2020年12月10日公開
2020年12月10日更新
繁華街での駐車場経営を徹底解説!コインパーキングに向かない土地/注意点
繁華街は、人や店舗が多いことから、一定の駐車需要が見込めます。したがって、駐車場経営には向いている立地です。では、繁華街の中でもどんな立地・種類の形態が、駐車場経営に向いているか解説します。また、繁華街でも経営には不向きな立地や理由、注意点も詳細に紹介します。
駐車場経営の基礎知識
繁華街での駐車場経営について紹介する前に、ここでは駐車場経営の基礎知識を解説します。基礎知識をしっかりと押さえてから、繁華街での駐車場経営に関して解説していきます。
駐車場経営のメリット
駐車場経営のメリット4つ紹介します。
- 初期投資が安価で済む
- 投資リスクが低い
- 土地活用の柔軟性
- 準備期間が短く済む
駐車場経営の初期投資は、安価に済みます。土地を所有していたらなおさらです。土地を所有していない場合、土地を購入する費用が掛かりますが、アパート投資などと違い、青空駐車場であれば建物を建設する必要はありません。次に、投資リスクが低く、失敗しても負債は少なく済みます。青空駐車場のように構造物がなければ、天災地変の影響も受けにくく、メンテナンス費用も掛かりません。
土地に関しては、利便性のよい場所を取得する必要はなく、駅から離れた場所でも需要があるので土地取得も安価です。また、土地活用の柔軟性が高くなります。一時的に駐車場として収益を上げ、将来はアパート建設、戸建て分譲地として売却したりと、将来にわたり選択肢を持ちながら経営できるのもメリットです。
最後に、駐車場経営を始めるまでの準備期間は、短期間で済みます。そのため、直ぐに家賃収入が得られるのも特長です。アパート等の場合は、設計・施工・完成まで何度か打ち合わせをしたり、建設自体で時間が掛かりますが、駐車場は整地をして車止め・看板・照明などを設置するのみで、1か月もあれば経営を始められます。
駐車場経営のデメリット
次に、駐車場経営のデメリット3つ紹介します。
- トラブルが起きる可能性がある
- 節税のメリットは殆どない
- 収益性は高くない
駐車場内の車上荒らしや無断駐車の問題など、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。そのようなトラブルに、都度対処しなければならないことがデメリットです。次に、節税のメリットは殆どありません。駐車場は宅地ではなく更地評価となる為、固定資産税の軽減はありません。
最後に、収益性は決して高くありません。土地の利用効率が悪いのが原因です。平面駐車場の場合に、1フロア分しか土地の利用が出来ない為に、アパートに比べると土地の利用効率は低く収益性は落ちます。駐車場の収益性を上げるには、駐車場の稼働率を高い水準で維持し続けることが必要です。
駐車場経営の種類
駐車場経営の種類は、下記3つがあります。
- 月極駐車場
- コインパーキング
- 立体駐車場
月極駐車場とは車を停める駐車スペースを、月単位で個人や法人に貸し出すことをいいます。駐車場のオーナーは、賃借人から月単位で得る賃料で、経営しています。月極駐車場には、砂利道青空駐車場・アスファルト敷き青空駐車場・機械式駐車場・タワーパーキングなどさまざまな形態があります。個人で駐車場経営するには、砂利道かアスファルト敷きの青空駐車場が一般的です。
次に、コインパーキングとは、駐車場を時間制にて利用者に貸し出しすることです。賃料は分単位でカウントされるのが一般的ですが、場所により料金設定はさまざまです。また多くの駐車場は1日の最大料金を設定したり、夜間のみの最大料金を設定したり、時間帯によって駐車料金を変えたりと、駐車することに対してのお得感を出しています。
コインパーキングは、繁華街や大型の商業施設がある所など、一時的な駐車需要が見込めるエリアに設置されています。最後に、立体駐車場は土地の確保、建設自体に多額の費用が掛かるので、駐車場需要が大きく望める立地に設置されます。繁華街、主要駅の傍、大型商業施設の傍などです。因みに立体駐車場は、一時的な駐車需要を狙うので、時間制での貸し出しが一般的です。
駐車場経営の運用タイプ
駐車場経営の運用タイプは、下記3つあります。
- 個人経営方式
- 管理委託方式
- 一括借り上げ方式
個人経営方式とは、駐車場の募集や契約、そして賃料の徴収や解約まで全てをオーナーが行うことです。この場合、不動産会社や管理会社等への委託料を払うことなく、賃料等を100%受け取ることができるので、経営効率はよくなります。
しかし、駐車場の募集を個人で行うので集客力が落ちることや、駐車場内で起こった事故などのトラブル、また賃借人との賃料未払いなどのトラブルがあった場合に、全て対応をしなければなりません。また、砂利道であった場合に駐車場内の草取りやゴミ拾いなど、日々のメンテナンスもオーナー自ら行うので、負担が大きくなります。
管理委託方式とは、駐車場の経営を管理会社に委託することをいいます。駐車場のオーナーは賃借人との対応をする必要がなく、賃借人の募集・契約・賃料回収・解約までを、管理会社に委託をすることができます。この場合は、駐車場のオーナーの負担が軽減されるのが特長です。
