2021年04月27日公開
2021年04月27日更新
アパート経営と土地活用14選を比較!特徴、メリット・デメリット、費用
土地活用として馴染み深いアパート経営と、他の土地活用14選のメリット・デメリット・費用面について、比較していきます。またアパート経営の始め方や、維持・管理費、成功に導くためのポイントや、アパート経営の収益事例について解説していきます。
目次
土地活用としてのアパート経営とは
相続で貰った土地があり、現在その土地は更地になっている。こんな時考えるのが、土地活用です。さまざまな土地活用の中で、まず思い浮かぶのはアパート経営でしょう。なぜならば、アパート自体は日常生活に大変身近で、アパートを経営しているのは、アパートを所有している大家さんであるというのは、多くの人が認知しているからです。
今回は、オーソドックスな土地活用であるアパート経営について、詳しく解説していきます。まずは、アパート経営の基礎的なメリットデメリットなどについて、紹介します。
アパート経営のメリット
アパート経営のメリットは、主に下記になります。
- サラリーマンの副業、老後の年金代わりになる
- 節税対策になる
- 長期間安定的に、収入が得られる
- 資産として相続させやすい
アパート経営のメリットは、サラリーマンなど現役時代は、兼業で副業収入として、リタイア後は専業で年金代わりに収入を得ることができます。アパート経営は、一度入居者がつけば比較的長期間居住するので、その間は安定的に収入が得られます。
また、1室空室になったとしても部屋数が多いので、即無収入になることはありません。空室になりそうな場合は、提携する不動産会社に賃借人募集をしてもらい、なるべく空室期間が短くなるように工夫します。
次に、節税対策です。まず、固定資産税はアパートがあることで宅地と同じ評価減が受けられ、更地で所有するより減税になります。所得税・住民税に関しては、賃料収入から得られる不動産所得から、管理委託費・ローンの金利・減価償却費などを差し引けるので、総じて節税になります。
最後にアパートは、資産として相続しやすいです。尚、相続税に関しては、建物を所有することで評価減が受けられ節税になります。相続税路線価は実勢価格の80%の評価減となり、そこから更に、不動産を他人に賃貸している場合は、20%~30%の評価減があります。
そこから更に、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられると、土地部分について200㎡まで、最大50%の評価減を受けられます。総じて、賃貸用不動産にすることで、60%~70%の評価減を受けられます。
アパート経営のデメリット
アパート経営のデメリットは、主に下記になります。
- 初期費用の金額は莫大
- リスクが大きい
- ランニングコストやメンテナンスの費用が掛かる
アパート経営のデメリットは、まず初期費用が掛かることです。建物の構造(木造・軽量鉄骨を用いたプレハブ・RC)や規模により建物取得費は変わりますが、概ね1億円前後掛かります。そこにプラスして不動産取得税、アパートローンの諸経費(登記費用、保証料、ローン契約の印紙代など)、アパートに掛ける保険料(火災保険・地震保険など)が掛かります。
次に、リスクです。初期費用が莫大で、資金調達をほぼローンで行う場合に、空室状態が長期間になると資金繰りが悪くなりやすく、経営が破綻します。また、家賃未納リスクや、原状回復時の礼金についてのトラブルに遭うリスクや、火災や自然災害による建物損傷リスクもあります。
最後に、ランニングコストなどです。管理委託費や機器のメンテナンス費などが掛かります。また、年数経過につれて建物の修繕費や、部屋の設備の更新などがあります。例えば設備の耐用年数は、ガスレンジ・給湯器が10年、エアコンが15年、キッチン設備が30年などです。また、急な補修や修理になる可能性もあるので、対応できるようにします。
アパート経営の初期費用
ここでは、アパート経営の初期費用について、大まかな数字を紹介します。
- アパートの建設費
- アパートローンの諸経費(ローン保証料・印紙代・手数料・登記費用)
- 保険料
アパートの建設費は、木造で80万円/坪、アパートローンの諸経費は建設費の5%程度、保険料は50万円程度です。例えば、60坪の土地にできるアパートの初期費用は幾らになるのか?
