2020年11月13日公開
2020年11月13日更新
駐車場経営者の収入例を大公開!儲けるコツ/費用・税金・利回りなどの基礎知識も
余った土地を活用するためや、副収入を得るために人気のある駐車場経営。しかし駐車場経営でどのように収入を得るかがわからない方も多いです。そこで本記事では駐車場経営の概要と基礎知識を解説します。また駐車場経営の収入例や高収入を得るためのコツも確認していきましょう。
駐車場経営は低リスクで安定収入を狙えるビジネス!
駐車場経営とは、何にも利用されていない土地(遊休地)を整備して、駐車場として貸し出すことで収入を得るビジネスのことです。駐車場経営は、土地を活用するビジネスのなかでも、低リスクで安定収入を狙えるビジネスだと言われています。なぜならコストがあまりかからず、特定の顧客からの収入を得やすいからです。
駐車場経営では他の土地活用ビジネスとは異なり、建物を保有する必要がありません。また狭くて小さな土地でも、駐車場にできます。そのため、建物の管理費用や土地の整備費などがあまりかからず、初期費用を安くできるのです。
さらに駐車場の使用契約を特定の顧客と長期間、結ぶことができれば、定期的にほぼ確実に収入を得られるようになります。以上のことから、駐車場経営は低リスクで安定収入を狙えるビジネスなのです。
駐車場経営で収入を得るための基礎知識
駐車場経営の概要がわかったところで、駐車場経営についての基礎知識を紹介します。ここで紹介する駐車場経営の基礎知識は、次の項目になります。
- 駐車場経営のメリット・デメリット
- 駐車場経営の種類
- 駐車場経営の管理タイプ
- 駐車場経営で収入を得るまでの流れ
- 駐車場経営の収入相場
- 駐車場経営の初期費用
- 駐車場経営の維持費・税金
- 駐車場経営で届け出・申請が求められるケース
- 駐車場経営に関する資格・法律
駐車場経営のメリット
駐車場経営のメリットは多く、次のようなものがあります。
- 初期費用を抑えられる
- 管理の手間が少ない
- 狭い土地でも経営できる
- 短期間で経営をはじめられる
- 撤退を素早くできる
駐車場経営の初期費用については後述しますが、駐車場経営は土地さえあれば経営できるので初期費用が少ないです。また建物のように修理や修繕の必要がなく、週に1回の清掃やトラブル対応、設備点検などの管理で十分です。車を駐車できるスペースがあればいいので、狭くて小さな土地でも活用できるでしょう。
駐車場経営は、建物を解体して土地を舗装し設備整備をすればはじめられます。その期間は約1ヶ月ほどです。建物がない場合は解体が不要になるので、2週間ほどではじめられる可能性もあります。一方アパートやマンション経営では建物の構造の着想、建築、またはリフォームやリノベーションが必要となり、事業を始めるのに半年から1年ほどかかるのです。駐車場経営は、手軽さが際立っていますね。さらに駐車場経営は借地借家法の対象外であるため、利用者に事前に通告すれば1ヶ月ほどでやめられます。
駐車場経営のデメリット
一方で駐車場経営には、次のようなデメリットがあるので注意してください。
- 税金対策がしにくい
- 土地の利用効率が低い
駐車場経営には、税制上の優遇がありません。というのも駐車場には建物がなく、更地と同じ扱いになるからです。建物がある場合は、土地にかかる固定資産税や都市計画税が減額されます。しかし更地では、その減額がないため税制上の優遇が期待できないのです。
建物を貸し出す場合、人が住んでくれれば土地・建物を十分に活用できます。一方で駐車場経営では精算機を設置したり、車が通れるスペースを確保しなければならなかったりと、活用できないスペースが生まれやすくなります。そのため土地の利用効率は、他の土地活用に比べて高くありません。
駐車場経営の種類
駐車場経営の種類には、大きく分けて次の2つがあります。
- 月極駐車場
- コインパーキング
それぞれについて、解説していきます。
月極駐車場の収入
月極駐車場とは、月単位で契約して駐車スペースを貸し出す駐車場のことです。よくマンションやアパートの住民用や飲食店、病院のお客様用、会社や工場の従業員用などで月極駐車場が使用されていることが多いです。
月極駐車場の特徴は、次の2点です。
- 契約者がいれば収益が安定する
- 初期費用が少ない
