2020年08月31日公開
2020年08月31日更新
駐車場経営を始めるための資金をコインパーキング・月極で比較!素早く回収するコツも
資金ゼロでも駐車場経営は始められます。土地活用の入門として駐車場経営は低リスク低コストであることが魅力です。この記事では、駐車場経営を始めるのに必要な資金について、駐車場の種類、運営方式ごとに徹底解説し、資金回収についても説明しています。
目次
駐車場経営とは
駐車場経営は、活用していない土地を持っている人には魅力の多い資産活用方法です。
とはいっても、資金面で不安を抱えている方も多いでしょう。駐車場経営を始めるのに資金はどれくらい用意する必要があるのでしょうか。
まずは基本的な知識から確認しておきましょう。
駐車場経営のメリット
様々ある土地活用と比較しても、駐車場経営のメリットは、なんといっても少ない資金で始められることにあります。
初期費用に充てる資金ゼロでも始めることができ、しかも低リスクであることは、駐車場経営の大きなメリットです。また、以下のようなスタート時の身軽さも見逃せません。
- 安定した収入が得られる
- 賃貸経営などに比べて、事前の準備や経営知識がなくても始められる
- 建築不要なため、すぐ運営が始められ短期間で収益化できる
- 狭小地や変形地など、他の方法では活用できない不動産が活かせる
- 借地権が発生せず契約をすぐ終了できるため、建築開始までなど期間を限定した運用ができる
- 入居者とのトラブルや建物の老朽化や災害といった運営上のリスクが少ない
このように、低リスク低コストが駐車場経営の大きな特徴です。
駐車場経営のデメリット
一方で、主なデメリットは、大きな収益をあげることは難しくローリスクローリターンであることです。賃貸住宅経営などに比較すれば土地の利用効率ははるかに低くなります。駐車場以外の活用が可能な不動産であれば、駐車場にしておくのはもったいないといえます。
また、住宅用地の特例対象外となるため、固定資産税などランニングコストとなる税額は高くなります。特に、今あるマンションやアパートなどの建物を取り壊して駐車場経営を始める場合は、税負担が大きくなる可能性が高いです。
駐車場経営のタイプを比較~月極駐車場とコインパーキング
駐車場経営には月極駐車場とコインパーキング、2つのタイプがあります。ここでは、立地、経営方式、メリットデメリットを中心に2つのタイプの特徴を比較します。
月極駐車場
月極駐車場はコインパーキングよりも十分な広さがある土地での経営に向いています。
月極駐車場に向いた立地は、駐車場を持たない住民が大勢いる大規模マンションの近くや通勤利用が見込める駅から離れたオフィス近くなど、周辺の住宅や施設の土地を利用する人数に比べて狭く、毎日決まって長時間駐車するニーズが発生する場所です。
コインパーキング
コインパーキングは短時間の利用者を対象にしますので、大規模商業施設や大きな公園の近く、学校や保育園、塾やスクールなど送迎目的で短時間の駐車ニーズがある場所に向いています。
月極駐車場か、コインパーキングか~立地を見極める
駐車場経営を検討している土地が月極駐車場、コインパーキングのどちらに向いているか判断に迷った場合、立地の見極めは現地で実際に調べる以外ありません。通行する人や車の通行目的と数を、時間帯や曜日を変えて観察するといいでしょう。
また、その土地がそもそも駐車場に向いているかも確認しておく必要があります。
- 表通りから駐車場までの道路が幅員4m以上あり、出入りに不自由のない十分な間口で接地しているか
- 高低差は少ないか
- 周辺に競合となる駐車場が多い場合は、空き状況、料金の相場、平置きか立体か等どのような形態なのか
高低差の大きい土地を駐車場にする場合、土地の造成が必要になることがあります。その際には整地費用がかかってきますので注意が必要です。
駐車場経営の運営方式を比較~一括借上、管理委託、個人経営
次に、駐車場経営を運営方式で分類してみていきます。駐車場の運営方式は、一括借上、管理委託、個人経営の3つに大きく分かれます。
一括借上
運営会社が土地所有者から土地を一括して借り上げ、駐車場の売上に関係なく、使用料として土地所有者に毎月定額の地代を支払う、いわゆるサブリース方式です。
管理・運営も運営会社が全て行いますので、初期費用に充てる資金を準備する心配はありません。土地所有者は満車にするための営業努力も、リスク管理やトラブル対応も全て不要です。
収入については定額の地代のみになりますが、安定した収入が見込める上、空きがでても収入は減りません。また利益が多く上がったとしても土地所有者の収入には反映されません。
なお、一括借り上げ方式で契約するには、運営会社の審査に通る必要があります。
