駐車場経営の資格を徹底解説!必要性、その他の申請/届け出についても

原則、駐車場経営に特別な資格や免許は必要なく、手軽にできるのがメリットです。しかし、駐車場経営に関連する資格・知識・法律があります。今回は駐車場経営で、あった方が得する資格等を徹底解説します。また申請が必要になる特殊なケースと、申請方法を紹介します。

駐車場経営の資格を徹底解説!必要性、その他の申請/届け出についてものイメージ

目次

  1. 1駐車場経営に資格/免許/申請/届け出は必要なし!【原則】
  2. 2駐車場経営におすすめの資格/知識
  3. 3駐車場経営で申請/届け出が求められるケース
  4. 4駐車場経営の申請/届け出から許可を受けるまでの手順
  5. 5まとめ

駐車場経営に資格/免許/申請/届け出は必要なし!【原則】

駐車場経営を始めようと思い立った時に、ふと疑問が浮かぶ人もいるのではないでしょうか。それは、駐車場経営に特別な資格・免許、自治体への申請は必要か?ということです。更に、駐車場も不動産であるから、宅地建物取引士の資格が必要なのか?というのもあります。

結論は、駐車場経営に資格・免許や特殊なケースを除き申請は必要ありません。以下に、順を追って解説していきます。

駐車場経営に必要な準備

駐車場経営を始める為に、特別な資格や免許は必要ありません。自治体への免許申請や登録義務は原則ありません。駐車場経営は、土地さえあれば誰でも始めることが出来るのです。駐車場経営に必要な準備は、まず土地の準備です。土地を所有していれば、駐車場を設置できる広さであるか確認します。

土地がない場合は、駐車場用地を取得するところから始めます。土地の購入は、街の不動産屋さんに相談します。尚、車室1台分の広さは、幅2.5m×奥行6.0mです。複数台駐車するのであれば車路も必要になります。

コインパーキングであれば、2~3台分駐車できる広さがあれば、事業としては成り立ちます。次に、駐車場の工事を手配します。土地の整地や、車止め・フェンス・看板・照明の設置をします。最後に、月極駐車場で管理業務委託する場合は、委託先の管理会社を選定します

コインパーキングの場合は、土地一括借り上げ式が一般的なので、同様に管理会社の選定します。

駐車場経営に必要な手続き例

ここでは、下記状況で必要な手続きを順に紹介していきます。

空き家を取り壊して駐車場経営を始めるとき

まずは、空き家を取り壊して駐車場経営を始めるのに、必要な手順です。

 

  1. 空き家の取り壊し業者に見積もりを依頼する
  2. 空き家の取り壊しをする
  3. 建物の滅失登記をする
  4. 土地を整地して、新たに駐車場を整備する


まず、空き家の解体工事を行う業者ですが、意外にもホームページで検索をすると、解体業者は多くみつかります。その中から、2~3社をピックアップし見積もりを依頼します。その後、見積もり金額や解体手法等に納得がいく業者を選定し、解体工事を行っていきます

解体工事完了後は、建物がなくなったことを登記する必要があります。これを建物の滅失登記といいます。滅失登記には申請義務があり、解体工事完了後1か月以内に行います。これを怠ると、土地の売却ができない、解体した建物に固定資産税が掛かり続ける、10万円以下の過料等のペナルティが発生します。

解体と登記完了後は、駐車場開設に向けた準備です。砂利やアスファルトで舗装し、車止め、フェンス等を設置したら駐車場は完成です。その後に賃借人が見つかれば、駐車場経営が始まります。

確定申告をするとき

駐車場経営の確定申告の手順は、基本的に例外はありません。1年分の収支がわかる資料を元に、確定申告書を記入し、税務署に提出します。下記に、確定申告の手順を紹介します。

 

