公務員が駐車場経営で副業する際の注意点とは?懲戒処分を受けないためのルールを紹介

本記事では公務員は駐車場経営が可能なのか?公務員が駐車場経営を行うときの注意点や駐車場経営の条件について解説します。また、公務員と駐車場経営が相性がいい点やメリットやデメリット、駐車場経営における注意点や儲けるポイントなどについても解説します。

公務員が駐車場経営で副業する際の注意点とは?懲戒処分を受けないためのルールを紹介のイメージ

目次

  1. 1公務員の駐車場経営にある注意点
  2. 2公務員が駐車場経営するための条件
  3. 3公務員の駐車場経営と許可申請
  4. 4公務員が駐車場経営するメリット
  5. 5公務員が駐車場経営するデメリット
  6. 6公務員が駐車場経営で儲けるポイント
  7. 7まとめ

公務員の駐車場経営にある注意点

年金に対する将来の不安や、預貯金金利の低下によって、不労所得を得ようといった動きが活発です。その中で注目されるのが不動産投資、特に駐車場経営は、不動産投資の中でも比較的、手軽にできることから注目を浴びています。多くの人が駐車場経営に興味を持っており、公務員も例外ではありません。

しかし不動産投資は、基本的に副業といった位置づけになってしまいます。そのため副業禁止の公務員は、駐車場経営ができないと思っているのではないでしょうか?この記事では、公務員が駐車場経営を行うさいに懲戒処分を受けないためのルールや条件を説明します。また駐車場経営のメリットやデメリット、儲けるためのポイントなどについても詳しく解説します。
 

公務員の不動産投資と副業禁止規定

公務員が不動産投資を躊躇する一番の理由は、副業禁止規定に引っかかってしまうと考えるからでしょう。国家公務員が守るべき服務規定として、兼業について公務員法第103条や第104条で触れられています。国家公務員法第103条では私企業からの隔離、第104条では、他の事業又は事務の関与制限が記載されており、この条文が副業、兼業についての項目です。

103条では、営利企業の役員、顧問を兼ねること、また自ら営利企業を営むことが禁止されています。(但し人事院の承認を得た場合は可能)104条は、103条以外の報酬を得る兼業についての条文です。ここでも内閣総理大臣の許可を要することとなっており、公務員が副業を行うのは禁止、若しくは高い壁だと思われているのが大きな原因です。

以下に参考資料として内閣官房内閣人事局が発表している国家公務員の兼業についての資料をご確認ください。

国家公務員の兼業についての資料

駐車場経営で懲戒処分を受けないためのルール

副業禁止規定に抵触してしまうので、駐車場経営を全てできないかといえばそうではありません。いくつかの条件をクリアすると駐車場経営を行っていても副業規定に抵触しないので懲戒処分を受けることがありません。では、どのような条件があるのでしょうか?

公務員が駐車場経営するための条件

公務員でも駐車場経営ができるためには、一定の基準をクリアしなければいけません。では、どのような基準をクリアすれば駐車場経営ができるのでしょうか。ここからは公務員が駐車場経営を行う条件について詳しく解説していきましょう。

一定規模以下であること

不動産投資や不動産賃貸における規則は、人事院規則14-8「(営利企業の役員等との兼業)の運用について」に明記されています。公務員が不動産投資を行い、不動産賃貸業を営むにあたり、一定の規模以下であるならば不動産賃貸業が可能なのです。では一定規模とは、どの程度の規模を指すのでしょうか?
不動産賃貸の場合は、以下のような決まりに沿っていると副業として認められます。
 

  • 独立家屋の賃貸は独立家屋の数が5棟以下であること
  • 共同住宅の場合は貸部屋が10室以下であること
  • 土地の賃貸は賃貸契約の件数が10件以下
  • 賃貸に関わる不動産が劇場や映画館、ゴルフ練習場ではないもの
  • ホテルや旅館は認められない
  • 建物中にある駐車場や機械設備がある駐車場は認められない
  • 駐車場台数は10台以下

駐車場管理を委託すること

公務員が副業禁止されている最も大きな理由のひとつが、副業が原因で、国民に奉仕する公務員である役割が果たせない可能性があると考えられるためです。不動産賃貸業においては、公務員自らが賃貸管理を行ってしまうと、本業に影響すると判断されます。そのため、自ら管理することは禁止されているのです。