管理委託
集金や契約手続きなど運営業務の一部について土地所有者が管理会社に委託し、管理委託料を支払う方式です。
保守管理業務を委託することが多く、5%~10%前後の管理委託料率となります。(契約者の募集について管理会社に支払う仲介手数料が発生する場合があります。)
主に月極駐車場経営に多い運営方式です。
個人経営
土地所有者がすべての管理運営を行う方式です。
駐車場経営による収入は全て自分の収入となりますが、契約者の募集などの営業活動から契約の管理事務、滞納や違法駐車、ゴミの不法投棄、苦情対応など、金銭面以外の負担も大きくなります。
初期費用は全て個人負担になりますので、特にコインパーキングの駐車場経営の場合は最も資金が潤沢に必要となる運営方式です。
駐車場経営の資金の考え方
この記事では、駐車場経営を始めるにあたって必要となる費用(初期費用)を、駐車場経営に必要な資金としてみています。
駐車場経営を始めるために、専用機材の購入や土地の整備など、資金が必要となる場合があります。必要な資金額は、駐車場のタイプによって異なり、どの経営形態を選択するかでも変わってきます。
駐車場経営を始めるための資金を比較
駐車場のタイプ・経営形態ごとに必要な資金の比較表は以下のとおりです。
一括借上 | 管理委託 | 個人経営 | |
月極駐車場 | 土地整地費 (舗装費) |
土地整地費 (舗装費) |
土地整地費 (舗装費) 広告費 |
コインパーキング | 準備資金 不要 | 土地整地費 (舗装費) 設備関連費 |
土地整地費 (舗装費) 設備関連費 広告費 |
このように、一括借上<管理委託<個人経営の順で必要な資金が増えます。
ただし、収入についても、一括借上<管理委託<個人経営の順で増える傾向にあります。というのは、一括借上方式では運営会社の取り分が最も多く、管理委託方式では管理委託料が差し引かれるのに対し、個人経営では全ての収入が手元に残るからです。
次に、それぞれの費用について、具体的な内訳と金額についてみていきましょう.。
駐車場経営コインパーキングを始めるための資金
ここからは費用毎の具体的な内容と必要な資金額の目安を詳しく紹介していきます。
駐車場経営コインパーキング(一括借上)の資金
一括借上方式にすると、用意する資金は必要ありません。
運営管理等のランニングコストだけではなく、初期費用として必要な機械設備の購入・設置費用も負担ゼロで駐車場経営が始められます。
運営会社によっては、整地と舗装については土地所有者に負担を求められる場合もありますので、必ず複数社から見積をとって確認するようにしましょう。
駐車場経営コインパーキング(管理委託)の資金
土地の整地・舗装費、設備関連費がかかります。設備関連費だけで10台あたり300~400万円必要となります。
【土地の整地・舗装費】
- 整地+舗装(アスファルトあるいはコンクリート)
- アスファルト舗装 3,000~5,000円/㎡
- コンクリート舗装 8,000~10,000円/㎡
- ライン引き 10,000円/台
- 駐車番号表示 1,000円/台
- 車止めブロック 2,000~5,000円/個
【設備関連費(機械設備購入費、設置費)】
- 精算機
- 精算機の説明看板
- 精算機用雨よけテント
- ロック板購入費(もしくはカーゲートと発券機)
- 看板(満空表示灯一体型入口看板、料金表・利用規約の案内看板)
- 場内照明
- 防犯カメラ
- フェンス
駐車場経営コインパーキング(個人経営)の資金
管理委託方式と同様、土地の整地・舗装費、設備関連費がかかります。その他に広告費も必要となってきます。
【土地の整地・舗装費】
管理委託方式に同じ
【設備関連費(機械設備購入費、設置費)】
管理委託方式に同じ
【広告費】
- オープン前のチラシ印刷代
- ポスティング代
- 電信柱への広告
- 大通りからの誘導看板の作成費・設置費
- 近隣への挨拶回りの費用
月極駐車場経営を始めるための資金
月極駐車場経営の場合、必要な資金の比較表からもわかるとおり、一括借上、管理委託、個人経営に関わらず、初期費用として必要な資金は基本的にほとんど差がありません。
月極駐車場経営は最低限、整地費用と区画用ロープを張れば運営を始めることができます。一方で考えなければならないのは、未舗装では砂ぼこりや泥はねによる車体の汚れなどを嫌って契約者が集まりにくくなる可能性もあると言うことです。
また、雑草が伸びていたり、看板や照明がないと敷地への侵入が起こりやすく、車上荒らし、ゴミの不法投棄などが増えやすく、やはり利用者に嫌がられる可能性があります。多少出費は増えますが、舗装や照明は設置することをお勧めします。
【土地の整地・舗装費】
- 整地費用:未舗装 2,000円/㎡前後
