駐車場経営の固定資産税はいくら?税金計算・経費の考え方・確定申告を徹底解説

駐車場経営では固定資産税が経費としてかかります。駐車場の土地にかかる固定資産税は活用方法によって違いがあります。また、駐車場の設備にも固定資産税がかかる場合があるので注意が必要です。この記事では駐車場にかかる固定資産税について具体例を挙げて紹介します。確定申告の方法や節税対策などの税金にかかわるキーポイントも解説します。

駐車場経営の固定資産税はいくら?税金計算・経費の考え方・確定申告を徹底解説のイメージ

目次

  1. 1駐車場経営の固定資産税の4つの疑問
  2. 2駐車場経営の固定資産税
  3. 3駐車場経営の固定資産税の調べ方
  4. 4駐車場経営の固定資産税を計算する方法
  5. 54つのケースにおける固定資産税の計算方法
  6. 6駐車場経営の確定申告と税金
  7. 7駐車場経営の固定資産税の節税方法
  8. 8土地活用で駐車場経営を選ぶメリット
  9. 9駐車場経営をするときの注意点
  10. 10固定資産税の負担を減らすなら駐車場経営
  11. 11まとめ

駐車場経営の固定資産税の4つの疑問

土地の活用を考えたときに思い浮かぶ運用方法のひとつが駐車場経営です。最初に大きな投資費用もかからずに、他の不動産投資よりも比較的取り組みやすい不動産運用といえるでしょう。駐車場経営において最も注意しなければいけないポイントのひとつが、固定資産税額についてです。

固定資産税は、駐車場経営において大きな割合をしめる支出となります。固定資産税の金額がどの程度になるのかということや、固定資産税を含めて収益がどのくらいになるかといった点も踏まえて、駐車場経営を考えなければいけません。

この記事では、「駐車場経営における固定資産税の費用」「確定申告の方法」「節税対策」「経費について」の4ポイントを重点的に解説します。駐車場経営における固定資産税の疑問を解消しましょう。

駐車場経営の固定資産税

駐車場経営の固定資産税

駐車場経営を行う上でよくいわれるのが、駐車場経営の場合固定資産税が高いということです。例えば、今までは住宅用地として利用している不動産を、駐車場として経営をはじめた場合、固定資産税が何倍も高くなったというケースも少なくはありません。なぜ、駐車場経営に変えると固定資産税は高くなるのでしょうか?

そもそも固定資産税とは、どのような税金なのでしょうか?次の項目からは、固定資産税とはどのようなものなのかといった点や、宅地との固定資産税額の比較などについて解説していきましょう。

固定資産税とは

固定資産税とは、毎年1月1日現在で不動産を所有している個人や法人に対して、市町村から課税される地方税のひとつです。登記簿や台帳に所有者として登録されている人のところへ納付書が届き、徴収は市町村が行います。

固定資産税の税額計算方法は、固定資産税課税標準額の1.4%です。

5月前後に市町村から固定資産税の請求書が届き、年間4回に分けて支払います。支払方法としては、現金振り込みか口座振替の2種類です。現金振り込みの場合は納付書を持って、金融機関や自治体で納付します。口座振替は、登録した口座から自動的に引き落とされます。

もしもその年に不動産売買があったとしても、その年の1月1日時点の所有者が固定資産税を支払わなければいけません。そのため、売買の買主と売主の間で日割り計算して固定資産税の支払いを買主が売主に支払って調整しているケースが多いです。

駐車場の固定資産税は高い

今まで宅地用地としている土地で、駐車場経営を行おうとすると、固定資産税が何倍にもなるといわれます。土地は大きく分けると、宅地用地とその他に分類されます。駐車場は、雑種地という扱いになるのです。宅地用地の場合は、固定資産税の減免措置があります。

