2020年11月13日公開
2025年07月29日更新
駐車場の管理委託の相場は?不動産屋に支払う手数料や注意点も解説
遊休土地の活用として、駐車場経営は人気の高い方法の一つです。マンションなどの不動産投資も魅力的ですが、「初期費用が高そう」や「空室リスクが気になる」などの理由で、手軽に始められる駐車場経営を検討する方が増えています。 特に月極駐車場の経営では、不動産屋が仲介になるケースが多く、その際の手数料や管理費などの経費が利益に影響します。こうした出費を正しく把握せずに始めてしまうと、思わぬ赤字に陥る可能性もあるでしょう。 そこで本記事では、月極駐車場を経営する際にかかる不動産屋への手数料や注意点、手数料以外の費用を削減するコツを解説します。

目次
駐車場経営を始めるための基礎知識
駐車場経営とは、一時的な駐車のため、あるいは月極のような形で長期間他人が駐車しておくために、自分の所有土地を区画に分けて貸し出し、その対価として駐車料金や賃料を受け取る事業です。
まずは、駐車場経営を始めるための基礎知識として、メリット・デメリットや駐車場経営の種類、3通りの管理タイプを見ていきましょう。
駐車場経営のメリット・デメリット
駐車場経営のメリットは、まずは初期費用がほかの土地活用に比べて安価であることが挙げられます。舗装費用(砂利、アスファルト、コンクリートなど)、そして簡易な駐車場設備(ロックシステム、精算機など)の設置費用のみで始められるため事業開始のハードルが低いといえます。
また、車が止められるような土地であれば駐車場経営として活用できるので、建物を建てても活用できないような狭小土地や不整形地でも活用の道があります。さらに原状回復が簡易であり、借地借家法の対象外で利用者との契約解除が容易であるために、相続などが起こったときには更地にして売却し納税資金に活用することができます。
一方デメリットとしては、税制上の優遇が少ないということが挙げられます。アパート、マンション経営をするときには、賃貸用建物を建設することによる土地の相続税評価減を狙うことも多いのですが、駐車場経営にはそのようなメリットはありません。また、固定資産税についても、住宅用地の軽減税制(課税標準額が6分の1になる)が適用されません。
収益性については、初期投資が少ない分、収益性はマンション・アパート投資よりも劣ります。駐車場経営は、リスクをできるだけ少なくして土地活用を行いたいという人に向いている活用方法であるといえるでしょう。
駐車場経営の種類
駐車場経営には2つの種類があります。
1つ目は月極駐車場です。更地にコンクリート舗装をして、駐車ラインを引き、車止めブロックを設置するだけなので、開業までのスピードが速く、費用もさほど掛からずに始めることができます。1台当たりいくら、という形で賃料を設定し、賃借人から得られる毎月の賃料が収入になります。
2つ目はコインパーキングです。コインパーキング運営に必要な、精算機、ロックシステム、車止めブロックなどを設置して時間単位で利用者に貸し出します。売り上げは、利用者が時間単位で支払う駐車料金の合計です。
最近では、騒音トラブルがないロックレスシステムを設置するコインパーキングも増えています。防犯システムを併設することで、利用者にとっても安心できる設備となります。月極駐車場に比べ設備費用が余計にかかる分、初期費用が上がります。
駐車場経営の管理タイプ
実際に駐車場経営をする方法には主に3通りの方法があります。
1つ目は個人経営の方法です。利用者との契約、賃料の収受、など駐車場経営に関する事務をすべて自分で行う方法です。駐車場収入はすべて自分の収入になりますが、事務の負担は相当なものになります。また、万が一トラブルがあったときの対処方法などのノウハウを有している必要があり、すべてを個人で行うのはなかなか難しいようです。
2つ目は、土地自体を駐車場運営会社に一括賃貸し、駐車場運営会社にすべてを委託する方法です。この方法は単に土地を運営会社に賃貸してその賃料を受け取るだけですので、駐車場経営というよりは土地賃貸に近いです。運営の手間やリスクはすべて運営会社が負担しますので、安全・安心に経営ができますが、その分収入についてはそれほど多くは期待できません。
3つ目は、駐車場経営を管理会社に委託する方法です。駐車場の運営収入を受け取りつつ、契約手続き、賃料受取、トラブル処理などの事務を管理会社や不動産屋に委託するという方式です。一括貸しよりも収益性が高く、管理の手間も省けるために多くの土地所有者がこの方式で駐車場経営を行っています。
駐車場経営を管理会社に委託すると手数料がかかる
駐車場経営をする際に、様々な事務を管理会社に委託すると手数料が発生します。管理会社は多くの駐車場を同時に運営しているために、運営ノウハウが蓄積しており、また対応する人材も十分に確保しています。そのため、利用者との連絡も迅速にできますし、突発的なトラブルにも対応が可能です。
このようなサービスを提供するために駐車場経営を委託すると委託手数料がかかるのです。
委託手数料の概要
駐車場経営を不動産屋や管理会社に委託する場合、主に「管理委託料」や「運営代行手数料」などといった形で手数料が発生します。
これらは毎月の賃料収入に対して一定の割合で設定されるのが一般的です。手数料には、利用者からの問い合わせ対応、契約管理、清掃、メンテナンスの手配など、運営に関わるさまざまな業務が含まれているため、業務の範囲が広がるほど金額も高くなる傾向があります。
委託手数料はコストとして意識すべきポイントですが、自主管理に比べて時間や手間を大幅に削減できるため、経営スタイルや規模に応じてバランスよく判断することが重要です。
駐車場経営で不動産屋や管理会社に支払う手数料の種類
月極駐車場の管理は、通常不動産屋に委託することになります。皆さんも月極駐車場を探すときは不動産屋に相談しますよね。
不動産屋に支払う手数料は契約時の仲介手数料と管理費用になります。場合によっては、賃貸募集時の広告費が上乗せされることもあります。コインパーキング事業の場合は、毎月の事務管理手数料(運営代行手数料)がかかります。
不動産屋・管理会社の手数料・管理費用の相場はいくら?
