狭小な土地は使える?狭小地のメリットデメリットと活用方法9選

狭くて小さな土地が使用されずに放置されている場合があります。狭小な土地にも使い道はあるので、そのままにせずに有効利用することが大切です。この記事では土地活用における狭小地のメリットとデメリットをまとめました。土地が狭くてもできる活用方法も厳選してご紹介します。

狭小な土地は使える?狭小地のメリットデメリットと活用方法9選のイメージ

目次

  1. 1狭小地とは
  2. 2狭小地と日本の住宅事情
  3. 3狭小地のデメリット
  4. 4狭小地のメリット
  5. 5狭小地の活用方法9選
  6. 6狭小な土地の活用では駐車場経営がおすすめ
  7. 7まとめ

狭小地とは

狭小地とは、狭くて小さいため、家の建築などによる活用が難しい土地です。狭小地の面積には厳密な定義がありません。以下の関連情報から考えると、狭小地の面積の目安はおよそ30坪です。土地の利用目的によってはもっと広い土地でも狭小と判断できます。
 

狭小地と日本の住宅事情

【参考1】過小宅地との違い

過小宅地とは、区画整理による換地のときに、もともとの土地の面積が小さいために換地後の面積が狭小になる土地です。土地区画整理法の第九十一条では過小宅地になる場合の適正対応について定めています。土地区画整理事業では一般的に100平米(約30坪)を過小宅地の地積としています。

過小宅地の面積は土地区画整理事業における狭小と認められる基準なので、一般的に通用する定義ではありません。ただ、宅地にするのが難しい面積の基準として参考になります。

参照:
過小宅地(かしょうたくち) – 一般社団法人東京都測量設計業協会
土地区画整理法 | e-Gov法令検索(第九十一条)

 

【参考2】日本の戸建て住宅の住宅面積

日本の戸建て住宅の平均的な住宅面積は狭小な土地かどうかを判断する参考になります。住宅金融支援機構による2022年度のフラット35利用者調査では、2022年度の平均住宅面積は以下のようになっています。
 

住宅の種類 住宅面積
注文住宅 122.8m2(37.1坪)
土地付き注文住宅 111.5m2(33.7坪)
建売住宅 101.9m2(30.8坪)
中古戸建て住宅 114.2m2(34.5坪)

平均的な住宅面積の家を建てられないという視点では、およそ30坪以下の土地は狭小地と考えられるでしょう。住宅面積は年々減少している傾向があります。平均面積の観点では今後は狭小と考えられる土地の面積が小さくなっていく可能性があります。

参照:2022年度 フラット35利用者調査

 

【参考3】住宅ローンとの関係

戸建て住宅を建てるときには住宅ローンを利用するケースが大半を占めています。三井住友トラスト・資産のミライ研究所では2024年の「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」による調査結果では、持ち家購入のときに76.3%が住宅ローンを使用しています。住宅ローンの融資条件では面積基準が設けられている場合があるため、狭小地かどうかを判断する参考になります。

例えば、住宅金融支援機構によるフラット35を利用する場合には、70平米(21.2坪)以上の床面積がある住宅が住宅ローンの対象です。床面積での定義なので、土地の面積は建ぺい率が低い地域ではより大きな面積の土地が必要になります。70%の建ぺい率の土地では100平米(約30坪)の面積があれば70平米の床面積の建物を建築できます。

住宅ローンの融資では長期的に暮らせる住まいを建てて、長期ローンで住みながら返済できることを重視しています。狭くて暮らしづらい住宅になる可能性があるという観点から基準を設けていると考えると、30坪未満の土地は狭小地と言えるでしょう。

参照:
三井住友トラスト・資産のミライ研究所 | 三井住友信託銀行
住宅の床面積に制限はありますか。 - フラット35

 

