アパートローン徹底解説!基礎知識から有利な進め方まで

これからアパートローンを組もうと思っているものの、住宅ローンとの違いがわからずお困りではないでしょうか? アパートローンと住宅ローンは、金利や融資審査などの部分で違いがあります。アパートローンとはどういうものなのか、しっかり知ったうえでローンを組みましょう。そこで今回は、アパートローンの基礎知識から、有利な進め方まで徹底解説します。

アパートローン徹底解説!基礎知識から有利な進め方までのイメージ

目次

  1. 1アパートローン徹底解説!基礎知識から有利な進め方まで

アパートローン徹底解説!基礎知識から有利な進め方まで

これからアパートローンを組もうと思っているものの、住宅ローンとの違いがわからずお困りではないでしょうか?

アパートローンと住宅ローンは、金利や融資審査などの部分で違いがあります。アパートローンとはどういうものなのか、しっかり知ったうえでローンを組みましょう。そこで今回は、アパートローンの基礎知識から、有利な進め方まで徹底解説します。

アパートローンと住宅ローンの違い

アパートローンと住宅ローンは違いが分かりにくいですが、似て非なるものです。アパートローンとは、マンションやアパートなどの住宅を融資目的として購入する際に、利用できるローンのことです。一棟買いだけでなく、区分所有で購入する場合でもローンを組めます。

アパートローンの種類は、建築資金や購入だけではなく、借入済みのアパートローンの借り換え資金やリフォーム資金など、さまざまな種類があります。多くの金融機関で取り扱っており、比較的始めやすいのが特徴です。

いっぽう住宅ローンとは、基本的に購入する本人の住居目的で購入し、その金額をローン組みすることです。新築物件だけでなく、中古物件の購入の際にも住宅ローンを組むことができます。

住宅ローンには、住宅金融支援機構が提供しているものと、民間の金融機関が提供しているものがあります。住宅金融支援機構の住宅ローンは、フラット35のことです。民間の金融機関が提供している住宅ローンは、生命保険への加入が必須条件となります。

アパートローンのほうが難易度は高い

アパートローンは住宅ローンに比べて、審査される項目が多い傾向にあります。住宅ローンは住居するためのローンですが、アパートローンは投資目的での購入になるため、投資経験がないと信用されずに落とされてしまうのです。

アパートローンの審査では、本人の勤続年数や年収に加えて、今までのアパート経営の実績などが確認され、融資できる人材かどうかが判断されます。

アパートローンのメリット

アパートローンなどの融資目的のローンを組むと、収益的にも税金対策としても大きなメリットを生み出します。

不動産投資はむずかしいと思われがちですが、その分メリットも大きいです。そこでここからは、アパートローンを組むメリットについてご説明します。

相続税対策

アパートローンを組むメリットとして大きいのは、相続税対策になることです。なぜ相続税対策になるのか、3つの理由を紹介します。

1.債務控除が適用される:銀行からアパートやマンションを建設するために、多額の融資を受けると、借り入れている金額の残債金額が遺産から控除されます。

2.現金で相続するより、不動産投資の方が評価額は低くなる:現金で相続する場合、評価額が100%となり、すべての金額に対し相続税が課されます。しかし不動産の場合、建物自体は評価額が3〜4割減、土地は評価額が2割減になります。そのため相続税の支払いが少なくなるのです。

3.小規模用住宅用地等の特例が適用される:アパートローンは、小規模用住宅用地の減額制度が適用されます。それにより、50%もしくは80%引いた金額で相続税が課されます。

レバレッジ効果

レバレッジ効果とは、少ない資金で大きな収益を得られることです。アパートローンは事業計画をしっかり組んでいれば、必要な分だけ融資を受けることができます。そのため、自己資金以上の金額で投資が可能となり、大きな利益を生み出せるのです。

アパート経営は短期で利益を生み出すのではなく、長期間で運用していく投資方法です。長く運用すればするほど、もともとの資金が大きいため利益も大きくなります。

初期費用があまりかからないうえに、帰ってくるものが大きいため、投資をしようと考えている方から人気を得ています。

アパートローンの審査

自身が居住するために購入する住宅ローンと違い、融資目的で購入するため、住宅ローンの審査に比べてアパートローンの審査は厳しくなっています。ではアパートローンの審査項目はどのようなものがあるのか、具体的な内容をご説明します。

本人情報

まずアパートローンの審査項目となるのは、住宅ローンの審査項目と同じ本人情報です。本人の勤続年数や年収が確認されます。年収に関しては、500万円を超えていないと審査を通過しないことが多いです。