60(坪)×800,000(円)+(60×800,000×0.05)+500,000(円)=50,900,000(円)
この場合、アパート建設(木造)の初期費用は5,090万円になります。尚、この金額に加えて、不動産取得税や、賃借人募集の宣伝費や仲介手数料が掛かります。
土地購入から始める場合の費用
土地から購入する場合は、上記に加えて必要になるものは以下の通りです。
- 土地の取得費
- つなぎ融資の金利と手数料
- 土地購入時の仲介手数料
土地から購入の場合は、主に上記が掛かってきます。土地の取得費は、立地・広さ等により変わります。次にローンを使う場合は、アパートローンの融資までにつなぎ融資が必要な場合があります。最後に、土地購入時には仲介手数料が掛かります。手数料は、400万超の速算式で、物件価格×3%+6万円+消費税になります。
アパート経営に適した土地の条件
どんな立地でも、アパート経営に向いているとは限りません。ここでは、アパート経営に適した土地の条件を、紹介します。
- 交通利便性が良い
- 日常生活が便利なエリア
- 周辺の賃貸住宅が、満室で稼働している
- 土地の広さが確保できている
まず、一般的にアパートなどの賃貸住宅を借りる人は、通勤や通学で電車を使う人が多いので、交通利便性が良いことが条件です。都心に直結する路線の駅に近ければ、ベストです。また、仮に駅から遠くてもバスの本数が多い路線沿いで、バス停から近い、駅まで自転車で行ける距離であれば十分です。
次に、日常生活が便利なエリアです。近所に、スーパー・ドラッグストア・コンビニ・銀行・郵便局・クリーニング・小中学校・保育園などがあれば、アパート経営に向いています。利便性を求める需要はいつの時代も底固いので、空室リスクが少なく長期間経営が安定します。
更に、需要を見極める指標として、周辺賃貸の稼働率です。既に満室で稼働している物件が殆どであれば、空室リスクが少なく更なる需要を見込めます。
最後に、アパートを建設するには土地が必要です。都心部であれば50坪程度の土地、郊外であれば駐車場も確保したいので100坪程度の土地が必要です。これらの広さがあれば、経営に必要な戸数を確保でき、アパート経営が安定します。
アパート経営に適さない土地の特徴
反対に、アパート経営に適さない土地の特徴は、主に下記の通りです。
- 交通利便性や生活利便性が悪い
- 周辺の賃貸住宅は空室が多い
- 土地が狭い、変形地
- 初期投資に対する、年間賃料収入が見合わない
- 賃貸需要に合う間取りが作れない
まずは、先ほどのメリットと逆になりますが、交通利便性と生活利便性が悪い立地です。つまり、駅から遠くバス停も遠い、自転車でも駅まで時間が掛かる立地に需要は見込めません。また、近所にスーパーなどがない地域も同様です。
次に、周辺賃貸に空室が多いことです。このことで、賃貸需要の少なさがわかります。更に、土地が狭かったり変形地であったりすると、アパート建設が難しい、若しくは建設できたとしても設計料や工事費が割高になり、利回りが極端に低下する可能性があります。
最後に、賃貸需要に見合う間取りが作れない場合です。例えば、ファミリーが多い地域なのにワンルームしかない、駐車場が必須な立地なのにアパートに専用駐車場がない、などです。このような、物件となると賃借人が集まらず、空室期間が長くなるので経営がうまくいきません。
アパート経営と土地活用14選を比較!
下記はアパート経営と他の土地活用との比較です。初期費用の金額・収益性・相続税対策効果・管理の手間について、纏めています。
初期費用の金額(アパートより) | 収益性(アパートより) | 相続税対策効果 | 管理の手間 | |
駐車場 | 低い | 低い | 殆どない | 管理の手間は掛からない |
トランクルーム | 低い | 高い | 殆どない | 管理委託なら手間は掛からない |
コインランドリー | 低い | 低い | ない | 管理の手間は掛からないが、機器のメンテナンスに費用が掛かる |
太陽光発電 | 非常に高い | 低い | ない | 管理委託なら手間は掛からない |
賃貸併用住宅 | 同等程度 | 同等程度 | 効果あり | 同等程度 |
戸建賃貸住宅 | 低い | 低い | 効果あり | 管理の手間は一切掛からない |
オフィスビル | 非常に高い | 高い | 効果あり | 管理委託なら手間は掛からない |
医療施設 | 非常に高い | 低い | ない | 1棟契約が殆どで、管理の手間は掛からない |
