2020年12月10日公開
2024年03月27日更新
駐車場の車庫証明の発行に対応!地主・オーナーの注意点は?
月極駐車場を経営していると、借主から車庫証明を求められる場合があります。車庫証明は経営者には直接関わることではありませんが、しっかり理解していないと対応ができません。この記事では、月極駐車場経営をする上で理解しなければいけない車庫証明について解説していきます。
月極駐車場経営で借主が求める車庫証明とは
月極駐車場を経営していると、利用者から保管場所使用承諾証明書を求められる場合があります。その場合、経営者は速やかに保管場所使用承諾証明書を発行しなければなりません。しかし、保管場所使用承諾証明書がどういうものか知らないと、利用者に迷惑をかけてしまうこともあります。
まずは「車庫証明」の意味を正しく理解していきましょう。車庫証明とは、車を置く場所が確保されていることを証明する書類のことです。つまり、自動車の住所のようなものです。車庫証明申請は警察署で行います。車庫証明を提出することにより違法駐車などを防ぐ効果が期待できるため、必要なのです。
自動車を置く場所=駐車場には警察で定められた基準があり、利用者はその基準に沿った駐車場を用意しなければなりません。基準を守らなかった場合は、3ヶ月以内の懲役もしくは20万円以下の罰金が課せられる場合もあります。
車庫証明をよく理解していない利用者からは、駐車場経営者側に「車庫証明を発行してください」という依頼をされることもあるでしょう。そのような場合は「保管場所使用承諾証明書」を発行し、必要書類を伝え、警察署で申請する必要があることを教えてあげることが大切です。
保管場所使用承諾証明書との相違点
車庫証明と似たような言葉に「保管場所使用承諾証明書」という書類があります。こちらは、駐車場の持ち主が車を該当場所に置くことを許可したことを意味する書類で、車庫証明を警察に申請する際に必要になる書類のことです。
月極駐車場経営者は、この書類を発行する役割があります。
- 車庫証明=自動車を置く場所が確保されていることを証明する書類
- 保管場所使用承諾証明書=車庫証明の住所の駐車場持ち主が、自動車を置くことを許可した書類
車庫証明の発行が必要となるケース
では、どのようなときに車庫証明が必要になるのでしょうか。車庫証明が必要になる3つの主なケースをご紹介していきます。どのケースも、月極駐車場経営をしていると関わるケースになってきます。
①自動車を買ったケース
1つ目は、自動車を買った場合です。新車や中古車、人から自動車を譲り受けた場合も該当します。このような場合は自動車の所有者を申請しますが、その際に車庫証明も必要になります。車庫証明がないと自動車の住所がないという意味になるため、自動車の納車ができません。
自動車を購入した場合は、車庫証明の取得をディーラーが代行してくれることもあります。
②引っ越しを行ったケース
2つ目は、引っ越しをしたときです。引っ越しをすれば、当然、自動車を置く場所も変わるので、住所の管轄内の警察に申請する必要があります。申請が完了すると、自動車のナンバープレートが変わります。
まれに引っ越しをしても何の申請もせずにそのまま自動車を使用している方もいますが、この行為は本来、10万円以下の罰金が課せられる反則行為のため、速やかに申請をしなければなりません。
③駐車場を変更したケース
3つ目は、駐車場を変更したときです。もし同じ警察管内の地域だとしても、駐車場を変更したときは申請が必要になります。2つ目の引っ越しをしたときと似た意味合いになりますが、自動車の住所が変わったことを申請する、という意味になります。
ただし、同じ警察管内の変更の場合は原則という扱いのため、守らなかったとしても罰則規定はありません。
車庫証明を発行するための条件
車庫証明は依頼されたら、無条件で発行できる訳ではありません。発行するためには利用者が守らなければならないルールがあります。車庫証明は警察に申請した後に実際に警察側が内容を調べることになるので、ごまかすことはできないのです。では、5つの条件を確認していきましょう。
①拠点から駐車場までの距離が直線で2km圏内
1つ目の条件は、利用者の拠点住所から駐車場までの距離が直線で2km圏内であることです。気をつけてほしいポイントは「自宅の住所」ではなく「拠点」というところです。自宅で駐車場が足りない場合は拠点も自宅住所になりますが、転勤で自宅以外に住居がある場合は、実際に住んでいるところが拠点になります。
また規定では、拠点住所から駐車場までの距離が直線で2km圏内となっていますが、拠点から1.9kmの場所にある駐車場で車庫証明を申請した場合、申請が拒否される場合もあります。なぜなら、本当にその駐車場を利用するのか信憑性がないからです。