しかし、駐車場などの雑種地には固定資産税の減免措置はありません。減免措置の有無により、宅地要地と駐車場などの雑種地には、固定資産税において大きな差が出ます。ではどの程度の差が出るのでしょうか?次の項目から、駐車場と宅地用地の固定資産税の差について詳しく解説していきましょう。

駐車場経営と宅地用地の特例との関係

宅地用地に認められている特例について触れてみましょう。

宅地用地には、固定資産税の支払いにおいていくつかの特例があり減額されます。これは、住宅の購入を推進して、少しでもマイホームの宅地として利用している人の負担を減らすためです。まず小規模宅地の特例として、マイホームの敷地が200㎡以下の場合、固定資産税は何と6分の1まで軽減されます。

200㎡を超える部分においても3分の1に軽減されるのです。自治体によっては、宅地用地の更なる減額措置を適用しているところもあります。税収を減らしてでも、更に減額措置をするのには理由があります。単純に自治体の人口を増やしたいという理由です。

人口減少により、自治体には危機感が高まり、少しでも他の地方自治体よりも住みやすい環境にするために固定資産税を優遇しています。

では、駐車場経営にした場合、つまり雑種地の場合は、このような減免措置は適用されるのでしょうか?駐車場経営の場合、優遇措置はありません。

つまり税金額において最高で6倍もの差がでます。同じ不動産運用として駐車場経営とマンション経営を比較することが多いのです。駐車場経営の方が建築費などがかからないので、比較的取り組みやすいのですが、土地部分の固定資産税に関しては、駐車場経営の方が税金が高くなります。

駐車場経営で宅地用地を使える場合と使えない場合

駐車場経営では、税金対策にはならないといった声も頻繁に聞かれますが、一概に全くできないというわけではありません。土地全体を駐車場として経営するのであれば、固定資産税の減免措置を受けることはできません。

しかし、敷地の一部を自宅として利用して残りを駐車場とすることで、自宅部分に関しては小規模宅地の特例措置を受けることも可能です。

次の項目で詳しく解説しますが、駐車場の配置次第では固定資産税の減免措置の対象となり、税金額を抑えることができます。

駐車場経営で宅地用地を使える場合と使えない場合を比較

敷地の一部分を駐車場として利用した場合と、敷地全てを駐車場として経営する場合比較すると、自宅の敷地部分においては小規模宅地特例を利用することができます。収入だけを考えると、敷地全てを駐車場として運用した方が収入は増えます。

しかし、固定資産税においては最大6倍の違いがあるので、実は一部自宅として利用した方が、固定資産税の税金支払いが抑えられ収益自体は高くなる場合があるのです。では、敷地面積が300㎡、固定資産税評価額が2,000万円とした場合の固定資産税(土地のみ)を計算してみましょう。
 

敷地全て自宅利用した場合 敷地全体を駐車場として利用した場合 半分を自宅、半分を駐車場として利用した場合
課税標準額:2,000万円
 
課税標準額:2,000万円 課税標準
自宅部分:1,000万円
駐車場部分:1,000万円
固定資産税:
約4.6万円
固定資産税:約28万円 固定資産税:約16.3万円

このようにうまく宅地用地を組み合わせることで固定資産税の節税効果に期待できます。
 

駐車場経営の固定資産税の調べ方

駐車場経営の固定資産税の調べ方

固定資産税の調べ方は、いくつかの方法があります。
 

  1. 納税通知書で調べる
  2. 固定資産税証明書で調べる
  3. 固定資産課税台帳で調べる
  4. 不動産会社に確認する
  5. 自分で計算する

これら5つの方法について詳しく解説していきましょう。

固定資産税の納税通知書

ほとんどの人は、毎年4月から5月にかけて送られてくる納税通知書によって、その年度の固定資産税を把握しています。わざわざ毎年調べなくても、市町村から送られてくるこの納税通知書で納めるべき税金額を把握している人が大部分でしょう。

