駐車場経営は儲かる?利回り、儲けるコツを解説【収入事例あり】

初期費用ゼロで土地活用ができて確実に儲かるのが駐車場経営です。駐車場の需要はまだ伸びます。土地の一括借上で安定した収入を得るのが儲かるコツです。周辺の市場調査と料金設定や広告などを工夫しながら、管理委託を上手に利用して駐車場経営の手間とコストを省きましょう。

駐車場経営は儲かる?利回り、儲けるコツを解説【収入事例あり】のイメージ

目次

  1. 1駐車場経営は儲かる?土地活用方法の比較
  2. 2駐車場経営で儲かる経営スタイルはどれか?
  3. 3駐車場経営で儲けるコツ
  4. 4駐車場経営は儲かるが注意点もある
  5. 5手間なく儲けるなら運営会社に委託する
  6. 6まとめ

駐車場経営は儲かる?土地活用方法の比較

駐車場経営は儲かる?土地活用方法の比較

様々な土地活用方法の中でも駐車場経営はリスクが少なく安定した収入が得られるとされていますが実際にはどうなのでしょう。見込める収益、今後の市場の動向、他の土地活用との比較という観点で、駐車場経営は本当に儲かるのかをみていきます。

駐車場経営は儲かる!

はたして駐車場経営は儲かるのか?この質問の答えは、イエスです。「管理の手間をかけなくてもそれなりに儲かる」のが駐車場経営です。

それなりに、というのは、業者に委託して経営すれば安定した収入が得られますが、大きく儲けるのは難しいということでもあります。より儲かる経営を考えるなら、自由に料金設定できる個人経営方式を選ぶとよいでしょう。

業者を通さなければ管理委託料などのランニングコストを引き下げることができる一方、特にコインパーキング駐車場経営では、設備機材購入と設置にかかる費用などの初期費用がかかってきます。コインパーキングの設備費用の相場は300万円前後と言われていますが、これはいわゆる平置きの場合で、タワーパーキングなどの機械式駐車場では高い初期費用が必要です。初期費用が高いと収益は下がってしまうかもしれません。

また、周辺の駐車場の相場が下がったり競合する駐車場が新しくできたりすると、初めに思っていたよりも料金を引き下げないと稼働率が極端に下がってしまうこともあり得ます。このように、周りの状況によっては一括借上方式にした方が個人経営よりも儲かる可能性も十分あります。

駐車場経営と利回り

では、駐車場経営はどのくらい儲かるのでしょうか。ここでは、どれくらい儲かるのかを比較するものさしとして、利回りという指標を紹介します。

駐車場経営での利回りとは、土地代や設備費など、かかった費用に対してどのくらいの収入が見込めるかを割合で表したものです。土地代に対する収入の割合を表面利回りといいます。土地代だけでなく設備費や維持費、税金もかかった費用に含めて、どのくらい儲かるのかを割合で表したものは実質利回りといいます。

表面利回りが物件の「お買い得感」を比較するための指標であるのに対し、実質利回りはどれくらい儲かるのかをみるための指標となります。

※利回りについての詳細は、「駐車場経営で重要な「利回り」とは?コインパーキング収益最大化のための知識」をご覧下さい。

駐車場経営の収入事例

駐車場経営は低リスク低コストで資産運用ができますが、大きな初期費用を回収するにはあまり向いていません。駐車場経営が儲かるのかどうかは、稼働率がどのくらい高いかと費用をどれくらい抑えられるかにかかっています。それを体感するために、駐車場経営で得られる収入と収益を実際に計算してみましょう。

なお、大半の駐車場経営は所有する土地を活用して行われていますので、ここでのシミュレーションでも所有している土地で駐車場経営を始める前提とします。

所有する更地で経営する場合の例

  • 駐車台数:6台
  • 月額:40,000円
  • 年間収入(満額):40,000円×6台×12ヶ月=288万円
  • 管理委託料:収入の5.5%=15.8万円
  • 土地面積:120㎡
  • 土地評価額:4,000万円
  • 初期費用:72万円(6,000円/㎡で舗装したとして)
  • ランニングコスト=固定資産税:56万円