狭小地のデメリット

狭小地での土地活用は難しいので放置しているというケースがよくあります。まずは狭小地を活用するデメリットを紹介します。

建築制限の影響が大きい

土地が狭小な場合には建築制限の影響を受けやすいことがデメリットです。土地に建物を建築するときには、土地の全面を使えるとは限りません。一般的には建ぺい率が定められていて、土地の一部にしか建物を建てられません。60%の建ぺい率の場合には、30坪の土地に建物を建てられるのは18坪です。土地が広ければ建物を建てやすいですが、狭小地では難しい場合があります。
 

建築コストが高くなりやすい

極めて狭小な土地でなければ、建築の工夫によって狭小地に建物を建てられる可能性があります。狭小住宅と呼ばれる狭小地に建築した住宅で生活している人もいます。ただ、狭小地では建築コストが高くなる可能性があるのがデメリットです。例えば、家を建てるとしたら2階建てでも十分な広さがないといった理由で3階建ても検討しなければならないことがあります。階数が増えれば建築技術の要求も大きくなるのでコストが高くなります。

土地活用方法の選択肢が少ない

狭小な土地では活用方法の選択肢が多くはありません。30坪の土地に高層マンションを建設して賃貸経営することは難しいでしょう。クリニックや介護施設による土地活用も広いスペースを求められるので困難です。狭小地を活用するには限られた選択肢から周辺環境や活用目的に合う方法を選び出す必要があります。
 

土地の売却が難しい

狭小地は売却が難しいのがデメリットです。狭小地は用途が限られてしまうため、買主が見つかりにくいからです。買主が見つからなければ土地を売ることはできません。販売価格を下げて買主を探すなどの対処が必要になります。狭小地でも立地が良くて適度な面積があれば買主が見つかる場合がありますが、極めて狭い土地や需要の低い場所の土地は売却が難しいでしょう。
 

狭小地のメリット

狭小な土地は活用が難しい面もあるのは確かです。しかし、狭小地を活用するメリットもあります。ここでは狭小地で土地活用をするメリットを紹介します。
 

土地の購入費用が安い

狭小地は土地の購入費用を抑えられることがメリットです。狭小地は面積が狭いため、地価が同じなら広い土地を買うよりも安くなります。狭小地は用途が限定されるので買主が見つかりにくく、販売価格が下がることもあります。これから土地を購入して活用し、収益源にしたいと考えている人にとって狭小地は魅力がある土地です。
 

固定資産税や都市計画税の負担が少ない

狭小地は面積が固定資産税や都市計画税が少なくて済みます。固定資産税は路線価に基づく固定資産税評価額によって決まります。路線価は土地が面している道路に基づいて評価額を決める仕組みで、一般的には公示価格の70%程度です。同じ道路に面している土地は広くても狭くても同等の評価を受けます。土地の面積に比例して評価額が決まるため、狭小地では固定資産税と都市計画税を抑えられます。

相続税対策に活用できる

相続税対策に狭小地を活用できます。土地の相続税評価額は主に相続税路線価によって求められます。相続税路線価は公示価格の80%程度です。相続税対策として現金資産を土地にすれば、相続税評価額が80%程度になるので相続税を減らせる可能性があります。狭小地なら少額で購入できることもあるため、相続税対策として購入しやすいでしょう。

また、狭小地を所有している場合に建物を建築して活用すると、小規模宅地等の特例によって相続税の減額措置を受けられます。例えば、貸付事業で利用した場合には最大200平米の土地について50%の減額措置を受けることが可能です。狭小地では面積上限に達する可能性が低いので、特例を活用して相続税を軽減させやすいでしょう。

参照:
No.4602 土地家屋の評価|国税庁
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
 

地域への貢献につながる

狭小地の活用は地域貢献になります。遊休地になっている土地を有効活用すれば、地域の経済活動の活発化や住みやすさの改善に貢献することが可能です。狭小地は空き地になって無法地帯になる場合があります。ゴミが不法投棄される場所になったり、雑草が生い茂って近隣トラブルを起こしていたりする場合も少なくありません。狭小地を地域の需要に合う方法で運用すれば、利益になるだけでなく地域への貢献になるので良い関係を樹立できます。