商業施設 | 非常に高い | 低い | ない | 土地賃貸なら手間は掛からない |
定期借地 | なし | 低い | 効果あり | 土地を貸すだけなので、管理の手間は掛からない |
等価交換 | なし | 高い | 効果あり | 土地を譲渡し、土地付きの建物を貰うだけなので管理の手間は掛からない |
土地信託 | なし | 信託会社の土地活用 方法による |
効果あり | 土地を預けるだけなので管理の手間は掛からない |
売却 | なし | なし | なし | 売却完了まで自らの手間が掛かる |
資産組み換え・買換え | なし | なし | 効果あり | 買換え完了まで自らの手間が掛かる |
①駐車場経営
【特徴など】
駐車場経営には、月極駐車場とコインパーキングがあります。また、それぞれに自己経営・管理委託・一括借り上げの経営方式があります。月極駐車場は、住宅街やオフィス街など好立地でなくても、経営ができます。コインパーキングは、買い物や医療施設などの一時利用者向けであるので、駅に近い立地や繁華街など好立地に設置されます。
【メリット】
- 初期費用は安価に抑えられる
- 設置工事期間が短く、経営が早く始められる
- 管理の手間は少ない
- 多用途への転用がしやすい
まず、初期費用は安価です。月極駐車場では、敷地の整地、フェンスや照明や車止めの設置、くらいで工事費があまり掛かりません。またコインパーキングで、土地一括借り上げ式の場合、初期費用は掛かりません。
次に、設置工事は短期間で終了し、早ければ2週間くらいで経営開始できます。また、月極駐車場で自己経営でも管理の手間は掛かりません。最後に、今後アパートにしたい立地でも、一時的に駐車場という利用も可能です。
【デメリット】
- 節税対策にはならない
- 収益性は低い
まず、節税対策にはなりません。例えば固定資産税は宅地の軽減は受けられず、更地の状態と同等の評価となり節税にはなりません。また、アパートのように土地を有効活用していないので、収益性は低いです。
駐車場経営の初期費用
月極駐車場の初期費用は、下記の通りです。
(例)100㎡の土地に、駐車台数6台の月極駐車場を設置する場合の初期費用は?
- アスファルト舗装など土地整備代 4,400(円)×100(㎡)=440,000(円)
- ライン引き 5,000(円)×6(台)=30,000(円)
- 車止め 6,000(円)×6(台)=36,000(円)
コインパーキングの場合、一括借り上げ式が殆どで初期費用は0円です。
②トランクルーム経営
【特徴など】
トランクルームは、都心部や市街地であればビルインで室内型が、郊外に行くとコンテナボックスを設置した屋外型があります。室内型は、空調が効いた空間、広さは1.5畳位、管理人がいるのが一般的です。屋外型は、アスファルト舗装した土地に、コンテナボックスを野ざらしで置き、管理人等は特にいません。
トランクルーム経営は、手間が掛からず初期費用も抑えられる屋外型をお勧めします。
【メリット】
- 初期費用が安価に抑えられる
- 建物が頑丈で修繕費が掛からない
- 借り手がみつかれば、長期間使ってもらえる
- 収益性が良く、利回りが高い
トランクルームの初期費用は、土地活用の中では安価です。また建物が頑丈であるので、台風などの自然災害に強く、修繕費もあまり掛かりません。次にトランクルームは借り手がみつかれば、長期間使用してもらえ、収益が長期間安定します。更に、先の収支の見通しも立てやすく、利回りが高いのも特長です。
【デメリット】
- 節税対策にはならない
- 近所からクレームが入る可能性がある
デメリットは、駐車場同様で節税効果はありません。しかし、アスファルト舗装しているので相続税発生時に、小規模宅地の特例が使え200㎡までの部分の評価が半分となります。したがって相続税対策にはなります。
次に、24時間稼働しているので、夜間帯にトランクルームを使用されると、大きな音が発生することから、近所からクレームが入る可能性があります。
トランクルーム経営の初期費用
トランクルームを自己経営で行う場合の初期費用には、主に下記のものが含まれます。
- コンテナ購入費
- 設置費用
- 土地の整地費用
- 看板代
- 光熱費などの設営費用
- 監視カメラの費用
トランクルームの開業で必要な初期費用は、おおよそ500万円前後です。また、フランチャイズの場合は知名度で集客が見込めますが、別途フランチャイズ料が掛かります。最後に、土地一括借り上げ式の場合は土地を貸すだけなので、初期費用は掛かりません。