しかし、管理会社に管理委託料の名目で、賃料の5~10%程度を支払うこととなります。個人経営方式に比べて経営効率は下回りますが、複数の駐車場を所有する場合は、一般的な方式となります。
一括借り上げ方式とは、自己で所有する駐車場の経営を、全てサブリース会社に任せることです。手数料を高く支払うことが、デメリットになります。しかし、大規模駐車場の場合、オーナー個人での管理は難しいので、この方式が採用されているケースが殆どです。駐車場の稼働台数に関係なく、毎月安定した賃料収入を得られるのがメリットです。
駐車場経営に向いている立地の条件
駐車場経営に向いている立地の条件は、下記3つです。
- 狭小地、変形地
- 初期費用を抑えて、土地活用をしたい
- 自宅や土地の空きスペースを活用したい
駐車場経営に向いている立地として、アパートなどの建物が建設できない狭小地、建設しずらい変形地が向いています。駐車場は1台当たりの寸法が、幅2.5m×長さ5m(=12.5㎡)の広さで、土地確保できれば設置可能です。つまり、建物が建設できなくても、駐車場設置で土地活用ができる狭小地・変形地は、駐車場経営に向いています。特に、都市部では土地の広さが限られているので、うってつけです。
次に、借金せずに初期費用を抑えて、土地活用したい場合です。駐車場の設置には、アパート投資に比べて費用が安価に済みます。駐車場は、土地を整地して、砂利やアスファルトを敷いて、フェンスなどの構造物を設置するのみです。費用を掛けずに土地活用をしたい場合も、お勧めです。
最後に、自宅や所有している土地の空きスペースを、有効活用したい場合です。空いている土地に駐車場を設置できれば、副業としての収入を得られたり、固定資産税などの支払いに充てることができます。道路沿いで、車が入りやすい立地であれば、駐車場経営を検討してもよいでしょう。
駐車場経営に向かない立地の特徴
駐車場経営に向かない立地の特徴は、下記3つになります。
- 道路付けが悪い
- 駐車場の場所がわかりにくい
- 駐車しづらい立地
最初に、道路付けが悪いことです。面している道路の幅員が4m未満で狭い、幹線道路沿い、間口が狭い、駐車場の前に電柱などの障害物があるなどです。これらは総じて、車の出入りがしにくい立地となります。
次に、駐車場の場所がわかりにくい立地も、駐車場経営には向いていません。一見どこに駐車場があるのか判別できない、面している道路から離れているなどです。この場合、駐車場の稼働率は下がり、料金を周辺より安くする必要があります。したがって、収益性に不安があります。
最後に、駐車しづらい立地も不向きです。何度も切り返しをしないと駐車できない、縦列駐車でないと停められない、幹線道路沿いなのにバックのみでしか駐車ができないなどです。これらの立地は、ドライバーに敬遠されがちです。
繁華街は駐車場経営に向いている立地!
ここからは、繁華街に向いている駐車場経営の種類を解説します。また、比較対象として商店街周辺・住宅街についても同様に解説します。繁華街の利用者の特性と、商店街・住宅街の利用者の特性で、駐車場経営の種類は変わってきます。
繁華街に向いている駐車場経営の種類
繁華街に向いている駐車場経営の種類は、下記2つです。
- コインパーキング
- 立体駐車場(時間貸し駐車場)
繁華街に向いている駐車場経営は、コインパーキングと立体駐車場です。理由は、繁華街に定住者は少なく、またオフィスも少ないので、月極駐車場の需要は大きくありません。しかし繁華街には、大型店舗や小規模な店舗が狭いエリアに密集しています。
当然に繁華街を訪れる買い物客などの、一時利用者が多く訪れるのです。繁華街は、一時利用者の駐車需要に応えられる、コインパーキングや立体駐車場の時間貸しが向いています。
商店街周辺に向いている駐車場経営の種類
商店街周辺に向いている駐車場経営の種類は、月極駐車場です。商店街も、多くの店舗が狭いエリアに密集していますが、大型店舗はありません。買い物で訪れる人も多いのですが、その多くは近所の人で、自転車や徒歩で商店街を訪れるのです。
そのため、車で商店街を訪れる人は少数派になるので、コインパーキングは不向きです。しかし商店街周辺には住宅があったり、商店の店主が配送等で車を使用する場合の駐車需要は見込めるので、月極駐車場が向いています。
住宅街に向いている駐車場経営の種類
住宅街に向いている駐車場経営の種類は、月極駐車場です。住宅街は、定住者が多く自家用車の駐車需要が多く見込めます。例えば、交通便の悪い立地であれば、一家で自家用車2台3台所有しているケースもあります。自宅の車庫で止めきれない、自家用車の駐車需要もあるので、住宅街は月極駐車場が向いています。
繁華街でも駐車場経営コインパーキングに向かない土地5選
繁華街の立地が、駐車場経営に向いていると解説してきましたが、全ての繁華街の立地が向いているとは限りません。繁華街でも、駐車場経営コインパーキングに向かない立地があります。ここでは、駐車場経営コインパーキングに向かない5つのケースを紹介します。
①幹線道路沿いの土地