駐車場経営における手数料や管理料は不動産屋や委託会社によって様々です。
まず、月極駐車場の場合、契約時の仲介手数料は賃料の1か月分です。広告費が上乗せされるときには、さらに1か月分が徴収される場合があります。管理費用は立地などによっても異なりますが、新規募集、賃料督促業務、場内清掃、草刈、敷金精算、車庫証明発行などを代行して賃料総額の5%から10%がかかります。管理メニューについては、事前に不動産屋に確認する必要があります。
コインパーキングの場合には、駐車場の台数によって変わりますが、おおよそ収入の5%から10%が管理費用となります。
駐車場経営で不動産屋に手数料を支払う際の注意点
駐車場経営をするうえで、コストを抑えたいのは皆さん同じだと思います。しかし、コストが最も安い不動産屋・管理会社を優先して選んでもいいのでしょうか。思わぬトラブルを防止するためにも、次の項目は事前にチェックしておくべきです。
- 手数料額が安すぎる管理会社に気を付ける
- 丁寧なコミュニケーションのできる不動産屋・管理会社を選ぶ
- 一括貸しの場合には賃料と稼働状況をチェック
- 手数料の支払いは「契約時」
- 1か月分以上の手数料がかかる場合はある
①手数料額が安すぎる管理会社に気を付ける
駐車場経営には一定の事務が発生し、人員的なコストもかかります。それにも関わらず、手数料が賃料相場より安すぎる会社は、過剰なコスト削減の結果、早晩サービスの低下を招きます。一定の手数料額は事業収支に織り込んで、きちんとしたサービスを提供してもらうようにすべきです。
②丁寧なコミュニケーションのできる不動産屋・管理会社を選ぶ
駐車場経営で発生するトラブルの多くは、利用者とのコミュニケーション不足によって発生します。迅速・丁寧な対応ができれば、ほとんどのトラブルは未然に防ぐことができるはずです。駐車場管理を始めるときには、不動産屋・管理会社の担当者のコミュニケーションがしっかりしているか、人員的にも迅速な対応がとれる体制が整っているかを確認しておきましょう。
③一括貸しの場合には賃料と稼働状況をチェック
運営委託をすべて任せて一定の賃料を受け取る方式は、収入の増減がないために安心です。しかし、それであっても募集賃料や時間単位の料金は適正か、そしてきちんと稼働しているかというのはチェックすべきです。
管理会社も運営が赤字のままでは、いつか運営委託を解除する方法を探ってきます。また、運営会社の経営にも悪影響を及ぼします。あまりにも稼働していない場合には、管理会社に相談したほうが良いと思います。
④手数料の支払いは「契約時」
月極駐車場を不動産屋経由で契約する場合、仲介手数料や契約関連の諸費用は基本的に「契約時に一括で支払う」のが一般的です。このため、事前に資金の準備ができていないと、せっかくの契約機会を逃す可能性もあるでしょう。
特に、複数の区画をまとめて契約するケースや法人契約で一度に大規模な借り上げを行うような場合には、初期コストが予想以上に大きくなることもあるため、注意しましょう。
契約前には、見積書を取り寄せて「いつ」「何を」「いくら支払うのか」を確認し、契約金の内訳をきちんと把握しておきましょう。
⑤1か月分以上の手数料がかかる場合もある
駐車場契約において、仲介手数料は通常「月額賃料の1か月分以内」が相場とされていますが、実際にはそれを上回る金額を請求されることもあります。
例えば「広告料」や「契約事務手数料」といった名目で費用が追加され、結果的に1.5か月分、場合によっては2か月分近くになるケースも考えられるでしょう。
これらは不動産屋が物件の空き枠を埋めるために設定していることが多く、広告に力を入れる代わりにオーナー側が負担する形式です。ただし、相場から大きく逸脱している場合や内容に不明点が多い場合は、事前に契約条件を見直し、必要であれば別の不動産屋に相談するのも選択肢の一つです。
費用の内訳と根拠を確認する姿勢が、無駄な出費を防ぐためには不可欠といえるでしょう。
駐車場経営で不動産屋・管理会社への手数料以外に発生する費用
駐車場経営をしていくうえで、ランニングコストとしての手数料以外にも以下のような費用が発生します。
- 駐車場経営の初期費用
- 駐車場経営の維持費用・税金
- 駐車場経営の保証費用
駐車場経営の初期費用
初期費用については、月極駐車場とコインパーキングとでは違いがあります。
月極駐車場で最低限必要な初期費用は舗装費用、ライン引き費用、歩道から駐車場に入るときに縁石などがある場合にはそれを除去、あるいは削ったりする費用などスムーズに駐車場に入るための工事費用が必要になります。
詳細については別記事でも紹介しておりますので、是非こちらも合わせてお読みください。