③コインランドリー経営
【特徴など】
コインランドリーの商圏は狭いです。したがって、マンションなどの集合住宅が多い場所や、住宅街の近くが理想です。コインランドリーは、近年家庭では洗えない布団や、毛布などの大型の洗濯物を洗うのに重宝されています。更に、外観がお洒落でカフェが併設されているなど、業態自体も変わりつつあります。
【メリット】
- 地域に定着すれば、固定客が利用してくれる
- 人件費は掛からない
コインランドリーは、地域に定着することが大事です。固定客を作り何度も利用してもらえないと、経営が成り立ちません。そのためには、誰でもその場で会員になれる制度を作り、会員はお得に利用できるなどのシステム構築が必要です。
次に、コインランドリーは無人で経営ができるので、人件費は掛かりません。
【デメリット】
- 初期費用が掛かる
- 機器のメンテナンスが必要
- 客単価が安い
洗濯機・乾燥機・店舗の賃貸料など、初期費用が掛かります。また、機器のメンテナンスや故障時は修理などの対応もあるため、定期的に費用が掛かります。最後に客単価は安いので、より多くの人に沢山利用してもらい、長期間経営する必要があります。
コインランドリー経営の初期費用
コインランドリー設置に掛かる初期費用は、おおよそ2000万円~というのが一般的です。その内訳は下記になります。
- 機器代(洗濯機3~4台、乾燥機7~8台) 約1300万円
- 内装工事 (看板、ダクト、電気、給排水、その他の内装工事) 約700万円
上記は、小型店舗の場合です。広さは10坪~15坪程度です。尚、50坪程度の大型店舗になるとおおよそ3,000万円程度の初期費用が掛かります。
④太陽光発電
【特徴など】
太陽光発電とは、遊休地や田舎などの立地にソーラーパネルを設置し、発電した電気を電力会社に売電するビジネスです。近年では、山の斜面やゴルフ場の跡地にも設置されています。太陽光発電は、周辺に太陽光を遮るものがないことや、晴天率が高いことが条件になります。
また、太陽光発電は国の再生可能エネルギーの一環で、建設には補助金がでる場合があります。
【メリット】
- 管理委託すれば手間は掛からない
- 遠隔地でもできる
太陽光発電は、管理委託が基本になるのでオーナー自身に手間は掛かりません。したがって、自宅から離れた遠隔地でもできます。
【デメリット】
- 初期費用が高額
- 晴天率で経営が左右される
- ソーラーパネルのメンテナンスが必要
- 売電価格は下落傾向
まず、初期費用は高額です。ソーラーパネルの設置代や発電機器の設置費用が掛かります。次に、晴天率です。雨が多い立地や梅雨時期は発電量が落ちてしまいます。日本であれば、太平洋側が比較的晴天率が高いのでお勧めです。
また、機器のメンテナンスや故障時の交換などの費用も掛かります。最後に、売電価格は下落傾向であるので、長期間行わないと初期投資額を回収できません。
太陽光発電の初期費用
太陽光発電の一般的な初期費用の目安は、産業用(10㎾以上)で1㎾あたり20万円~30万円です。つまり容量50㎾の太陽光発電所の建設には、1,500万円程度の費用が掛かります。この場合土地の広さは、600㎡前後でパネルの枚数は160枚~170枚程度必要になります。
⑤賃貸併用住宅経営
【特徴など】
賃貸併用住宅は、一戸建ての建て替え時が多いです。自宅の一部に賃貸専用住戸を作り、第3者に貸し出すことで得た賃料収入を、住宅ローンの返済等に充てられます。
【メリット】
- 副収入を得ることができる
- 金利の低い住宅ローンを使える
- 居住空間の選択肢が広がる
賃貸併用住宅のメリットは、賃料という副収入を得ることができるので、住宅ローンの返済や固定資産税などの支払いに充てることができます。また、建設時に金利の高いアパートローンではなく、金利の低い住宅ローンが使えます。
最後に、賃貸住戸を将来的に、二世帯住宅にリフォームするなど居住空間の選択肢が広がります。
【デメリット】
- 賃貸部分が空室になると、資金計画の目論みが狂う
- 賃借人と家賃未納などで、トラブルになる可能性がある
デメリットは、賃貸部分が空室になると収支の計画が狂う可能性があります。空室対策としては、賃貸住戸は周辺の需要に合う広さと、家賃設定が大事になります。また、賃借人と家賃未納やゴミの出し方などでトラブルになる可能性があります。
賃貸併用住宅経営の初期費用
