家の解体費用はどのくらい必要?構造の種類と広さによる相場・土地活用の方法を解説

古い家があると、解体費用がどのくらいになるのか心配になることもあるでしょう。ここでは、構造・広さ別の解体費用の相場を解説し、その後の土地活用に役立つ情報もご紹介します。

家の解体費用はどのくらい必要?構造の種類と広さによる相場・土地活用の方法を解説のイメージ

目次

  1. 1【前提】家の解体費用は条件により費用に大きな差がある
  2. 2一軒家の解体費用の相場
  3. 3家の解体費用が変動する要因
  4. 4家の解体で補助金を利用できる場合もある
  5. 5家の解体で利用できるローンがある
  6. 6家を解体する際の注意点
  7. 7家の解体なしで売れる可能性があるかも調べておく
  8. 8まとめ

【前提】家の解体費用は条件により費用に大きな差がある

これから家の解体を予定する場合、どのくらいの費用が発生するのか気になる方もいるでしょう。結論から言うと、家の解体費用の相場は一応の目安はあるものの、構造や立地、規模などのさまざまな条件によって変わってきます
依頼する季節や、閑散期・繁忙期かによっても変わるため、同じ業者に依頼する場合でも時期によって違いが生じることもあるのです。したがって、ここでご紹介する解体費用については、あくまでも一例であり、実際の費用については複数社に見積もりをとって把握されることをおすすめします。

一軒家の解体費用の相場

一軒家の解体費用の平均相場は、建物の構造により違ってきます。基本的に、建物の構造が固ければ固いほど費用も高くなる傾向にあります。建物の構造別に、1坪あたりの解体費用の相場を見てみましょう。

建物の構造 1坪あたりの解体費用相場
 木造 4万円
鉄骨造 6万円
鉄筋コンクリート造 7万円
  
参照:NPO法人 空家・空地管理センター「解体費用について」
   

また、一般的な家屋の坪数で考えた場合の相場は、以下のとおりです。
 

建物の構造 30坪 50坪
木造 90万円~150万円 150万円~250万円
鉄骨造 180万円~210万円 300万円~350万円
鉄筋コンクリート造 210万円~240万円 350万円~400万円

家の解体費用が変動する要因

家の解体費用は、さまざまな要因によって変動します。具体的に見ていきましょう。

季節

家の解体は屋外での作業となるため、暑さの厳しい時期や台風が発生しやすい時期、梅雨、積雪のある冬は基本的に費用が高くなりやすいです。特に、雨や台風、雪の多い時期は工事に影響が出やすく、工期が長くなる場合もあるため、できればその他の時期を選んだ方が無難でしょう。
 

解体業者の閑散期と繁忙期

解体業者にも、繁忙期と閑散期とがあります。忙しいとされるのが、だいたい12月~3月です。これを過ぎると閑散期に入るため、狙い目は4月以降の梅雨までの間か、猛暑が落ち着いた秋頃と言えるでしょう。繁忙期は、どうしても費用が高騰しやすくなります。よほど急ぎでなければ、閑散期を狙ってみてはいかがでしょうか。
 

業者と現場の距離

解体作業では、トラックやショベルカーなどの重機を用います。業者の会社や車両の保管場所から解体現場までが遠ければ、そのぶん移動にかかる時間がかさみ、費用も高くなる可能性があります。複数の業者から見積もりをとって比べてみると良いでしょう。

道路状況

解体作業に必要な重機が入れないような細い路地の先などに現場がある場合、本来は大きな機械で壊していく作業を人の手によって行うこととなります。そのため、重機が入らないような道路状況の場合は作業にあたる人の数が多くなり、人件費も増えます。

家のすぐそばまで重機が入らない、家のそばの道路と高低差がある、道路が近くても一方通行であり道路の使用許可がとれないなどの理由に該当すると、解体費用は高くなることをあらかじめ意識しておきましょう。
 

重機が入るスペースがあるか

道路状況に加えて、重機が入るスペースが確保できるかどうか、立地環境も解体費用を左右する重要な要素となります。

旗竿地などの住宅密集地では、ショベルカー等の重機が入っていけないことも考えられるでしょう。先ほどの道路状況でのご説明どおり、本来ならば重機で行う作業が手作業になると、解体費用は上乗せされます。

路地や道路の幅が問題なかったとしても、電線によって重機の使用が不可になることもあります。敷地上に張ってある電線が重機のアームに触れるような環境では、当然ながら使用することができません。
 

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廃材の量

解体作業で出てくる廃材は、種類がさまざまでその量も相当なものとなります。これらを処分するために、まずは分別をして、運搬をし、適正な方法で処分しなければなりません。

実際、廃棄物の処分にかかる費用は、解体費用全体でも大きな割合を占めるため、その量が多ければ多いほど費用も高額になるでしょう。家の解体で発生する廃材の主なものは、木材や屋根の鉄板、断熱材、コンクリートなどがあります。

以前は、解体工事で発生した廃棄物はまとめて処理することが可能でした。しかし、リサイクル関連法によって、現在は廃棄物を分別して処分しなければなりません。この分別は、人の手によって行われる作業であり、解体費用を決める要素となります。