コインパーキングについては、初期費用については管理会社が全額負担するケースと自費で負担するケースがあります。管理会社が全額負担する場合は、月々の管理費用に負担額が上乗せされているケースがほとんどです。
自費で負担するケースには、ロックシステム、精算機が必要になってきます。費用としては100万円程度を見込んでおけばよいと思います。
駐車場経営の維持費用・税金
ほかには駐車場を維持管理する費用があります。アスファルトの割れの補修、ラインが消えたときに引き直すなどです。防犯カメラなどを設置している場合には一定期間で交換する必要もあります。
また、これは土地活用前と同様ですが、固定資産税・都市計画税がかかってきます。住宅を取り壊して駐車場を経営する場合などは、土地が住宅用地ではなくなるために住宅用地の軽減措置が受けられなくなり、固定資産税が上がるため、事前の収支計算に盛り込んでおくことを要します。
駐車場経営の保証費用
駐車場経営では、利用者が賃料を滞納した場合や無断駐車などのトラブルが発生した際に備えて「保証会社」と契約するケースがあります。
これは主に月極駐車場で用いられ、不動産屋を通じて保証会社と連携し、未払い時には一定の賃料を立て替えてもらえる仕組みです。
保証会社を利用すると、利用者ごとに保証料がかかります。これらは入居者負担となる場合もありますが、契約内容によってはオーナー側が一部負担するケースもあるでしょう。
また、コインパーキングにおいても設備の故障や不正利用に対する補償契約や売上保証を含む契約形態が存在することがあります。保証があることで安心して経営できますが、当然その分コストがかかるため、契約条件をよく確認し、必要な保証だけを選ぶことが大切です。
駐車場経営における手数料以外の費用を削減するコツ
駐車場経営では、管理会社に支払う手数料以外にも、初期費用、維持費、設備投資、広告費などのさまざまなコストがかかります。これらの出費は、細かく見直すことで意外と大きな削減につながります。無駄を省き、利益を最大化するためには、事前の情報収集と日々の見直しが不可欠といえるでしょう。
ここでは、実践的な費用削減のコツをご紹介しますので、経営判断の参考にしてください。
インターネットで複数の駐車場を比較する
まず取り入れたいのが、インターネットを活用した駐車場情報のリサーチです。インターネットを活用し、同じエリアにある月極駐車場やコインパーキングの賃料、空き状況、設備の有無などを比較しましょう。
相場を把握していれば、無理に価格を下げたり、不要なリニューアルを検討したりする必要がなくなります。また、類似物件の設備や運営形態を参考にすることで、自身の駐車場に最適な運営スタイルを見つけやすくなるでしょう。
近隣を歩いて調査する
ネット情報に加え、近隣を歩いて調査することで、思いもよらない穴場が見つかる可能性もあるでしょう。周辺にどれくらい車が通っているか、空き区画が目立つ駐車場があるか、近隣施設の利用状況など、数字では見えない情報が多く得られます。
例えば、「目の前にコンビニがあるが、駐車場が少ない」や「病院の裏に小さな月極駐車場が満車になっている」など、活用のヒントが隠れている場合もあります。
こうした観察を通して、本当に需要があるかを判断し、過剰な設備投資や広告宣伝に頼らない経営を目指しましょう。
不要な保険やオプション契約などがないかを確認する
駐車場経営を始める際、保険会社や管理会社からさまざまな保険・オ
プションの提案を受けることがありますが、それらが全て必要とは限りません。
例えば、火災保険や施設賠償責任保険の内容を精査すると、カバー範囲が重複していたり、ほとんど起きないリスクにまで手厚く補償されていたりするケースがあります。
また、管理会社が提供する24時間サポートや緊急駆けつけ、定期巡回などのオプションも、立地や利用状況によっては不要なこともあります。コストを抑えるためには、契約書に目を通し、何にいくら払っているのかを明確にすることが大切です。
必要な補償は残しつつ、使われていないサービスや過剰なプランは見直すことで、継続的な支出をカットできるでしょう。
まとめ
駐車場経営は、管理を不動産屋や管理会社に委託することによって、誰でも簡単に始めることができる土地活用です。初期費用も安価で始められるために、リスクが少ない活用方法として人気があります。
一方で、管理費用をはじめとしたいろいろなコストがかかりますので、あらかじめ事業収支に織り込んで、安定した駐車場経営を目指しましょう。不動産会社、管理会社と連携をとって運営していくことが成功の鍵となります。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。