駐車場経営に必要な機器を種類別にまとめ！設備設置の注意点も解説

駐車場経営に必要な機器は駐車場の種類による違いがあります。ここではコインパーキングと月極駐車場の経営で必要な機器や設備の概要を紹介します。
 

コインパーキングの経営では無人で駐車場の利用者を集めて、料金を徴収できるようにするための機器や設備が必要です。コインパーキングは時間貸し駐車場なので、駐車場を探している人に見つけてもらい、利用した分だけ支払いを請求する仕組みを整えなければなりません。集客と精算のための機器や設備を導入する必要があります。また、コインパーキングの出入りや場内の通行でのトラブルが起こらないように、安全のための機器や設備の設置も重要です。

月極駐車場では多くの機器や設備を必要としません。月極駐車場は利用者と契約をして毎月賃料の支払いを受ける仕組みで経営します。駐車場を安全に利用できるようにするための機器は必要ですが、料金の徴収のための設置は必要ありません。集客のための設備も必須ではなく、他の方法で契約者を十分に集められれば問題ありません。コインパーキングと比較すると月極駐車場は必要な機器が少ないので少額投資で始められます。

駐車場経営に必要な機器は以下の3種類に分けられます。

・集客やサービス説明のための機器・設備
・料金を徴収するための機器・設備
・安全を確保するための機器・設備

上述のように、安全を確保するための機器や設備は駐車場の種類によらず必要です。集客やサービス説明のための機器はコインパーキングでは不可欠ですが、月極駐車場ではなくても経営できます。料金徴収の機器や設備はコインパーキングでは競合との差別化につながるため、慎重に選んで設置するのがおすすめです。

以下では種類ごとに具外的に必要な機器を紹介します。
 

集客やサービス説明のための機器はコインパーキング経営では利用者を集めたり、料金や利用条件などの詳細を説明したりするために欠かせません。ここでは代表的な機器・設備を紹介します。
 

P看板は「パーキング」を意味する「P」と書かれた看板です。駐車場の存在を遠くからでもわかるようにして集客するための設備です。コインパーキングでは視認性が高いP看板を設置すると、気付いて利用してくれる人が増えます。月極駐車場ではP看板を設置する必要はありませんが、「月極駐車場」といった看板を用意して、契約希望者の連絡先を記載すると新規契約者の集客になります。

案内看板や料金説明看板は、コインパーキングの利用料金を示すための看板です。以下のように料金を大きく表示して、運転中でも料金をすぐに視認して利用するかどうかを判断できるようにします。

・30分/100円　1日最大料金1,200円
・平日300円/1時間　休日400円/1時間
・7時～20時200円/30分　20時～7時100円/1時間
・平日30分/200円　土日祝日1時間/200円1日最大料金1,200円

案内看板・料金説明看板は誤解が生じないように料金体系を詳しく記載することが必要です。第三者の視点で見て料金体系を見誤らないかをよく確認してから設置しましょう。
 

約款看板は利用規約を表示する看板です。コインパーキングでは無人対応なので、約款を表示して納得した人にだけ利用してもらう仕組みにします。約款には利用方法の注意点や、トラブルがあったときの連絡先、免責事項などを記載します。駐車場内での禁止事項や利用中の権利範囲なども明記すると、トラブルが発生したときの責任の所在が明確になるので、できるだけ書き漏らしがないように表記することが大切です。

注意看板は駐車場の利用者に注意喚起をするための看板です。「アイドリングストップ」、「ゴミ捨て禁止」、「ポイ捨て禁止」などの注意書きをして、駐車場内での行為によるトラブルの発生を防ぎます。コインパーキングだけでなく月極駐車場でも有効な看板です。駐車場利用者にマナーを守らせるための注意喚起になるので、駐車場管理の助けになります。利用者間のトラブルの防止を目的として設置するのが一般的です。
 