近年は、廃棄物の処理にかかる費用の負担も全体的に増えており、解体費用を把握する上で欠かせないポイントと言えるでしょう。
 

地中埋設物の有無

家の解体作業中に、地中に埋められた廃棄物や障害物があり、それを処分するとなると追加の費用が発生することが多いです。地中埋設物の存在は、解体してはじめて分かるケースがほとんどで、何がどのくらい埋まっているのか検討がつかず不安になる方もいるでしょう。

地中埋設物は、特に土地を売却する予定がある場合には撤去した方が良いと考えられます。なぜなら、地中埋設物によって新しい建物を建てる際に基礎の邪魔になったり、地盤が軟弱化したりするからです。さらに、不法投棄の疑いを持たれる可能性もあります。地中埋設物の存在を知らせずに土地を売った場合、契約不適合によりその後撤去を求められることもあるのです。

なぜ地中埋設物が出てくるのか疑問に思うかもしれません。可能性としては、時間の経過によって岩石などが自然に発生することや、過去に誰かが処分の手間の削減のために埋めたことが考えられるでしょう。残念ながら、過去に解体を行った業者が廃棄物を地中に埋めてしまったというケースもあり得ます。
 

アスベストの調査や撤去

2006年以前に建てられた建物には、アスベストが使われている可能性があります。アスベストは、「せきめん」や「いしわた」と呼ばれる天然の鉱物繊維ですが、発ガン性があるなどの理由で現在は使われていません。

家の解体では、工事の前にアスベスト調査が義務付けられており、解体工事の前に労働基準監督署と自治体への報告も行う必要があります。この調査の結果、アスベストが使われている場合は除去費用が追加されます。

古いデータになりますが、国土交通省が発表しているQ&Aには、アスベストの除去費用の目安が記載されています。
 

アスベスト処理面積 除去費用
300㎡以下 2万円~8.5万円/㎡
300㎡~1,000㎡ 1.5万円~4.5万円/㎡
1,000㎡以上 1万円~3万円/㎡

参照:国土交通省「Q40 アスベスト含有吹付け材の除去費用は、目安として、いくら位かかりますか。」


ただし、アスベストが含まれている場所によっては除去作業の難易度が上がり、費用が相場よりも高くなる可能性があります。アスベストの濃度や飛散性の高い、梁・天井・柱などに吹き付けられているようなものは、除去作業の難易度が高くなります。除去面積が広いこともあり、費用負担も大きくなるのが一般的です。

付帯工事の有無

カーポートや浄化槽、ブロック塀など、家以外にも解体するものがある場合は、付帯工事として追加の費用がかかります。その他にも、倉庫や庭木の撤去、家屋に残っている残地物の処分などもこれに含まれます。見積もりの段階で、付帯工事がどのくらい発生するのか、どのくらいの費用になるのかを確認しておくと安心です。
 

諸経費

諸経費は、解体費用全体の5%~10%にあたる場合が多いです。内容としては、現場管理費や書類作成費、損害保険料率などがあります。工事の規模が大きくなればなるほど、この金額は大きくなりますが、必要不可欠な部分でもあるため事前に確認しておきましょう。

家の解体で補助金を利用できる場合もある

空き家や空き地の活用については、国の施策によって自治体ごとにさまざまな取り組みが行われています。老朽化が著しく進み住人のいない家は、倒壊の危険があり、周囲の建物やそばを通る人の安全を守る上で解体の必要性が高くなるでしょう。その他にも、景観を守るためだったり、積極的な再活用を勧めたりと、色々な目的があります。

家の解体には、高額な費用がかかることも多いです。その負担を和らげて老朽化の進んだ家屋を解体することは、自治体にとってのメリットもあるため、だいたいどの自治体にも補助金が設けられています。

こうした補助金事業については、自治体ごとに内容が異なり、助成される金額についても違います。また、すべての自治体で補助が受けられるわけではありません。詳しくは、自治体のホームページを確認してみましょう。
 

家の解体で利用できるローンがある

家屋の解体には、まとまったお金がかかります。補助事業で解体費用の一部が支払えたとしても、残りの負担が大きければ借入という方法も選択肢の1つです。実は、JAや地方銀行などでは、解体専用のローンがあります。

借入できる上限は各金融機関ごとに違いますが、一度にまとまった額を支払えない場合には心強いでしょう。解体専用ローンは、基本的に担保や保証人をつけなくても利用できる点がメリットです。
 

家を解体する際の注意点

家の解体にあたり、トラブルや後悔を防ぐためにも、以下のポイントに留意して進めていきましょう。

解体前に周囲に知らせておく

解体工事では、騒音や振動などが周囲に伝わってしまいます。しかたがないこととはいえ、事前に何も知らせずに工事を始めることは、周辺に住む人に悪い印象を与え、不満が出やすくなるため注意が必要です。

解体工事をする旨を事前に知らせておくと、理解を得やすくトラブルにも発展しにくくなるでしょう。予定される工期の目安についてもあわせて伝えておくと親切です。
 

解体後は建物滅失登記を行う

家を解体したあと、1ヶ月以内に「建物滅失登記」が必要です。この手続きは義務となっており、法務局に対して行います。建物滅失登記によって、建物にかけられていた固定資産税の課税がストップし、建て替えや売却を行うことができるようになります。