賃貸併用住宅経営の初期費用は、建物の構造や規模で大きく違ってきます。例えば木造であれば95万円前後/坪、軽量鉄骨造りであれば100万円前後/坪、鉄筋コンクリートであれば120万円前後/坪です。木造で延べ床面積80坪の場合の初期費用は、7,600万円になります。
尚、上記以外に建物建設には現況測量費用や地盤調査費用なども掛かり、概ね建築費の5%程度が相場になります。
⑥戸建賃貸経営
【特徴など】
戸建賃貸経営は、実家が空き家になった、転勤で空き家になった、シェアハウスからの転用などの場合に行います。戸建賃貸は、一度賃借人が見つかれば比較的長期間居住してくれます。また、家の管理は賃借人が行うので、建物の管理について手間はあまり掛かりません。
【メリット】
- 広さがあるので、賃料は高額に設定できる
- 人が住むことで建物が傷みにくくなる
- 賃借人に建物を売却することもできる
戸建て賃貸経営は、空き家になった実家やマイホームの活用方法として有効です。まず、広さがアパート等に比べて圧倒的に広いので、ファミリーなどが多い郊外に需要があります。次に、人が住むことで外の庭などは綺麗に維持され、部屋の設備なども傷みにくくなります。
最後に、賃貸中の物件を賃借人に売却するということも可能です。あくまで賃借人が物件を気に入った場合です。
【デメリット】
- 賃借人が退去すると家賃収入は0円になる
戸建て賃貸は、居住者が退去すると家賃収入が0円になるリスクもあります。
戸建賃貸経営の初期費用
戸建賃貸経営の初期費用は、空き家になった家のクリーニング費用やエアコンなどを買い換える程度です。リフォーム等しない限り、初期費用として100万円程度用意できれば十分です。
⑦オフィスビル賃貸経営
【特徴など】
都心部主要駅の徒歩圏にまとまった土地を所有していれば、オフィスビル賃貸経営もできます。オフィス賃貸経営は、一般的にオフィスビルを建設し法人等に賃貸します。
【メリット】
- 家賃設定を高額にできる
- 空室リスクは少ない
- 長期間安定的に賃料収入が入る
- 節税対策になる
賃借人が主に法人であるので、比較的長期間入居し、家賃を高額に設定できます。また、都心部であれば空室リスクは低いです。更に、所得税や固定資産税、都市計画税などの税制優遇が受けられます。
【デメリット】
- 会社の経営状況により、退去する可能性もある
- 管理委託費が掛かる
- 築年数が経過すると、修繕費が莫大になる
- オフィスビルの競合が多い場合、家賃相場が下がる可能性がある
オフィスビルは、入居する会社の業績によっては退去されるリスクがあります。また、定期的な清掃や維持管理の為の管理委託費が掛かります。次に、築年数が経過すると建物が高層であるため、修繕費が莫大になります。最後に、周辺に競合が多い場合、家賃相場が下がる可能性があります、
オフィスビル賃貸経営の初期費用
オフィスビル賃貸経営の初期費用は、主に建設費用です。建設費用はビルの構造で変わってきます。あくまで目安的な数値ですが、10階建て程度のオフィスビルの場合、鉄筋コンクリート造りで100万円/坪、鉄骨鉄筋コンクリート造りで110万円/坪となっています。
もちろんこの数値は、建設するゼネコン、デザイン、ビルの設備や内装等などで変わってきます。
⑧医療系施設
【特徴など】
医療系施設は、病院や診療所を建設し、医療法人に賃貸するビジネスです。今後、高齢化社会を迎えるにあたり医療施設は、需要が見込める分野です。オーナーは、医療法人に土地と建物を賃貸し、賃料収入を得るので、病院経営のノウハウは必要ありません。
【メリット】
- 入居する病院が決まれば、長期間入居する
- 管理等の手間は掛からない
- 社会貢献、雇用創出になる
医療系施設は、病院が決まれば長期間入居します。また、建物内の清掃など管理の手間は掛かりません。最後に、病院ができると社会貢献に繋がり、同時に雇用創出になります。医療系施設は、これからの社会に大変重要な施設で需要が見込めます。
【デメリット】
- 一度病院経営が始まると、他の用途への転用は難しい
病院経営が始まると、地域に定着する可能性が高いため、病院施設から他の用途に転用することが難しくなります。
医療系施設の初期費用
医療系施設の初期費用は、概ね建物の建設費です。その建設費は、「定員一人当たりの建設費」として算出されており、2019年度では約2,129万円となっています。したがって、入院患者を30名受け入れ可能な病院の建築コストは、約6億3,000万円となります。