  1. 確定申告書を手に入れる
  2. 必要書類を集める
  3. 確定申告書に必要事項を記入する
  4. 確定申告書を提出する
  5. 納税を行う


まず、確定申告書の入手方法は主に3つあります。
  • 国税庁のホームページから、ファイルをダウンロードする
  • 税務署などに直接取りに行く

一つは、国税庁のホームページから、確定申告書類をダウンロードします。確定申告書はエクセルのファイルになっているので、WEB上に保存し直接入力ができます。二つめは、管轄税務署や市区町村の役所に、直接取りに行く方法です。

尚、税務署では、取りに行くだけでなく申告書の記入もできます。税務署員のアドバイスを聞きながら記入できるので、確定申告が初めての場合はお勧めです。次に、必要書類を集めます。駐車場経営を始めたら、各種契約書や領収書等は全て保存します。

これは確定申告時に、経費等を証明する書類となり、確定申告書に添付して税務署に提出します。会社員の場合は、会社からの源泉徴収票を貰っておきます。そして、確定申告書に記入していきます。手書きで行う場合は、確定申告書に同封されている見本を元に記入します。

尚、パソコンでも記入可能で、該当の個所に数字を打ち込んでしまえば、自動的に所得額の計算等をします。記入が完了したら、プリントアウトして税務署に持参か、電子申請で所轄の税務署に送付をします。

確定申告の受付期間は一般的に、2月16日~3月15日となります。確定申告の期間は大変混みあいます。当日税務所では、持参した書類のチェックを受けます。因みに、書類のチェック受けるだけでも、時間が掛かるので、混まない時間帯を狙うのがよいでしょう。

最後に、納税を3月15日迄に行います。納税の方法は下記3つです。
  • 預貯金口座から振替納税
  • 現金で納付する
  • e-Taxで納付する


 

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駐車場経営におすすめの資格/知識

ここからは、駐車場経営にお勧めの資格や、これから役に立つ知識や法律を紹介します。駐車場経営に於いて、経営に役に立つ資格・知識・法律は沢山あります。これらを知ることで、経営に大きな差が出てくることもあるのです。

①日商簿記検定

日商簿記検定とは、主に日本商工会議所が実施する、簿記に関する検定試験です。等級は、1級~3級・初級があります。駐車場経営者としては、簿記資格を得るメリットは大いにあります。理由は、まずお金や税金について深く知ることができるからです。

更に、収支に関する計算や、キャッシュフローやコストを具体的に数字で意識できるなど、より数字に敏感になれるのです。数字に敏感になれるので、より堅実な経営方針となり、経営がピンチになりそうな時に、素早く対策をとれます。

駐車場経営では日商簿記検定2級の取得がおすすめ

駐車場経営での日商簿記検定は、2級取得で充分です。2級の合格率は、例年30%位で取得できる可能性も高いのです。尚、2級を取得出来ると、具体的な数字を用いた経営シミュレーションができます。3級だと商業簿記の初歩的な部分のみで、経営には不十分です。また1級は難易度が高く、経営のために取る必要はありません。

 

②駐車場経営に関する法律の知識

ここでは駐車場経営に関して、知っておいた方がよい法律の基礎知識を紹介します。駐車場経営していくのに関連する、法律も押さえていきましょう。

駐車場法

駐車場法とは、昭和32年に施行された法律です。都市部における自動車の駐車施設の整備等に関して、必要な事項を制定し、都市交通の円滑化を図ること等が目的です。制定当時は自動車保有台数が、急速に伸びていた時代です。都市部での慢性的な駐車場不足や、路上駐車等による慢性的な交通渋滞対策のために、施行されました。

都市計画法

都市計画法とは、1968年に制定された法律です都市の発展と、秩序ある整備を主な目的に作られました。都市計画法では、健全な発展と整備を目的とした土地利用や、道路・公園・水道・学校等の、都市設備の整備と定義しています。

道路交通法

道路交通法は、1960年に制定された法律です道路における危険防止、交通の安全などを目的に作られました。道路交通法は、都度改正されており近年では、2019年の携帯電話の「ながら運転防止法」、2020年の「あおり運転厳罰化」などが知られています。本法に違反すると懲役・禁錮・罰金が課せられます。

③駐車場経営に必要な税金の知識

駐車場経営には税金が掛かります。土地を所有していれば固定資産税・都市計画税、収益があれば所得税、土地を相続すれば相続税などです。税金の知識も押さえて、駐車場経営と管理業務に挑みます。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点に不動産や土地を所有していると掛かります。市町村が固定資産税評価額を元に税額を算出し、毎年4月頃納税者に通知が届きます。尚、宅地などの場合は税額の減免がありますが、駐車場の場合は更地評価となり、税額の減免はありません。税率は1.4%です。

都市計画税

都市計画税は、固定資産税同様に毎年1月1日現在で、不動産や土地を所有していると掛かります。都市計画税の通知書は、毎年4月に固定資産税と一緒に自治体から送られてきます。税率は、原則0.3%ですが、自治体によって税率が異なります。

消費税

消費税は、商品を買ったりサービスを受けたりした場合、その対価の10%(地方消費税含)を消費者が負担します。事業者は受け取った消費税を、国や地方に納税します。土地の賃貸等に関しては非課税取引となりますが、駐車場としてサービス提供する場合には、消費税が掛かります。

因みに、個人の場合には一昨年の課税売上高が、1,000万円を超える場合には納税義務者となりますが、1,000万円以下の場合には納税義務はなくなります。

所得税

所得税は、年間所得から必要経費を差し引いたものに掛けられる税金です。駐車場経営で得た所得は、概ね不動産所得となり、駐車場経営の他に給与所得等がある場合は、確定申告となります。

相続税

相続が発生し、相続財産が基礎控除で引ききれない部分に、相続税が掛かります。相続税は相続開始後、速やかに遺産分割協議を行います。相続税は、相続開始から10か月以内に現金納付となります。駐車場経営を行っている土地を、相続した場合も同様です。

贈与税

駐車場経営中の土地を貰った場合は、贈与税が掛かります。現金ではない土地の贈与税を計算するには、「贈与財産価額」を算出する必要があります。ここでは代表的な算出方法である「路線価方式」と「倍率方式」を紹介します。
 
路線価方式は、路線価が予め決められている地域において、評価される方法です。道路に面している標準的な土地の価額を用いて、贈与財価額を算出します。倍率方式は、路線価が決められていない地域において、評価される方法です。

土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に、決められた倍率をかけて算出します。尚、贈与税計算時、暦年贈与の110万円を差し引きます。

駐車場経営で申請/届け出が求められるケース

ここまで駐車場経営には、申請や届け出はなく、手軽に始められると解説してきました。しかし、駐車場経営で申請や届け出が必要になる、特殊なケースがあります。その事例2つを解説します。

①駐車場面積が500㎡を超えるコインパーキングを経営する

都市計画区域内に設置され、駐車場の面積が500㎡超の駐車場経営をする場合、駐車場法が適用になります。先述の面積に、車路や管理室は含まれません。車室の面積は、普通車で幅2.5m×奥行6.0m=15㎡/1台が標準的な広さとなります。明確に表現すると、500㎡超とは概ね34台以上、普通車が停められる駐車場です。

駐車場法が適用となる駐車場の内、不特定多数の人が使い、駐車料金を徴収する場合は、自治体へ駐車場設置の届け出が必要になります。例えば、500㎡超のコインパーキングは、届け出の対象となります。因みに、500㎡以下のコインパーキングの場合、届け出の必要はありません。また、月極駐車場は不特定多数の人が使う駐車場ではないので、対象外です。

駐車場法による500㎡超駐車場の主な構造基準

500㎡超の駐車場を設置する場合、さまざまな基準があります。最初に、500㎡超の駐車場の出入り口が、設置できない主な基準を紹介します。
 

  • 交差点の側端又は道路の曲がり角から5m以内の部分
  • 横断歩道からそれぞれ前後に5m以内
  • 踏切の前後10m以内
  • 幼稚園、小学校、保育所などの出入り口から20m以内
  • 橋の上
  • 幅員6m以内の道路

500㎡超駐車場は、車の出入りも多くなります。そのため、道路交通に支障をきたす可能性がある施設の傍に、出入り口は設置できません。


次に、主な構造基準を紹介します。
 
  • 駐車場の前面道路が2つあるときは、自動車の交通に支障を及ぼす可能性が低い道路に設ける
  • 自動車の回転を容易にするため、必要に応じて隅切りをする
  • 自動車の車路は、円滑・安全に走行することができ、幅員は5.5m以上とする。一方通行の場合は3.5mとする。
  • 一方通行車路の内、当該車路に接して駐車料金の徴収施設がある場合、且つ歩行者の通行路もない場合の幅員は2.75m以上とする。

500㎡超駐車場は、車の出入りも多い事から、場内での通行が円滑に行えるように、細かな基準が設けられています。

届け出が求められる項目/内容一覧

駐車場法適用で届け出が必要な場合、提出書類は下記となります。
 

  • 路外駐車場設置届出書
  • 駐車施設の概要
  • 平面図(平面式の場合)
  • 地形図(駐車場の位置を表記したもの)
  • 管理規約届
  • 業務委託契約書のコピー(委託する場合のみ)



路外駐車場設置届出書には、主に下記内容を記載します。
 
  • 駐車場の名称
  • 駐車場の位置
  • 規模(駐車場の区域の面積・駐車場の用に供する部分の面積)
  • 構造(舗装様式など)
  • 設備
  • 使用開始日(営業を開始しようとする日)

他、駐車施設の概要書には、名称・所在地・構造規模等を記載します。尚、届出書や概要書は各自治体に大抵雛形があります。平面図や地形図は、事前に用意しておきます。

②管理規定者(駐車場の運営者)になる

500㎡超のコインパーキング運営者となった場合、コインパーキング使用開始後10日以内に駐車場の名称、駐車場管理者の住所及び氏名、駐車場の使用時間、駐車料金等について定めた管理規定の届け出を行います。

駐車場経営の申請/届け出から許可を受けるまでの手順

500㎡超のコインパーキング経営する場合に、駐車場法に基づき届け出が必要となります。では、届け出から許可を受けるまでの手順を紹介します。

①届け出の提出

コインパーキングの運営者は、届け出書類・事務手続き・技術的基準について、自治体に事前相談します。東京都の場合、区内や市内に駐車場設置時は、所在の区役所・市役所に行きます。その後、路外駐車場設置届出書、管理規定届、その他の付属書類を作成し提出します。尚、駐車場の変更・休止・廃止の場合も同様に、自治体への届け出が必要になります。

②書類審査

駐車場設置の届け出があると、路外駐車場担当窓口にて書類審査を行います。同時に、警視庁交通部交通規制課に照会を行い、駐車場出入り口の安全性を現地で確認をします。ここまで書類提出から30日程度掛かります。

③現地調査

出入り口の安全性に関して、警視庁から回答が来ます。安全に問題ない場合は、その後に自治体担当者と運営者立ち合いで、駐車場設置予定地の調査を行います。主な項目は、技術的基準に合っているか、共用時間や料金案内があるか、車室数は届け出どおりか、です。

④届け出の返却

現地調査が完了し改善点等、指摘個所がなければ、届け出は無事に許可されたことになります。その後はコインパーキング運営者に、審査済みの副本を交付します。届け出書類提出から許可を受けるまでの日数は、概ね40日程度となります

まとめ

駐車場経営には、原則特別な資格や免許は必要ありません。誰でも気軽に手が出せるのが魅力ではありますが、全くの無知では経営失敗がおのずと想像つきます。経営は、勘や当てずっぽでは成り立たないのです。駐車場経営を成功させるためには、努力も必要です。必要な知識は山ほどあります。

どんな分野も同様ですが、何事も極めるにはまず知識が土台となります。知識からノウハウを学び、経験を積んで、時には他人から助言を受けながら成長していくのです。その土台作りのため、資格や法律などの知識が重要になります。

 

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