納税通知書には、土地や建物の広さや、それぞれの固定資産税評価額。そして計算方法まで記載されています。
 

固定資産税証明書

「固定資産評価証明書」を各地方自治体に出向いて取得することも可能です。納税通知書を紛失した場合や不動産を売買するときには、「固定資産税評価証明書」を取得するケースがあります。「固定資産税評価証明書」も土地や建物の広さや、それぞれの固定資産税評価額が記載されており、計算方法まで記載されているので、納税通知書と全く同じ情報が取得可能です。


「固定資産税評価証明書」の取得にはいくつかの注意事項があります。

  • 手数料がかかります。
  • 手数料は、1不動産に対してかかるので土地と建物が必要な場合は2回分の手数料がかかります。
  • 基本的には所有者若しくは納税義務者のみ取得可能(委任状があれば他の人でも取得可能)

固定資産課税台帳

固定資産課税台帳によって調査することも可能です。そもそも評価額を決定する方法としては、「固定資産評価基準」を総務大臣が定めます。この基準によって各自治体の首長が価格を決定して、固定資産課税台帳に登録といった流れです。

固定資産税台帳の内容は、不動産の所有者、所在地、固定資産税評価額が掲載されています。

しかし、誰もが閲覧できるわけではありません。閲覧が可能なのは、所有者若しくは納税義務者、相続人、借地人や借家人が閲覧できます。では、自治体に行ってすぐ閲覧ができるのかといえば申請が必要です。申請書と本人確認の指定書類と手数料が必要です。

不動産会社に確認する

例えば、これから駐車場経営を行おうと考えていて土地も購入しようとしている場合における固定資産税の調査方法として、取り扱っている不動産会社に問い合わせすることです。

土地の売却を取り扱っている不動産会社に尋ねると、固定資産税評価証明書や、売主から納税通知書を見せてもらい固定資産税は把握していますので、固定資産税を教えてくれます。

上記の3つ(納税通知書、固定資産税評価証明、固定資産課税台帳)での把握は、基本的に所有者や納税義務者でなければ確認することはできません。つまり、これから購入しようと考えているような人にとって、公的な書類である上記3点は入手しにくいのが難点です。今後の購入を考えている人は、売買を取り扱っている不動産会社経由で調査する方法が最もポピュラーな方法といえるでしょう。
 

自分で計算する

固定資産税を調べるのにお金をかけたくはない。まだ、購入するかどうか確定していないので、不動産会社に尋ねることができないといった人には自分で計算することができます。ただし、正確な算出はなかなか難しいといえるでしょう。

基本的には公的な書類、若しくは税理士などに依頼して算出する方が正確な数字がでます。

特に駐車場経営においては、固定資産税の算出は経営前に、必ずと言っていいほど把握しておかなければいけません。公的な書類若しくは税理士などに依頼することをおすすめします。
 

駐車場経営の固定資産税を計算する方法

駐車場経営の固定資産税を計算する方法

駐車場の固定資産税は、自分で計算して算出することが可能です。駐車場経営には2種類の運営方法が考えられます。月極駐車場方式とコインパーキング方式です。

月極駐車場とは、年単位で賃貸借契約を交わし、月単位で駐車料金を徴収します。

月極駐車場の場合、特に駐車設備が必要なケースはあまり多くはなく、土地の固定資産税だけがかかるケースが多いですね。もう一つは、コインパーキング方式による経営方法です。時間単位で、駐車場として貸出し料金を徴収します。

コインパーキング方式では、土地の固定資産税の他に、駐車設備が必要になりますので、設備に対して固定資産税が発生することがあるのです。

では、具体的に固定資産税の算出方法を詳しく解説していきましょう。

固定資産税路線価を確認する

固定資産税の計算方法は下記の通りです。
固定資産税評価額×税率(1.4%)=土地の固定資産税。税率に変化はなく毎年1.4%の税率です。固定資産税評価額は、固定資産税路線価によって決定します。

固定資産税路線価とは、道路に面している宅地の1㎡あたりの評価額です。固定資産税路線価は、各市町村によって決定され3年に1度の見直しがあります。

固定資産税評価額を算出するためには、まず固定資産税路線価を確認する必要がありますね。固定資産税路線価は、一般財団法人 資産評価システム研究センターが公開しているホームページによって確認することができます。

財産評価基準書路線価図・評価倍率表

固定資産税路線価による計算方法

では、実際に固定資産税路線価を用いて、まずは固定資産税評価額を計算してみましょう。
以下の条件とすれば、200㎡×10万円=2,000万円となります。

  • 土地の広さ.....200㎡
  • 路線価・・・・・・10万円/㎡
固定資産資産税評価額は2,000万円を算出することができました。

駐車場経営の固定資産税の計算例

先ほどの固定資産税評価額が2,000万円の土地における固定資産税は2,000万円×1.4%=28万円です。駐車場に関しては減免措置がありませんので土地のみの場合、28万円が固定資産税となります。基本的に、何も駐車設備が無ければ、固定資産税は28万円のみとなります。

もしも、コインパーキングや立体駐車場などを経営している場合は、償却資産の合計が150万円以上のものを対象として、設備にも固定資産税がかかりますので注意が必要です。

4つのケースにおける固定資産税の計算方法

4つのケースにおける固定資産税の計算方法

固定資産税の計算方法を、4つのケースに分類して解説していきましょう。
 

  1. 青空月極駐車場砂利敷き    
  2. コインパーキング機械式2階建て  
  3. アスファルト舗装月極駐車場    
  4. コインパーキング砂利敷き平置き
この4ケースについて、土地の固定資産税及び建物の固定資産税がかかる場合は建物の固定資産税を算出します。

 

青空月極駐車場砂利敷きの計算方法

青空月極駐車場砂利敷きの計算方法で具体的な情報は下記の通りです。
 

路線価/㎡ 30万円
広さ 200㎡
設備(償却資産) 無し

建物に関する固定資産税はありませんので、土地の関する固定資産税を算出します。
固定資産税評価額は200㎡×30万円=6,000万円となります。
固定資産税は6,000万円×1.4%=84万円
84万円が固定資産税としてかかります。

 

コインパーキング機械式2階建ての計算方法

次にコインパーキング機械式2階建ての固定資産税を算出しましょう。具体的な情報は下記の通りです。

 

路線価 40万円
広さ 200㎡
設備(償却資産) 750万円
耐用年数 10年
原価率 0.206

まずは土地部分にかかる固定資産税を計算しましょう。先ほどと同じように固定資産税評価額を算出します。
  • 40万円/㎡×200㎡=8,000万円
  • 8,000万円×1.4%=112万円
となり土地の固定資産税は112万円となります。

次に設備にかかる固定資産税を算出します。設備は750万円>150万円ですので、固定資産税がかかります。初年度の設備の評価額を算出しましょう。計算式は下記の通りです。

取得費用×(1-償却率÷2)=評価額となります。
では計算してみましょう。
  • 750万円×(1-0.206÷2)=672万7,000円が評価額となります。
  • 672万7,000円×1.4%=94,100円
設備の固定資産税は94,100円です

土地と設備の固定資産税を合計すると112万円+94,100円=121万4,100円。
121万4,100円がこの駐車場の固定資産税です。
 

アスファルト舗装月極駐車場の計算方法

では、次にアスファルト舗装している月極駐車場の固定資産税について計算してみましょう。詳しい情報は下記の通りです。
 

路線価 20万円
広さ 250㎡
設備(償却資産) 100万円
耐用年数 10年

今回も同じように土地の固定資産税評価額を算出します
 
  • 20万円×250㎡=5,000万円
  • 5,000万円×1.4%=70万円
となり土地の固定資産税は70万円です。

次に設備の固定資産税ですが設備の費用が100万円<150万円となりますので、固定資産税はかかりません。つまり、この駐車場における固定資産税は70万円となります。
 

コインパーキング砂利敷き平置きの計算方法

最後にコインパーキング砂利敷き平置きの固定資産税を算出します。
情報は下記の通りです。
 

路線価 40万円
広さ 100㎡
設備(償却資産) 120万円
耐用年数 10年

土地の固定資産税評価額は、40万円×100㎡=4,000万円です。
固定資産税は、4,000万円×1.4%=56万円となり土地の固定資産税は56万円です。

次に設備の固定資産税です。
120万<150万円となりますので、設備の固定資産税はかかりません。
よってこの駐車場は、56万円の固定資産税となります。
 

より正確な固定資産税を知りたいとき

このように、固定資産税はいくつかの情報を得ることにより、自分で計算することができます。ただし、どうしても固定資産税を自分で計算するとなると、計算間違いや勘違いなどにより、実際の固定資産税とずれているかもしれません。正確な固定資産税を出したいのならば、費用はかかりますが税理士などに依頼する方がいいでしょう。

特に、これから駐車場経営をはじめるなどの場合は、固定資産税の算出を間違えたままだと、駐車場の収支に大きな影響を与えてしまいます。このような点からも、実際の固定資産税を詳しく出したい場合は、税理士などに依頼するのがベストです。


 

駐車場経営の確定申告と税金

駐車場経営の確定申告と税金

駐車場経営を行う中において、固定資産税の他にはどのような税金がかかるのでしょうか?また、駐車場経営の申告においては、確定申告が必要なのでしょうか?駐車場経営にかかる税金や、確定申告の有無について解説していきましょう。

駐車場経営にかかる税金

駐車場経営においてかかる税金として、固定資産税の他に、以下の税金がかかります。
 

  1. 都市計画税.....課税標準×0.3%
  2. 消費税...........課税取引額×10%
  3. 相続税
  4. 所得税...........駐車場の収益に対してかかる税金

このような税金を、駐車場経営を行うにあたり注意しておかなければいけません。
 

駐車場経営で確定申告は必要か

駐車場経営において、収益を上げると確定申告が必要となります。運営形態や事業規模などによって不動産所得や事業所得に区分されるのですが、どちらにしても確定申告が必要です。目安としては50台を分岐点として、不動産所得若しくは事業所得へと分類されます。

しかし、駐車場が建築物としてある場合は、台数に関係なく事業所得です。本業ではなく副業として駐車場経営を行っている場合は、所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となります。

確定申告書を作成するにあたり、駐車場経営における確定申告は白色申告、青色申告で若干異なりますが、事業所得と雑所得の場合は一般用を使用し、不動産所得の場合は不動産所得用を使って確定申告を行いましょう

駐車場経営の経費の考え方

駐車場経営における経費とは、どのような考え方のもとで経費として計上したらいいのでしょうか?経費とは、売り上げを上げるために必要と思われる支出を経費として計上できるとなっています。副業として駐車場経営を行っている場合に置いても、経費の考え方は変わりません。

確定申告において最も大切なのは所得であり、所得の計算式は下記の通りです。

収入-経費=所得

つまり経費を増やすことによって、所得を抑えることができます。

駐車場経営において、固定資産税は確定申告の際、経費として計上することができます。固定資産税は、毎年大きな増減はありませんが、必ず一定額を経費として計上でき、所得を下げることができますので、確定申告の際に所得を下げるのに大きな役割を果たしてくれます

他に経費として計上できるのは、損害保険料や光熱費、修繕費といったものが経費として計上できます。忘れないようにきちんと経費は計上しましょう。

 

【国税庁ホームページ】
27-2 いわゆる有料駐車場、有料自転車置場等の所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当し、そうでない場合の所得は不動産所得に該当する。

駐車場経営の固定資産税の節税方法

駐車場経営にかかる固定資産税は工夫をすれば減額できる可能性があります。ここでは駐車場の設置や運営にかかる固定資産税の節税方法を解説します。

住宅用地と見なせる駐車場にする

住宅用地として見なされる駐車場であれば、住宅用地の特例を適用して固定資産税の減税を受けられます。独立した駐車場の場合には固定資産税の減免はありませんが、戸建て住宅やマンションなどに付設されていて一体的な形で運用されている駐車場は住宅用地の特例の適用範囲内になります。住宅の居住部分の割合と土地面積によって減税率に違いはありますが、以下のように最大で1/6の減額を受けることが可能です。
 

建物の種別 居住部分の割合 土地面積に対する比率
5階建て以上の耐火建築物 25%以上50%未満 0.5
50%以上75%未満 0.75
75%以上 1.0
上記以外 25%以上50%未満 0.5
50%以上 1.0
 
住宅用地の面積 固定資産税の減額率 都市計画税の減額率
200㎡までの部分 1/6 1/3
200㎡を超える部分 1/3 2/3

参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|不動産と税金|東京都主税局

 

一括償却資産として処理する

駐車場の設備を一括償却資産として処理することで、固定資産税の節税が可能です。取得価額が10万円未満の場合、固定資産にせずに償却できます。また、取得価額が10万円以上20万円未満の場合でも、一括償却資産として扱い、3年間で均等償却が可能です。一括償却は個別の資産に適用できるため、例えば15万円の資産を5つ購入した場合、5つの資産をすべて3年間で減価償却できます。

参照:No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示|国税庁
参照:〔少額の減価償却資産及び一括償却資産(令第138条及び第139条関係)〕|国税庁
参照:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
 

償却資産を150万円未満に抑える

駐車場の設備などの償却資産は、課税標準額が150万円未満の場合、固定資産税の課税対象にはなりません。償却資産の課税標準額は各資産の評価額の合計によって決定されるため、駐車場の設備を設置する際には、すべての設備の評価額の合計を考慮する必要があります。年間で設置した償却資産の評価額の合計が150万円未満であれば、固定資産税の課税対象にはなりません。

参照:固定資産税(償却資産)|仕事と税金|東京都主税局

 

損益通算をする

駐車場経営では、固定資産税を経費として計上し、損益通算をすることで節税が可能です。駐車場経営が不動産所得または事業所得に該当する場合、総合所得として給与所得などと損益通算ができます。駐車場経営による所得が赤字になった場合、給与所得などとの損益通算により、赤字分を他の所得から引くことで総所得額が減少し、結果として所得税が軽減されます。これは駐車場経営が赤字になった場合に有効な節税方法です。

参照:No.2250 損益通算|国税庁

 

土地活用で駐車場経営を選ぶメリット

土地活用では駐車場経営で固定資産税の税制的に大きな優遇を得られるわけではありません。しかし、駐車場経営がよく選ばれているのには理由があります。ここでは土地活用で駐車場経営を選ぶメリットを解説します。

管理会社に経営や管理を委託できる

駐車場経営は、経営や管理を専門業者に委託できるのがメリットです。コインパーキングや月極駐車場などの駐車場経営を専門とする業者と管理委託契約を結ぶことで、経営や管理をすべて任せることができます。駐車場の設計や設備導入から一括借り上げまで、全面的に委託することも可能です。

保有している土地の固定資産税がかかる問題を解決したい場合、手間をかけずに税額分以上の収益を得たいでしょう。駐車場経営は全面的な委託が可能なため、固定資産税対策として始めやすい方法です。
 

初期費用を抑えてすぐに経営を始められる

駐車場経営は初期費用の負担が少ない土地活用方法です。土地の整地や車止めの設置などの最小限の対応だけでも駐車場経営を始められます。コインパーキングなら一括借り上げに対応している業者が多く、精算機やゲートなどの設置も含めて業者が対応する形で契約することも可能です。マンションなどの建物を建てて土地活用をするのに比べて準備期間も短いので、すぐに土地を生かして収益化できる方法です。

メンテナンス費用が小さい

駐車場経営はメンテナンス費用が小さいのがメリットです。マンションやオフィスビルなどを建設して賃貸経営する場合には、大規模修繕工事を計画して予算を積み立てておく必要があります。駐車場では車止めなどの設置は必要ですが、耐久性が高いので大規模修繕工事のような高額費用がかかるメンテナンスは必要ありません。一括借り上げで契約すればメンテナンスも含めて管理会社に任せることもできます。

土地の広さや形状によらずに経営できる

駐車場経営では土地が狭かったり、変形地で使い道に困る土地だったりしても経営できます。自動車の駐車スペースを1台分以上確保できれば駐車場にできるからです。広くないと建物を建てて賃貸経営をするのは困難です。しかし、駐車場なら国土交通省によるガイドラインでは普通自動車の駐車スペースとして6.0m×2.5mのスペースがあれば経営できます。狭小地や変形地で使い道に困っている土地の活用にも適している方法です。

参考:駐車場設計・施工指針について|国土交通省

 

撤退しやすくて転用が簡単にできる

土地活用では大きな建物を建設すると、転用が難しくなります。建設費用を回収できないだけでなく、解体費用も大きな負担となるからです。一方、駐車場経営は、アスファルト舗装をしたり、駐車区画にラインを引いたり、コインパーキングの精算機を設置する程度で始められます。撤退する際にもあまり費用がかからず、速やかに更地に戻して別の目的で土地を活用できる点がメリットです。
 

立地に合わせた経営方法を選べる

駐車場経営では、月極駐車場とコインパーキングが主流です。土地の立地に合わせて、収益性を期待できる方法を選ぶことができます。住宅街やオフィス街では月極駐車場が求められていますが、駅前や商店街、イベントホールや観光スポットの周辺では、コインパーキングの需要が高いのが一般的です。立地に合わせて最適な経営方法を選べることが、駐車場経営の大きなメリットです。

駐車場経営をするときの注意点

駐車場経営をするときには、経営して利益を得るという意識を持つことが重要です。ここでは駐車場経営を選ぶときの注意点を紹介します。

駐車場の種類を検討する

駐車場経営では、駐車場の種類を検討して決めることが重要です。駐車場には主に月極駐車場とコインパーキングがあります。月極駐車場は月単位で契約をする仕組みで、契約期間中は契約者が自由に車を出入りさせられるのが特徴です。コインパーキングは時間貸し駐車場とも呼ばれていて、駐車した時間に応じて料金を支払います。

コインパーキングは月極駐車場のように予約されたスペースをずっと使い続けることはできないのがデメリットです。しかし、使った分だけ駐車料金を支払えば良いので、一時的な利用で好まれるサービスになっています。月極駐車場は固定料金で専有スペースを利用できるため、車庫登録にも対応して利用者を増やすことが可能です。月極駐車場とコインパーキングの性質の違いを理解して駐車場経営を始めましょう。
 

需要のある立地かどうかを確認する

駐車場経営は需要の調査が重要です。駐車場の需要がない立地の場合には利益を得られません。一般的にはショッピングセンターや飲食店などの商業施設や観光スポットの周辺ではコインパーキングの需要があります。ただ、どの施設も駐車場が充実していると、近くにコインパーキングを設置しても利用者が集まりません。

月極駐車場は住宅街やオフィス街で自家用車や社用車を保管するスペースにしたり、レストランなどの商業施設で顧客や従業員の駐車場にしたりする需要があります。しかし、駐車場付きの住宅が多い地域や、土地が余っていて商業施設で広い駐車場を用意しやすい地域では月極駐車場の利用者が見つかりにくいでしょう。

立地によって駐車場の需要には違いがあります。どのくらいの台数なら満車にできるかといった点も加味して、立地に合わせた駐車場の種類選びと設計をするのが成功のコツです。

 

固定資産税を加味して収益性を検討する

駐車場経営を始めるときには収益性を検討することが大切です。駐車場経営の利益は契約や利用によって得られた代金から、駐車場の管理や運営、維持などにかかる経費を引いた金額です。需要があって収入が高いと見込めたとしても、経費が高いと赤字経営になります。例えば、都心の一等地で固定資産税が高い場合には、駐車場経営をしても収入が少なく、維持管理にかかる費用がかさんで赤字になる可能性があります。

固定資産税も加味して実質利回りを計算してから駐車場経営の開始判断をするのがおすすめです。実質利回りは初期費用に対する収入から経費を差し引いた金額する割合です。100万円の初期費用で、毎年800万円の収入と300万円の経費がかかる場合には5%の実質利回りになります。実質利回りが高いほど収益性が高いと判断できるので参考にしましょう。
 

減価償却費の確認をする

駐車場経営では減価償却費の活用ができない場合があります。償却資産に該当するものについては、購入時点で全額を経費計上するのではなく、法定耐用年数に応じて毎年減価償却費を計上することが可能です。減価償却費は節税に関わるため、何が償却資産に該当するのかを確認することが重要です。駐車場経営を始める前に、この点をしっかりと理解しておきましょう。

マンションのように高額資産を購入して不動産投資をする場合には、初期費用を数十年に分けて減価償却できます。しかし、駐車場経営では償却資産が限られているため、減価償却費があまり大きくならない場合があります。駐車場を用意して経営を始める年は、初期費用がかかる割に売上が出ない場合もありますが、減価償却費になる初期費用が大きければ翌年以降の経費にも計上できるので節税効果を上げることが可能です。
 

経営と節税を続けられる方法を選ぶ

駐車場経営は続けられる方法を選んで始めるのがおすすめです。駐車場経営は需要に合わせて始めれば安定した利益を得られる可能性があります。しかし、経営負担が大きくて続けられなくなってしまったら元も子もありません。駐車場経営は管理委託や一括借り上げによって専門会社に業務を委託して経営可能です。管理にかけられる時間や労力を加味して、管理委託による経営も検討しましょう。

節税対策も自分で細かくおこなうと大変ですが、税理士に依頼して対応してもらうこともできます。専門家に依頼した方が正しい方法でより大きな節税ができる可能性もあります。経営も節税もすべて自分でやろうと考えずに、専門家の力を借りて効率よくおこなうのがおすすめです。

 

固定資産税の負担を減らすなら駐車場経営

駐車場経営は、固定資産税の負担を減らすことができます。土地を活用せずに放置していると固定資産税が毎年かかりますが、駐車場にして経営すれば収益を得られます。固定資産税の補填だけでなく、利益を上げて家計の支えにしたり、不労所得を得たりする可能性もあります。
駐車場経営は、一括借り上げにより経営の負担を軽減することができます。現在所有している土地の固定資産税対策として、手間をかけずに税額以上の収益を得ることができる方法です。固定資産税対策の土地活用を考えているなら、駐車場経営を検討してみましょう。
 

駐車場経営を始めてみよう
駐車場経営を始めるべきか迷っている方に対して、駐車場経営のメリットや注意点、運営会社の選び方...

まとめ

駐車場経営は、不動産投資の中でも比較的取り組みやすい投資として知られています。しかし、固定資産税などきちんとかかる支出を把握しておかなければ、思った運用収益を上げることができません。固定資産税は、宅地として利用する場合と駐車場として利用する場合では、最大6倍もの差が出てしまいます。

固定資産税をしっかりと調べて駐車場経営を行わなければいけません。固定資産税の調べ方としては、納税通知書や固定資産税評価証明書や固定資産税課税台帳などで確認することが可能です。他にも自分で計算することもできます。また駐車場の売上は、確定申告を行わなければいけません。

そのなかで固定資産税は経費として計上しましょう。しっかりと固定資産税を把握して、経費を想定しながら運用することで、順調な経営が期待できます。この記事が駐車場経営の手助けになると幸いです。

 

※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。

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