満室表示灯は「満車」「満」「空車」「空」といった表示をする機器です。コインパーキングで空室があるかどうかを遠くからでも視認できるように表示します。「入ってみたけれど空きがなかった」という不満を抱かれないようにしつつ、「空いているからこの駐車場なら入れる」と認識してもらえるようにするために設置します。満室表示灯は夜間でも視認しやすいようにLEDなどのライトを使用して24時間、いつでも集客できるようにすると効果的です。
 

料金を徴収するための機器・設備はコインパーキング経営では必須です。料金の支払いを受けられるようにするだけでなく、支払わずに出て行ってしまうことを防ぐ必要もあります。具体的には以下のような機器・設備の設置が必要です。

精算機はコインパーキングで利用者から駐車料金を徴収するための機器です。利用内容に応じた金額を算定して、支払った利用者を駐車場から出られるようにします。精算機にはさまざまな種類があり、現金でしか支払えないものもありますが、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済に対応しているものもあります。アプリで簡単に決済できる精算機はキャッシュレス化時代の利用者にとって簡単なのでおすすめです。
 

ロック板（フラップ板）は精算機で料金の支払いをしていない利用者に出庫させないための設備です。コインパーキングでは料金の不払いを防止する必要があります。ロック板を個々の車室に設置する方法は昔からおこなわれてきた方法で、入庫したときにロック板が上がり、精算をしたらロック板が下がる仕組みです。ロック板が高いところまで上がると車体を傷つけるトラブルも起こり得るので、品質の高い製品を選んで設置することが大切です。

ゲート機はロック板を設置せずに駐車券を介して精算させる機器です。駐車場の入口では駐車券を発行し、出口では駐車券の挿入によって料金が計算されて請求をする仕組みになっています。ゲート機はバーによって不正な出入りを防ぐのが一般的で、駐車券の発券や駐車料金の支払いによってゲートバーが上がって通行できるようになります。

ゲート機はショッピングモールやイベントホールなどでもよく用いられています。駐車券を介して精算をするので、ショッピングをした人は1時間無料といった特典を付けやすいのが特徴です。ロック板と違って駐車ますごとに設置しなくても良いので、大規模な駐車場経営に向いています。
 

ロックレスシステムはコインパーキングでロック板を設置せずに利用料金を徴収するためのシステムで、フラップレスシステムとも呼ばれます。ゲート機を設置する場合と同様にロック板がないので入出庫をしやすいのが特徴です。ロック板が故障して出庫できないといったトラブルも起こりません。

ロックレスシステムはセンサー技術を使用して入庫した車のナンバーと時刻を記録します。利用者は出庫前に精算機で支払いをするだけでスムーズに出庫できます。駐車場の規模によらずに活用できるので導入が進んでいる設備です。
 

安全確保のための機器や設備は、駐車場でトラブルが起きたり、利用者が不満を感じたりすることを防ぐために重要です。ここではよく利用されている機器・設備を紹介します。

 

防犯カメラは駐車場での犯罪やトラブルの対策として重要な機器です。防犯カメラを設置して監視すると、もし駐車場内で交通事故が起きたとしても状況の明確な証拠を提供できます。駐車場で犯罪行為があった場合にもカメラの映像で証拠を得られるので、駐車場の経営側に責務がないことを示せます。ゴミの不法投棄や落書きなどの犯罪行為の抑止力にもなるので、防犯カメラを設置して「監視中」と記載した看板を掲げるのがおすすめです。

照明は夜間の暗いときに駐車場を利用しやすくするための機器です。駐車場内を広く照らせるように照明を設置すると、周辺が暗い立地でも快適に利用できます。暗い中で駐車場内を走行したり、駐車をしようとしたりすると、見えなかったのが原因で事故が起こる可能性があります。安全かつ快適に利用できる駐車場にするために設置しましょう。ただ、明るすぎると周囲からクレームを受ける場合があるので、必要な照度を保つことが大切です。
 