拠点から1.9kmの距離を歩いて移動することに信憑性を感じないと、車庫証明のためにだけ駐車場を借りて、普段は拠点の近くに違法駐車するのではないか、と疑われてしまう可能性があるのです。
②車全体が駐車区画に収まっている
2つ目の条件は、自動車全体が駐車区画に収まっていることです。特に大型の自動車の車庫証明を申請する場合には注意が必要です。駐車場の区画と自動車の全長が同じ長さまでは問題ありませんが、1㎝でも超えてしまうと許可がおりません。
駐車場の区画の大きさと自動車の大きさをしっかり確認してから駐車場を決める必要があります。
③道路から支障なく出入りが可能
3つ目の条件は、道路から支障なく出入りが可能であるということです。駐車場の前の道が車が通れないくらい細い道だったり、駐車場の出入口に障害物があって支障なく出入りができないような駐車場だと、許可がおりない場合があります。
月極駐車場を経営する際に、このような場所は選ぶことはないと思うのですが、万一、このような土地で駐車場経営をしていた場合、車庫証明の申請許可がおりずに利用者に迷惑をかけてしまう場合があるので注意が必要です。
自分が駐車場を借りる目線になり、「自分が使いづらい」と感じるような立地は避けた方が無難です。
④時間貸しの駐車場/コインパーキングではない
4つ目の条件は、コインパーキングなどの時間貸しの駐車場でないことです。コインパーキングなどは「常にその場所に車を置くことが可能である」という確証が得られないため、車庫証明の許可がおりないのです。
⑤駐車場・車庫であること
5つ目の条件は、当然ですが、駐車場や車庫であることです。自動車がとめられるスペースが常にあるからと言って、空き地を車庫証明で申請することはできません。
車庫証明を発行するための必要書類一覧
車庫証明の申請は警察署で行いますが、その際に必要な書類は下記の通りです。
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所使用承諾証明書(駐車場を借りている場合)
- 保管場所使用権原疎明書(自己保有の駐車場の場合)
- 保管場所の地図・配置図
- 拠点住所が確認できるもの
- 認印
自動車保管場所証明申請書
自動車保管場所証明申請書には、主に自動車の情報と保管住所を記入します。自動車の名称、メーカー名、型式、車体番号、車体の全長などが必要になるので、あらかじめ調べておきましょう。
用紙は警察署の窓口やホームページからダウンロードすることができます。
保管場所標章交付申請書
保管場所標章交付申請書は自動車保管場所証明申請書と2枚1組の複写式になっています。保管場所標章(ステッカー)をもらうために必要な書類です。
警察署の窓口では複写のタイプが置いてありますが、警察署のホームページでダウンロードすることも可能です。その場合は、複写ではないので、自動車保管場所証明申請書に記入したのと同じ内容を記入します。
保管場所使用承諾証明書(駐車場を借りている場合)
保管場所使用承諾証明書は、駐車場の持ち主が車を該当場所に置くことを許可したことを意味する書類です。駐車場を借りている場合に必要になります。駐車場の持ち主や経営者に依頼し、発行してもらいます。
必要なことが記載されていれば決まった様式はありませんが、警察署のホームページからダウンロードすることも可能です。発行手数料がかかる場合が多いので、事前に確認をしましょう。
保管場所使用権原疎明書(自己保有の駐車場の場合)
保管場所使用権原疎明書は自己保有の駐車場を車の保管場所として使うことを意味する書類で「自認書」とも呼びます。駐車場を借りている場合は必要ありません。警察署の窓口、もしくは警察署のホームページからダウンロードすることができます。
保管場所の地図・配置図
保管場所の地図と配置図は、拠点から駐車場までの距離や位置関係と、駐車場や区画の大きさや出入口などの配置を確認するための書類です。自分で用意しても問題ありませんが、駐車場経営者に保管場所使用承諾証明書を依頼する際に、同時に発行してもらうよう依頼するのがおすすめです。
内容がわかれば特に決まった様式はありません。
拠点住所が確認できるもの
忘れがちなのが、拠点の住所が確認できる書類です。拠点が自宅の場合は運転免許証や健康保険証などがあれば問題ありません。転勤などで自宅以外を拠点とする場合は、公共料金の領収書も確認書類として認められます。
認印
認印も忘れないようにしましょう。公的な書類のため、インク内蔵型以外の印鑑を持って行ってください。
車庫証明が発行されるまでの流れ