- 区画用ロープとペグ(砂利の場合) 10円/m
- アスファルト舗装 3,000~5,000円/㎡
- コンクリート舗装 8,000~10,000円/㎡
- ライン引き 10,000円/台
- 駐車番号表示 1,000円/台
- 車止めブロック 2,000~5,000円/個
【その他設置費】
- 看板(駐車場名、連絡先など記載)
- 照明
【広告費】
- オープン前のチラシ印刷代
- ポスティング代
- 電信柱への広告、大通りからの誘導看板の作成費・設置費
- 近隣への挨拶回りの費用
駐車場経営を資金で選ぶならコインパーキング
コインパーキングは規模の小さいものが増える傾向にあります。初期費用のうち設備機器とその設置費用は車室の数に関係なく発生しますので、車室の少ないコインパーキングほど1台あたりの初期費用が大きくなり、収益に響いてきます。
一括借上方式は資金面での負担ゼロで駐車場経営が始められ、運営にかかる労力もありません。
近隣のコインパーキングの料金相場によって収入が変動することもなく、安定した収入が得られることを考えると、費用面、収入面どちらからも一括借上方式でコインパーキング駐車場経営を行うことが最も合理的な選択と言えるでしょう。
駐車場経営の資金を素早く回収するコツ
駐車場経営で支出した資金額に対して、収入が大きいほど早く資金が回収できます。駐車場経営開始に必要な資金の他に、翌年支払う税額を含めて毎年かかる費用(ランニングコスト)を合計した金額を、収入がどれくらい上回るかの割合を実質利回りといいます。資金を素早く回収するには、この実質利回りを正確に計算することが重要です。
ランニングコストを把握しておく
個人経営でなく管理委託方式や一括借上方式の場合は、管理委託料が発生します。
コインパーキングの場合、管理委託料と税金の他に機械のメンテナンス費用等がかかりますが、一番大きなランニングコストは電気代です。駐車スペース数に比例して照明の数が増えるため、電気代も増えてしまいます。また、24時間対応が必要となる警備や問い合わせ先のコールセンターの費用など、コインパーキングに特有の管理委託料が含まれます。
【コインパーキング駐車場経営のランニングコスト】
- 管理委託料
- 電気代
- 通信費
- 保険料
- 集金費、清掃費
- 24時間対応警備出動の費用
- 24時間対応コールセンターの費用
- 遠隔システム利用料
- 決済手数料(現金以外にクレジットカードや交通系ICカードなどへ対応している場合)
- 設備メンテナンス費
- その他 消耗品費(レシート、駐車券の紙代)など
実質利回りを計算しておく
利回りの計算方法には表面利回りと実質利回りがありますが、収益性をみるには実質利回りを用います。
実質利回りの計算式(管理委託方式あるいは個人経営の場合)
実質利回り(%)=(年間収入-ランニングコスト)÷(土地購入費用+初期費用)×100
管理委託方式あるいは個人経営の場合は、管理委託料と税額の合計をランニングコストとし、初期費用で割って実質利回りを算出します。
実質利回りの計算式(一括借上方式の場合)
実質利回り(%)=年間収入÷土地購入費用×100
一括借上方式では、ランニングコストと初期費用がかかりませんので、実質利回りを求める式は上記の通りです。土地を購入しない場合は利回りという考え方は使えませんが、年間収入がそのまま収益額となります。
利回りについての詳細は、「駐車場経営で重要な「利回り」とは?コインパーキング収益最大化のための知識」をご覧下さい。
税金を確認しておく
駐車場経営では以下の税負担が発生します。
【駐車場経営にかかる税金】
- 固定資産税・都市計画税(合わせて課税標準額の1.7%以下)
- 償却資産税
- 消費税
- 所得税・住民税
- 個人事業税もしくは法人税
駐車場経営による収入の金額や運営方法など、条件によってかからない税金もあります。
税金についての詳細は、「駐車場経営の税金種類と計算シミュレーション!確定申告、固定資産税も解説」の記事をご覧下さい。
まとめ
本記事では駐車場経営を始めるための資金について解説しました。以下本記事で触れた内容をまとめますので駐車場経営に興味のある方は参考にしてください。
- 駐車場経営のメリットは、資金ゼロでも始めることができしかも低リスク低コストである
- 駐車場経営には月極駐車場とコインパーキングの2つの経営方法があり、立地や運営方式によって選ぶ
- 駐車場経営の運営方式には一括借上、管理委託、個人経営がある
- 駐車場経営を始めるためにかかる資金は、経営方法や運営方式によって異なるが、一括借上方式であれば資金ゼロで始めることができる
- 駐車場経営の資金を回収するにはランニングコストの把握が大事