2021年04月30日公開
2021年04月30日更新
介護施設で土地活用!施設の種類別メリット・デメリット、適した立地条件も紹介
超高齢社会に突入しつつある日本の中で、介護施設の開設は土地活用でも注目されている手段です。この記事では、介護施設の種類やメリット、適した立地条件など、土地活用で介護施設を開設するためのノウハウをご紹介しています。社会貢献に興味がある方にもおすすめです。
目次
土地活用で介護施設を選ぶための基礎知識
土地活用で介護施設を始めようと思っても、なにから始めたら良いのかわからない方も多いでしょう。身近に介護を必要とする方がいない限り、介護の知識はあまりなくて当然です。
「介護施設とはどんな施設のこと?」「経営方法は?」「今後も必要とされる事業?」など、この章では、介護施設に関する基礎知識を解説していきます。
介護施設の需要動向
現在の日本は「超高齢社会」と言われており、出生率は下がる一方で65歳以上の高齢者人口は年々増加しています。この傾向は今後も続くと予想されていて、2015年には全人口の4人に1人が高齢者、2035年には全人口の3人に1人が高齢者になる見込みです。
高齢者の増加により必要になるのが介護施設です。しかし、需要に対して供給が全く追いついておらず、介護施設は足りていないのが現状です。
そのため、2011年に厚生労働省と国土交通省によりサービス付き高齢者向け住宅設立のための補助金制度を設けました。そして、2015年までに60万戸のサービス付き高齢者向け住宅設置を目標に普及推進活動を行っています。
このように急速に高齢化が進む日本では介護施設の数はまだまだ足りず、需要は非常に高いのです。そのため、土地活用として介護施設を始めることは収益にもなる上、社会問題にも貢献できる事業として、注目を集めています。
介護施設の経営方式
「土地活用として介護施設を始めたいけれど、介護の資格も知識もないから自分にはできない」と思う方も多いでしょう。しかし、諦める必要はありません。介護施設を経営するにはいくつか方法があり、自分に知識がなくても始められる方法もあるのです。
介護施設の主な経営方法はこちらです。
方式 | 経営 | 収入 | 特徴 | |
介護事業者への委託 | 一括借上げ方式 | 介護事業者 | 介護事業者からの賃料収入(定額) | 自分で介護施設を建て、経営を含めた全てを介護事業者に委託する |
テナント方式 | 自分 |
|
自分で介護施設を建て、集客やメンテナンスなどの経営も自分で行うが、介護サービスのみ事業者に任せる(入居者から介護サービス料をもらうのは事業者) | |
委託方式 | 自分 |
|
自分で介護施設を建て、集客やメンテナンスなどの経営も自分で行うが、介護サービスのみ事業者に任せ、その分の手数料を支払う | |
自己経営 | 自分 | 介護施設で得た収入 | 建設から経営まで全て自分で行う |
一括借上げ方式は、土地と施設を介護事業者に貸し出す方法です。介護の知識もほぼ必要なく、不労所得を得ることができます。土地活用で介護施設を始めるには、この方式が一般的です。
テナント方式と委託方式は、集客や契約、メンテナンスなどの経営は自分で行いますが、利用者に行う介護サービスは事業者が担当します。介護施設の利用者は入居の賃料の他に介護サービス料を支払うのですが、テナント方式は事業者が介護サービス料を利用者から受取り、毎月一定額を土地オーナーに支払う方法です。
委託方式は、土地オーナーが利用者から賃料と介護サービス料を受け取り、事業者へ介護サービス料の手数料を支払う方式です。
自己経営は、建設から経営まで全て行うため介護の知識は必須です。また、介護スタッフの確保も必要なため、今まで介護職の経験がない方にはあまり適していません。
介護事業者の見つけ方
土地活用で介護施設を始めるには介護事業者が必要なことが解ったところで、どのような方法で介護事業者を探すのかを確認しておきましょう。
保有する土地が都市部の場合は、土地活用で介護施設を行うことをサポートするコンサルティング会社や不動産会社、ハウスメーカーやゼネコンに相談してみることをおすすめします。ホームページなどで介護施設の実績が掲載されている会社なら、尚安心できます。
地方部でも基本的には同じなのですが、該当する業者が見つからない場合は周辺の介護施設に直接聞いてみるのも1つの方法です。また、全国展開している介護事業者に連絡してみることもおすすめです。
また、冒頭でもお伝えした通り、介護施設の開設は国も力を入れている事業のため、自治体の福祉課などで相談すると有力な情報が得られることもあります。
介護施設の土地活用方法
介護施設で土地活用をするには、次の2つの方法があります。
- 土地のみを貸す
- 介護施設を建て、土地と施設を貸す
1つ目は、土地を介護事業者に貸し出し土地の賃料を受け取る方法です。貸主には事業用定期借地権という権利があり、これは事業のために使うことに限定し、期間を定めて土地を貸す権利のことです。
