2020年12月21日公開
2021年01月08日更新
駐車場の種類を徹底紹介!相違点/メリット・デメリットの比較も
普段なにげなく使っている駐車場。実は様々な種類があるのをご存じでしょうか?この記事では、駐車場の種類から区分の仕方、それぞれの相違点やメリット・デメリットなどを解説していきます。駐車場を利用する際はもちろん、駐車場経営を検討している方に必見です。
駐車場の種類とは
駐車場と聞いてどのようなタイプを思い浮かべますか?実は駐車場は、構造や契約タイプ、設置場所の視点から複数の種類に分類されているのです。まずは大きな特徴である構造による区別を確認していきましょう。
駐車場の種類①構造による区別
まずは、構造による区別を理解していきましょう。構造を知っていると、駐車場経営をする上ではもちろん、利用する際にも迷うことがなくなるので安心です。
平面駐車場
平面駐車場は、車の高さ制限がない平置きタイプの駐車場です。駐車場を頻繁に利用する方にはいちばん身近に感じるタイプでしょう。立体駐車場に比べ、初期費用やランニングコストが安く済むことがメリットです。
平面駐車場には主に「ロック式」「ロックレス式」「ゲート式」の3タイプがあります。ロック式は駐車スペースそれぞれにあるロック板で利用の有無を確認するタイプです。使い方は下記の通りです。
- ロック板が下がっていることを確認の上、駐車スペースに車を停める(一定時間が経過するとロック板が上がる)
- 出庫時には、精算機で駐車スペースの番号を入力し、精算をする
- ロック板が下がっていることを確認の上、駐車スペースから車を発進させる
ロックレス式は、ロック式のロック板を無くしたタイプです。ナンバー認識システムが導入されているため、ロック板がなくても駐車している車を管理できるのです。使用方法もロック式と同じで、駐車スペースの番号を入力し、精算した後に出庫するだけです。
ゲート式は、駐車場の入口にゲートが設置されているタイプです。使い方は下記の通りです。
- 入口ゲートで駐車券を受け取る
- 空いている駐車スペースに車を停める
- 出庫時には、出口ゲートで精算機に駐車券を入れ精算する
- ゲートが開くのを確認の上、出庫する
この他にも、駐車券を買って車内の見える位置に置くタイプの駐車場もあります。
立体駐車場
立体駐車場は、車を停めるスペースを立体化させた駐車場です。住宅で例えると、「平面駐車場は平屋、立体駐車場はマンション」をイメージするとわかりやすいでしょう。
立体駐車場は建築物に分類され、認定基準によって3タイプに分かれます。1つ目が「一般認定駐車場」です。一般認定駐車場とは、定められた基準を守り、国土交通大臣の認定を受けている規格内で建てる駐車場のことです。高さは、1層2段から5層6段まで可能です。
2つ目が「個別認定駐車場」です。一般認定駐車場が規格内なのに対し、個別認定駐車場は規格外の造りで国土交通大臣から認定されている駐車場です。つまり、その駐車場のみ個別に認定を受けている駐車場のことです。高さは6層7段まで可能で、1~2階は店舗と一体化もできます。
また、上記2つの認定駐車場は、一般建築に必要な防火設備等が不要になる耐火設計になっているため、費用が安く済むメリットがあります。
3つ目が「在来工法駐車場」です。こちらは一般の建築物と同じ扱いになるため、制限なく自由に建てられます。ただし、上記2つの駐車場と違い認定がないため、防火設備等の緩和がありません。そのため、費用が高くなる場合が多いです。
そして、利用方法の目線からは、立体駐車場には大きく分けて「自走式」と「機械式」の2種類があります。それぞれの特徴を確認していきましょう。
自走式立体駐車場
自走式立体駐車場は、入口にゲートがあり、駐車スペースまで自分で車を走らせるタイプの駐車場で、ホテルや商業施設に多く設置されています。車の入出庫に時間がかからないことと、メンテナンスが少ないことがメリットです。
自走式立体駐車場を構造別に分けると「フラットタイプ」「スキップタイプ」「連続傾床タイプ」の3タイプに分かれます。
フラットタイプは、平面の駐車スペースと各フロアを専用スロープでつないでいる駐車場で、自走式立体駐車場では基本の形式です。利用者が使いやすいように出入口を自由に設計できるので、安全且つ便利に利用してもらえます。
スキップタイプはフラットタイプとほぼ同じ仕組みですが、違うポイントは駐車スペースを半フロアずつ設置しているところです。そのため、狭い敷地でも駐車台数を増やすことが可能です。一方通行で巡回するため、利用者も駐車スペースが見つけやすく、安全に利用できます。敷地面積や形状によって、フラットタイプかスキップタイプのどちらにするかを決める場合が多いです。
連続傾床タイプはフロア全体をらせん状に設置し、駐車スペースとスロープを兼用して造られている駐車場です。そのため、スロープのみという部分は存在しません。360度周ることで1フロアを昇降できる仕組みになっています。全てのフロアが駐車スペースになるため、他の2つのタイプより多くの駐車台数を確保できます。
機械式立体駐車場
機械式立体駐車場は、機械によって車を駐車スペースまで移動させるタイプの駐車場です。狭い敷地で多くの駐車台数を確保できるため、都心部やオフィス街、繁華街などに多く設置されています。
メンテナンスが定期的に必要なことや、駐車できる車に大きさや高さの制限があることなどデメリットはありますが、防犯面は非常に優れているというメリットもあります。また、縦に多くの台数を収容できるため、駐車場の中での土地利用効率はいちばん高いです。
機械式立体駐車場を構造別に分けると「タワー式」と「多段式」の2タイプがあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
タワー式駐車場
タワー式駐車場は、車を乗せたパレットごと上下左右に移動させ収容するタイプの駐車場です。利用者がパレットに車を停車させた後は、係員が操作し車を移動させます。出庫する場合も係員に車を移動してもらいます。
タワー式駐車場を構造別に分けると「ゴンドラ式」「エレベーター式」「スライド式」の3タイプに分かれます。
ゴンドラ式は、車を乗せたゴンドラごと縦方向に循環させるタイプです。空きスペースがあるまで、縦方向にぐるぐると循環させます。一方、スライド式は、車を乗せたパレットごと横に循環させます。
エレベーター式は、車を乗せたパレットごと空きのあるフロアまで昇降させ、左右にある駐車スペースに車を格納するタイプになります。
多段式駐車場
多段式駐車場はパレット式駐車場とも呼ばれ、車を乗せたパレットを2~4段程に積み重ねて収容するタイプの駐車場です。タワー式と違って外壁に覆われていないことが多く、マンションなどに多く設置されています。
多段式駐車場を構造別に分けると「単純昇降式」「パズル型」「ヒットパズル型」の3タイプに分かれます。単純昇降式は、縦方向にパレットを重ね動かすタイプの駐車場です。
一方、パズル式はコンピューター管理されおり、上下左右に動かすことが可能なため、迅速に車を動かすことが可能です。ヒットパズル式も構造は同じですが、唯一の違いは地下への収容も可能な点になります。
地下駐車場
地下駐車場は、文字通り地上より下に駐車スペースがある駐車場のことです。狭い敷地でも地下空間を利用することにより多くの駐車台数が確保できるため、商業施設やマンションなど、様々な場所に設置されています。
駐車場の構造ごとにメリット・デメリットを比較
ここまでご紹介してきた駐車場の構造ごとのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
メリット | デメリット | |||
平面駐車場 |
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立体駐車場 | 自走式立体駐車場 |
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機械式立体駐車場 | タワー式駐車場 |
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多段式駐車場 |
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駐車場の種類②契約方法による区別
次に、契約方法による区別をご紹介していきます。構造による区別に比べると、こちらの方が馴染みのあるでしょう。
月極駐車場
月極駐車場とは、賃貸住宅と同じように月ごとで賃貸契約をむすぶ駐車場のことです。住宅地や飲食店、会社の近くに多く存在します。同じ人が利用するため「毎日その場所に駐車スペースが必要になる立地」が求められます。
月極駐車場を経営者からの視点で見ると、契約台数が増えれば安定した収入を得ることができますが、契約がないと収入もゼロになってしまうリスクもあります。そのため、いかに契約率を上げるかが成功のポイントになってきます。
時間貸し駐車場(コインパーキング)
時間貸し駐車場は、一般的にはコインパーキングがメインです。空きがあれば、30分や1時間単位で気軽に駐車場を利用できます。駅前や商業施設や観光地の近くに多く、誰でも利用できる便利さが人気です。そのため、人が集まる地域にニーズがあります。
時間貸し駐車場を経営者の視点から見ると、成功のコツは稼働率を上げることです。そのためには、立地と料金設定が重要なポイントになってきます。
日貸し駐車場
日貸し駐車場は、1日単位で利用できる駐車場のことです。駅や空港の近くなどに多く設置されています。また、時間貸し駐車場でも、最大で3~7日ほど利用できるタイプもあります。
年払い駐車場
年払い駐車場は、1年単位で契約をする駐車場のことで、企業が利用する場合が多いです。ただし、年払い専用の駐車場というのは少なく、時間貸し駐車場などが同じ敷地内であるケースが大半です。
定期契約の駐車場
定期契約の駐車場は、上記意外の契約形態を駐車場オーナーと結んで利用する駐車場のことです。駐車場には連絡先が記載されているので、希望の契約形態がある場合は相談してみると良いでしょう。
駐車場の種類③設置場所による区別
最後にご紹介するのが、設置場所による区別です。設置場所による区別は、駐車場法や道路法などの法律によって定められています。あまり普段使うことはないので、頭の片隅で理解しておく程度で問題ないでしょう。
路上駐車場
路上駐車場とは、一般道路の路面上に設置されている駐車場のことです。駅の近くなどにあるパーキングメーターが該当し、一般公共のために利用されます。
路外駐車場
路外駐車場とは、一般道路の路面外に設置してある駐車場のことです。ほとんどの駐車場は路外駐車場に該当するでしょう。一般公共のために利用されます。
附置義務駐車場
附置義務駐車場とは、地方公共団体の附置義務条例に基づき整備される駐車場のことで、専用的に利用される駐車場です。
また、上記意外にも延べ面積2,000㎡以上の建物には駐車場を設置しないといけない義務があり、その場合は一般公共のために利用されます。
都市計画駐車場
都市計画駐車場は、路上駐車場の一種であり、都市計画によって定められた駐車場です。駐車場整備区域に設置され、一般公共のために利用されます。
届出駐車場
駐車場を設置する場合、敷地面積が500㎡以上で駐車料金を徴収するケースは、都道府県への届出が必要になります。この届出が申請済の駐車場のことを、届出駐車場と言います。主に500㎡以上あるコインパーキングや月極駐車場などが該当するでしょう。
まとめ
この記事では、駐車場の種類について解説してきました。最後に重要な部分を再確認しておきましょう。
- 駐車場の大きな区分は「構造」「契約」「設置場所」によって分かれる
- 構造による種類は大きく分けて「平面駐車場」と「立体駐車場(自走式・機械式)」がある
- 駐車場経営をする際や利用する際には、それぞれのメリット・デメリットの確認をするのがおすすめ
- 契約による種類は大きく分けて「月極駐車場」と「時間貸し駐車場」がある
- 設置場所による区分は、駐車場法や道路法などの法律によって定められている
普段あなたがよく利用している駐車場はどのタイプでしたか?今後、駐車場経営を検討されている方は、どの駐車場がいちばん儲けがあるのか、ぜひ参考にしてください。