土地活用の専門資格！土地活用プランナーの業務、取得メリット、合格率を紹介

土地活用プランナーを一言で表すと「土地活用のスペシャリスト」です。土地活用に関する法律や税金のことはもちろん、社会情勢を踏まえた上で、土地に適した活用方法を見極めることができる人を意味します。

では、土地活用プランナーになるとどのような業務が行えるようになるのでしょうか？

そもそも、プランナーとは「専門性を活かして企画立案する職業」という意味があります。つまり土地活用プランナーの業務内容は、土地オーナーから依頼を受け土地活用に関する企画立案をすることです。具体的には下記のような業務内容があります。
 

• 土地活用に関する相談
• 土地活用に関するアドバイスやプランニング
• 土地を活用した不動産ビジネスのサポート
• 不動産ビジネスのスケジュールプランニング
• 資金調達のアドバイス
• パートナー会社を選定する際のアドバイス
• 工事現場進捗管理へのアドバイスなど

ここで改めて土地活用を行うことのメリット・デメリットを確認しておきましょう。

■土地活用のメリット

• 利益を得ることができる
• 節税対策になる
• 地域が活性化されることにより、土地の価値が上がる

• 事業が成功しなかった場合、マイナスになることもある
• 方法によっては時間と労力がかかることもある

次に、土地活用にはどのような種類があるのか把握しましょう。現在人気の土地活用には下記の方法があります。
 

• アパート・マンション経営
• 駐車場経営
• トランクルーム経営
• コインランドリー経営
• 高齢者向け住宅経営
• 資材置き場
• 太陽光発電
• 等価交換
• 土地賃貸
• 土地売却

土地活用プランナー資格を取得することで、どのようなメリットがあるのでしょうか？主なメリットは下記の4点になります。
 

1. 土地活用に関する判断力を養える
2. 不動産会社のスタッフと円滑に話を進められる
3. 不動産会社のスタッフとしての信頼性が高まる
4. ADR業務を行うことが可能

メリット1つ目は、土地活用に関する判断力を養えることです。土地活用を始めたいと思っても、どのような方法が自分に向いているのか、どのぐらいの収入が望めるのか、わからない方も多いでしょう。その場合、プロに相談することも多いと思いますが、自分の知識がない分野は相手のペースにのせられてしまう心配もでてきます。

例えば、オーナーよりパートナー会社の儲けが多い経営方法を勧められたり、契約の内容にオーナー側の不利益になるような事項が含まれる事例は実際にあるのです。

また、賃貸住宅経営や駐車場経営を行えば高い収益が望める土地なのに、知識がないが故に好立地を活かせない土地活用方法を選んでしまう可能性もあります。

しかし、自分に土地活用の知識が豊富にあれば、最終的な判断を自分ですることができます。土地活用はタイミングも重要な要素です。知識がないとすぐに判断できずに、良いタイミングを逃してしまうこともあるでしょう。

良いタイミングで適切な判断をできることは、今後、土地活用を行う上で大きな武器になるはずです。

メリット2つ目は、不動産会社のスタッフと円滑に話を進められることです。土地活用には様々な方法がありますが、相談先として多いのは不動産会社です。人気の賃貸住宅経営はもちろん、駐車場経営や店舗経営、土地の売却や賃貸にも関わってくるからです。

例えば、自分が不動産会社の営業だった場合、相談にきた相手が土地活用に詳しい人と全く知識がない人のどちらの方が自分のペースで話をしやすいと思いますか？多くの方が、後者の知識がない人だと思います。

なぜなら、知識がない方は初めて知る内容が多く、比較的どんな話でもすんなりと受け入れやすい特徴があるからです。もちろん、不動産会社が優良企業の場合は、それでも問題ありません。

ただし、残念ながらあまり優良ではない企業や営業もいるのです。その場合、オーナーに知識がないのをいいことに、自分達の利益を重視したプランを提案してくるケースもあるので注意が必要です。

しかし自分に土地活用の知識があれば、そのような注意は必要ありません。こちらに知識があることで、不動産会社のスタッフも遠慮なく専門用語も使え、円滑に話を進めることが可能なのです。また、その時の対応を通して、そのスタッフが信用できる人物かどうかを見分けることもできるでしょう。

土地活用を行うに当たりパートナー会社選びは重要な要素になるので、円滑に話を進められることは大きなメリットになります。

2つ目と逆の目線になりますが、自分が不動産会社のスタッフだった場合、顧客からの信頼性が高まるメリットもあります。

知識は説明を受けたり提案を受けたりして初めて相手に伝わるものですが、資格があるだけで、相手は自分のことを「知識を持っているスタッフ」と認識してくれます。そのため、第一印象で信頼されやすいメリットがあります。

その後、実際に相談にのった際に一般の方が知らない情報を提供することで、さらに信頼性が増すでしょう。「土地活用プランナーってすごいな」という印象を持ってくれるかもしれません。

土地活用は大きな金額が動くこともある事業です。顧客が「パートナーにするなら信頼性のあるスタッフにしたい」と思うことは当然なのです。

土地活用プランナーは試験に合格するだけでは「土地活用プランナー」を名乗ることはできません。仕事で名乗るためには、不動産業界や建設業界の実務経験が2年以上あるという要件を満たさないとならないのです。

知識は持っているだけでは活かすことはできません。実績を伴っていることで知識がより活かされるのです。そのため、土地活用プランナー有資格者に相談すると、土地活用のことから税金や法律や金融のことまで幅広い情報を提供してもらえることがメリットになります。

ADRとは、「Alternative Dispute Resolution」の頭文字をとったもので、日本語では、代替的紛争解決手続や裁判外紛争解決手続と訳されます。つまり、訴訟手続によらない紛争解決方法を意味します。

土地活用プランナーはADR業務の基礎資格として認められているため、立退きや借地底地トラブル等が起きた際にADR業務を行うことが可能なのです。

土地に関するトラブルは今も昔も存在します。そのようなときに弁護士に依頼するのも1つの方法ですが、費用と時間がかかってしまうデメリットもあります、しかし、土地活用プランナーの有資格者なら、当事者の間に入り、解決することが可能になります。

土地活用プランナーのメリットは理解したけれど「自分に必要な資格なのか？」と思う方もいるでしょう。土地活用プランナーを取得することをおすすめしたい人物は下記のような方です。
 

1. 土地活用を成功させたい人
2. 不動産会社のスタッフ
3. 保険会社のスタッフ
4. 土地活用に興味がある・関連業務を手掛けている人

第一に土地活用を成功させたい人です。物事を成功させる秘訣は、いかにその事を熟知しているかです。土地活用を成功させるには土地活用に関する知識を豊富に身につけるのが一番です。

勉強していると、オーナーからの体験談を聞く機会も増えてきます。実話はなによりもためになる話です。このような事例をたくさん聞くうちに実務上の知識も身に付き、成功する可能性は更に高くなるでしょう。

第二は不動産会社のスタッフです。中でも営業を担当している方は、持っていて損はない資格です。営業職は一般的に成果を挙げることで、それに見合うインセンティブをもらえます。逆を言うと、成果を挙げられないと給与は減り、会社からも評価されない厳しい職種なのです。

もし自分が不動産会社に行った際、何も肩書がない名刺と「土地活用プランナー」の肩書がある名刺の2枚を渡されたら、どちらの人物の話を信用しますか？おそらく肩書がある人物ではないでしょうか？

実際に話をしてみたら両者とも知識が豊富で良い提案をしてくれる可能性もあります。ただし、知識と経験の両方を持つ土地活用プランナーの肩書がプラスされることで、さらに良い印象を与えられることは事実なのです。

不動産会社にとって初回相談は絶好のチャンスです。数あるライバル会社の中から自分を選んでもらえるように手助けする役割をもつのが「土地活用プランナー」の資格です。

第三は保険会社のスタッフです。一見、あまり関係がないと思われがちですが、土地活用を始めると多額の金額が動くケースが多いため、それに対応できる保険に加入する必要があります。

また、保険は税金とも深い関わりがあるため、保険加入の際にオーナーに説明すべき内容は土地活用プランナーで身につけた知識が役に立つこと間違いありません。金融についての雑談をオーナーとする際にも知識があると話がはずみ、オーナーから信頼できるスタッフだと思われるでしょう。

第四は、土地活用に興味がある人や関連業務を手掛けている人です。まだ具体的な話はないものの将来的に土地活用を始めたい方は早い段階で知識を身につけて損はないでしょう。知識があれば、時期がきたときに社会情勢を見極め、適切な判断ができるからです。

また、保険会社のスタッフと同様に税理士や司法書士など、土地活用で関係する業務に就いている人にもおすすめの資格です。

たくさんの魅力がある土地活用プランナーの資格ですが、どのような流れで取得できるのでしょうか？この章では資格を取得するまでの流れをご紹介します。
 

1. 土地活用に関する知識を身につける
2. 認定試験に合格する
3. 登録要件を満たす

まずは、試験対策として土地活用に関する知識を身につけるところから始めましょう。試験には土地活用に関する法律や税金、事業計画の作成方法などが出題されるため、幅広い知識を身につけなくてはなりません。

土地活用プランナー資格に関するテキストを準備し、全ての分野をしっかり勉強しましょう。自分で勉強するのが苦手な方は、通信や通学で受けられる試験対策講座を受講することもおすすめです。

土地活用プランナー認定試験は「公益社団法人東京共同住宅協会」が実施しており、東京共同住宅協会が指定教育機関としている先に東京リーガルマインド(LEC)があります。LECが開催している試験対策講座では、試験対策はもちろんのこと、土地活用に関する法務や税務、マーケティングやプランニングまで幅広い知識を学ぶことが可能です。

使用するテキストは東京共同住宅協会公式の教材のため、この講座を受講した95％の方が合格するという実績もでています。

通学の他、WEBやDVDでの受講が可能なため、忙しい方でも自分のペースで学ぶことが可能です。

知識を身につけたら、認定試験に挑戦しましょう。土地活用プランナー認定試験は、全国6ヵ所(東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・仙台)、毎年2月と9月の年2回開催しています。希望の日程と会場が定員になった場合は別会場になる可能性があるので、計画的に申込みをしましょう。

受験資格は特になく、職業・年齢・学歴・性別・国籍を問わず誰でも受けることができます。回答方法はマークシート方式で、4択の中から回答を選ぶ方式で、問題数は40問、制限時間は60分、受験料は7,700円(税込)です。

問題は、公益社団法人東京共同住宅協会が発行している「土地活用プランナー養成講座テキスト」から出題されるため、このテキストをマスターすることをおすすめします。

無事に合格すると「合格証書」が発行されます。しかし、合格するだけでは土地活用プランナーとして登録することはできません。登録するには、下記の要件を満たす必要があります。
 

• 不動産業や建設業の実務経験が2年以上ある
• 弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士・一級建築士・ファイナンシャルプランナー（FP2級以上）・測量士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士のいずれかの資格を2年以上保有している

土地活用プランナーは、公益社団法人東京共同住宅協会が管理する民間資格です。この章では、試験の概要をお伝えしていきます。
 

土地活用プランナー認定試験は相対評価によって合否が判定されます。そのため、「90点以上」などという明確な基準はありません。2019年9月の試験では、合格率70~75%になるように設定されました。

合格率70％以上というと難易度はさほど高くないように思えます。ただし、先ほども伝えた通り相対評価のため、一定の人数は必ず不合格になってしまうのです。不動産業界や建築業界の経験がある方はある程度の知識を身につければ心配はないかもしれませんが、業界未経験の方は試験対策をより深くする必要があるでしょう。

次に出題される内容を確認してみましょう。過去の問題からは次のような内容が出題されました。
 

• 土地活用プランナーの役割
• 土地活用に関する市場の動向
• 土地活用に関する法律・税金・建築・資金計画などの基礎知識
• 不動産ビジネスのマーケティング・スケジューリング・交渉術・プランニング
• 事業収支計画の作成方法・読み取り方
• 建物管理・賃貸管理・付加価値物件についてなど

合格後に土地活用プランナーとして登録する場合、一度登録した内容は一生涯続く訳ではありません。2年ごとに更新をする必要があり、その際には更新講習を受講する必要があります。また、更新料として12,000円(税抜)が必要になります。

ちなみに認定試験に合格後すぐに登録しなかった場合でも、合格証書があればいつでも登録が可能です。合格証書は再発行も可能ですが、できるだけ紛失しないよう大切に保管してください。

土地活用を続ける上で、役に立つ資格は他にもあります。下記のおすすめ資格を取得し、さらに上を目指してみましょう。
 

• 宅地建物取引士
• マンション管理士
• ファイナンシャルプランナー（FP）
• 福祉住環境コーディネーター

主に不動産業界で役に立つのが「宅地建物取引士」です。宅地建物取引業法によって定められている国家資格で、不動産の取引を行う際はこの資格を持っている人が必ず関わる必要があります。一般的には「宅建」と呼ばれることが多く、2015年の法改正前までは「宅地建物取引主任者」という名称でした。

宅地建物取引士の需要は多く、不動産会社は各事務所の従業員5人に1人の割合で必ず有資格者がいなければなりません。そのため、不動産業界では必須の資格になります。また、実際に顧客を相手に取引をする際、資格を保有していることで顧客からの信頼を得ることができるでしょう。

マンション管理士とは、マンションの管理・維持に関するアドバイスや指導をするコンサルタントのような仕事です。管理組合の運営や修繕工事についての管理を行うなど、マンション管理業務全てに関わりがあります。

マンション経営は土地活用の中で人気のある方法です。収益性も高いため、マンション管理に関する知識を身につけることは決して無駄にはなりません。

マンション管理士になるには、マンション管理士試験に合格した上、公益財団法人マンション管理センターに登録することで活動することができます。試験に合格する他に登録要件はありません。合格率は非常に厳しく7～9％が平均のため、持っているだけで一目置かれる資格と言えるでしょう。

ファイナンシャルプランナーは、長い人生の総合的な資金計画を立て、それを実現できるためのアドバイスなどを行う職業です。ファイナンシャルプランニングをするには、金融のことはもちろん、税金・年金制度・保険・教育資金・老後資金・相続・不動産・住宅ローンなど、お金に関する幅広い知識を必要とします。

土地活用を行う際に、お金や税金の知識は必須です。土地活用の知識にプラスしてファイナンシャル・プランナーの知識があれば怖いものはありません。

資格には2種類あり、まずは国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)の資格を取得します。レベルは1級から3級まで3段階あります。更に上を目指す場合は、民間資格であるAFPやCFPを取得することも可能です。

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害者向けの住みやすい住宅や環境を提案する職業です。1999年に初回の試験が行われたばかりのまだ歴史の浅い資格ですが、超高齢化社会に突入しつつある日本の中では今後需要が見込まれる資格です。

ただし、福祉住環境コーディネーターの資格だけでは専門的な介入は難しいのが現状です。そのため現在は、ケアマネージャーや建築士などがスキルアップのために取得するケースが多いです。

この記事では、土地活用プランナーについて魅力や取得方法などを解説してきました。重要なポイントを再確認しておきましょう。
 

• 土地活用プランナーは土地活用のスペシャリスト
• 業務内容は、土地活用に関するアドバイスやプランニングを中心に多岐に渡る
• 資格を取得するメリットは、土地活用に関する判断力を養える他、不動産業界で働く際の武器にもなること
• 資格取得におすすめの人物は、土地活用を成功させたい人や不動産会社もしくは保険会社のスタッフ
• 認定試験に合格するには、公益社団法人東京共同住宅協会が発行する試験対策テキストをマスターすることが重要
• 認定試験の合格率は70～75％
• 合格後、要件を満たし登録することで初めて土地活用プランナーとしての業務が行える
• 登録後は2年ごとに更新が必要