事業用定期借地権には、借地期間は10年以上50年未満で、期間が満了した場合には借主が土地を更地に戻して貸主に返還しなければならないルールがあるため、貸主はトラブルの心配なく土地を貸し出すことができます。
2つ目は、土地オーナーが介護施設を建て、土地と介護施設の両方を貸し出す方法です。初期費用はかかりますが、土地のみを貸し出す方法より多くの賃料を得ることが可能です。介護事業者から建設協力金を預かる方法を取れば、初期費用を抑えることも可能です。
どちらがいいとは一概に言い切れませんが、介護施設の場合は2つ目の「介護施設を建て、土地と施設を貸す」方法が好まれる傾向があります。
介護施設の種類
介護施設と一言で言っても、様々な種類の施設やサービスが存在します。この章では、介護施設の種類別の特徴をご紹介します。まずは下記の表で概要を確認してみましょう。
名称 | 特徴 | メリット | デメリット | |
特別養護老人ホーム (介護老人福祉施設) |
住居型 | 要介護3以上の在宅生活が困難な高齢者向けに、介護サービスを行う施設 |
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待機人数が多い |
老健 (介護老人保健施設) |
住居型 | 要介護3以上の在宅復帰を目指す方に、リハビリや医療ケア、介護サービスを行う施設 |
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在宅生活が可能と判断されると退所させられるため、その後の生活方法を決めておく必要がある |
ケアハウス (軽費老人ホーム) |
住居型 | ある程度自立した生活が可能な方向けに、生活援助や機能訓練を行う施設 |
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介護度が高くなると、退所させられることもある |
有料老人ホーム | 住居型 | 介護サービスや生活援助サービスのある高齢者向け住居 |
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公営の施設と比べると費用が高い |
グループホーム (認知症対応型共同生活介護施設) |
住居型 | 認知症の高齢者が機能訓練などを行いながら、共同生活する施設 |
|
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サービス付き 高齢者向け住宅 |
在宅型 | 自立した生活が可能な高齢者向けの住宅(生活相談や見守りサービスはある) | 施設ではないので、プライバシーと安心感の両方がある生活ができる | 介護サービスを希望する場合は、外部の介護事業者と契約しなければならない |
ショートステイ (短期入所生活介護事業所) |
住居型 | 要支援・要介護の方を対象に、短期間、介護施設で介護を受けられるサービス |
|
|
デイサービス (通所介護事業所) |
通所型 | 要介護認定された高齢者が日帰りで施設に通い、介護を受けられるサービス | レクリエーションなども行っているため、通所が楽しみな高齢者も多い | 外出が嫌いな方には負担になることもある |
デイケア (通所リハビリ事業所) |
通所型 | 要支援・要介護認定された高齢者が日帰りで施設に通い、医師の指導の元、リハビリを受けられるサービス | 日常生活が可能になるようなリハビリを受けることができる | デイサービスより費用が高い |
訪問介護事業所 | 居宅型 | 要支援・要介護認定を受けた方の自宅にホームヘルパーが来て、介護サービスを行ってくれる | 自宅に居ながら介護サービスを受けることができる | ホームヘルパーがいる間しか介護サービスを受けられない |
小規模多機能型居宅介護 |
|
同一の介護事業者が本人の状況に合わせ、通所や訪問や住宅型の介護サービスを提供してくれる |
|
他の介護サービスと併用できない |
このように、たくさんの施設やサービスがあります。土地活用で介護施設を始めるなら、現在の日本でどのような介護施設やサービスがあるのかは把握しておきましょう。
介護施設に適した立地条件
土地活用を行う上で立地は最も重要な要素になります。この章で、介護施設に適した立地条件を確認しておきましょう。
- 土地の規模400坪以上(建物延べ床面積800坪以上)ある
- デイサービスなど小規模の施設の場合は200坪前後でも可能
- 市街化区域・市街化調整区域のどちらでも可能(工業専用区域はNG)
- 駅やバス停から歩いて行ける土地
- 周辺にスーパーやコンビニなどがある土地
主に、土地の広さや用途地域に関する項目と、生活しやすい環境であるかどうかの項目があります。まずは保有している土地が該当するか確認してみましょう。
土地活用で介護施設を選ぶメリット・デメリット
土地活用をするにはいろいろな方法がありますが、介護施設を選ぶことで得られるメリットはどのようなことなのでしょうか?