駐車場経営も含めた不動産賃貸業を行う場合は、自ら管理してはいけません。必ず不動産管理会社に委託しましょう。駐車場の管理を不動産会社に依頼すると、基本的には駐車場経営に関わる大部分は管理会社が行ってくれます。管理料は、駐車料金総額の5%~10%が一般的です。管理委託することで副業禁止規定を避けることができます。
 

年間の賃貸収入が500万円未満であること

駐車場経営が副業規定にかかるかどうかは賃貸収入も大きく影響します。不動産賃貸業における賃貸収入は「500万円」が上限です。いわゆる、マンションやアパートといった居住用賃貸業も駐車場経営も、賃貸収入に違いはありません。賃貸収入の上限に関しては、駐車場経営の場合は比較的クリアしやすいといえるでしょう。

年間500万円以下ということならば月額41万円以下が条件となります。そして、駐車場経営に関しては10台以下でなければ副業が認められません。つまり41万円以下で最大でも10台以下ということは駐車場1台当たりの月額賃料は41,000円以下ならばクリアできることになります。

一般的に、月額41,000円以上の駐車場となると、首都圏都心部の月極駐車場に限られ、都市近郊や郊外では41,000円以上の月極駐車料金というのは多くありません。他の条件と比較すると、クリアしやすい項目といえます。
 

公務員の駐車場経営と許可申請

先ほどまでは、副業規定にかかることなく駐車場経営ができる条件を解説しました。副業規定を満たして駐車場経営を行う場合には、特に許可申請は必要ありません。しかし、副業規定に適合しない場合は、副業規定違反となり駐車場経営はできないのでしょうか?

先ほどの条件を満たさなくても許可申請を行うことで、駐車場経営は可能な場合があります。ここからは副業規定を満たさなかった場合、駐車場経営の許可申請の方法や注意点について解説していきましょう。
 

許可申請の方法

許可申請の方法としてまず行うことは、所属している部署の長に報告する必要があります。そして、最終的には、自分が在籍している所轄庁の長の許可が必要です。所属している部署の長に報告するにあたり書類を提出しましょう。人事院が公開している「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」が提出する書類になります。

また上記の申請書の他に、以下の書類とセットで申請書を提出しなければいけません。

  • 管理をお願いしている不動産会社との管理委任契約書
  • 不動産の物件概要書
  • レントロール(賃貸条件の一覧表) 

許可申請の注意点

許可申請を行ったからといって必ず許可される訳ではありません。

例えば、賃貸経営の規模が明らかに大きな状況であったり、現在の規模よりもさらに事業を拡大するようなケースでは、認められない場合が多いです。逆に相続により、駐車場経営を含む不動産経営を行う場合は、申請が比較的通りやすいといえます。

なぜ相続の場合は比較的通りやすいかといえば、相続が原因で副業規定に抵触し、公務員を退職してしまう原因にもなりかねないというのが挙げられます。また公務員であるために相続した財産を一定規模まで減らすということも社会通念上おかしいと感じられるためです。

申請してみなければわかりませんが、必ず許可されるわけではないという点は注意しておきましょう。

 

公務員が駐車場経営するメリット

きちんと副業規定を守ることで公務員でも駐車場経営を行うことは可能です。実は公務員にとって駐車場経営も含めた不動産経営を行うことはさまざまなメリットがあり、公務員と駐車場経営は相性が良いともいわれています。では、公務員が駐車場経営を行うにあたり、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 

駐車場経営の資金調達がしやすい

駐車場経営も含めた不動産投資は、初期投資を行うにあたり一般的には金融機関から融資を受けて資金調達を行います。つまり、融資を受けることができなければ駐車場経営自体ができないという事態になってしまうのです。金融機関の融資について、公務員は一般のサラリーマンよりも融資の審査が通りやすいといわれています。

公務員は、一般のサラリーマンと比較すると安定性があり、民間企業にありがちな左遷や降格などにより大幅に給料が下がってしまうようなケースが極めて少ないです。このような安定性が、融資の審査においては非常に有利といえます。

公務員の職種に関わらず与信が高い

ひとくくりに公務員といっても公務員の種類はさまざまです。国家公務員もいれば地方公務員もいて、例えば自衛隊員や、保安官、警察といった特殊な職種もあります。全てを公務員としてひとくくりにはできません。では公務員は、融資の審査において信頼性が高いと述べましたが、公務員も職種別によって審査の通りやすさに違いがあるのでしょうか?

基本的には、公務員の職種により審査に影響はあまりありません。つまり、公務員はほとんどの職種において融資の審査が通りやすいといえるのです。給与の安定性に関しては国家公務員でも地方公務員でも大きな差がありませんので、金融機関では信頼性が高く審査が通りやすいといえるでしょう。
 

公務員の仕事が忙しくてもできる

副業規定では、公務員が駐車場経営を行う場合は、自分たちで管理はできず、不動産管理会社へ依頼しなければいけません。基本的に不動産管理会社に管理を任せると自分たちで動く必要がありませんので本業が忙しくても駐車場経営は可能です。公務員が駐車場経営を行う場合の最大のポイントは、パートナーとなる不動産管理会社が優秀かどうかといった点にあります。

優秀な不動産管理会社は、経営者の意志に沿って適切で順調な管理で手を煩わせることがありません。しかし、優秀ではない不動産管理会社に管理を任せてしまうと、思った収益を上げられないどころか、管理上でもお客様とトラブルを起こしてしまうことも考えられます。すると管理会社ではなく所有者であるあなたが対応しなければいけない事態になりかねないのです。

公務員の仕事が忙しくても駐車場経営は可能ですが、優秀な不動産管理会社の存在が不可欠です。
 

他の不動産投資よりも手軽である

駐車場経営は、他の不動産投資と比べると初期投資にお金があまりかからないので比較的手軽に取り組むことができるといわれています。マンションやアパート経営と比べてみましょう。分譲マンションの一室で不動産投資を行うときに初期費用として、最初に購入費用がかかります。

また、新築からの不動産投資の場合は、建築費用も掛かりますので、一般的に初期投資に多額の費用が必要です。しかしこれが駐車場経営となると、建築費用の必要はありません。更地の土地があれば、アスファルト舗装程度の費用で駐車場経営は可能です。もっと費用をかけたくないならば、砂利を敷くだけでもできます。比較的初期投資がかからない点が他の不動産投資よりも手軽といわれるゆえんです。
 

公務員が駐車場経営するデメリット

ここまでは、公務員が駐車場経営を行う際のメリットについて解説してきました。

しかし、不動産投資においてはメリットだけではなくデメリットもしっかりと認識し、改善や対策を行うことが駐車場経営を成功させるポイントのひとつです。では、公務員が駐車場経営を行う際のデメリットは何が考えられるでしょうか?

公務員が駐車場経営を行うもっとも考えられるデメリットとしては、あまり多くの収益は望めないといった点でしょう。

家賃収入の最大額は500万円以内なのですが。駐車場は10台以内という制限があり、都心部以外だとあまり家賃収入が見込めません。投資としては、副業に該当しない範囲での経営だと、あまり儲からないといった点を挙げることができるでしょう。
 

公務員が駐車場経営で儲けるポイント

不動産投資の中では比較的手軽で、初期投資もあまりかからない中でできる駐車場経営は、リスクが少ない点からも取り組みやすい投資です。では、公務員が駐車場経営で少しでも儲けるようにするにはどのような点に注意すればいいのでしょうか。

ここからは、駐車場経営で儲けるポイントについて解説していきましょう。
 

駐車場経営の種類

ひとことで駐車場といっても、大きく分けて2種類の駐車場経営方式があります。ひとつは月極駐車場です。月極駐車場は、賃貸借契約を締結して1ヶ月ごとの賃料をもらって駐車場スペースを賃貸する方法です。一旦入居が決まると、安定的な賃貸収入に期待が持てます。しかし、駐車場の賃料は決まっているため、儲けの最大値もある程度決まっていることも特徴といえるでしょう。

もうひとつが時間貸しの駐車場です。いわゆるコインパーキングと呼ばれるもので、時間単位で駐車料金が決めれられており、駐車場に止めた時間帯に応じて駐車料金を支払います。住宅街が少ないオフィス街などでは、月極の駐車場よりもコインパーキングの方が、高い運用成績を上げることが可能です。

駐車場経営において高い運用成績を上げることができるのは、立地による部分はありますが月極駐車場よりもコインパーキング方式といえます。まずは、駐車場の種類をしっかりと理解して性質や特徴をしっかりとつかんでおきましょう。
 

駐車場経営の立地・需要

駐車場経営も含めた不動産投資において最も大切なポイントが立地と需要です。

例えば、既にコインパーキングの需要が飽和しているような場所で、新たにコインパーキング経営を行ってもあまり高い運用成績は挙げられないかもしれません。需要がある場所で駐車場経営を行うのは当然ですが、既に十分な駐車場が確保されているかどうかも確認する必要があります。

駐車場経営を行う場合は、月極駐車場かコインパーキングか、立地に合った駐車場を選択する必要があります。また、需要があったとしても他の駐車場の数や稼働状況も調べておくことがポイントです。立地に適性がありライバルが少ない場所での駐車場経営は、儲かる可能性を高めます。
 

駐車場経営の費用

駐車場経営においては、収入だけを考えるのではなくかかる費用も計算しておきましょう。単純に更地にアスファルト舗装をしないで砂利敷きにする程度ならあまり大きな費用はかかりません。ただ、アスファルト敷きの駐車場よりも高い駐車料金は望めないでしょう。逆にアスファルト舗装して、外灯を設置すると費用も掛かってきますが、高い駐車料金が設定できるかもしれません。

かかる費用によって、どれだけの駐車料金が受け取れるのかといった点をしっかりと計画して費用をかける必要があります。駐車場経営の費用については、別記事「駐車場経営の初期費用はコインパーキングと月極で違う!ランニングコストも解説」がありますので参考までにご覧ください。

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駐車場経営の税金

駐車場経営において最も注意しなければいけない支出に税金があります。駐車場経営にかかる税金は、固定資産税が最も大きな支出となるでしょう。毎年1月1日時点の所有者へ課せられる地方税です。宅地として利用していた土地を駐車場にする場合は、固定資産税が大幅に上がります。

宅地の場合はさまざまな特例による優遇措置があり最大1/6まで固定資産税が下がっているのです。

駐車場には固定資産税の優遇措置がありませんので宅地のときと比べると最大6倍の固定資産税がかかります。宅地の状態での固定資産税とは大きく異なるのできちんと理解しておきましょう。

駐車場経営における税金については、別記事「駐車場経営の税金種類と計算シミュレーション!確定申告、固定資産税も解説」に詳しく解説しています。こちらの記事もご覧ください。
 

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駐車場経営の確定申告

不動産収入は、必ず毎年確定申告を行い、納税額を確定させなければいけません。確定申告は、公務員であっても必ず行いきちんと申告する必要があります。また、確定申告には、青色申告や白色申告など、確定申告の種類が異なることを理解しておかなければいけません。

青色申告は複式簿記で記録し、不動産所得などを確定申告書に記載、申請するものです。複雑で手間がかかりますが確定申告によって、最大65万円を控除することができます。青色申告で申請していない方はすべて白色申告となります。青色申告よりも確定申告が複雑ではありません。

そのかわり、青色申告のように確定申告時に控除することができませんので、青色申告と白色申告の違いをしっかりと理解しておきましょう。また、駐車場経営における確定申告に関しては、別記事「駐車場経営の固定資産税はいくら?税金計算・経費の考え方・確定申告を徹底解説」も合わせてご覧ください。
 

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まとめ

公務員は、全ての駐車場経営が副業にあたるので、できないかというとそのようなことはありません。一定の規模以下では副業規定の範囲にかからないので公務員でも駐車場経営は可能です。しかも一定規模以上でも絶対にできないというわけではなく許可申請をすることで、一定の規模以上の駐車場経営も可能なケースがあります。公務員が駐車場経営を行うのは、比較的やりやすい事業です。

融資が通りやすく不動産投資の中でも駐車場経営は手軽にできることから、公務員と駐車場の経営は相性がいいといえるでしょう。しかし、立地、需要、かかる費用などをしっかりと分析し、また確定申告も忘れないように駐車場経営を行わなければいけません。この記事が駐車場経営のお役にたてたら幸いです。

 

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