住宅ローンの場合、申し込める年齢が20歳〜70歳と制限がありますが、アパートローンの多くは年齢制限がありません。

アパートローンはもともとの審査が厳しいうえに、返済の元金は家賃収入から支払われます。そのため、定年後に収益が発生しない状況でも返済が可能となるため、年齢制限なくローンを組むことが可能なのです。

不動産自体の資産価値

不動産自体にどれほど価値があるのかも、審査の対象となります。なぜ資産価値が見られるのかというと、万が一返済が滞った際に、担保としてアパートを売り出すだけの価値があるかどうかが重要となってくるからです。

資産価値の判断材料となるのが、建物の築年数・耐用年数・構造やリフォームがされているかどうかです。また、建物自体の状態がよくても、立地が悪かったり利用者のニーズに合っていなかったりすると、審査がとおらないこともあるので注意しましょう。

不動産の収益価値

収益価値とは、投資額に対してどれくらいの賃料収益があるかという収益の割合のことです。建築に対する融資は、収益シミュレーションを細かくチェックしています。そのため、収益性が高いと判断されない限り、審査を通過するのはむずかしいです。

審査を有利にするためには、頭金があるとよいです。頭金が0円で、すべて借り入れすることをフルローンと言いますが、多くの銀行では多少頭金を用意しなければいけません。

建築費の1〜2割程度の頭金があると、それだけの金額が用意できる余裕があると判断されるので、審査がとおりやすくなります。

実現性の高い事業計画書の作成

アパートローンを利用するためには、現実的な事業計画書を作ることが必要です。借り入れの目的をはっきりとさせ、返済計画も実現性の高いものを提示しましょう。

事業計画書には、収益シミュレーションとローンの返済計画を合わせて作ります。収益シミュレーションは、家賃設定や空室の想定、広告費など別途かかる費用を想定しているかどうか、という部分が重要視されます。

しっかりとした事業計画を立てるのは、素人のみでは非常にむずかしいです。そのため、専門的な知識を持った建築会社などに相談して作るとよいでしょう。

アパート経営実績の有無

アパートローンの場合は、今までにアパート経営の実績があるかどうかが審査対象となります。実績がなければアパート経営ができないとなると、初めてアパートローンを組む方が審査をとおらないことになります。

そこで、アパート経営の実績がない方が実績審査対策として行うのが、ハウスメーカーと提携した金融機関のローンを利用することです。

このような金融機関でローンを組むことで、ハウスメーカーからのアフターフォローやハウスメーカーの実績が考慮され、本人がアパート経営をしたことがなくても問題ないと判断されます。アパート経営の経験がなければ、上記の方法を試してみてください。

審査期間はおよそ1か月

アパートローンの審査は、およそ1カ月の時間を要します。これは、審査項目が非常に多いことが要因となっています。

平均的には1ヶ月ほど時間がかかりますが、安定した取引実績があり、不動産が十分に条件を満たしている場合は、1週間程度で審査がおりることがあります。反対に、あまりにも条件に満たない場合にもすぐに審査の通知が届きます。
 

審査を有利に進めるコツ

アパートローンの審査を通過するためには、有利に進めるポイントを抑えておく必要があります。では、審査を有利に進めるためのコツを3点ご紹介します。

複数の金融機関に相談

アパートローンの申し込みは、いくつかの金融機関で同時に相談することをおすすめします。これはリスクヘッジといい、あてにしていた金融機関で万が一審査が下りなかったとしても、別の金融機関で審査がとおればリスクが回避できるというものです。

金融機関によって審査内容の細かい部分に多少違いがあるので、長く利用している金融機関でも審査に落ちることはもちろんあります。逆に、今まで使っていなかった金融機関で審査がとおることがあるので、複数の機関に申し込みをすると有利になるでしょう。

金融機関を選ぶ際には、ローンの受付状況を確認することが必要です。メガバンクなどの大きな金融機関は、金利が低い傾向にあります。その分、審査基準が厳しく、審査がとおりにくいのが特徴です。

反対に、地方銀行やネット銀行などの規模の小さい金融機関では、金利が高い傾向にあります。金利が高いうえに担当エリアが限られていますが、メガバンクより審査基準はやさしいです。

まとまった頭金を用意

審査をする金融機関は、ローンを組む本人が安定した収益状況であるかどうかを精査しています。現時点での収入ももちろん大切ですが、まとまった頭金を用意することで、収益の安定性をアピールすることができます。

建築費の1〜2割ほど頭金を用意し、残りの8〜9割をアパートローンにあてましょう。建築費全体が大きな額なので、1〜2割でもしっかりとした額になりますが、頭金が用意できるくらいの余裕をもってアパートローンを申し込むと安心です。

経営実績がないときは建築業者提携の金融機関を利用

アパートローンの審査項目として、経営実績が評価対象となります。しかし、アパートローンを組もうと考えている方には、初めて申し込む方もいるでしょう。

そのような経営実績がない方は、建設業者が提携している金融機関の利用をおすすめします。専門知識のある建設業者が提携していると、同じ経営計画であっても信用性が変わってきます。そのため、実績がなかったとしても審査がとおりやすくなるのです。

提携している建設業者は、銀行取引の実績がある業者や、アパート経営に関わっている業者を選ぶといいでしょう。

事前に金融機関のローン受付状況をチェック

前述したように、ローンを申し込む金融機関は、それぞれローンの受付状況が違います。審査を申し込む際には、金融機関のローン受付状況をチェックしたうえで申し込むことが大切です。

金利の高低は重要項目

金融機関を選定するうえで、金利の高低はとても重要なチェック項目です。日本政策金融公庫や大手の銀行は、比較的金利が低く設定されており、平均的に1〜2.5%ほどとなっています。大手であるがゆえに、審査は非常に厳しいです。

しかし審査がとおるのであれば、金利が低く返済をしやすいのがメリットです。審査項目に対して条件的に問題ないと思う場合は、大手の銀行に申し込むと結果的に利益を多く得られるでしょう。

反対に、信用金庫・地方銀行・ネット銀行など、規模が小さい銀行では、比較的金利が高くなっています。平均的な金利のパーセンテージは、地方銀行・信用金庫の場合1〜4%、ノンバンクの場合2〜15%となっています。金利が低いほど審査が厳しくなるのが特徴です。

審査は比較的とおりやすいですが、担当地域以外から申し込むと融資してもらえない可能性があります。地方銀行での融資を考えている方は、アパート経営を考えている住宅が担当地域内にあるか、事前に確認しておきましょう。

提携先も欠かさずに確認

アパートが契約している不動産会社との提携金融機関を利用すると、別の金融機関を利用するより有利に働く可能性があります。提携先の場合、仮審査を行ってくれることもあります。

いちから金融機関を探す前に、まずは不動産会社に相談して、金融機関を紹介してもらうようにしましょう。そして、金利の優遇は受けられないか相談してみてください。

アパートローンで注意すべきポイント

アパートローンを組んで経営を成功させるためには、できるだけ金利の低い金融機関を選ぶ必要があります。もともと住宅ローンより金利が高いので、複数の金融機関を比較したうえで、ローンを組む金融機関を決定するといいでしょう。

このような金利面以外にも、アパートローンを組む際には注意すべきポイントがあります。ここからは、事前に確認するべき6つのポイントをご紹介します。

住宅ローン控除の対象にならない

アパートローンは、住宅ローン控除の対象にはなりません。住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住居を購入した際、所得税が控除される制度です。

なぜアパートローンは控除対象にならないのかというと、住宅ローンの適用条件として以下の条件が提示されているからです。

・床面積の1/2以上の面積が自己居住地用として利用されていること。
・住宅ローン控除を受ける年の12月31日まで、該当の住宅に引き続き住んでいること。
・住宅を購入してから6カ月以内に住みはじめていること。

アパートローンの場合は融資目的での購入なので、基本的に本人が居住することはありません。そのため、上記のような条件があるかぎり、住宅ローン控除の対象にはならないのです。

返済比率は適正か

アパートローンの返済比率は、年間家賃収入に対して50%ほどが適正とされています。返済比率が50%を上回ると、万が一空室が多くなったときに、ローンの返済を行えなくなる可能性があります。そのため、返済比率は慎重に設定すべきです。

アパート経営は、入居者が定住しているうちは追加費用がかかりませんが、入室と退室があるとそのたびに別途追加費用が発生します。たとえば、入居者を募る際の広告費や、退去後のリフォーム費用などです。

また、固定資産税は常に支払いが発生するため、すべてを合計すると家賃収入の20%ほどが運営コストに回ることになるのです。

このような追加費用がかかることも加味して、返済比率を設定する必要があるので、低すぎず高すぎない適正な比率で返済するようにしましょう。

元本返済額は経費として計算できない

元本返済額は経費にはならないので、注意が必要です。元本とは、実際に借り入れた全体の金額のことをいいます。

元本返済額が経費にならないのは、貸し借りで発生するお金は収入にも経費にもならないからです。住宅ローン控除の対象にならないと前述しましたが、そもそも費用として計上されないため、控除も受けられません。
 

団体信用生命保険を利用するか否か

アパートローンを組む際に、団体信用生命保険に加入するかどうか検討する必要があります。団体信用生命保険とは、万が一ローンを完済する前に本人が亡くなってしまったとき、保険金でローンの残債をすべて支払うことができる生命保険のことです。