⑨商業系施設
【特徴など】
商業系施設は、都心部であれば人通りが多い繁華街などに立地します。また郊外の場合は、車の交通量が多い国道沿いなどのロードサイドに集中します。商業系施設の経営は、いかに周辺需要にマッチしたテナントを誘致できるかで売上げは大きく変わり、経営の成否を左右すると言っても過言ではありません。
商業系施設は、テナントに店舗スペースを貸し出し賃料収入を得ます。各スペースの内装工事は、入居したテナントが行います。
【メリット】
- テナントへの家賃設定が高く、収益性が高い
- 集客力が高い立地であれば、空き区画リスクは少ない
テナントへの家賃設定は高く設定できます。特に、都心部主要駅に近い立地であれば、需要は絶えず家賃設定は強気でいけます。つまり、集客力の高い立地であれば、空き区画になるリスクがほぼありません。
【デメリット】
- テナント店舗の撤退リスクがある
- 建物を建設した場合に、初期費用が掛かる
テナント店舗は、売上げにより当然撤退のリスクがあります。いかに空き状態を少なくするかが経営成功のポイントです。また。建物の建設には莫大な費用が掛かります。テナントの稼働率次第では、初期投資のリスクが大きく、経営が行き詰る可能性もあります。
商業系施設の初期費用
商業系施設の初期補用は、建設費用が大きな割合を占めます。建築費を構造別に紹介すると、鉄筋鉄骨コンクリート造りで約140万円/坪、鉄筋コンクリート造りで約100万円/坪、鉄骨造りでは約65万円/坪となっています。
⑩定期借地
【特徴など】
定期借地は、土地所有者保護のために作られた、比較的新しい制度です。これまでの借地権は賃借人が更新の意思を示せば、貸主に土地を返還してもらう正当事由がない限り、更新できるようになっていました。しかし、定期借地は期限が到来すれば、必ず土地が返還されます。
定期借地は、定期借地権として不動産デベロッパーに土地を貸し、分譲マンションが建設されたり、事業用借地権として、商業系施設や飲食系のレストランやコンビニ事業者などに、貸すことができます。
【メリット】
- 土地が必ず更地で返還される
- 期限到来まで安定的に賃料が得られる
- 相続税対策になる
定期借地のメリットは、まず土地が必ず更地で戻ってくることです。また、期限到来まで安定的に賃料が得られ、途中で解約される心配はありません。最後に、借地権割合により相続税の評価が下がります。したがって相続税の対策にもなるのです。
【デメリット】
- 住宅であれば50年以上土地は返還されない
定期借地は、利用目的によって種類が分かれます。住宅の場合は、50年以上の賃貸期間となる「一般定期借地権」です。また店舗等事業用の場合、「事業用定期借地権」となり賃貸期間は10年以上50年未満となります。短期間で運用したければ、事業用地として10年程度に設定するのがよいでしょう。
⑪等価交換
【特徴など】
等価交換は、土地活用したいがマンション建設のノウハウがない土地オーナーと、マンション建設したいが土地がない不動産デベロッパーの思惑が一致した場合にできます。概ね、都心部の好立地が多く、どの土地でもできるわけではありません。土地所有者は、土地を全て譲渡する代わりに、土地付きの建物を貰うことができます。
【メリット】
- 初期費用なしでできる
- 賃貸住居にした場合、家賃収入が得られる
- 不動産デベロッパーにわがままが効く
- 節税対策になる
等価交換は、初期費用なしでできます。マンション建設は全て不動産デベロッパーが行うので安心です。また、居住用にしたい、賃貸用にしたいなど不動産デベロッパーにわがままが効きます。尚、賃貸住居にするとリスクなしで、賃料収入が得られます。最後に賃貸住居で不動産収入があれば、減価償却などにより節税することもできます。
【デメリット】
- 土地の所有権は全て譲渡しなければならない
- 土地は戻ってこない
土地の所有権は全て譲渡しなければならず、土地は戻ってきません。したがって、先祖から受け継いだ土地等であれば慎重な判断が必要です。
⑫土地信託
【特徴など】
土地信託は、信託免許のある会社に土地を預け、代わりに土地活用をしてもらう仕組みです。信託会社は、預かった土地にビルや店舗等を建設し土地活用します。土地活用で利益が出た場合、手数料を差し引いてオーナー側に支払う形になります。尚、信託期間終了後、土地はオーナーに返還されます。
【メリット】
- 初期費用なしでできる
- 土地活用の専門知識不要
- 土地が建物付きで戻ってくる場合もある
まず、土地を貸すだけなので、初期投資費用は不要です。次に、土地活用のプロに委託するだけなので専門知識は不要です。最後に信託契約終了後に、建物付きで土地が戻ってくる場合もあります。しかしローン等の負債も、引き継ぐことがあるので注意です。
【デメリット】
- 信託報酬(手数料)が掛かる
- 収益が上がるとは限らない
- 土地は自由に使えない
土地活用を委託しているので、当然に報酬を支払う義務があります。その報酬が信託報酬となるのですが、おおむね収益の5~20%で設定されています。この分の費用が掛かることを認識しないといけません。
次に、土地活用が必ず成功するわけではないので、収益が上がるとは限りません。信託会社がオフィスビルを建設した場合に、収益は工事費用、ローン返済、各種経費、税金などを差し引いたものになるので、特に初期は配当金があがりづらいのです。最後に、信託期間中所有者は土地を自由には使えません。
⑬売却
【特徴など】
売却は、土地活用が難しい土地の場合に行います。売却すると不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は、成約価格400万超の即算式で、成約価格×3%+6万円+消費税となります。
【メリット】
- 即現金化できる
- 固定資産税などを払う義務がなくなる
売却のメリットは、即現金化できることです。また、固定費として払う税金関係も支払い義務がなくなります。
【デメリット】
- 土地は戻ってこない
- 仲介手数料や立地により測量費用が掛かる
売却すると当然ながら土地は戻ってきません。先祖から受け継いだ大事な土地であれば、慎重な判断が必要です。また、仲介手数料や立地により測量費が掛かります。主に測量は、土地境界が未定の場合や、都心部の地価が高い立地の場合に行います。
⑭資産の組み換え・買い替え
【特徴など】
資産の組み換えとは、種類の異なる資産に買換えなどし、より高収益を生むように転換することをいいます。例えば、土地活用していない土地の売却資金で、賃料収入が得られるアパートを購入するとかです。
【メリット】
- 遊休地などを有益不動産に変えることができる
- 節税効果を得られることもある
遊休地など土地活用していない土地を売却し、賃料収入が見込める収益物件を購入することで不動産所得を得ることができます。またその不動産所得により節税効果が期待できます。
【デメリット】
- 都心部の不動産は高額で、うまく組み換えできない可能性もある
買換え先は、賃貸需要が見込める立地でないといけないので、状況によっては資金計画が成り立たない場合もあります。例えば田舎にある土地を売却しても、都会の不動産は購入できない場合も考えられます。
土地活用でアパート経営を始める方法
アパート経営は、主に下記の手順で進めていきます。
- アパート建設ができるパートナー会社に相談する
- 建設の見積もりを依頼する
- 金融機関でローン審査をする
- 工事を着工する
- 着工中から入居者の募集をする
- 建物が完成後に入居を開始し、家賃収入を得る
土地活用でアパート経営するには、まずアパートを建設できるパートナー会社を探します。その後は、所有地にどんな建物ができるかなどを、具体的に打合せしていきます。内容が決まると建設の契約をし、工事を着工します。建物が完成し賃借人が入居したら経営開始です。
土地活用のアパート経営にかかる維持・管理費と税金
ここでは、土地活用のアパート経営にかかる維持・管理費と税金について解説します。
アパート経営の維持・管理費
アパート経営の維持・管理費で掛かる費用は、概ね家賃収入の10%程度が目安です。維持・管理費の中には、共用部の電気代などの光熱費、外壁や設備修理等の修繕費、入居者が退去後のクロス張替えなどのリフォーム費、家賃の徴収や清掃などを委託する費用などが含まれます。
アパート経営の税金
アパート経営に掛かる税金は、下記になります。
- 固定資産税、都市計画税
- 所得税
- 住民税
このほかに、アパート取得時に一度だけ不動産取得税、アパートを相続する場合は相続税が掛かります。
土地活用のアパート経営における収益事例
ここからは、土地活用のアパート経営における収益事例を紹介します。
アパート経営の収入
アパート経営の収入は、主に家賃収入と更新料です。家賃は管理会社が代理で徴収し、オーナーの手元に入ります。更新料の支払いは2年に1回行われ、概ね賃料の1~2か月分が相場です。
アパート経営の支出