コインパーキングの利用者は、大抵コインパーキングを探しながら運転します。したがって、道路からのコインパーキングの視認性や、入りやすさがポイントとなります。例えば、幹線道路は車のスピードが速く他の車も多くいます。
コインパーキングに気づいた時には、後続車がいるので急ブレーキが掛けられず、止む無く通過してしまうことも多いのです。車通りが多いからといって、稼働率が上がるわけではないのです。
②車が入庫するための切り下げが狭い/段差が存在する土地
車道と歩道に段差がある場合、駐車場出入り口部分の切り下げが狭い、若しくは段差が存在する土地は、コインパーキングに不向きです。段差に当たって車に傷が付く可能性があったり、そもそも駐車しにくいので、ドライバーに敬遠されてしまいます。
③時間帯により進入禁止となる土地
時間帯により進入禁止となる立地も、コインパーキングに不向きです。理由は、自由に入出庫することができなくなることで、駐車場利用者に不便さがあることです。仮に、進入禁止時間を知らずに停めてしまい、出庫ができなくなった場合にも、料金は加算されてしまいます。
④周辺に歩行者が多い土地
周辺に歩行者が多い立地は、歩行者が車の侵入を妨げます。ドライバーが歩行者から多くの視線を感じるため、その立地への車での侵入を躊躇う心理的な抵抗感が生まれます。そのため、通勤通学の時間帯に人通りが多い、人気の商店で歩行者が多い場所は、稼働率が上がりにくくコインパーキングに不向きです。
⑤狭い道に面している土地
狭い道に面している立地は、車での侵入がしずらいので、ドライバーに敬遠されるケースが多いのです。また、狭い道に面していると車室に入るのに、何度か切り返しをするなど、駐車しずらさから敬遠されます。この場合に、駐車場の稼働率は下がってしまうので、コインパーキングに不向きです
繁華街の駐車場経営にある注意点/対策
ここまで、繁華街は駐車場経営コインパーキングに、向いていることを解説してきました。また、繁華街でも駐車場経営コインパーキングに向かない土地があり、やみくもに土地を選んでも経営は成功しないことも解説しています。
ここからは、よくある事例を元に繁華街での駐車場経営の、注意点と対策を解説していきます。事前に準備することで、適切な対応ができます。
①売上は周辺状況に大きく影響される
コインパーキングの駐車場経営は、周辺の状況により売上は大きく変わってきます。コインパーキングは、その駐車場に来ることが目的で駐車することはまずなく、店舗で買い物、レストランで食事、病院への通院など、周辺施設を利用するためにコインパーキングに駐車します。
例えば、プロ野球の試合が開催されるような野球場の近くで、コインパーキングを経営していたとします。例年であれば、毎試合大勢の観客が訪れ、車での来場者も多くいます。試合がある日になれば、駐車場が満車になるので一定の売上が見込めます。
しかし、2020年のように無観客で開催されたり、来場者の制限が行われたりすると、来場者は減るので車での利用者も少なくなります。よって、当初見込まれた売上が得られない可能性があるのです。また、周辺に競合となるコインパーキングがどの位あるか、価格競争になっていないかなどの要因もあります。
つまり、コインパーキングで利益を出したいと努力しても、周辺状況に左右される要素が大きいのです。このようなリスクを回避するために、駐車需要の見極めは、駐車場経営を始めるうえでは重要なポイントになるのです。
②近隣トラブルが起こるケースも多い
駐車場は、昼夜を問わず車の出入りがあります。夜間遅い時間の騒音、場内での喧嘩等のトラブルで、近隣からオーナーに苦情が入ることがあります。先述のような苦情を発端に、近隣トラブルに発展する可能性があるのです。一度トラブルが発生すると、当事者同士での解決は難しくなります。
この場合のリスク対策は、コインパーキング会社に経営を委託し、24時間管理をしてもらう方法があります。仮にトラブルがあった場合も、オーナーは介入せずに済むので安心です。
③駐車場の供給過多が起きている可能性もある
繁華街の土地利用は、入れ替わりが激しく、特に周辺に古い雑居ビルが多い地域は注意が必要です。ビルを取り壊し、一時的に駐車場になるケースがよくあるからです。ライバルが増えれば当然に、利用者を取り合うことになるので、売上に響いてきます。
したがって、駐車場経営を始めようとする立地周辺のリサーチが重要で、供給過多が起きているような地域は、回避したほうがよいのです。主にリサーチすることは、コインパーキングを設置しようとしている立地と、似たような立地のコインパーキングの稼働率、周辺の満車率、土地の利用状況です。少しでもリスクを回避する為の重要なリサーチです。
まとめ
繁華街での駐車場経営は、コインパーキングが向いています。しかし、繁華街の中でも駐車場経営に向かない立地があります。それは幹線道路沿い、歩行者が多い、狭い道に面しているなどです。駐車場自体に入りずらい立地は、ドライバーに敬遠されてしまうので駐車場経営には不向きです。
駐車場経営で、売上を安定的に得る可能性を高めるためには、駐車場に入りやすい土地選びが重要となるのです。