隣の土地は買ってはいけない?購入判断のポイントをケース別に解説

「隣の土地は買ってはいけない」、「隣の土地は借金してでも買うべき」という対極的な意見があります。どちらが正しいのかがわからずに隣の土地の購入を悩んでいる方もいるでしょう。隣の土地はメリットがあるなら買った方が良いと考えられます。この記事では隣の土地を買ってはいけないと考えられている理由と、買うべきケース・買うべきではないケースをご紹介します。

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目次

  1. 1「隣の土地を買ってはいけない」とは限らない
  2. 2隣の土地を買う3つのケース
  3. 3「隣の土地を買ってはいけない」と言われる理由
  4. 4隣の土地を買うメリット
  5. 5隣の土地を買ってはいけないケース
  6. 6隣の土地を買うべきケース
  7. 7隣の土地を購入する流れ
  8. 8隣の土地を買ったら駐車場経営がおすすめ
  9. 9まとめ

「隣の土地を買ってはいけない」とは限らない

隣の土地を買ってはいけないと言われるのは、購入して後悔しているケースがあるからです。隣の土地は隣の土地を手に入れてもメリットがない場合には買わない方が良いでしょう。しかし、隣の土地を購入すれば、所有している土地と併合して利用できます。「隣の土地は借金してでも買うべき」という意見もあるので、隣の土地にどれだけ魅力があるかによって判断することが大切です。

隣の土地を買う3つのケース

隣の土地を買うべきかどうかを判断するには、買い方についてまず理解することが重要です。隣の土地を買うケースには以下の3通りがあります。
 

隣の土地が販売されている場合

隣の土地が不動産会社による仲介で販売されているときには、不動産会社に相談して購入申し込みをすると購入できます。土地のオーナーが土地を処分したい状況にあるので、売買交渉もスムーズに進みやすいケースです。
 

隣の土地が空き地になっている場合

隣の土地が空き地になっているときには、土地のオーナーを探して交渉することが必要です。空き地はオーナーが土地を活用できずに放置している場合が多く、購入意思を伝えると応じてくれる可能性があります。オーナーが将来的な用途を考えていて土地を保有し続けているときには、条件や使い道の交渉が必要になります。

利用されている隣の土地のオーナーと交渉する場合

隣の土地に建物や駐車場などがある場合には、土地のオーナーと相談して売買交渉をします。自宅を建てて住んでいる、アパートや駐車場を経営しているといったさまざまなケースがあります。経営をしている場合には現状が黒字で経営を続けたい場合もあれば、赤字で投資の出口を考えている場合もあるでしょう。隣の土地が利用されている場合には、慎重にオーナーと交渉して購入の可能性を模索する必要があります。

「隣の土地を買ってはいけない」と言われる理由

隣の土地の購入を検討するときには、まず購入を止める意見を参考にしてリスク回避を考えるのが良いでしょう。ここでは隣の土地を買ってはいけないと言われる理由を詳しく解説します。
 

増分価値があると価格が高くなるから

隣の土地の購入によって増分価値があると、相場よりも高い価格での購入になる場合があります。増分価値とは、隣接している土地を併合させたときに生まれる付加価値です。

例えば、旗竿地のように出入りの制限を受ける土地の場合には、囲われている隣地を併合すると道路の出入りをしやすくなります。

増分価値があると買主にとってメリットになるため、売買価格が上乗せされるのが一般的です。相場よりも高くなるのが隣の土地は買ってはいけないと言われる理由です。
 

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投資額やローン総額が増えるから

隣の土地を購入すると費用負担が大きくなるデメリットがあります。投資として土地活用をしている場合には、隣の土地の購入にかかった費用が投資額に追加されます。さらに、増やした土地の活用のために建物の建築などの費用の負担も必要です。

住宅ローンを借りて住んでいる自宅の隣の土地を買う場合には、増築目的で住宅ローンの借り換えをしたり、投資目的で不動産投資ローンを使ったりすることが可能です。今後の返済プランを見直さないと、ローンを返済できなくて破綻してしまうリスクがあります。ローン総額が増えるので隣の土地は買うべきではないと言われています。
 