介護施設を選ぶメリット
土地活用で介護施設を選ぶと、以下のメリットが期待できます。
社会貢献できる
現在の日本では高齢者の数に対して介護施設の数は不足しています。そのため、介護施設を建てることは地域貢献に役立ち、土地オーナーの社会的信用も高くなるのです。地域での社会貢献に役立つことは、今後、他の土地活用を始める際にも良い影響があるでしょう。
安定した収入が得られる
現在、介護施設の需要は高く、今後も高齢者が増え続けることから需要がなくなる可能性は非常に少ないです。そのため、介護施設の経営は成功する可能性が高いのです。
土地と施設を介護事業者に貸し出す方式をとれば、長期に渡り安定した収入が見込めます。一括借上げ方式なら空室リスクを考えずに一定額の収入を得られるためです。また、管理の手間もほぼ無く、大規模な修繕が発生した場合のみ対応すれば良いので、副業として始めることも可能です。
郊外の土地も有効活用できる
介護施設は賃貸住宅と違い、郊外の土地でも経営可能です。駅から遠くても周辺にバス停があり、公共交通機関で行けるような立地なら問題ありません。
また、住宅が建てられない市街化調整区域でも可能なことが多いです。この他に第一種低層住居専用地域と呼ばれる戸建て住宅しか建てられない土地でも可能なため、賃貸住宅や店舗経営をするには適していない土地でも介護施設なら開設可能なことが多いのです。
相続対策になる
介護施設を建て介護事業者に貸し出すことで、相続税の節税対策にもなります。相続税を少なくするには相続税評価額を減らすことが重要です。現金を使い建物を建てることで使った費用の約40%評価額を減らすことができ、貸し出すことで更に30%減らすことが可能なのです。
補助金が出る施設もある
今までは介護というと住居型の施設で行うことが多かったのですが、日本が超高齢社会に突入する中で、国は介護を「施設ではなく在宅」でできるように目標を掲げています。
そのため、在宅扱いになる「サービス付き高齢者向け住宅」を建てる際に一定の条件を満たせば、補助金を受けることができるのです。また、固定資産税や不動産所得税で優遇措置を受けることも可能です。
介護施設を選ぶデメリット
反対にデメリットは以下の通りです。デメリットをあらかじめ把握しておくことで、対策を練ることができます。
転用しにくい
介護施設は他の方法に転用しにくいデメリットがあります。通常の住宅と違った造りのため、介護施設以外の使い道はあまりないと考えた方が良いでしょう。そのため、介護施設経営は長期に渡って土地活用をしたい方におすすめの方法です。
もし契約している介護事業者が撤退を決めた場合は、なるべく早く次の介護事業者を見つける必要がでてきます。
賃貸住宅と比較すると収益性が低い
介護施設は安定性はあるものの、通常の賃貸住宅経営と比較すると収益性は低くなります。もし保有している土地が駅から徒歩圏内の場合は、賃貸住宅経営も候補にいれて検討してみると良いでしょう。
初期費用が高い
介護施設を建設するには多額の費用がかかります。例えば、サービス付き高齢者向け住宅の場合「床面積が原則25㎡以上」や「便所・洗面所設備等の設置」などのルールがあり、それに従わなければなりません。
20名程度のサービス付き高齢者向け住宅の場合、2~3億ほど費用がかかるのが平均です。これだけの金額を自己資金で準備するのは難しく借入金を利用する方も多いでしょう。ただし、借入金の割合を多くし過ぎてしまうと、大きな収益をあげられることができず、不測の事態に備えることができません。
そのため、全額とまでは言いませんが、できるだけ自己資金を多く準備することをおすすめします。
賃料が下がる可能性がある
介護施設で土地活用する場合、介護事業者から一定の賃料をもらい収益にする方法が一般的です。介護事業者は国で定められた規定により利用者から介護報酬を受け取る仕組みになっていますが、今後、介護報酬が下がるリスクがあるのです。
介護報酬は3年ごとに改定されており、引き下げが起こる可能性も高いです。介護報酬が下がると介護事業者が受け取る料金も減り、その結果、賃料の引き下げが起こる可能性も頭に入れておかなければなりません。
総量規制がかかる施設もある
介護施設の中には総量規制がかかり、施設を設置できない場所もあります。介護施設を開設する際には自治体の指定が必要になりますが、その際に総量規制がかかると開設できない施設もあるのです。
例えば、有料老人ホームを開設しようと思った土地の近くに既に有料老人ホームがある場合は総量規制により開設できません。このように自分が希望した施設が開設できない一方で、同じ地域に同じ施設ができないことにより、空室リスクが減るメリットもあります。
介護施設を選ぶべき人
では、土地活用で介護施設を選ぶべき人はどのような方なのでしょうか?