ここでは車庫証明が発行されるまでの流れをご紹介していきます。車庫証明は依頼をしてから発行されるまで、意外と時間がかかる書類になります。平均でも1週間ぐらいはかかるので、事前に流れを把握し、早目の準備が必要になります。
経営者側で準備できる書類はできるだけ早く提供してあげられるよう、準備することが大切です。
①駐車場の契約を締結する
まずは利用者が駐車場の契約を締結します。車庫証明は駐車場の契約が終わってからでないと申請ができません。駐車場を借りる場合は、この際に持ち主から「保管場所使用承諾証明書」を発行してもらえるよう依頼します。
この際に注意が必要なのが保管場所使用承諾証明書を発行してもらえるタイミングです。タイミングは持ち主によって違う場合が多く、契約を締結した段階で発行してもらえることもあれば、初回入金が確認できた段階でないと発行してもらえない場合もあります。また、駐車場の審査に1週間程度かかるケースもあります。
駐車場の契約の際に、車庫証明が必要なことを伝え、できるだけ早く保管場所使用承諾証明書を発行してもらえるように依頼しておくことがポイントです。
駐車場経営を行っている方は、このような利用者の事情を理解し、すぐに発行してあげると喜ばれるでしょう。
②警察署において車庫証明の申請を行う
次に、必要書類をそろえて、駐車場の住所の管轄内の警察署に車庫証明の申請をします。二度手間にならないよう、必要書類はしっかりと確認しましょう。申請時にかかる費用は地域により異なりますが、3000円前後が相場になっています。
③駐車場の調査/確認が行われる
申請された内容が適切かどうか、警察側が駐車場の調査を行います。
④車庫証明を受け取る
申請時に指定された期日になったら、車庫証明を受け取りに警察署に行きます。電話や書面などでの連絡はないので、期日を忘れないように注意が必要です。受け取る書類は下記の3点です。
- 車庫証明書
- 保管場所標章(ステッカー)
- 保管場所標章番号通知書
月極駐車場経営者が保管場所使用承諾証明書を発行する際の注意点
駐車場経営者は、利用者からの依頼があれば「保管場所使用承諾証明書」を発行しなければなりません。その際に注意すべきポイントをお伝えしていきます。尚、「保管場所使用承諾証明書」は「保管場所使用証明」や「保管場所証明」などと省略して呼ばれることも多いです。
①借主が駐車場契約書の控えで申請していないか調べる
利用者が車庫証明を警察に申請する際の必要書類に、保管場所使用承諾証明書がありますが、これは月極駐車場の契約書の控えでも可能です。利用者の中にはこのことを知っていて、経営者側に何も申告せずに車庫証明を申請する方もいます。
もちろん手続き的には問題ありません。ただし、利用者が車庫証明を申請したことを経営者が知らないのは問題です。なぜなら、車庫証明が申請された区画は「半年経過しないと次の車庫証明が発行できない」という決まりがあるためです。
仮に、利用者が1ヶ月で駐車場を解約し、次の利用者が車庫証明を申請しようとしたときに、同じ区画だとすぐに発行できない問題が発生していまうのです。そのようなことを防ぐためにも、経営者は車庫証明のことを知っていなければなりません。
つまり、利用者が契約書の控えで車庫証明申請することは問題ないが、車庫証明を申請することを経営者に伝えておくこと、もしくは、保管場所使用承諾証明書の発行を依頼してもらうこと、のどちらかが必要になります。
②発行手数料の金額を検討する
保管場所使用承諾証明書の発行には、発行手数料をもらうことは慣例になっています。あくまでも慣例のため、手数料の有無や金額に関する規定はありません。そのため、地域の相場などを調べ、手数料の金額を決めておくことが必要になります。
無料の方が利用者のためには良いことなのですが、リスク回避のためにも発行手数料はもらうことを検討してみましょう。理由は後ほど出てくるQ&Aの「④保管場所証明の発行に手数料が発生する理由は?」で詳しく説明しています。
その場の思いつきで決めると不公平が生じ、後から問題になる場合もあるので、あらかじめ金額を設定しておくことが重要です。
③誰が発行権利者となるのか把握しておく
発行権利者が誰かを決めておくことも重要です。基本的には駐車場の土地の持ち主が、発行権利者になりますが、駐車場経営の場合は運営を管理会社や不動産会社に任せているケースも多いでしょう。その場合は、駐車場を運営している管理会社や、駐車場契約の仲介をしている不動産会社が発行しても問題はありません。
あらかじめ、土地オーナーが発行するのか、運営者が発行するのかを定めておくことをおすすめします。
④書式/記載事項/添付書類を確認しておく
あらかじめ決まった書式を用意しておくことも重要なポイントです。保管場所使用承諾証明書に必要な内容は下記の通りです。
- 駐車場の所在地と区画番号
- 駐車場利用者の氏名・住所・連絡先
- 使用期間(開始日~終了日)
- 保管場所使用承諾証明書の発行年月日
- 発行者の署名・捺印
中には、利用者が指定の用紙を渡してくるケースもあります。そのような場合は、渡された用紙に記入してもいいですし、普段、こちらが使っている用紙を使用してもどちらでも問題ありません。ただし、こちらが使用している用紙を使う場合は、「この用紙でも問題ない」ことを利用者に説明してあげることが必要です。
他に添付書類として「駐車場の地図」と「配置図」も用意すると手続きがスムーズに進むので、できる限り
- 保管場所使用承諾証明書
- 駐車場の地図
- 配置図
⑤車庫飛ばしに加担しないよう意識する
「車庫飛ばし」という言葉を聞いたことはありますか?一般的に、車庫飛ばしとは、車庫証明の条件である「利用者の拠点住所から駐車場までの距離が直線で2km圏内であること」を満たしていない状態のことを言います。
なんのためにするのかというと、「自宅の近くに安い駐車場がなかった」ことや「希望の地域のナンバープレートをつけたい」という理由です。そんな理由のために故意に車庫飛ばしをしようとする方もいるのです。
車庫証明は、自動車を買ったときや引っ越しをしたときしか必要がないため、車庫証明を取得した後すぐに駐車場を解約し、実際にはもっと場所の離れた安い駐車場を利用する、という方がいるのが現状です。
車庫飛ばしは立派な犯罪であり、発覚すると20万円以下の罰金が課せられます。経営者側が罰せられることはありませんが、保管場所使用承諾証明書を発行するときは、駐車場利用の実態を把握し、車庫飛ばしに加担しないよう気をつけることも必要です。
月極駐車場経営の車庫証明発行に関するQ&A
月極駐車場の車庫証明に関するQ&Aをいくつかご紹介します。利用者から問い合わせがあった際の参考にしてみてください。
①駐車場の賃料発生日は保管場所使用承諾証明書に記載された開始日?
答えは「はい」です。駐車場の賃料発生日は、保管場所使用承諾証明書に記載された開始日になります。では、下記のような状況の場合、賃料発生日はいつになるでしょうか。
■駐車場経営者から保管場所使用承諾証明書を4/1に受け取る
↓
■4/2に車庫証明申請をしに警察署に行き、4/7に申請が許可される
↓
■4/10に納車され、駐車場を利用し始める
↓
■保管場所使用承諾証明書の開始日は4/2
この場合の賃料発生日は4/2になります。実際に駐車場を利用し始めた4/10ではないので、間違えないように注意しましょう。
②保管場所使用承諾証明書の開始日前には申請できない?
答えは「はい」です。保管場所使用承諾証明書に記載されている開始日前には、車庫証明の申請はできません。開始日以降なら申請は可能です(開始日含む)。車庫証明の許可がおりるのは申請日から4~5日後が多いので、週末を含めて取得までに1週間程度余裕を持ってスケジュールを組むのがおすすめです。
③保管場所使用承諾証明書の日付部分を記載せず借主に渡しても良い?
答えは「理由によりOK」です。保管場所使用承諾証明書に記載された開始日が賃料発生日でもあり、その日以降でないと車庫証明の申請ができません。
悪用されるのを防ぐためにも、通常は日付は記載して渡すことをおすすめします。しかし、なんらかの事情で利用者が日付を記載して欲しくないというのならば、理由は必ず聞きましょう。よくある例は、車を購入したディーラーから日付を記載しないように言われるケースです。
ディーラーが納車までのスケジュールをスムーズに進ませるために、日付の調整をしたいためです。このように理由を聞いてあなたが納得できる場合ならば日付の記載はしなくても法的に問題はありません。ただし、多少のリスクが伴うことを忘れないようにしましょう。
理由がある場合は利用者と相談の上で日付を決定し、できるだけ経営者側が日付を記載することをおすすめします。
④保管場所使用承諾証明書の発行に手数料が発生する理由は?
答えは、駐車場経営者側のリスク回避のためです。具体的には「月極駐車場経営者が保管場所証明を発行する際の注意点」で説明した「車庫飛ばし」をさせないためです。
保管場所使用承諾証明書の発行手数料が無料だとすると、車庫飛ばしをしようと考えている人には好都合になってしまいます。逆に経営者側は、無料で発行した上に車庫飛ばしをされることにより、その区画では半年間、車庫証明を発行できなくなってしまうため、次の利用者を見つけることもできなくなってしまいます。
このようなリスクを少しでも回避するために、保管場所使用承諾証明書の発行に手数料を取り、利用者に短期間で解約しないよう注意を促しているのです。
⑤車庫証明発行後に半年解約させない決まりがある理由は?
答えは、駐車場経営者側のリスクを回避するためです。Q&Aの「④保管場所証明の発行に手数料が発生する理由は?」の答えとほぼ同じ意味合いなのですが、車庫飛ばしによるリスクを回避するためにあります。
短期解約が可能だと、車庫飛ばしをしようと思っている人には好都合です。しかし、経営者側は車庫飛ばしを繰り返されることにより、同じ区画で次の利用者と契約ができない状況になってしまいます。時には、警察から車庫飛ばしに加担するな、と注意を受けてしまうこともあるのです。
このようなリスクを回避するために、半年間解約をさせない決まりがあります。ただし、利用者の中には短期間での転勤が決まっている方などもいます。事前にわかっている場合は相談の上、保管場所使用承諾証明書を発行してあげることも必要になるでしょう。
駐車場契約時に、半年間解約できないことをしっかりと伝え、特別な事情がある場合はそのときに話してもらうよう促すことをおすすめします。
短期解約の際は借主に違約金を請求できる?
答えは「契約内容による」です。駐車場契約を締結する際には、契約書を交わします。契約書の中に「半年以内の短期解約の場合は、駐車場賃料〇ヶ月分の違約金を支払う」といった内容を記載していれば、違約金の請求は可能です。
ただし、契約の際にしっかりと口頭でも伝えることを意識しましょう。説明しながら、重要な部分にはマーカーを引き、契約者に認知させるのもおすすめです。この行為により、利用者からの「聞いていない」を防ぐことができるからです。
逆に、契約内容に半年以内の解約についての記載がない場合は、違約金の請求は難しいでしょう。
⑥車の所有者と駐車場の契約者が違う場合の手続きは?
車の所有者と駐車場の契約者が違う人物のケースも多くあります。例えば、駐車場は法人契約のため会社名義だが車の所有者は社員個人の場合や、親が駐車場契約者だが車の所有者は子の場合などが該当します。
そのような場合、保管場所使用承諾証明書の名前に誰を記入すればいいのか迷うこともあるでしょう。いちばんおすすめの方法は「契約者と使用者が違う場合の保管場所使用承諾証明書」をダウンロードすることです。警察署のホームページからダウンロード可能です。
ダウンロードできない場合は、自作で作成しても問題ありません。通常パターンの他に、車の所有者と駐車場の契約者が違うパターンも準備しておくと、いざというときに慌てずに発行することが可能になります。
⑦車庫証明を取得しなくてはいけない期限はある?
答えは「車庫証明を取得しなくてはいけない事由が発生してから15日以内」です。例えば、引っ越しにより駐車場が変わった場合は引っ越しした日から15日以内に車庫証明を取得しなくてはなりません。
車庫証明は申請してから受取まで最短でも4~5日かかるので、早目の手続きをおすすめします。
⑧申請は車の保有者本人でないとダメ?
答えは「いいえ」です。必要書類がそろっていれば、代理人による申請も可能です。新車を購入した場合は、ディーラーが申請代行してくれるケースもよくあります。ただし、ディーラーや代行業者に依頼すると、代行手数料がとられる場合もあるので、手数料の有無を確認してから依頼するようにしましょう。
⑨契約期間が残り2ヶ月のときに自動車を買い替えた場合はどうすればいい?
自動車を買い替えた場合は、新たに車庫証明を取得しなくてはなりません。しかし、駐車場の契約期間が残り2ヶ月の段階で申請すると、短期契約とみなされ、許可がおりない場合もあります。
そのようなときは、駐車場の契約を更新してから車庫証明を申請しましょう。そうすれば、短期契約ではなくなり、申請は問題なく許可されます。
まとめ
月極駐車場を経営する上で、理解が必要な車庫証明について解説してきました。車庫証明を取得するには法で定められたルールがあるので、利用者だけでなく経営者もしっかり理解をしないといけません。最後に重要なポイントを復習しておきましょう。
- 月極駐車場経営では車庫証明についての知識は必須
- 駐車場経営者が発行するのは「車庫証明」ではなく「保管場所使用承諾証明書」
- 車庫飛ばしに加担しないように、駐車場利用の実態を調査すると共にリスク回避方法も検討する必要がある
車庫証明の取得には意外と時間がかかるため、利用者から求められた場合にはすぐに対応できるよう日頃から準備をしておくことが重要です。そのような心遣いが利用者に伝わるとお客様が増え、駐車場経営も成功することでしょう。