交渉が大変な場合があるから

隣の土地のオーナーと直接交渉する場合には手間がかかります。隣の土地が一般に売りに出されていれば不動産会社が仲介をするのでトラブルになることはあまりありません。しかし、直接交渉をするときには、取引条件の交渉が大変になりがちです。適正価格で売買するには相場や増分価値を調べて交渉することが必要です。登記手続きや代金の支払い方法などの交渉もしなければならないので、大変だからやめた方が良いという意見もあります。

購入した土地でトラブルが起こり得るから

購入した土地では、隣の土地に限らずトラブルが起こることがあります。不動産会社が仲介する場合には土地の評価をしているので、重篤なトラブルが起こるリスクは低いでしょう。ただ、隣の土地の場合には直接交渉で取引する場合もあるため、トラブルが起こりやすくなっています。

例えば、交渉時点で測量を依頼したり、土壌汚染の検査をしたりしてトラブル対策をすることが重要です。土地に建物があるときには借地権が設定されていて、すぐには退去してもらえない場合もあります。定期借地契約をしている場合もあるので、契約状況についても確認しておかないとトラブルになりかねません。

不動産会社を通さずに個人間売買をすると仲介手数料がかからないメリットはありますが、トラブル対策を自己責任でおこなわなければなりません。
 

固定資産税・都市計画税が高くなるから

隣の土地を買うと固定資産税と都市計画税が高くなります。固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点の所有者が納税する義務があります。隣の土地を購入して所有者になったら、その土地の分の税金も納めなければなりません。購入時には税金を按分することが多く、購入年の残日数に応じた金額の支払いも求められます。

また、隣の土地を買うと住宅用地の特例を最大限に生かせない場合があります。住宅用地の特例は住宅が建てられている土地について、200平米までは固定資産税が1/6、都市計画税は1/3に軽減されます。200平米を超える部分の軽減税率は固定資産税が1/3、都市計画税は2/3です。隣の土地を併合して200平米を超える場合には税金の総額が大きくなります。

隣の土地を買ってはいけないのは、買った土地を活用できないと損失になるだけだからです。5年後には増築したいと考えて買ったときには、5年間は税金の負担をしなければなりません。税金の負担を考慮して、購入時点で活用方法を検討する必要があります。

参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局

 

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隣の土地を買うメリット

隣の土地を買ってはいけないわけではなく、借金してでも買うべきという意見があるのには理由があります。隣の土地を買うメリットもあるので、代表的なポイントを紹介します。

不便な土地の悩みを解消できるから

隣の土地を買って併合すると、今の土地の悩みを解消できる可能性があるのがメリットです。例えば、旗竿地で出入りが大変だったときに、大通りに面した隣接地を購入すれば楽になります。デッドスペースが多い変形地も隣接地を買って合わせると活用できるようになります。

 

土地活用の選択肢を広げやすいから

隣の土地を買うと土地活用の可能性が広がります。狭小地や変形地で活用が難しかった場合にも、隣の土地と併合すると駐車場にしたり、建物を建てたりできる可能性があります。土地活用の目的に応じて、利回りの高い方法や土地活用を始めやすい方法を選べるようになるのがメリットです。
 

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増分価値があれば坪単価が上がるから

増分価値がある場合には、既存の土地も含めて坪単価が上がると期待できます。変形地で有効活用できる面積が実質的に狭い土地は相場が低くなりますが、隣の土地と併合してきれいな形の土地になると坪単価を上げられます。隣の土地を買うと角地になる場合にも高く売れる可能性があるでしょう。増分価値があると売却時に有利になるのがメリットです。

隣の土地を買ってはいけないケース

隣の土地の購入にはメリットもありますが、隣の土地を買ってはいけないケースもあるので安易に手を出さない方が良いでしょう。ここではリスク回避のために、隣の土地を買わない方が良いケースを紹介します。
 