- 40坪以上の土地があるけれど有効活用できていない方
- 築年数20年以上の賃貸住宅を保有している方
- 月極駐車場を経営している方
- 農業をしているが、後継者がいなくお悩みの方
このような方は、介護施設の開設を検討してみることをおすすめします。
土地活用で介護施設を選ぶ場合の収入・費用モデル
介護施設は初期費用が多くかかるイメージがありますが、実際にはどのぐらいかかるのでしょうか?介護施設の種類ごとに初期費用と年間収入をご紹介します。
尚、収入は介護事業者からの賃料としますが、金額は話し合いで決まるため、一概にいくらと言い切れません。そのため、今回は10%の利回りで計算していることをご了承ください。
①グループホームの収入・費用
まずはグループホームの収入と初期費用です。
規模 | 土地250坪 | |
建築費 | 1億8,750万円 | |
評価額 | 1億1,250万円 | |
収入 | (1億8,750万円+1億1,250万円)×10%=3,000万円 | 年間3,000万円 |
グループホームは小規模なため、200坪前後の広さがあれば始めることが可能です。
②有料老人ホームの収入・費用
次に、有料老人ホームの収入と初期費用を見ていきましょう。
規模 | 土地600坪 | |
建築費 | 6億円 | |
評価額 | 3億6,000万円 | |
収入 | (6億円+3億6,000万円)×10%=9,600万円 | 年間9,600万円 |
有料老人ホームはある程度土地の広さが必要になります。それに伴い、建築費も収入も高額になります。
③サービス付き高齢者向け住宅の収入・費用
次は、最近注目を集めているサービス付き高齢者向け住宅の収入と初期費用です。
規模 | 土地450坪(35戸) | |
建築費 | 3億9,375万円 | |
評価額 | 2億3,625万円 | |
収入 | (3億9,375万円+2億3,625万円)×10%=6,300万円 | 年間6,300万円 |
利回りが10%あれば7年弱で初期費用を回収できる計算になります。
④デイサービスの収入・費用
最後にデイサービスの収入と初期費用を確認していきましょう。
規模 | 土地200坪 | |
建築費 | 8,000万円 | |
評価額 | 4,800万円 | |
収入 | (8,000万円+4,800万円)×10%=1,280万円 | 年間1,280万円 |
デイサービスは小規模かつ宿泊がないため、比較的少ない初期費用で開設できます。
介護施設の土地活用を始める手順
この章では、土地活用で介護施設を始めるための手順をご紹介していきます。流れを理解し、計画的に進めましょう。
■介護事業者・コンサルティング会社・ハウスメーカーなどに相談をする
まずは、相談をすることから始めます。介護施設建設の実績のあるハウスメーカーや不動産会社、コンサルティング会社に連絡をし、具体的な相談を行いましょう。相談は無料なので複数社に相談をし、比較検討することが重要です。
■役所による調査・介護事業者への意思確認
パートナー会社が役所への調査や法令確認、介護事業者への意思確認・土地の調査などを行ってくれます。
■プランの提案を受ける
調査した内容を基に経営プランの提案を受けます。経営方法や賃料の確認はこの段階でしっかり行いましょう。
■視察
実際の施設の視察に行き、イメージや希望を不動産会社やハウスメーカーへ伝えます。
■介護事業者の決定・契約
納得いくプランが見つかったら介護事業者と契約を行います。介護施設は施設を丸ごと貸し出すことが多いため、通常、施設が完成する前に予約契約を行い、事業者の確保を行います。予約契約とは、介護施設建設中に事業者が契約解除した場合に大きなペナルティを科すための契約です。
■ハウスメーカーや不動産会社工事請負契約を締結する
介護事業者が決定したら、施設を施工する会社と契約を締結します。
■近隣住民への説明会の実施
工事が始まる前に、近隣住民への説明会を開催し、住民への理解と協力を求めます。
■工事開始
いよいよ、工事が開始されます。この間に介護事業者は宣伝活動を行い、完成と共にすぐに集客できるように準備をします。
■介護施設運営開始
介護事業者により運営が開始されます。一括借上げ方式の場合は、この段階から定額の賃料を受け取れます。
介護施設の土地活用を成功させるポイント
どんな土地活用にも成功させるためのポイントがあります。この章では、介護施設を成功させるための6つのポイントをご紹介します。
①土地面積・立地条件に応じて施設を選ぶ
1つ目は、土地面積・立地条件に応じて施設を選ぶことです。面積が大きい場合は有料老人ホーム、あまり大きくない場合はデイサービスなど、適している介護施設は変わってきます。
立地も同様です。介護施設は比較的立地を選ばずにできますが、施設によって多少の違いはでてきます。介護度の高い特別養護老人ホームやグループホームは入居者がひとりで外出することはほぼないため、利便性は重視しなくても問題ないでしょう。
一方、サービス付き高齢者向け住宅はマンションなどと同様に入居者は自立した生活を送るため、買い物や公共交通機関が使いやすいなどの利便性が必要になります。
