐用年数や経済的耐用年数とは異なります。物理的耐用年数や経済的耐用年数はメンテナンスによって延ばすことが可能です。
軽量鉄骨は風雨や錆びに弱いのが特徴です。外壁塗装や屋根渡欧を定期的に実施して建物の躯体を保護しましょう。清掃や換気による湿度の対策もすると錆びを防止できます。地震や台風の後には壁や屋根の状態を点検し、必要に応じて修繕することも効果的です。
軽量鉄骨の減価償却率と計算方法
軽量鉄骨の減価償却では平成19年4月1日以後に取得した場合には定額法を用いて減価償却率を計算します。国税庁の「減価償却資産の償却率等表」に基づいて耐用年数から減価償却率を調べることが可能です。減価償却率がわかれば、以下の計算式で軽量鉄骨造アパートの減価償却費を計算できます。
減価償却費=軽量鉄骨造アパートの取得費×減価償却率×業務に使用した月数÷12ヶ月 |
減価償却資産の償却率等表(抜粋)
耐用年数(年) | 減価償却率 |
---|---|
2 | 0.500 |
3 | 0.334 |
4 | 0.250 |
5 | 0.200 |
6 | 0.167 |
7 | 0.143 |
8 | 0.125 |
9 | 0.112 |
10 | 0.100 |
11 | 0.091 |
12 | 0.084 |
13 | 0.077 |
14 | 0.072 |
15 | 0.067 |
16 | 0.063 |
17 | 0.059 |
18 | 0.056 |
19 | 0.053 |
20 | 0.050 |
21 | 0.048 |
22 | 0.046 |
23 | 0.044 |
24 | 0.042 |
25 | 0.040 |
26 | 0.039 |
27 | 0.038 |
28 | 0.036 |
29 | 0.035 |
30 | 0.034 |
31 | 0.033 |
32 | 0.032 |
33 | 0.031 |
34 | 0.030 |
減価償却資産の償却率等表
No.2100 減価償却のあらまし|国税庁
新築の場合
新築の軽量鉄骨造アパートの場合には鉄骨の厚みがわかれば簡単に減価償却率を求められます。鋼材の肉厚が3mm以下なら耐用年数が19年なので、減価償却率は0.053です。肉厚が3mm超4mm以下なら耐用年数は27年で減価償却率は0.038です。肉厚が4mm超の軽量鉄骨の場合には耐用年数が34年なので減価償却率が0.030になります。
4,000万円で1月に取得した肉厚4mm超の軽量鉄骨造アパートを通年で賃貸経営をしたとすると、以下のように減価償却費を計算できます。
減価償却費=4,000万円×0.030×12÷12=120万円 |
中古の場合
中古の軽量鉄骨造アパートの場合には取得時点での残存耐用年数を算出して、減価償却率を求める必要があります。中古の建物のときには取得時点で法定耐用年数が経過しているかどうかで残存耐用年数は以下のように計算します。
法定耐用年数が経過済みの物件:法定耐用年数×0.2(年) 法定耐用年数の残りがある物件:法定耐用年数-経過年数+経過年数×0.2(年) |
例えば、肉厚4mm超の軽量鉄骨造アパートを築17年で取得した場合には残存耐用年数を以下のように算出します。計算時に出た端数は切り捨てます
残存耐用年数=27年-17年+17年×0.2=13年 |
耐用年数が13年の場合には減価償却率が0.077です。4,000万円で1月に取得した中古軽量鉄骨造アパートの場合には減価償却費を以下のように算出できます。
減価償却費=4,000万円×0.077×12÷12=308万円 |
参照:No.5404 中古資産の耐用年数|国税庁
土地活用なら駐車場経営もおすすめ
軽量鉄骨はアパートの建材として頻用されていて、効率よく建築して賃貸経営を始められる魅力があります。ただ、良好な生活環境を提供できる物件になるとは限らず、入居者の不満が起きないように対策をすることが必要です。耐用年数は長いので長期経営をしやすい魅力はありますが、経営負担が気になる人もいるでしょう。軽量鉄骨造アパートを建てる代わりに駐車場経営をするのもおすすめです。
駐車場経営は耐用年数を気にせずに長期運用できる土地活用方法です。月極駐車場やコインパーキングを運営して駐車料金を得る収益モデルで経営します。建物を建てないので耐用年数を考える必要がなく、土地がある限りはずっと運営できるのが駐車場経営の魅力です。
まとめ
土地活用で建物を建設するときには建材の耐用年数を考え、運用できる期間を想定することが重要です。軽量鉄骨の法定耐用年数は鋼材の肉厚によって19年、27年、34年になっています。近年では軽量鉄骨の物理的耐用年数が延びているので、土地活用の目的では経済的耐用年数が約30年という点を考慮して運用することが大切です。軽量鉄骨造アパートでは耐用年数に不安があるなら、長期運用可能な駐車場経営も検討してみましょう。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。