立地が良い土地が手に入る場合がある

土地が狭いと用途が限られるので、好立地の土地を発見できる場合があります。立地の良さは土地活用をするときの土地の選び方として重要なポイントです。投資目的で土地を探しているときに、面積が狭い狭小地というだけで見向きもしない人もいます。狭小地には掘り出し物がある可能性があるのがメリットです。
 

活用方法次第で利益を得られる

狭小地で利益を得られるかどうかは活用方法によって決まります。周辺でのニーズや立地環境を踏まえて、適切な方法を選べば収益化には欠かせません。これは狭小地に限ったことではなく、広い土地を活用する場合でも同じです。ニーズを調査して活用方法を厳選すれば、狭小な土地でも安定した利益を得られるでしょう。

狭小地の活用方法9選

月極駐車場経営

月極駐車場経営は狭小地でも始めやすく、安定した利益を得やすい活用方法です。利用者と契約して駐車スペースを貸し、毎月定額の賃料を徴収して経営します。月極駐車場は車室の区分けをする程度で経営を始められるため、初期投資を抑えやすいのが特徴です。青空駐車場でも問題はありませんが、一般的には舗装をしてフェンスやロープなどによる囲いをして整備します。

月極駐車場は狭小な土地でも車1台分の駐車スペースがあれば始められます。月極駐車場は駐車場がないマンションやアパートに住んでいる人や、事業用車両の駐車場所が必要な企業が利用者の候補です。契約を長期的に更新できる可能性が高いため、賃料収入を安定して手に入れやすいのがメリットです。
 

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コインパーキング経営

コインパーキング経営は一時利用の駐車場の需要がある立地の土地に適している活用方法です。商店街や医療施設、介護施設などの商業施設が多い地域や駅前ではコインパーキングの需要があります。コインパーキングは時間貸しなので、利用が頻繁で稼働率が高いほど利益が大きくなります。曜日や時間帯、イベントの有無などによって収益に変動があるので注意が必要です。

コインパーキングは車1台分の駐車スペースと精算機の設置が最低限必要です。狭小地でも運営しやすい土地活用方法です。コインパーキングは一括借り上げに対応している業者も多いので、管理負担の小さい経営方法を選べます。
 

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駐輪場・バイク駐車場経営

駐輪場やバイク駐車場経営は駅前などの需要が高い立地の狭小地活用に適している方法です。駐輪場やバイク駐車場は1回利用または月極利用が一般的になっています。駅前のように自転車やバイクを停めるスペースの需要が高い立地なら、月極契約によって安定した利益を得られるでしょう。駐輪場やバイク駐車場は1台以上停められるなら経営を始められます。極めて狭い土地でも活用できるメリットがあります。
 

カーシェア・シェアサイクル経営

カーシェアやシェアサイクルの経営は街中やオフィス街での狭小地を活用できる方法です。サービス運営会社と契約して土地を貸し、賃料による収入を得る一括借り上げ方式が一般的です。車一台、自転車数台から契約できる可能性があるので、狭小な土地でも活用できます。ただし、カーシェアやシェアサイクルは地域や立地によって需要が異なります。需要が低い地域では契約できない場合もあるのが注意点です。
 

コインロッカー経営

コインロッカーは荷物を一時的に預かる収納用のロッカーを設置して運用する方法です。数個の収納庫があるロッカーを設置できるスペースがあれば始められます。コインロッカーは購入することも、リースで手に入れることも可能です。リース契約でコインロッカーを設置すると管理も委託できます。コインロッカーは駅前などのニーズがある場所でなければ利益が上がりにくいですが、かなり狭小な土地でも活用できるのがメリットです。

トランクルーム経営

トランクルームは荷物の収納スペースを提供するサービスです。保管用の建物を建てる方法もありますが、コンテナ1つでもトランクルーム経営を始められるので狭小地でも経営できます。トランクルームは都会や街中だけでなく、地方や郊外でも需要があるのが特徴です。単価は高くはないものの、長期契約ができる可能性が高くて安定した収益を得やすいのがメリットです。
 

