2024年11月01日公開
2024年11月05日更新
駐車場経営のよくある失敗の対策方法を解説!
駐車場経営は初心者でも取り組みやすい土地活用の一つですが、気軽に始めて失敗する事例も少なくありません。駐車場経営を成功させるためには、よくある失敗を具体的に理解し、対策を立てることが重要です。この記事では、駐車場経営でよく見られる失敗例とその対策方法をまとめました。駐車場経営の準備段階から経営開始後まで、押さえておきたいポイントをご紹介します。
目次
駐車場経営の失敗は対策できる
駐車場経営は気軽にできる土地活用なので、安易に始めてしまうと失敗する可能性があります。しかし、初心者でも駐車場経営に成功している事例はたくさんあるので、きちんと対策をすれば問題ありません。駐車場経営で失敗したと感じるのは以下のようなときです。
- 赤字経営になった
- 想定した利益が得られなかった
- 駐車場でトラブルが発生した
駐車場経営の主な目的は利益を得ることです。赤字になれば明らかな失敗と言えるでしょう。費用がかかり過ぎて利益が期待通りにならないことや、トラブルで苦労することもあります。
- 経営意識を持つ
- 事前準備を徹底する
- プロのサポートを受ける
駐車場経営では失敗のリスクをゼロにすることはできません。しかし、十分な対策をすれば初心者でも成功できます。以下では駐車場経営を成功させられるための基礎知識を紹介したうえで、よくある失敗と対策方法を具体的に解説します。
駐車場経営で失敗しないための基礎知識
駐車場経営を始めるときには最低限の知識を付けることが必要です。まずは初心者のために駐車場経営の基礎知識を紹介します。
駐車場経営の方法・仕組み
駐車場経営には大きく分けると以下の2つの方法があります。
- コインパーキング
- 月極駐車場
コインパーキングは、時間単位で駐車スペースを貸し出し、利用料金を得る仕組みの駐車場経営です。駐車場がない商業施設や医療施設の周辺、観光スポットの近くなどで需要があります。
月極駐車場は、月単位で契約をして駐車スペースを貸し出し、賃料を毎月徴収する駐車場経営です。住宅街やオフィス街で、自家用車や社用車を保管するスペースとして利用されています。
駐車場経営を行う際には、コインパーキングと月極駐車場のどちらにするかを選びます。立地によって需要が異なるため、適切な方法を選ぶことが成功の鍵です。
駐車場の種類
駐車場には構造によって以下のような種類があります。
- 平面駐車場
- 立体駐車場
- 機械式駐車場
平面駐車場は、土地をそのまま使用して駐車スペースにするものです。これに対して、立体駐車場は駐車用の建物を建てて、2階以上にも駐車できるようにします。機械式駐車場は、車をパレットに乗せて駐車する仕組みで、タワーパーキングでよく用いられています。
平面駐車場は初期費用を抑えられるため、始めやすいのが特徴です。立体駐車場や機械式駐車場は建物の建築や機械の導入に初期費用や維持費用がかかりますが、同じ土地の広さでも平面駐車場より多数の車を収容できるため、収入を増やせる可能性があります。ただし、駐車台数が多くても空きが多ければ利益にならず、投資した費用を回収できません。駐車場経営を始める際には、何台が最適かを考えて種類を決めることが重要です。
駐車場の管理方法
駐車場経営では管理をして快適に使用できる環境を整えたり、賃料や利用料金を徴収したりする必要があります。駐車場の管理方法は以下の3種類から選べます。
- 自主管理
- 管理委託
- 一括借り上げ
自主管理は自分で駐車場の維持管理をする方法です。手間がかかりますが、管理費がかからないので利益を増やしやすいのが魅力です。
管理委託は自主管理では行き届かない部分などを管理会社に業務委託する方法で、管理負担を減らす目的で用いられています。
一括借り上げは駐車場業者や管理会社に土地を貸して、駐車場として経営してもらう方法です。管理運用を一任し、経営状況によらずに一定の賃料を受け取ることができます。
駐車場経営では管理方法を正しく選定すると失敗のリスクが減ります。初心者は自主管理が難しい場合が多いので、管理委託や一括借り上げを検討するのがおすすめです。
駐車場経営の利益モデル
駐車場経営で赤字経営になって失敗しないためには、利益モデルの理解が必要です。ビジネスでは収入から支出を差し引いた金額が利益になります。駐車場経営では以下の収入と支出を考えて、黒字になるように経営します。
【収入】
- 賃料(月極駐車場)
- 利用料金(コインパーキング)
【支出】
- 初期費用
- 維持管理費用
- 撤退費用
- 税金
収入から維持管理費用や税金を差し引いた金額がプラスになっていれば、長期的に運用することで初期費用や撤退費用を補うことができます。毎月どのくらいの利益を出せるかをシミュレーションし、黒字経営になると試算できてから駐車場経営を始めるのが失敗しないコツです。
駐車場経営でよくある失敗15選
駐車場経営で失敗しないためには先人に学ぶことが重要です。ここでは駐車場経営でよくある失敗を紹介します。
駐車場の需要がなかった
駐車場の需要がない場所で経営を始めたために赤字経営になるのはよくある失敗です。ショッピングセンターや病院が近くにあっても、駐車場が完備されているとコインパーキングの需要は低くなります。マンションやオフィスビルが多くても駐車場が充足していれば月極駐車場の需要はありません。需要の見極めが甘いと利用者を獲得できずに失敗します。
駐車場が供給過多だった
駐車場の需要がある土地でも供給過多になっていると失敗するリスクがあります。駐車場がないアパートが多いエリアでも、月極駐車場が既にたくさんあると新規契約をする人が見つからないでしょう。駅前でもコインパーキングが多いと競争が激しくて十分に売上を出せない可能性があります。
料金設定が相場に合っていなかった
駐車場の料金設定が相場からかけ離れていたために失敗している事例もあります。利用者は同じような立地の駐車場が複数あったら安い方を選びます。コインパーキングでは、安いところが満車で利用できないときだけやむを得ず高い駐車場を利用するのが一般的です。相場よりも高いと月極駐車場の契約も獲得しにくいので、相場に合わせて料金設定をする必要があります。
競合に市場を取られてしまった
駐車場経営を始めてから競合の駐車場ができて利用者が減ってしまうケースがあります。駐車場の需要が高い地域には次々に競合が新規参入してくる可能性があります。少し安い料金設定の競合が登場したために利用されなくなる場合があるので注意が必要です。競合状況は常に把握して対策を練ることが重要です。
安易に料金を下げてしまった
駐車場の利用者が少ないときや減ったときに、料金を安易に下げると失敗するリスクがあります。コインパーキングの稼働率の低下や月極駐車場の空室率の増加が見られたときの対策として料金を下げるのは効果的です。ただ、同じ稼働率や空室率でも利益は減ります。駐車場経営を始めた時点での見込みよりも利益が減ってしまうだけでなく、利用者が増えなかったときには利益を下げてしまう可能性もあります。
料金が複雑でクレームを受けた
駐車場の料金設定を複雑にしたために、トラブルの対処に追われてしまって失敗することがあります。コインパーキングで最大料金などの特別な料金設定したときによくあるトラブルです。看板の記載内容が分かりづらいとクレームを受けてしまう可能性があります。料金表示のトラブルは多く、消費者庁も注意喚起している問題です。
参考:時間貸し駐車場の料金表示について|消費者庁
駐車場内で事故や事件が発生した
駐車場内で事故が起きたり、車上荒らしなどの事件が発生したりしたのが原因で駐車場経営が立ち行かなくなる場合があります。事故や事件が起きると対応が必要で、利用者の不注意によって駐車場の設備が故障したときには損害賠償請求もしなければならないでしょう。車上荒らしが頻発すると、危険な駐車場という噂が流れて利用者が減る可能性もあります。
駐車場の車室や通路が狭すぎた
駐車場の車室や通路が狭かったのが原因で失敗している事例もあります。車室が狭くて乗り降りが難しい、通路が狭くて通行しづらいという状況では利用者が減ってしまいがちです。駐車場が全体的に狭いと接触事故も起こりやすいため、事故の原因になって駐車場経営が困難になる場合もあります。
不正駐車の対応でトラブルを起こした
駐車場経営では無断の不正駐車への対応を求められる場合があります。正しい対処をしないとトラブルになって経営に失敗することがあるので注意が必要です。レッカーで強制移動をしたり、タイヤ止めをして出庫できなくしたりすると自力救済と見なされて不法行為になります。無断駐車の対応を誤ってしまったために訴訟になってしまうこともあります。
賃料の徴収に失敗してしまった
月極駐車場では賃料を利用者から徴収できずに苦労する場合があります。滞納が続いているうちに雲隠れされてしまって経営に失敗することもあるので注意が必要です。月極駐車場では賃料を受け取れないと収入になりません。銀行からの引き落としにするなどの対応をしていないと失敗するリスクがあります。
維持管理費用を正しく見積もれていなかった
駐車場の維持管理費用の認識が甘かったために赤字経営になるのはよくある失敗です。駐車場はメンテナンスをして利用者が快適に使える状態を維持することが必要です。放置されたゴミを処分したり、契約の手続きや解除などの対応をしたりするのにも費用がかかります。想定以上の費用がかかってしまうと利益が出ない場合もあります。
税金が増えてしまった
土地活用で税金対策をしたいと考えていた場合には、駐車場経営を選ぶと失敗します。税金が減らなかったり、かえって増えてしまったりするからです。特に空き家対策として駐車場経営をするときには、空き家を解体すると固定資産税や都市計画税が上がります。住宅用地の特例を適用できなくなるからです。固定資産税は最大で6倍、都市計画税は最大で3倍になります。税金が原因で赤字経営になる場合もあるので注意が必要です。
参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局
赤字のまま経営を継続してしまった
駐車場経営が赤字になっているのにそのまま継続してしまうのはよくある失敗です。いつかは黒字になると信じて経営を続けていても、具体的な対策をしなければ赤字のままになりがちです。結果として損失を増やしてしまって失敗する場合があります。
管理負担が大きくて続けられなくなった
駐車場経営の自主管理をしたときによくある失敗として、管理負担が大きくて経営を続けられなくなる事例があります。駐車場経営にはクレーム対応や料金の徴収、設備の点検などのさまざまな管理業務があります。自主管理で利益を上げようとしたために管理が行き届かなくなって失敗してしまうことは多いので注意が必要です。
管理会社がずさんでトラブルが発生した
管理委託をして駐車場経営をするときには、管理会社の対応がずさんでトラブルが発生してしまったのが原因で失敗することがあります。機器の故障が発生したり、クレーム対応が適切でなくてトラブルが発生したりする場合があります。実績があって安心して委託できる管理会社を選ばないと起こりやすい失敗です。
駐車場経営を始める前にやっておきたい失敗対策
駐車場経営で失敗しないためには事前準備が必要です。ここでは駐車場経営を始める前にやっておきたい対策を紹介します。
経営について勉強する
駐車場経営を始めるときには経営の基礎を勉強しておくことが大切です。利益を得るためには収入を増やし、支出を減らすことが必要です。利用者から選ばれる駐車場サービスを提供することも求められます。経営を理解していれば、利用者が減ったときにも対応策を考えられます。基本だけでも勉強してから駐車場経営を始めるのがおすすめです。
市場調査をして需要と相場を確認する
市場調査をして駐車場経営によって利益を得られる可能性があるかを吟味することは欠かせません。駐車場の需要と供給の状況や、料金の相場を調べることが重要です。コインパーキングは需要がなくても、月極駐車場なら市場に参入できるといった場合もあるので、広い視野で駐車場経営を成功させられる可能性を検討しましょう。
管理方法・管理会社を比較して検討する
駐車場の管理方法を比較検討して、無理なく経営できる方法を選ぶことが大切です。自主管理は難しい場合が多いので、管理会社を選んで委託するか一括借り上げ契約をした方が良いでしょう。管理会社も比較して、安心して依頼できる実績豊富な会社を選ぶのがおすすめです。管理費が安ければ良いと考えずに品質を重視して選ぶと失敗のリスクが低くなります。
余裕のある収支計画を立てる
駐車場経営を始める前に収支計画を立てることは重要です。想定外のトラブルが発生する可能性があることを考慮して、余裕のある計画を立てるのが失敗しないコツです。トラブルで大きな支出があったり、想定よりも稼働率が低くなったりしても利益を上げられるかを吟味しましょう。
駐車場経営の開始時に重要な失敗対策
駐車場経営を始める段階では駐車場を設計して経営方法を具体的に決める必要があります。ここでは経営開始時点で重要な対策を解説します。
利用しやすい駐車場を設計する
駐車場の利用しやすさは集客力に影響する重要なポイントです。利用しやすくて事故の起こりにくい余裕のある駐車場設計をすると失敗のリスクが低くなります。車室を多くして売上を増やしたいと考えるのはもっともなことですが、空室が増えたり稼働率が上がらなかったりしては意味がありません。利用者視点で便利な駐車場を設計することで選ばれるようになり、競合との競争力も得られます。
相場に合っていてわかりやすい料金設定にする
駐車場経営では相場に合わせて料金を設定すると利益を上げやすくなります。料金が高いと利用者が集まらず、料金が安いと利益率が低くなって失敗するリスクがあります。駐車場経営を始める時点で相場を再調査して料金を設定しましょう。
また、コインパーキングの料金設定はわかりやすくするように心がけるとクレーム対策になります。時間帯によって料金を変えたり、最大料金を設定したりするときには、誤解を招かないように表示することが大切です。
セキュリティ対策をする
駐車場内での事故や事件の防止にはセキュリティ対策が効果的です。駐車場設計の際に全体を確認できるように監視カメラを設置するのがおすすめです。監視カメラが設置されているだけで車上荒らしなどの犯罪行為や迷惑行為の抑止力になります。もし事故や事件があったとしてもカメラの映像を通して解決を進められるので重要なツールです。
撤退の条件を決めておく
駐車場経営が赤字続きになって、さまざまな対策を講じても黒字にならない場合もあります。赤字経営を続けると資産が減っていく一方なので、撤退を考えた方が良いでしょう。駐車場経営を始めるときには撤退の条件を決めておくのがおすすめです。「6ヶ月以内に黒字経営にならなかったら撤退する」「毎月の利益が〇円以下になるまで値下げが必要になったら撤退する」といった形で具体的に決めておくと大きな失敗を避けられます。
駐車場経営を始めてから失敗しないための対策
駐車場経営を開始した後にも放置せずに施策を進めて経営を成功させる努力をすることが大切です。ここでは経営を始めた後に必要な失敗対策を紹介します。
収支管理をする
駐車場経営を開始したら収支管理を徹底して、利益を上げられるように対策を進めることが大切です。毎月、収入と支出を集計して記録して改善できる要素があるかを検討しましょう。稼働率や空室率などの重要な指標を計算して推移を追跡するのがおすすめです。
例えば、稼働率が下がっているときには競合の駐車場が増えたり、相場の値下がりが起きたりしている可能性が考えられます。放置していると収入が減る一方になって失敗する可能性がありますが、収支管理をしていれば早い段階で気付いて対処できます。
競合調査を定期的に実施する
競合の駐車場の調査は、駐車場経営を始めてからも継続的に実施して対策を練ることが大切です。毎日調査するのは大変なので、毎月や2カ月に1回といった形で定期的に調査するのがおすすめです。競合が料金を変更したときや、新しい駐車場ができたときには影響を受ける可能性があります。稼働率や収入額などに注意を払い、低下が見られる場合には対策をしましょう。
困ったときには専門家に相談する
駐車場経営で困ったときには専門家に相談すると大きな失敗をせずに済みます。放置車両や不正駐車があった際に適切な対応をするには法律の知識が必要です。弁護士に相談すると正しい対応方法を教えてもらえます。稼働率が低下したときには、駐車場経営のコンサルティングを受けると改善策の提案を受けられます。初めての場合には自分だけで判断するとトラブルになる場合があるので、プロに相談してから決めるのが失敗しないコツです。
トラブルの再発を防ぐ対策をする
駐車場でトラブルが発生したときには再発を防ぐ対策をすることが重要です。トラブルが多発するとコストがかかるだけでなく、悪評が広まってしまって使われなくなってしまいます。クレームがあったときには同じクレームが発生しないように対策をして、より良い駐車場に育て上げることが大切です。
駐車場経営は失敗リスクの低い一括借り上げがおすすめ
駐車場経営は失敗する可能性がゼロではありません。立地の良さや競合の状況などのさまざまな要素を加味して利益を上げられるかを判断し、利用しやすい駐車場を設計することが必要です。経営を始めてからも改善を進めていく必要があります。
失敗リスクを減らすには駐車場の専門業者に依頼するのがおすすめです。一括借り上げを依頼すれば、立地の評価や駐車場の設計、運営や管理などのすべて任せられます。一括借り上げは土地を貸して賃料を得る仕組みなので、たとえ駐車場の稼働率が低かったとしても賃料収入を得られます。初めての駐車場経営でも失敗しにくい方法なので検討してみましょう。
まとめ
駐車場経営は事前に周到な準備をして、経営を始めてからも管理や改善を進めれば成功します。気軽にできる土地活用と考えて、何も準備せずに始めたり、経営を始めてから放置したりすると失敗する可能性が高いので注意しましょう。駐車場経営が初めてのときには駐車場の設計や管理などを一任できる一括借り上げを選ぶと安心です。一括借り上げでは駐車場経営の専門業者が市場や競合も調査してくれます。初心者でも失敗しにくい方法なのでおすすめです。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。