アパート経営の支出の部分は主に下記になります。
- 管理費
- ローンの返済
- 税金の支払い
下記に、収支シミュレーションを紹介します。
アパート経営の収支をシミュレーション計算
アパート経営の収支をシミュレーション
(例)木造2階建てアパート(総戸数8戸) 家賃:8万円
ローン借入:5,000万円(金利3%/借入期間30年 ※元利均等方式として計算)
家賃収入:64万円/月、768万円/年
ローンの支払い 21万円/月、252万円/年
管理費 768万円×10%=約77万円
税金 2万円/月、24万円/年
満室想定の場合
768万円ー(252万円+77万円+24万円)=415万円
稼働率70%の場合
768万円×70%-(252万円+77万円+24万円)=約184万円
上記は、家賃収入を8万円にしていますが築年数が経過すると、家賃が下がるリスクがあります。更に、設備機器の更新で費用が余計に掛かる場合もあります。また、満室で稼働することを見込まずに稼働率を下げて計算し、収支が合えば経営は安定します。
土地活用でアパート経営を成功させるポイント
ここからは、土地活用でアパート経営を成功させるポイントを解説します。
①リスクやトラブルについて把握しておく
アパート経営には、必ずリスクやトラブルがあります。そのリスクやトラブルを事前に十分理解し、対策を講じておくことや心構えをしておくことが大事です。準備がないと失敗する確率が高くなります。
②入居者のニーズに沿った経営を進める
賃貸経営は、入居者のニーズに沿ったものでなければ賃借人は集まりません。ニーズとは間取りと家賃設定です。間取りは周辺でニーズのある間取りであること、家賃は相場並みで設定することです。ニーズに外れたものを作ると、経営は失敗します。
③事業計画を綿密に策定する
アパート経営は、10年20年長期間行い始めて初期投資が回収できるくらい、根気のいる経営です。したがって長期的な視野で事業計画を練る必要があります。収入の計画だけでなく、支出として掛かるものをシミュレーションしなければなりません。
④パートナー業者は複数社を吟味して選ぶ
アパート経営は、パートナー会社のサポートが経営の成否を左右します。パートナー会社の力量次第では失敗します。したがって、複数社を吟味して慎重に選ぶ必要があります。
土地活用のアパート経営における失敗事例
ここでは、土地活用のアパート経営における失敗事例を紹介します。
- 目先の利回りだけで決めてしまった
- 周辺に需要がない間取りだった
まずは、目先の利回りだけでアパートを決めてしまった例です。
「郊外の木造アパートが利回り10%とのことで購入しました。しかし、場所が駅から遠く、築年数が40年を超える建物であったため、賃借人が集まらず長期間稼働率が下がってしまい、度重なる修繕費で収益は赤字になった。
当初は手持ちの資金で賄っていたものの、それもできなくなり経営は完全に失敗。アパートも売却できたが、当初の買値よりも大幅に下がってしまい、収支は大赤字になってしまった。」
この事例は、利回りの高さのみに執着し、周辺の需要や稼働率の目論見の甘さ、修繕費が掛かることを全く考えていなかったことが失敗の原因です。
次に、周辺に需要がない間取りで、借り手がつかなかった例です。
「1Kタイプのアパート経営を始めたが、周辺はファミリー世帯が多く、更に周辺に多くのアパートが林立しているエリアであったため、賃借人が集まらず、空室状態が続いてしまった。また100%アパートローンを組んでいたため、収支は悪化。結局売却はできたが、当初の買値より安く売却し、大赤字になった。」
この事例では、周辺の賃貸需要の調査と、資金調達に無理があったことがアパート経営の失敗につながりました。
まとめ
アパート経営は、一般的にマンション経営に比べると利回りが高く、収益性が高いので、スタンダードな不動産投資です。しかし、誰でも手が出しやすく参入もしやすいことから、競合となる物件も多くあります。
アパート経営する際は、周辺にアパートが沢山ないか、他の物件は満室で稼働しているか、アパート経営に適した利便性の高い立地であるかなど、充分な調査が必要です。
また、間取りの設定や家賃設定なども、賃借人を集める重要なポイントになります。アパート経営は、なるべく大手不動産会社をパートナー会社に据えることで、相談・調査・建設・募集・経営に関して的確なアドバイスを得られます。
アパート経営は一人では考えず、専門家などの意見を取り入れ慎重に検討しましょう。