以上の条件で、管理委託方式で月極駐車場経営をする場合と一括借上方式でコインパーキング駐車場経営をする場合を比較してみましょう。なお、土地を購入しない前提のため表面利回りは計算しません。

管理委託方式で月極駐車場経営をする場合

稼働率100%では、

  • 年間収入:288万円
  • 稼働率100%での収益:216.2万円  {288-(15.8+56)}=216.2
  • 稼働率100%での実質利回り:300.3%   216.2÷72×100=300.3%

稼働率80%だと、
  • 年間収入:230.4万円  288×0.8=230.4 
  • 稼働率80%での収益:158.6万円  {230.4-(15.8+56)}= 158.6
  • 稼働率80%での実質利回り:220.3%  158.6÷72×100=220.3%

遊休地のままだとすると税金支払いのみが発生して収入はありませんので、
  • 年間収入:0円
  • 固定資産税の支払い:56万円
  • 遊休地の収益:マイナス56万円

この土地で駐車場経営をする場合と比べて遊休地のままの場合との収支の差は、
  • 稼働率100%で272.2万円
  • 稼働率が80%でも214.6万円になります。

一括借上方式でコインパーキング駐車場経営をする場合

同じ土地で一括借上方式でコインパーキング駐車場経営をする場合、初期費用と管理委託料がかかりませんので、収益は以下のとおりです。
(初期費用ゼロ円のため実質利回りは計算しません)

稼働率100%では、

  • 年間収入:288万円
  • 稼働率100%での収益:232万円  288-56=232

稼働率80%だと、
  • 年間収入:230.4万円  288×0.8=230.4
  • 稼働率80%での収益:174.4万円  230.4-56=174.4

遊休地のままの場合との収支の差は、
  • 稼働率100%で288万円
  • 稼働率が80%でも230.4万円になります。

管理委託方式と一括借上方式の収支を表にまとめると以下のようになります。
 
  稼働率100%での収支 稼働率80%での収支
管理委託方式で月極駐車場経営 272.2万円 214.6万円
一括借上方式でコインパーキング駐車場経営 288万円 230.4万円

(※一括借上方式での収入は契約で決められた数字であるのに対し、管理委託方式での収入はあくまで仮定であり、稼働率がもっと低くなる可能性もあります。)

以上から、税金以外に支払う費用ゼロで遊休地を活用できる駐車場経営は儲かるということと、稼働率を高く保つことが大きなコツであることがおわかりいただけたでしょうか。

駐車場経営の動向

駐車場経営は将来的にも儲かるのかを賃貸住宅経営、トランクルーム経営、コインランドリー経営、太陽光発電経営と比較して考えてみましょう。

駐車場経営の今後を考える際に最も気になるのが、「若者の車離れ」と「日本の人口の急激な減少」が駐車場の需要に与える影響です。

まず、乗用車の保有台数は減っていません。一般社団法人日本自動車工業会によりますと、2018年の乗用車保有台数は前年比100.4%、リーマンショック直後の2009年で前年比100.3%と、ほぼ横ばいから微増を続けています。

一方、日本パーキングビジネス協会が主要なコインパーキング運営会社と機器メーカーへヒアリングを行って全国集計した「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査2015年版」によりますと、2015年4月のコインパーキング数は65,000、車室数は1,180,000で、500㎡以上のパーキング、500㎡未満のパーキングいずれにおいても年々増加しています。

運営会社へのヒアリングでは小型の駐車場が増える傾向にあります。2014年11月成立2015年5月施行の「空き家対策特別措置法」により更地も増加傾向にあるようです。一方、首都圏ではオリンピックに向け閉鎖したコインパーキングも多く、駐車場数は一本調子で増加するばかりでもなく、入れ替わりが激しいことがわかります。

小型の駐車場は駐車できる台数が少ないため、収入に対する初期費用の割合が高く収益が少なくなります。そこで、初期費用を抑えるメリットのある前払いのチケット式コインパーキングが増加してきました。ロック板やゲート機を採用しないことでクルマを検知するセンサーも不要となり、設備機器が少ないため初期費用を押さえることができるからです。

大都市圏以外では生活の足としての乗用車は欠かせません。2035年には3人に1人が高齢者となります。大都市圏であっても、公共交通機関で移動することが難しい人が増えるでしょう。高齢者の移動手段として車の需要は増えることが十分に予想されます。また、コロナの状況下で密を避けられる移動手段として車を見直す動きもあり、コインパーキングの需要はまだまだ伸びしろがあると思われます。

以上からも、駐車場経営は将来的にも儲かるのかという不安は懸念だといえるでしょう。

賃貸住宅経営は儲かるのか?

賃貸住宅経営は駐車場経営に比べて高リスク高リターンです。大きな収益が期待できますが、リスクも大きくなるため、準備をしっかりしたうえでコツをつかんだ経営をする必要があります。

主なリスクとしては初期費用が高額なことと事業開始までに時間がかかることがあげられます。中古物件を購入しての経営でも、リフォームなどに数ヶ月はかかります。入居者の募集についても、満室を保つにはマーケティングのコツが必要です。これらをクリアできれば、税金対策にもなり、長期的に安定した高収入が得られます。

トランクルーム経営は儲かるのか?

トランクルーム経営には個人経営と管理委託方式の2つがあります。トランクルーム経営のいちばんの難しさは単価が安いことです。1室の賃料は上限で1万円といわれています。収益を出すにはたくさんのトランクルームを設置することが必要になり、1室あたりの管理コストが高くなりがちです。また、成長産業のため競合が多いこと、立地により稼働率が大きく変わること、見込み客の確保が難しいこともデメリットにあげられます。

コインランドリー経営は儲かるのか?

コインランドリー経営のいちばんの弱点は初期投資に大金が必要なことです。一般に2,000万円以上が必要といわれています。もっとも、24時間営業で1時間に1人の利用客であっても、店舗の規模に関係なく初期投資費用は4~6年で回収できるとされています。初期費用を回収し終わった後の収益は、賃貸住宅経営には及びませんが月極駐車場経営よりも収益性は高いと思われます。また、初期費用を回収し終わるまでは土地の転用は難しいため、長期間の経営を前提とした運用に向いています。

太陽光発電経営は儲かるのか?

太陽光発電経営のメリットは、FIT(固定価格買取制度)により同一価格で電気を買い取ってもらえ、20年間は安定した収入が見込めることでした。売電価格、つまり商品の価格が国によって決められているため経済状況の影響を受けにくいと言われており、初期投資費用は10年で回収できるとされていましたが、FIT制度は10年で終了し、今後の売電価格の先行きは不透明です。

このように、太陽光発電経営のいちばんの弱点はFIT制度なしでは儲かる見込みが立ちにくいということです。新しくFIT制度の導入が決まっていますが詳細はまだ決定していません。既に、2020年度の売電価格は2019年度の価格からさらに引き下げられ、メガソーラーの発電規模によって売電価格などが変更されました。

費用の回収に10年かかるのにもかかわらず先々の制度が読めない状況で新規の投資に踏み切るのは判断に迷うところです。とはいえ、発電に向いた立地であれば集客のコツがいらないため、駐車場やトランクルームの需要がないような場所であれば検討の余地のある土地活用方法と言えます。

駐車場経営で儲かる経営スタイルはどれか?

駐車場経営で儲かる経営スタイルはどれか?

駐車場経営を始める場合、どんな駐車場にすればいちばん儲かるのか、考えてみましょう。

この答えは立地や駐車場のタイプなどの条件によって変わります。ここでは月極駐車場、コインパーキング、タワーパーキングのそれぞれでいちばん収益の上がる経営方法を考えます。

収益をあげるには、収入はなるべく多く費用は少なくすることがコツですが、金額に表れない時間や手間のコストも含めてバランスを考えましょう。

月極駐車場経営が儲かるケース

月極駐車場経営が儲かるのかどうかは、満車状態を維持できるかにかかっています。雑務は管理会社に委託してでも集客に力を入れるのがコツといえるでしょう。

料金

月極駐車場の料金は周辺相場でほぼ決まります。相場よりも高すぎると契約が取れず空きが出てしまいます。安くしすぎると満車になっても収入が減ってしまうことになりかねません。

稼働率(契約率)

契約が途切れずに満車を続けるコツは、周りの駐車場よりも魅力のある駐車場経営を行うことです。定期的に周辺を調べて、料金だけでなく設備やサービスについても魅力のある駐車場経営を目指しましょう。広告を出して集客したり延滞があれば早めに督促したりといった、細かな経営努力も選ばれる駐車場になるコツです。

しかし、これらすべてを完璧にこなすには大変な労力が必要です。清掃、メンテナンス、集金、契約事務などについては管理委託を利用して、時間と手間のコストを上手に減らすとよいでしょう。

駐車場経営コインパーキングが儲かるケース

コインパーキングでの駐車場経営が儲かるのかどうかは、一括借上方式を採用するか否かによります。稼働率に影響されずに安定した収入を得るのが王道です。

個人経営で儲かるには、次にあげるコツに注意しましょう。

料金

周辺相場を調べてこまめに料金設定を変更しましょう。料金設定がうまくいくと収入は伸びます。

稼働率

【駐車しやすさ】
入りやすい入り口の形状と間口であるか。切り返しはしやすいか。狭すぎず止めやすい駐車スペースに設計できているか。以上を満たすような車室レイアウトにすることがコツです。

土地面積に対して1台でも多く駐車スペースを取りたいところですが、運転テクニックが必要になるような停めづらい駐車場だと感じさせてしまうと、そのお客様の次の利用はないでしょう。リピートして使ってくれる固定客を多く作れた方が、より高収入で安定した経営ができます

【目立つこと】
看板の設置場所は適切でしょうか。駐車場があることを利用者に気づいてもらえなければ素通りされてしまいます。

【わかりやすく魅力的な料金設定】
一目で料金がわかるようになっているでしょうか。運転しながら駐車場を探す人は、料金がわかりづらい駐車場を避けてしまいます。

ところが、こういった手間をかけたとしても、周辺にライバルとなるコインパーキングが増えれば料金を下げざるを得なくなることもあります。コインパーキングの収益は上下するのが常です。

その点、業者の一括借上にすれば、収入は賃料のみとなりますが、稼働率に影響されない安定した収入が見込めます。賃料の目安は周辺の月極駐車場の相場と言われていますので、月極駐車場をフル稼働できている状態と同じになります。

駐車場経営タワーパーキングが儲かるケース

タワーパーキングの駐車場経営は収益のシミュレーションをしっかり行うのが儲かるコツです。
ここでは立体駐車場以外の、タワーパーキングを含む機械式駐車場について比較していきます。

機械式駐車場とは

機械式駐車場とは、区切られた1台ずつのスペースに機械によって車を格納し、入出庫の際には呼び出すタイプの駐車場を言います。

平面駐車場よりも駐車可能台数を増やすことができるので、限られた土地面積で大きい収入をあげることができます

機械式駐車場の注意点

機械式駐車場は土地面積あたりの収入が多くなりますが、費用もかかります。以下に機械式駐車場に共通する注意点をあげます。

【駐車する車のサイズが限られることがある】
ミニバンなど車のサイズによっては駐車できないことがあります。

【建築基準法の適用対象となる】
タワーパーキングは建築物とみなされ、建築基準法の適用を受けます。

【初期費用が高い】
設備が大がかりなため建築費・設備など初期費用が平面駐車場に比べて高くなります。従って、その費用を回収できるだけの収入が見込めることがタワーパーキングでの駐車場経営の大前提となります。

【更地にもどすのに解体費と時間がかかる】
取り壊しには、多額の解体費がかかります。また、解体作業のため更地に戻すまでの時間も平面駐車場に比べて長くかかります。

【ランニングコストが高い】
建物、パレットを回転させるモーター、ワイヤーなどメンテナンスが必要なものが多く、ランニングコスト(管理委託料、修繕費)も高くなります。


タワーパーキングでの駐車場経営が儲かるのかどうかを見極めるコツは、初期費用を回収して利益まで出せるほどの稼働率が見込める立地を選ぶことだといえるでしょう。

駐車場経営で儲けるコツ

駐車場経営で儲けるコツ

ここでは、駐車場経営の開業までの流れを追いながら、それぞれの段階で押さえるべきコツを説明していきます。

開業時の手続きにおけるコツ

開業までの手続きでは大きなお金を動かす判断が続きます。その設備は本当に必要か、費用を回収するのにどれくらいかかるかをよく考えて決めるようにしましょう。

また、作業の大半は専門業者に依頼して行うことになります。管理会社が業者を指定しないのであれば、必ず相見積もりを取りましょう。複数の業者から見積もりを取ることで確実に費用を下げることができます。
 

駐車場予定地の整備

建物があれば、解体します。更地にした後、でこぼこを取り除いて地面を固くする整地作業を行います。

次に、砂利敷きまたはアスファルト舗装をします。コインパーキング駐車場経営の場合、アスファルト舗装は必須です。なお、月極駐車場経営で一括借上方式の場合、土地の所有者がアスファルト舗装をした後に引き渡すと、収入となる賃料に消費税が含まれることになってしまいますので注意が必要です。

駐車場の出入り口に接する道路と駐車場に段差がある場合、地方自治体への申請をして歩道縁石の切り下げ工事を行います。なお、電柱の移設や歩道に樹木がある場合は100万近くかかる可能性もあります。

設備の設置

土地の整地と舗装が終わったら、ライン引き、駐車番号表示、車止めブロックの設置工事、フェンスの設置工事をします。砂利敷きの場合は、区画用ロープとペグを設置します。

月極駐車場では砂利敷きに区画用ロープとペグだけで開業することも可能ですが、アスファルト舗装と夜間の照明は設備投資することをおすすめします

というのは、未舗装の駐車場は砂ぼこりによって車体が汚れやすいうえ、小石が飛んで車体に傷を付けてしまう可能性もあり、車を大事にする人には敬遠されてしまいがちだからです。雑草を刈る手間とコストもかかります。また、看板や照明がないと敷地への立ち入りの心理的ハードルが低くなり、車上荒らし等の犯罪も増えやすくなります。

次に、コインパーキング駐車場経営の場合は機器設備を設置します。一括借上方式以外の経営方式では費用を負担することになります

【精算機関連】 

  • ロック板
  • もしくはカーゲート、発券機
  • 料金精算機
  • 精算機の説明看板
  • 精算機用雨よけテント

【看板関連】
  • 満空表示灯(入り口のP看板と一体になっていることが多い)
  • 案内看板(料金表、利用規約、緊急連絡先など)
  • 案内看板への照明

【防犯関連】
  • 場内照明
  • 防犯カメラ
  • フェンス 

月額賃料(料金)の設定

コインパーキングの料金は、単位時間の長さ、単価(周辺相場と比較したときのお得感)、最大料金の3つで決まります。この3つの要素をうまく組み合わせて収益アップをねらいましょう。月極駐車場の料金は月額単価のみで決まります。

単価については周辺相場に合わせて無難な設定にします。経営を始めた後で単価を上げる決断をすることは、稼働率が下がらないはっきりした理由がある場合など、よほど強い根拠がない限りなかなかできることではありません。初めから安く設定すると「安売りするコインパーキング」だと利用者にみなされてしまいます。こうなると、低価格だけがアピールできるものになってしまい、ますます収益が上がらなくなります。

最も工夫の余地があるのは最大料金の設定です。競合パーキングとの違いを明確に打ち出しましょう。リピーターを取り込むことで高収益の決定的な要因になります。この他に、近くの商業施設と提携をすることで稼働率を上げる方法も、確実に収益増加が見込めます。

契約期間の単位については、30分単位や20分単位で設定することも考えましょう。一見安く見せられることで、新しい利用者を取り込むことが期待できます

契約者の集客・オープン告知

コインパーキング駐車場の利用者は近くに住む人とは限りませんので、広告などの集客活動は必須です。

例えばチラシには、駐車場の場所(二面接地であれば出入り口がわかるように、一方通行の場合は大通りからの地図をつける)、オープン日、料金などを記載します。

チラシは直接手渡しすると効果的です。開業準備の挨拶回りを兼ねて、周辺の会社、商店、あれば建設現場(完成まで毎日利用してもらえる可能性も)、戸建て住宅・マンション(来客用の駐車場が足りないときに)を回るとよいでしょう。オープン前後の期間にはのぼり旗の設置も有効です。

月極駐車場契約者では以下のような集客方法があります。

【現地に募集の看板を作る】
借りたい人が実際に気づいて問い合わせをするケースも多く、かなり効果的です。

【不動産会社に募集を依頼する】
管理委託業務の一部として募集代行を受けることが多いようですので、個人経営の場合に募集業務だけを依頼する際は別途料金が必要です。

駐車場の検索サイトに登録する
今後の主流になると思われます。サイト運営は広告費でまかなわれているので登録に費用はかかりません。複数のサイトに登録しましょう

利用契約の締結

月極駐車場の場合、利用者と賃貸契約を結びます。月額料金、契約期間と更新方法、集金方法、料金改定の方法、契約解除条件、損害賠償など、トラブルになったときに必要となる情報を漏れなく盛り込みます。

個人経営の場合、契約書は自分で作成することになります。また、車庫証明の手続きで必要となる「保管場所仕様承諾証明書」の発行も必要です。

契約書類のひな型はネットで検索できますが、弁護士に依頼するのが確実かもしれません。業者に募集を委託している場合は契約書の作成、契約締結、更新期限の管理まですべて代行してもらえます。

なお、契約書に書かれた内容について後々トラブルとならないためにも、重要なポイントについては口頭でも確認しておくことをお勧めします。

開業後の手続きにおけるコツ

つぎに、開業後の手続きにおけるコツをみていきます。

駐車場の清掃作業

敷地内への侵入、車やゴミの放置、車上荒らしなどの犯罪を防ぐうえで、清掃はたいへん重要です。未舗装の場合には雑草をこまめに処理しましょう。自動販売機を設置した場合、吸い殻や空き缶の掃除も必要です。

入金の管理・集金(釣り銭準備)

月極駐車場の場合、入金が遅れていないかをチェックし、早めに督促することが大事です。督促が遅いと相手の反応も遅れます。まずは口頭や電話で入金を促し、督促状を郵送するのはその後にします。

コインパーキングの場合、精算機から売上金を回収し釣銭を補充します。オープン当初は回収と補充のタイミングがつかめるまでこまめにチェックするようにします。

設備のメンテナンス

清掃のタイミングで設備の点検(目視)は行いましょう。以下にコインパーキングの主な点検項目をあげます。
 

  • 路面のでこぼこ、穴、段差、枠線や車室番号の不具合はないか
  • ロック板あるいはゲート機はスムーズに動くか
  • 精算機の時間と年月日表示は正確か
  • 精算機は正常に作動するか
  • レシートを印字するロール紙の補給
  • すべての機器が一斉に作動してもブレーカーが落ちないか
  • 照明は暗くないか、点灯消灯のタイミングは適切か
  • 満空表示灯は明るく見やすいか
  • 料金、利用規約の看板に書かれた内容は正しいか(特に料金を改定した直後)
  • 場内の事故等による設備の破損はないか

定期メンテナンスについては業者が行いますが、不具合を放置しておくと知らない間に見込み客を失う可能性もありますので、オーナーとしても点検は行うようにしましょう。

月極駐車場の主な点検項目は以下のとおりです。
 
  • 路面のでこぼこ、穴、段差、枠線や車室番号の不具合がないか
  • 照明は暗くないか、点灯消灯のタイミングは適切か
  • 料金、利用規約の看板に書かれた内容は正しいか(特に料金を改定した直後)
  • 場内の事故による設備の破損はないか

トラブルへの対処

周辺の施設や住民と顔見知りになっておくことで苦情やトラブルが起きにくくなり、たとえ起きても早く収束できるようになります。まずは開業前に、オープン日、料金など大まかな内容、苦情の対応方法について、周辺の会社、商店、住宅に説明しておきましょう。

開業当初にトラブル対応が遅かったり対応の仕方を間違えると、悪く印象づけられてしまい、その後の集客にも影響を及ぼします。まずは迅速に対応できる体制が整っていることをアピールしましょう。

とはいっても、実際に駐車場経営をはじめると、様々なトラブルが発生します。個人経営であれば自分で、管理委託であれば業者が対応処理することになります。トラブルの例を以下にあげます。
 

  • 不正駐車(車の置き逃げ、放置車両)
  • ゴミの不法投棄
  • 路上喫煙、吸い殻ポイ捨て
  • 夜間の出入りなどの騒音、排気ガス、夜間のライトや照明
  • 賃料の延滞(督促)
  • 駐車場内での事故
  • 不法侵入、車上荒らし
  • 料金に関する問い合わせ、釣銭切れ
  • ロック板が下がらない、照明がつかないなど機器故障や設備のトラブル
  • その他周辺住民からの苦情

トラブル対応は、時間がとられることよりも精神的な負担感が思った以上に大きいため、業者への管理委託をお勧めします

周辺環境の調査

コインパーキング駐車場経営で収益をあげるためには、周辺の競合駐車場の調査は必要です。一般的にはコインパーキングの需要はまだあるとはいえ、地域ごとの差は大きく、すでにコインパーキングの供給量が飽和していて収益を上げることが難しい地域も存在します。まだ需要がある地域であっても料金設定によっては稼働率が下がってしまいます。

地域の特性にあった経営をして収益を確実に上げるためにも、周辺環境の調査は定期的に行いましょう。半径500m超のエリアが競合といわれています。駅前の場合は、駅の反対側も含めたもっと広い範囲が競合となる場合もあります。

駐車場の料金設定は固定資産税の価格と関係があります。駅を挟んで固定資産税に差がある場合、税金が安い側の立地で同じ駐車料金に設定すれば利益幅を大きくとることができます。

また、車の止めやすさも料金に反映します。切り返しが難しかったりできない(直進で駐車してバックで出る)、一方通行の奥深くでたどり着くのが難しいといった立地では価格は安くなります。

新しい競合ができると稼働率が下がるというのはよくあることです。競合のほうが立地が良いのか、料金が安いのか、それとも他の要因があるのか、調査して原因を分析することが必要となります。

駐車場経営は儲かるが注意点もある

駐車場経営は儲かるが注意点もある

駐車場経営は立地と料金設定を間違えなければ確実に儲かる土地活用ですが、立地によっては思った以上に儲からなかったり出費が大きくなったりする場合があります。また、税金とランニングコストがかかることにも注意が必要です。

駐車場経営に不向きな土地がある

はじめに、立地や環境の問題で駐車場に向かない土地があります。以下に例をあげます。
 

  • 人と車の通行量が少なく売り上げが上がらない
  • 通行する人や車はあるが何らかの理由でコインパーキングを使わない(地下鉄や電車の需要が高いなど)
  • 競合となる駐車場が周辺に充分にあり、これ以上の駐車場が不要か、あるいは価格競争が激しいため利益が出ない
  • 固定資産税があまりにも高すぎて利益が出ない(都心など)
 