なお、解体後に新しく家を建てる場合は、建物滅失登記以外の手続きも必要になるため、二度手間を防ぐためにも建設に関わるハウスメーカー等に相談するのもおすすめです。
 

固定資産税が上がる可能性がある

家を解体して更地の状態のまま土地を保有する場合、建物にかけられていた固定資産税はなくなりますが、土地の固定資産税はかかります。この場合、住宅用地の特例が受けられなくなるため、納税額が高くなる可能性があることに注意が必要です。

基本的に、家がある土地は、住宅用地の特例として1戸につき200平米まで土地の評価額は6分の1となっています。特例が適用にならなくなった場合の固定資産税・都市計画税の負担も考慮して計画しましょう。
 

再建築不可になる可能性がある

家は、建築基準法などの法律に則って建てられています。しかし、この法律は、時代とともに変わってきた部分もあり、昔に建てられた家が現代の法律の基準を満たしているとは限りません。

解体しない限り、昔に建てられた家はその当時の法律を守っていれば問題ありませんが、取り壊した後に建てる家は現行の法律を守る必要があります。

家のある敷地が接している道路の幅、広さなどの制限を受ける「接道義務」は、代表的なものの1つです。解体後にどのような活用をしたいのか、その目的が現行の法律で問題なく実行できるのかを、しっかり確認しておきましょう。
 

土地の活用方法についてリサーチしておく

土地の活用方法は、家の建設にこだわる必要はありません。しばらく住んでいない古い空き家を再利用する予定がないなら、解体自体を躊躇してしまうかもしれませんが、だからといってそのままにしておくのも難しいでしょう。そんな時は、新しい家を建てる以外の活用方法を検討するのもおすすめです。

賃貸住宅・賃貸物件にする

その土地が住宅の建設に向いている土地で、自分で住む予定がない場合は、賃貸として建物を貸し出すのも選択肢の1つです。戸建ての賃貸物件やシェアハウス、シェアオフィスなどさまざまな方法が考えられるでしょう。少子高齢化により賃貸住宅への入居者が減っていることが課題になっていますが、「ペット可」や「高級志向」などのコンセプトがはっきりしていれば、それを求める人の目にとまりやすくなります。

コインランドリーにする

人目につきやすく、車での乗入れがしやすい場所なら、コインランドリーの経営も可能です。大型洗濯機や乾燥機などの初期投資は必要ですが、無人経営で運営できるため副業にもつながります。

貸し農園にする

変わった形状の土地や、駐車スペースの確保が難しい土地、舗装されていない土地などでは、貸し農園として活用するのも良いでしょう。スペースによって、1人だけに貸すか複数人に貸すかを自由に選ぶこともできます。
 

駐車場経営をする

特におすすめなのが、駐車場経営です。道路から車が入れるスペースと、車1台が停められるスペースさえあれば、駐車場経営を始めることができます。初期投資や維持費が少なくて済むこともメリットです。

駐車場経営では、コインパーキングと月極駐車場の2通りがあります。コインパーキングは稼働率の高さが見込まれる土地でメリットを得やすいですが、精算機や駐車時間の計測のための設備を要します。一方、月極駐車場はそのような設備が必要なく、利用者が要れば安定した収入につながります。
 

「本格土地活用」特集ページ|駐車場経営を始めてみよう
駐車場経営のメリットや注意点を説明し、気になった運営会社へのお問い合わせをサポートするサイト...

 

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家の解体なしで売れる可能性があるかも調べておく

「古い家屋が残ったままの土地は売れない」と思う方もいるでしょう。土地の売却を予定している方は、売れやすくするために更地にしてしまおうと考えるかもしれません。しかし実際は、古い家を残しておいた方が、かえって売りやすくなる可能性もあるため注意が必要です。

ここまででご紹介したように、家の解体にはそれなりに高額な費用がかかります。更地にして売却をする場合、解体にかかった費用を上乗せするのが一般的です。

ただし、当然ながら土地は安い方が売れる可能性が高くなります。解体工事にかかった費用を上乗せした土地の売却金額が相場よりも高くなってしまうと、いつまで経っても土地が売れないということも起こり得るのです。

昨今は、古民家の良さを求めて家を探したり、古民家の面影を残しつつリノベーションしたりと、古民家には一定の需要があります。土地の売却を希望する場合は、家を解体した方が売れやすいかどうか、不動産会社のアドバイスをもらいながら決めていくと良いでしょう。
 

まとめ

家の解体費用は、構造や広さだけでなく、解体しやすい立地かどうか、業者からの距離が近いかどうかなども関係してきます。解体業者を選ぶ際は、はじめから1ヶ所に絞らずに複数の業者に相談をして見積もりを提示してもらいましょう。土地活用の方法は、家を建てるだけではありません。駐車場など、その土地・エリアのニーズを考えて有効に活用できると、継続的に収入が得られる可能性もあります。その後の土地の活用方法も見据えた上で検討されることをおすすめします。
 

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