バリカーは通行を制限するためのバリケードです。広い意味では自転車や歩行者の通行も制限して、車の通行路と切り分けるための設備を指します。U字型やI字型で固定式のバリカーが駐車場ではよく用いられています。バリカーには可動式の製品もあり、差込式・上下式・脱着式が代表的です。特定の時間帯に車の出入りを妨げたいときには可動式のバリカーが用いられます。

遮蔽版は駐車場の隣地との間に区切りとして設置する板です。遮蔽版を設置すると隣の住宅やオフィスなどのプライバシーを保護できるだけでなく、排気ガスや照明などが届かなくなります。駐車場の利用者も周囲の目線を気にすることなく利用できるのがメリットです。駐車場と隣の建物の距離が近い場合には、境界線に遮蔽版を設置するとより良い環境を整えられます。
 

駐車場の機器や設備の設置では利用者と管理する経営者の両方のメリットを考えることが重要です。ここでは機器の選び方と合わせて、機器設置のポイントを紹介します。
 

駐車場の機器は利用者視点で使いやすいものを選んで設置することが重要です。コインパーキングなら「また利用したい」、月極駐車場なら「継続契約したい」と思ってもらえます。最低限の機器があれば良いと思っていると、不満が募って利用してもらえない可能性があるので注意が必要です。

駐車場を安全に利用できる機器はなくても経営はできますが、利用者からの不満や不安の原因になるので安心を重視して設置しましょう。コインパーキングでは精算機の使いやすさは重要なポイントです。キャッシュレス対応で精算しやすい機器やシステムを入れるのがおすすめです。
 

駐車場経営では管理のサポートになる機器を導入して、効率的な経営を目指すことが大切です。キャッシュレス対応の精算機や監視カメラの設置は駐車場の管理負担を減らせます。現金でしか支払えない精算機では、頻繁に駐車場に行って現金を回収したり、釣銭を入れたりすることが必要です。監視カメラがないとトラブルが発生したときに適切な対応ができずに苦労します。

駐車場経営の役に立つ機器を設置して、管理効率の向上やトラブル対策をすることも重要です。安全の対応にかかわる機器は管理のサポートになるので積極的に設置しましょう。
 

コインパーキングの集客では看板が有効です。料金表示をする案内看板では安く見せられれば利用者が集まりやすくなります。ただ、看板表示がわかりにくく、利用者に誤解させるような内容になっているとトラブルの原因になります。


一般社団法人日本パーキングビジネス協会（JPB）によって「時間貸駐車場における表示・運用に関するガイドライン」が定められているので参考にしましょう。文字の大きさやトラブルを起こさないための表記内容について詳しくまとめられています。

消費者庁でも時間貸し駐車場の料金表示について、消費者向けに問題点を発信しています。最大料金の繰り返し適用などの適用条件や、最大料金の適用範囲がない看板などの例が示されているので、利用者視点で看板を作成してトラブルにならないように配慮することが大切です。

参照：時間貸駐車場における表示・運用に関するガイドライン｜一般社団法人 日本パーキングビジネス協会（JPB）
参照：時間貸し駐車場の料金表示について｜消費者庁

駐車場経営を成功させるためには、運営会社に委託することがおすすめです。専門の運営会社に委託することで、管理業務やトラブル対応を任せることができ、経営負担が軽減されます。また、最新の機器やシステムの導入もスムーズに進められるため、利用者にとって快適な駐車環境を提供できます。初めての駐車場経営でも安心して始められるので、ぜひ運営会社への委託を検討してみてください。
 

駐車場経営に必要な機器は、看板や安全対策の設備など多岐にわたります。コインパーキング経営では無人で料金を徴収できる仕組みが必要なため、初期投資が高くなることがあります。しかし、利用者にとって便利なシステムを導入し、安全な駐車場環境を提供すれば、人気のコインパーキングにすることができます。そのため、初期投資を躊躇せず、より良い駐車場を設計することが重要です。

初めての駐車場経営では、専門の運営会社に委託するのもおすすめです。管理やトラブル対応を任せられるため、安心して始められます。

 

※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。