自動販売機の設置

自動販売機を設置すると飲料などの売上によって利益を得られます。自動販売機は土地が極めて狭小で他に使い道を考えられないときでも設置できる可能性があるのがメリットです。自動販売機の運営会社と契約すると、本体の設置や管理、商品の補充などの一連の業務を任せられます。自動販売機を設置するには電源をとる必要がありますが、電気代だけで運営できるので低コストで始められる狭小地活用です。
 

貸し看板経営

貸し看板経営は看板を設置し、看板に張る広告を募集して収益化する方法です。看板の設置に必要な面積は狭くても問題ないので、狭小地の活用方法として候補になります。大通り沿いや駅前などで人目につきやすい立地の場合には、貸し看板経営が成功しやすくなります。初期費用があまりかからず、長期契約ができる可能性がある活用方法です。収益性が高くはなく、景観条例などの法令を考慮した対応の必要がある点に注意しましょう。

戸建て住宅経営

戸建て住宅経営は狭小地でもできる場合があります。狭小住宅は都心などの地価が高く、広い土地を手に入れるのが難しい地域で注目されています。ニーズのある地域では狭小住宅を建てて賃貸経営をすることも可能です。

ただ、戸建て住宅は建築費用が大きいのがデメリットですが、ローンを使用できます。賃料収入によって土地の固定資産税をまかないながらローンの返済が可能です。相続などで土地が手に入り、老後に自分が住む家を建てたいといったときに適しています。
 

狭小な土地の活用では駐車場経営がおすすめ

狭小で使い道がなくて困っている土地は、駐車場経営から検討するのがおすすめです。月極駐車場、コインパーキング、カーシェアなどの駐車場のニーズは高まっています。特に地価が高い地域では、マンションや店舗で駐車場を確保できず、利用者が駐車場を探さなければならない状況があります。狭小地で1台しか駐車できない月極駐車場やコインパーキングだったとしても問題はありません。

立地によって駐車場の需要には違いがあります。しかし、数十台の駐車スペースのある広大な駐車場を満車にするほどのニーズがない地域でも、数台であれば利用者が十分に見つかる可能性があります。駐車場経営は始めやすいので、狭小地の活用ではまず可能性を考えてみましょう。
 

駐車場経営に必要な土地の広さ


駐車場経営をするには土地の広さが足りるかどうかが不安になる場合があります。駐車場経営では駐車スペースを1台分以上用意できれば問題ありません。必要な土地の広さとして、国土交通省による駐車場設計・施工指針「駐車場設計・施工指針について」が参考になります。同指針では駐車スペースの大きさを以下のように定めています。
 

車両の種類 長さ 幅員 面積
軽自動車 3.6m 2.0m 7.2m2
小型乗用車 5.0m 2.3m 11.5m2
普通乗用車 6.0m 2.5m 15.0m2

普通自動車に対応する駐車場を1台分確保するだけなら、6m×2.5mの駐車スペースを用意できれば駐車場にできます。どのくらい狭小か、どのような形状かによって駐車場経営ができるか、何台分の駐車スペースを確保できるかは異なります。しかし、軽自動車1台なら3坪程度の土地でも駐車場にできるので、極めて狭い土地でも活用できる可能性があります。

参照:駐車場設計・施工指針について|国土交通省

 

まとめ

狭小な土地は活用範囲が限られますが、立地や環境を考慮すれば収益化できる方法はたくさんあります。需要を調査して適切に狭小地を活用すれば、地域への貢献になって安定的な収益を得られるでしょう。狭小地は売却しづらいデメリットがあるので、これから土地を購入するときには慎重に検討する必要があります。駐車場経営なら長期にわたって安定的な利益を得られる可能性があります。1台分から経営を始められるので、狭小地の活用では駐車場経営を検討してみましょう。

※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。
 

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