収益性に問題のある土地で駐車場経営を検討する場合は、ランニングコストや税金を含めて実質利回りなどをよく検討しましょう

つぎに、不向きとは言い切れませんが慎重に検討した方がよい土地もあります。相続空き家の場合です。

相続した土地での駐車場経営が儲かるのかどうかを考える場合、建物がある状態で収益性を見積もってはいけません。駐車場にするために更地にすると、固定資産税が4倍以上に上がってしまいます。更地の税額でも収益が十分に見込めるかを検討しましょう。また、将来的に売却を考える場合、相続時の空き家を取り壊して更地にすると3,000万円の特別控除が受けられなくなりますので注意が必要です。

三つめに、土地の形状に問題があって駐車場経営に不向きな土地もあります。
 
  • 表通りから駐車場までの道路が幅員4m未満
  • 間口が狭い
  • 切り返しのためのスペースが大きく無駄ができる変形地
  • 高低差がある
 
高低差の大きい土地を駐車場にする場合、土地の造成が必要になることがあります。その際には整地費用がかかってきますので注意が必要です。

税金の負担が大きくかかる

駐車場経営が儲かるのかどうかを考えるうえで、節税効果が期待できないことは最も気になるデメリットでしょう。駐車場は住宅用地の特例対象外で固定資産税・都市計画税が高く、相続発生時も200㎡超の土地は小規模宅地等の特例対象外で相続税は高くなります。なお、駐車場経営による収入の金額や運営方法など、条件によってかからない税金もあります。税金についての詳細は、「駐車場経営の税金種類と計算シミュレーション!確定申告、固定資産税も解説」をご覧下さい。

ランニングコスト(維持費)がかかる

コインパーキング駐車場経営の場合、ランニングコストの中で大きな割合を占めるのは電気代で、次が管理委託料と設備のメンテナンス費用になります。管理委託料の中では24時間対応にかかる料金の割合が大きくなります。月極駐車場とコインパーキングの主なランニングコストを以下にあげます。

【月極駐車場、コインパーキングに共通するランニングコスト】

  • 電気代
  • 通信費
  • 保険料
  • その他費用(集金、清掃など)

※管理委託方式と一括借上方式では、以上の費用は管理委託料に含まれます。

【コインパーキングに特有のランニングコスト】
  • 24時間対応警備出動の費用
  • 24時間対応コールセンターの費用
  • 遠隔システム利用料
  • 決済手数料(現金以外にクレジットカードや交通系ICカードなどへ対応している場合)
  • 設備メンテナンス費
  • その他 消耗品費(レシート、駐車券の紙代)など

手間なく儲けるなら運営会社に委託する

手間なく儲けるなら運営会社に委託する

駐車場経営が儲かるのかどうかの分かれ目は、コツをつかんで小さな経営努力を積み上げられるかどうかに尽きます。しかし、一つ一つは小さな手間でも、駐車場経営全体では大変な労力と注意が必要になってきます。このように、駐車場経営を個人経営で行おうとすると様々な手間がかかることがお分かりいただけたかと思います。

また、駐車場経営を始めるにあたっての一番の問題は初期費用の負担額が大きくかかることです。管理会社を利用することで、初期費用の負担も運営の負担も解消することができます

管理委託方式のデメリットは、管理委託料がかかることと一括借上方式であれば賃料が固定されることですが、これらの費用を支払わない場合の労力とリスクを考えれば、補って余りあるメリットがあるといえるでしょう。

まとめ

まとめ

本記事では駐車場経営の利回り、儲かるコツについて解説しました。以下本記事で触れた内容をまとめましたので参考にしてください。
 

  • 費用ゼロで土地活用できる駐車場経営は儲かる
  • コインパーキングの需要はまだまだ伸びしろがある
  • 月極駐車場経営のコツは、管理委託を利用して時間と手間のコストを上手に削減すること
  • コインパーキング駐車場経営のコツは、一括借上方式で稼働率に影響されずに安定した収入を得ること
  • コインパーキング駐車場経営では最大料金の設定が大事
  • コインパーキング駐車場経営で収益をあげるためには、周辺の競合駐車場の調査を定期的に行う
  • 駐車場経営では税金とランニングコストに注意
  • 駐車場経営は管理会社を利用することで、初期費用の負担も運営の負担も解消できる

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