このような違いを理解し、土地に合った介護施設を選ぶことが重要になります。
②総量規制のある特定施設を優先的に検討する
2つ目は、総量規制のある施設を優先的に検討することです。介護施設の中では、グループホームと有料老人ホームが該当します。なぜ優先すべきかというと、総量規制があることにより近くに同じ施設が建てられず、その結果、競合相手がいなくなるからです。
反対に、近年注目されているサービス付き高齢者向け住宅は国から補助金がでることもあり、競争が激しい地域もあります。総量規制のある施設もない施設も、周辺に競合になるような施設がないかリサーチすることも重要なポイントです。
③収益と利回りを事前に把握しておく
3つ目は、収益と利回りを事前に把握しておくことです。これは介護施設に限ったことではなく、土地活用全般に言えることです。土地活用で介護施設を扱う会社に相談をすると、収益予測や利回り予測を提示してくれます。
実績のある会社が作成した予測は信頼性の高いものですが、その予測を参考に自分でもシミュレーションすることをおすすめします。もし、予測通り収益があげられなかった場合の対処法を考えておくのも重要なことです。
④介護事業者は人材・実績を重視して決める
4つ目は、介護所業者は人材や実績を重視して決めることです。介護施設で利用者と直接接するのは介護事業者やそのスタッフです。つまり、利用者から見たら介護事業者の対応次第で良い施設か悪い施設か判断されるのです。
そのため、介護事業者選びは最も重要な要素になります。実績があることはもちろん、なによりも人材を重視して事業者を選びましょう。土地活用で介護施設を扱う会社は優良な介護事業者を知っているので紹介をしてくれますが、できればその事業者が実際に関わっている施設に出向き、スタッフの対応を自分の目で確認することも1つの方法です。
⑤自治体・介護事業者と念入りに協議する
5つ目は、自治体や介護事業者と念入りに協議することです。介護施設は種類によって、自治体への許可や申請が違います。土地活用で介護施設を扱う会社に手伝ってもらい手続きを進めましょう。
また、最も重要な役割を担う介護事業者とは細かい部分まで念入りに協議が必要です。後からトラブルにならないよう、契約前に不安な点は必ず確認することが重要です。
⑥専門家からサポートを受ける
6つ目は、専門家からサポートを受けることです。介護施設の開設には、介護の知識の他に建築や税務、不動産など様々な知識が必要になります。これらのことを自分一人で行うのは至難の業です。できるだけ早い段階で気軽に相談できる専門家を見つけましょう。
知識面で助けてもらえると共に、気軽に相談できる相手がいることであなた自身の気持ちにも余裕がでてくるはずです。
介護施設の土地活用を扱う専門家3選
この章では、介護施設開設の実績が多数あるおすすめ会社3選をご紹介します。
①大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社は、全国展開している大和ハウスグループの総合不動産会社です。
名称 | 大和ハウス工業株式会社 |
扱っている介護施設 |
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特徴 |
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②積水化学工業株式会社
積水化学工業株式会社は「セキスイハイム」の名前でおなじみの総合不動産会社です。
名称 | 積水化学工業株式会社 |
扱っている介護施設 |
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特徴 |
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③株式会社タモツコーポレーション
株式会社タモツコーポレーションは、医療福祉施設の建設に強い建設会社です。
名称 | 株式会社タモツコーポレーション |
扱っている介護施設 |
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特徴 |
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まとめ
この記事では土地活用で介護施設を始めるためのノウハウをお伝えしてきました。重要なポイントを再確認しておきましょう。
- 高齢社会の日本では、介護施設は今後も需要が続く
- 経営方法は土地と施設を貸し出し賃料を得る、一括借上げが一般的
- 介護施設はいろいろなタイプがあり、介護度や生活スタイルで違いがでる
- 400坪以上ある土地が介護施設に適している
- 安定した収入や相続対策になる、社会貢献できるなど、メリットがたくさんある
今後も高齢者が増えていく日本では介護施設の需要は高まり続けます。また、高齢者向け住宅の普及は国が推進していることもあり、土地活用としておすすめの手段です。ただし、この状況はいつまで続くかはわかりません。眠らせている土地がある方は、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか?