2023年03月01日公開
2025年04月25日更新
アパート経営はするなといわれる7つの理由と注意点、代替案も紹介
アパート経営は「安定した家賃収入が得られる」といわれる一方で、「やめたほうがいい」との声も少なくありません。実際に始めたものの、思ったように利益が出ずに後悔するオーナーも多いのが現実です。 本記事では、アパート経営はするなといわれる7つの理由や注意点を解説します。アパート経営の代替案にも触れていますので、ぜひご一読ください。

アパート経営は本当に儲かるのか?
アパート経営は、不動産を活用して長期的な収益を得る手段の一つです。しかし、すべてのオーナーが成功するわけではなく、物件の選び方や経営戦略によって収益性が大きく変わります。
その理由は、アパート経営には初期投資や維持費がかかるだけではなく、空室リスクや市場変動などの不確定要素が影響するためです。特に、立地や管理体制を誤ると思ったような収益を上げられないケースもあります。
まずは、アパート経営の魅力と現実のギャップを明らかにし、成功する人と失敗する人の特徴を見ていきましょう。
アパート経営の魅力と現実のギャップ
アパート経営の大きな魅力は、家賃収入による安定収益が期待できる点です。また、資産価値を持ち、売却や相続などの選択肢にもなり得ます。さらに、減価償却費を活用すれば節税対策にもなるため、資産運用の手段として考える人も多いでしょう。
しかし、現実には空室リスクや家賃の下落といった問題があり、思うように利益が出ないケースも少なくありません。特に、初期費用の高さや維持管理の手間は軽視できず、修繕費や税金などのランニングコストを考慮しないと赤字の可能性もあります。
アパート経営は単なる投資ではなく、長期的な視点での管理・運営が不可欠です。成功のためには、事前の市場調査とリスク対策が欠かせないでしょう。
アパート経営で成功する人の特徴
アパート経営で成功する人には、以下の特徴があります。
まずは、市場調査を徹底することです。立地やターゲット層を分析し、需要の高いエリアを選ぶことで長期的な入居率の確保につながります。
次に、堅実な資金計画を立てることです。初期費用はもちろん、ローン返済や修繕費、管理費、税金などを考慮し、適切なシミュレーションを行うことで安定経営につながります。
また、適切な管理も重要です。定期的なメンテナンスや入居者対応を怠らず、住みやすい環境を維持することで退去を防ぎ、高い入居率を維持できます。
最後に、出口戦略を考えることです。将来的な売却や資産活用を見据えておくことで売却損などのリスクを軽減できる可能性もあるでしょう。
アパート経営で失敗する人の特徴
アパート経営で失敗する人には、以下の特徴があります。
まずは、市場調査をせずに「安いから」や「営業担当に勧められたから」などの理由で物件を選ぶと空室リスクが高くなり、安定収益を得ることが難しくなります。
次に、目先の利回りに目を奪われ、ローン返済額や修繕費、管理費、固定資産税などの支出を考慮しないと、資金が尽きてしまいかねません。
また、管理を疎かにすることも失敗につながります。 建物の清掃やメンテナンスを怠ると物件の魅力が低下し、入居者の定着は難しいでしょう。
最後に、アパートの売却計画などの出口戦略を持たないまま経営を続けると、資産価値が下がったときに大きな損失を抱える可能性があるため、ご注意ください。
アパート経営はするなといわれる7つの理由
アパート経営はするなといわれる7つの理由は、以下のとおりです。
- 初期費用が高額でリスクが大きいから
- 空室リスクがあるから
- 管理コストや手間がかかるから
- 家賃が下がってしまう可能性があるから
- 修繕・リフォーム費用がかさむから
- 売却などの出口戦略が難しいから
- 相続税対策になるとは限らないから
①初期費用が高額でリスクが大きいから
アパート経営には、多額の初期投資が必要です。土地の購入費用や建築費に加え、仲介手数料、登記費用、ローンの融資手数料などが発生します。特に、都市部でのアパート建設は高額になりやすく、借入額が大きくなるとローンの返済負担も増加しかねません。
また、ローンを活用する場合は、家賃収入が計画通りに得られなければ返済が滞るリスクもあります。新築時は満室であっても、数年後に空室が増えると収益が減少し、最悪の場合は赤字経営に陥ることもあるでしょう。
自己資金だけで運用できるケースは少ないため、借入も含めた慎重な資金計画が必要です。
②空室リスクがあるから
アパート経営での大きなリスクの一つが「空室問題」です。入居者が確保できなければ家賃収入はなしになり、ローン返済や維持費の負担が重くなります。
特に、人口減少が進む地方では、賃貸需要の減少で空室率が高まる可能性があります。同じエリアで新築の賃貸物件が増えると競争が激化し、築年数の経過したアパートの空室を埋めにくくなる場合もあるでしょう。
また、ターゲット層の変化も空室リスクに影響します。例えば、ファミリー物件が多いエリアで単身者向けのアパートを建てた場合は、需要が見込めず空室が続く可能性もあります。
入居者のニーズを適切に分析し、空室リスクを抑えることが重要です。
③管理コストや手間がかかるから
アパート経営は、物件を所有するだけでは成り立ちません。実際の運営には、以下のような業務があります。
- 建物や設備の定期点検、修繕
- 共用部分の清掃やゴミ管理
- 入居者からのクレーム対応
- 家賃の回収と滞納者への対応 など
上記をオーナーが全て行うことは難しく、管理会社に委託することが大半です。しかし、管理会社に任せると管理費がかかるため、収益が減少します。さらに、管理を任せきりにすると対応が遅れたり、物件の劣化が進んだりするリスクもあるでしょう。
また、空室が続いた場合は、入居者を確保するための広告費や仲介手数料がかかります。これらの運営コストを考慮しないと想定以上の負担になり、収益が圧迫されるリスクがあります。
④家賃が下がってしまう可能性があるから
アパート経営を続けるために避けられないことは、家賃の下落です。築年数が経過すると新築物件やリノベーション済み物件との競争にさらされ、家賃を下げないと入居者が集まらなくなる可能性があります。
また、地域全体の家賃相場の変化も影響します。例えば、周辺に大規模な賃貸マンションが建設されたり、駅前の再開発によって住宅需要が変化したりすると、家賃が下がることもあるでしょう。
家賃が下がると収益が減るだけではなく、ローンの返済計画にも影響します。計画段階で高い家賃を想定していると、下落後の家賃では返済が難しくなる可能性もあるでしょう。
⑤修繕・リフォーム費用がかさむから
アパートは築年数が経過するほど、修繕費やリフォームのためのコストが増えていきます。具体的には、外壁塗装や屋根の補修、給排水設備の交換、内装リフォームなどの定期的なメンテナンスが挙げられるでしょう。
築年数が15~20年を超えると大規模修繕が必要になることも多く、数百万円単位の費用がかかることもあります。さらに築年数が古くなると、設備の老朽化が原因で入居者の満足度が下がり、退去が増える可能性もあるでしょう。
事前に修繕費用を積み立てておかないと突発的な出費に対応できず、経営が不安定になるリスクがあるため、注意してください。
⑥売却などの出口戦略が難しいから
アパート経営は購入時だけではなく、売却計画も重要です。しかし、築年数が経過したアパートには買い手がつきにくく、思ったような価格で売却できないことも多いでしょう。
人口が減少しているエリアでは市場価値が低下し、購入時よりも大幅に価格が下がる可能性もあります。また、売却の際には仲介手数料や登記費用、場合によっては解体費用がかかる点も考慮しておきましょう。
出口戦略を考えずにアパート経営を始めてしまうと、売却したいときに買い手が見つからず、経営に行き詰まるリスクがあります。。
⑦相続税対策になるとは限らないから
アパート経営は、相続税対策として利用される場合があります。不動産は現金よりも相続税評価額が低くなるため、税負担を軽減できると考えられているからです。
しかし、実際には必ずしも節税になるとは限りません。アパートの資産価値が下がると売却しても十分な資金を確保できない可能性があります。また、相続後にアパート経営を続ける場合は管理の手間や維持費が負担となり、相続人のデメリットになりかねません。
また、相続税のルールが変更される可能性もあり、将来的に不動産の評価方法が変わると、期待していた節税効果が得られない場合もあるでしょう。
アパート経営の注意点とは?失敗を避ける5つのポイント
アパート経営での失敗を避けるための5つのポイントは、以下です。
- 需要のある立地を選ぶ
- 適切な管理体制を整える
- 収支シミュレーションを慎重に行う
- 税金対策を怠らない
- 出口戦略を考えておく
①需要のある立地を選ぶ
アパート経営を成功するためには、立地選びが重要な要素の一つです。どれだけ良い物件でも需要がなければ入居者が集まらずに空室リスクが高まります。人口が増加しているエリアや交通の利便性が高い地域を選ぶことが大切です。
また、事前に周辺の家賃相場を調べ、市場に適した賃料設定が可能かどうかも確認しましょう。競合物件と比較し、家賃の競争力が保てるかどうかが考慮すべき要素といえます。
立地を誤ると家賃を下げても入居者が集まらずに収益が発生しないリスクがあるため、慎重な判断が求められます。
②適切な管理体制を整える
アパート経営は購入して終わりではなく、継続的な管理が必要です。物件の管理が適切でないと建物の劣化が進み、入居者の満足度が低下します。結果として退去率が上がり、空室が増える原因となり得ます。
管理方法には、オーナー自身が管理する「自主管理」と専門の管理会社に委託する「管理会社委託」があります。自主管理はコストを抑えられる反面、入居者対応やメンテナンスの手間がかかります。一方、管理会社に委託すれば手間は減りますが、管理費がかかるため収益を圧迫しかねません。
どちらの方法であっても定期的なメンテナンスを行い、建物の状態を良好に保つことが大切です。修繕を怠ると物件の魅力が低下し、家賃の値下げや空室の長期化につながるため、管理体制を整えておきましょう。
③収支シミュレーションを慎重に行う
アパート経営では、収支バランスが取れなければ継続は難しくなります。初期費用だけではなく、ローン返済や管理費、修繕費、固定資産税、空室リスクなどを考慮し、収支シミュレーションを慎重に行う必要があります。
家賃収入では入居率が80~90%になることを想定し、それでも経営が成り立つかを検討することが重要です。また、家賃相場は変動するため、将来的に賃料が下がった場合でも黒字を維持できるかを吟味しておきましょう。
ローンを組む場合は金利の変動リスクも考慮し、無理のない返済計画が不可欠です。予期せぬ出費が発生した際に対応できるような一定の資金確保も重要なポイントといえます。
④税金対策を怠らない
アパート経営では不動産取得時から運営中、売却時までさまざまな税金が発生します。適切な税金対策を講じなければ利益を圧迫し、経営が厳しくなる可能性もあるでしょう。
具体的には、以下の税金が挙げられます。
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 所得税
- 住民税
- 売却時の譲渡所得税 など
家賃収入に対する所得税や固定資産税は毎年発生するため、節税対策が不可欠です。
例えば、青色申告を活用することで経費計上や減価償却を行い、所得税を抑えられます。また、法人化することで税負担を軽減できる場合もあるでしょう。
必要に応じて税理士などの専門家と相談しながら、適切な節税対策を講じることが重要です。
⑤出口戦略を考えておく
アパート経営は長期的な投資ですが、いずれ売却を考える時が来るかもしれません。その場合に備えた出口戦略を立てておくことで、適切なタイミングでの売却ができる場合があります。
売却では、市場価格が下がる前に手放すことが重要です。築年数が経過すると買い手が付きにくくなるため、タイミングを見極めることが最重要といっても過言ではありません。また、物件状態を良好に保ち、適切な管理を行うことで売却時の価値を維持できるでしょう。
売却時の税金や仲介手数料も考慮し、手元に残る資金を計算しておくことも大切です。出口戦略を考えずに経営を続けると売りたくても売れない状況に陥る可能性があるため、最初から計画的に進めておきましょう。
アパート経営の代替案|一括借り上げの駐車場経営とは?
アパート経営は空室リスクや管理の手間があり、安定収益を得にくい場合もあります。その代替案として「一括借り上げの駐車場経営」がおすすめです。この方法では、オーナーが駐車場運営会社に土地を貸すことで、毎月固定の賃料を受け取ることができます。
駐車場経営のメリットは初期費用が少なく、管理の手間がかからないことです。建築費が不要で運営会社が管理を行うため、オーナーの負担も軽減されるでしょう。
一方で、アパート経営よりも収益性が低くなる可能性があります。特に、地価の低いエリアでは駐車料金が安くなり、期待する収益を得られないこともあるでしょう。また、契約によっては賃料が見直されるため、長期的な収益が保証されるわけではありません。
総じて、駐車場経営は初期投資や管理の負担を抑えながら、不動産を活用したい方に向いています。立地や契約内容を慎重に吟味したうえで、駐車場経営を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
アパート経営は家賃収入による安定収益が期待できる一方で、初期費用の高さや空室リスク、管理の手間などの課題も多く、慎重な判断が求められます。
アパート経営を成功するためには、需要のある立地選びや適切な管理体制の構築、収支シミュレーションの徹底、税金対策、出口戦略の計画が欠かせません。
アパート経営のリスクを避けたい場合は、一括借り上げ方式の駐車場経営などの代替案も有効です。駐車場経営は初期費用や管理の負担が少なく、安定収益を得やすい方法として注目されています。ただし、立地や契約内容によって収益性が変わるため、事前の調査が不可欠です。
ぜひ本記事を参考に自身の資産状況やリスク許容度に応じた適切な不動産活用方法を検討し、長期的に安定した収益を得られる方法を探してみてください。
※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続等に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。