団体信用保険に加入すれば、万が一のことがあっても残った遺族に負担をかけることがありません。ローンの返済がなく資産だけを残せるのは、家族にとってメリットの大きい保険です。

しかし、アパートローンを行う目的が相続税対策の場合は、団体信用生命保険に加入しない方がいいでしょう。なぜなら、相続税対策に必要なのは残債だからです。アパートローンが相続税対策になるのは、借入金がマイナスの資産だと判断され、残債額分控除されるためです。

もし団体信用生命保険に加入してしまうと、借入金がなくなってしまいます。継続して節税対策を行いたい場合には、団体信用生命保険に加入しないパターンも検討してください。

収益性が信用できる業者を選ぶ

建築を依頼する建築会社は、複数社に見積りを依頼したうえで決めるようにしましょう。なぜなら、提案される収益プランが信用できるのかは、複数社を比較してみないとわからないためです。

ある建築会社から提案された、高利回りの収益プランを信じてしまった方が、その後会社が破産してローンの返済が滞ってしまい、自己破産してしまったという悪い例もあります。

そのためできるだけ多くの会社の意見を聞き、現実的なプランを組んでくれる建築会社に依頼しましょう。

推定相続人が連帯保証人になるケースが多い

アパートローンを組むときには、推定相続人となる方が連帯保証人になるケースが多いです。推定相続人とは、本人が死去した際に、相続人になるであろうと推定される人のことをさします。

基本的には、本人の配偶者や子どもなどが一般的です。アパートローンは家賃収入で得た利益からローンの返済を行うため、連帯保証人の収益は重視されません。よって、連帯保証人が子どもであっても問題ないのです。

推定保証人が連帯保証人にされるのは、相続放棄されるリスクを無くすためです。相続人が連帯保証人であれば、必然的に相続されることになります。

ローンを返済できなくなったときは

アパートローンを組んだ際には資金に余裕があったものの、本職の失業や、思うように家賃収入が得られなかった場合、アパートローンの返済ができなくなってしまうことがあります。

そのまま放置してしまうと、アパート自体を失ううえに借金だけが残ってしまい、負担が大きくなってしまいます。では、万が一返済がむずかしくなったときには、どのように対処すればいいのでしょうか。

金融機関へリスケジュール申請する

返済がむずかしいと判断した時点で、まずは金融機関にリスケジュール申請をしましょう。上手くいけば、一時的な月々の返済額の減額や、返済期間自体の延長も可能です。

しかし、リスケジュールを承認してもらうかわりに、連帯保証人を設定することや金利を引き上げることを条件とされる可能性があります。条件なしにリスケジュールを受け入れてもらえることは少ないので、注意しましょう。

また、リスケジュールを行えるのは、基本的に元金部分のみです。利息に関してはもとのスケジュールのまま払わなければいけないので、利息分を支払えるだけの資金は用意しておきましょう。

より有利な条件の金融機関へ借り換え

支払いがむずかしくなり始めた段階であれば、より有利な条件の金融機関へ借り換えるのも一つの手段です。今より有利な条件の金融機関に借り換えることで、返済しやすくなるケースがあります。

しかし、借り換えの際にかかる手数料や登記費用が発生することで、負担が増えることがあります。さらに、金利の増減が影響して、支払額が増えてしまうおそれもあるので注意してください。

この方法は、あくまでもまだ支払いができている場合のみに適用される方法です。すでに支払が滞っていると、借り換えの際に行われる審査で落とされてしまいます。借り換えをしたい場合は、早めに判断することをおすすめします。

物件を競売にかける

どうしても支払いがむずかしいときは、アパートを競売にかけて売却金額で返済する方法もあります。

アパートローンは基本的に家賃収入で返済できるはずであるのに、返済ができないのは、経営がうまくいっていないということです。その場合は、思い切って売ってしまうことも必要です。

経営がうまくいっていないと、家賃収入を得られないばかりか、税金の支払いなどで負担が大きくなります。ローン返済を滞納してしまう前に、アパートの売却もひとつの手段として頭に入れておきましょう。

まとめ

今回は、アパートローンについての基礎知識から、有利な進め方まで詳しくお話ししていきました。

アパートローンは、住宅ローンと比べると審査項目が非常に多く、始めるまでがとても大変です。審査もとおりにくいので、今回紹介した審査を有利に進めるコツをぜひ参考にしてください。

また、アパートローンはとても大きな買い物です。始める際には、資金に余裕を持ってから進めるようにしましょう。万が一支払いが滞ると、アパートを売ることも借り換えもできなくなってしまいます。支払いが困難になるとわかったら、早めに手を打つようにしてください。

関連するまとめ

Banner pc

人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ
Banner pc