目的・用途に合わない場合

土地購入の目的や用途に合わない場合には、隣の土地でも買わないのが賢明な判断です。例えば、隣の土地の地目が目的に合っていないとすぐには使えません。地目変更の手続きをすれば使えるようになりますが、行政の判断で地目変更ができない場合もあります。農地のように許可制度が設けられていることもあるので注意が必要です。

参照:農地転用許可制度について:農林水産省
 

採算が合わない場合

隣の土地を買うことで増分価値が大きいときには、土地の購入金額が大きくなる可能性があります。購入後の土地の使い方と照らし合わせて、採算が合わないときには諦めた方が良いでしょう。投資の場合には増分価値がない場合でも、利回りが下がるのなら手を出さないのが賢明な判断です。隣の土地の購入を検討するときには、購入後の運用によるメリットを考えることが必要です。投資目的のときには利益の増分を試算して検討しましょう。

隣の土地に建物がある場合

隣の土地に家やビルなどが建っているときにはトラブルのリスクがあるので避けた方が良いでしょう。借地権付きの土地だった場合には、借地権者との交渉に時間がかかり、権利関係の手続きが複雑になる場合もあります。建物の解体費用をどちらが負担するかも交渉の内容になります。良心的なオーナーならスムーズに契約条件が決まりますが、交渉が難航して決裂することもあるので、建物があるときには注意が必要です。
 

隣の土地を買うべきケース

隣の土地を買うメリットが大きいときには、積極的に購入手続きや交渉を進めましょう。多くの場合には土地の活用方法が広がって便利になります。ここでは隣の土地を買った方が良いケースを解説します。
 

不便な状況を改善できる場合

隣の土地を併合すると不便だった不整形地を改善できる場合には購入しましょう。変形地で土地の間口が狭い、増築したくても土地が足りないといった悩みを解決できるときには増分価値があります。不便に感じていた点を解決できるときには隣の土地を買うのがおすすめです。
 

広い道路に接する場合

今の土地は狭い道路にしか接していなくて、隣の土地が広い道路に接しているときにも購入を検討する価値があります。道路が狭くて車で出入りしづらいときには改善可能です。また、大通りに面することで路線価が上がると、土地の評価額が上がります。土地を売却を検討しているときには坪単価を上げて高く売れる可能性がある方法です。

設計の自由度が高まる場合

土地活用を考えているときには、隣の土地の購入によって設計の自由度が高まるなら購入を検討しましょう。隣の土地を併合すると自由度が高くなる可能性があります。土地に建物を建てたいけれど面積が足りないという場合には、隣の土地を併合して広くすれば解決可能です。

隣の土地と併合してデッドスペースを有効活用することもできます。変形地で使い道のない狭い区画があったときには、隣の土地と合わせると広くなって活用できる可能性が生まれるでしょう。土地活用の可能性を広げて、利益を上げられる設計をするのに効果的な方法です。
 

建ぺい率や容積率が緩和される場合

建物を建てる場合には、隣の土地を購入すると建ぺい率や容積率による制限が緩和される場合があります。建ぺい率は土地面積に対する建築面積、容積率は土地面積に対する延床面積の割合です。隣の土地と併合して建ぺい率や容積率が増えれば、より大きな建物を建築できます。

建ぺい率も容積率も土地ごとに定められている制限指標です。隣の土地の建ぺい率や容積率が大きいときには、併合するとより大きな建物を建てられる可能性があります。
 

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増築したい場合

自宅や事務所を増築したいときには隣の土地を購入すればスペースを確保できます。今の家では子供部屋を作れないから増築したい、事業拡大に伴って事務所を拡張したいといったときには隣の土地を手に入れると増築可能です。建ぺい率や容積率の問題で増築できないときにも、隣の土地と併合すれば増築できるようになります。

増築目的のときには隣の土地の建築制限を調べることが重要です。法令によって日照権の制限がある場合や、地目が異なっていて増築できない場合もあるので気を付けましょう。
 

隣家との交渉でお互いのメリットが生まれる場合

隣の土地のオーナーと相談してお互いのメリットが生まれる場合には、協議をして土地を購入するか売却するのがおすすめです。自分の土地と隣地を合わせると活用範囲が広がるため、お互いに利益のある活用方法が見つかる場合があります。

お互いに投資目的を持っているときには、土地を合わせることで大きなマンションやオフィスビルを建てて経営できます。建築費用や管理費用を減らせる可能性がある方法です。

また、マンションやアパートを建てて一緒に住むこともできます。それぞれの土地には一戸建て住宅しか建てられない場合でも、土地を合わせるとアパートを建てられるようになる場合があります。自分たちの住む場所を確保しながら、賃貸経営による投資利益を得たいという意見が一致するときにはお互いのメリットになる方法です。

隣家との交渉では自分だけでなく相手にもメリットがあることが重要です。お互いのメリットを実現する意識を持って交渉しましょう。
 

隣地で土地活用を始めたい場合

土地活用を始めたいときにも隣の土地は魅力的な候補です。マンション経営や駐車場経営などの土地活用をする際には管理が必要になります。遠方の土地に比べると、自宅の隣地なら管理しやすいのがメリットです。

隣の土地を購入しても、すぐに用途が思い当たらない、しばらくは増築の予定はないといった場合もあるでしょう。しかし、販売されている土地や空き地は、他の人に購入されてしまうと二度と手に入れられないこともあります。将来的には増築したいと思っているときには、隣の土地を購入して活用するのがおすすめです。土地活用を撤退すれば転用できるので、貴重な隣の土地が売りに出されたときには購入を検討しましょう。
 

隣の土地を購入する流れ

隣の土地を購入するときには十分に検討することが大切です。以下の流れで購入の可否を考えましょう。

1. 購入後の土地の用途を考える
2. 隣の土地の情報を取得する
3. 土地の相場を確認する
4. 資金の上限額を決めて購入交渉を始める
5. 土地の境界を確認する
6. 売買交渉をして取引内容を決定する
7. 売買契約書を締結する
8. 引き渡しを受けて支払いをする


隣の土地を購入するメリットが大きいかどうかを考えることが重要です。土地の用途を考えて、情報を集めた上で購入を検討します。購入するときには予算オーバーにならないように上限額を決めて交渉することが大切です。土地の情報の正しさを測量で確認し、納得の取引内容にできたら売買契約をして土地を手に入れましょう。
 

隣の土地を買ったら駐車場経営がおすすめ

隣の土地が手に入ったときにできることのイメージがあるなら、買って活用しましょう。隣の土地を併合して増築したいけれど、今は土地を買うだけで資金的に精一杯の場合もあります。土地を買ったら収入源にすれば、増築資金の獲得に活用できます。駐車場経営は土地を一時的に活用する方法として優れているので、購入後の活用方法としておすすめです。

駐車場経営は土地費用以外の初期投資額が低くて始めやすい方法です。将来的にすぐに別の用途で使えるようにしたいならコインパーキングが適しています。コインパーキングなら一時利用を目的とする駐車場を提供するサービスだからです。隣の広い土地を購入して土地が余ってしまうときには、月極駐車場にすると長期の契約を獲得しやすいでしょう。土地活用の自由度が高い方法なので、隣の土地の購入時には駐車場経営を検討してみてください。
 

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まとめ

隣の土地を買ってはいけないと言われるのは価格やトラブルのリスクがあるからです。隣の土地を併合するとメリットもあるので、総合的に見て購入を判断しましょう。隣の土地が売りに出されているときには購入しやすいため、手に入れて活用するのがおすすめです。

隣地交渉をする場合には手間がかかるので、大きなメリットを想定できるときに取り組むのが良いでしょう。隣の土地は借金してでも買うべきという意見もあることを考慮して、メリットを生かせるかという視点で土地購入の可否を検討することが大切です。
 

※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。
 

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