月極駐車場は、契約者がいれば長期的に利用してくれるため、収入が安定するという特徴があります。とはいえ賃料で他の駐車場との差別化が難しく、大きく稼ぐことは簡単ではありません。月極駐車場は、舗装したり環境を整えたりする必要がなく、初期費用が安いです。
コインパーキングの収入
コインパーキングとは、30分や1時間などの一定の時間ごとに駐車料金を決めて、駐車スペースを貸し出す駐車場のことをいいます。繁華街や大型商業施設、オフィス街など人の行き来が盛んな街の中心に設けられていることが多いでしょう。
コインパーキングの料金も、月極駐車場と同じように周辺にある他のコインパーキングの相場になる傾向にあります。ひときわ高いコインパーキングは誰も使いませんし、安いところは人が集まるため、他のコインパーキングもすぐに料金を合わせるからです。
コインパーキングは、季節やイベントの有無などによって利用者数に波があるので収入は不安定です。さらにアスファルト舗装や精算機、ロック装置、照明などの環境整備にお金がかかって初期費用が高くなる傾向があります。
駐車場経営の管理タイプ
駐車場経営では駐車場の状態や収益、トラブル対応などの管理が欠かせません。そして駐車場を管理する方法は、次の3種類から選べます。
- 個人経営
- 一括借上
- 管理委託
個人経営
個人経営は、駐車場経営のすべてを自分で行う経営方法です。そのため、駐車場経営に必要な次のようなことを自分ひとりですることになります。
- 契約者の募集
- 駐車場の設備を整える(舗装や照明の設置、精算機など)
- トラブル対応
- 看板・広告の設置
- 収益の計算
- 駐車場の清掃
- 料金の回収(料金を支払わない契約者がいる場合)
自分で決めて経営を行うため、収益のすべてを自分のものにできます。その代わり、駐車場経営にかかる手間や時間、コストも負担しなければなりません。
一括借上
一括借上とは、運営会社が駐車場の所有者から駐車場を借り上げて、定期的に定額の使用料を土地所有者に支払う経営方法となります。たとえ駐車場を誰も使用しないで、収益が出なかったとしても運営会社は駐車場の所有者に使用料を支払います。そのため、駐車場の所有者としては最も安定的に収益を確保できる経営方法と言えるのです。
とはいえ定額の使用料が支払われるということは、仮に使用料以上の収益が出ていたとしても駐車場の所有者は使用料以上のお金を受け取れないということになります。ただし、駐車場の所有者は駐車場を整備したり管理したりする必要がなく、経営の一切を運営会社に任せられます。
管理委託
管理委託とは、駐車場の所有者が一定割合の管理委託料金を駐車場の管理業者に支払う代わりに、契約者の募集やトラブル対応、使用料の回収などの運営をすべて管理業者に任せられる経営方法です。駐車場の運営や管理に自信がなかったり、時間がなかなか確保できなかったりする人におすすめの経営方法となります。駐車場経営についての実績が高く、信頼できる業者を選ぶのがポイントです。
駐車場経営で収入を得るまでの流れ
駐車場経営で収入を得るまでの手順は、大まかに次のような流れになります。
- 経営方法を選ぶ
- 経営プランを複数の業者で検討する
- 駐車場の情報を市区町村に届け出る
- 工事開始
- 価格設定する
まず「駐車場経営の管理タイプ」でお伝えした経営方法からご自身に合うものを選びましょう。手間暇をかけたくないなら委託して、コストをかけたくないなら個人経営がおすすめです。
経営方法が決まれば、駐車場のレイアウトや収支計画などの経営プラン事項を決めます。その際、駐車場経営の専門業者に経営プランの策定を依頼すると、収益確保ができる可能性が上がります。1つの業者ではなく、複数の業者に依頼して検討してみましょう。
そして駐車場経営をするには、駐車場を市区町村の役所に届け出なければなりません。届け出る内容は地域によって異なりますが、概ね次のようになります。
- 駐車場の名称
- 住所
- 規模(面積・駐車台数)
- 構造
- 設備
- 従業員数
- 経営開始予定日
工事が必要なら、業者に委託して行います。その際の料金を、委託している会社が負担するのか土地所有者が負担するのかはあらかじめ決めておきましょう。
料金は、周辺にある駐車場料金を確認しつつ高すぎず、低すぎない価格を意識してください。また深夜料金や利用時間などの設定で差別化をはかるのもおすすめです。
駐車場経営の収入相場
駐車場経営における月極駐車場とコインパーキングの収入相場は、次のような計算式で表せます。
【月極駐車場】
収入相場=月額賃料×契約件数(駐車台数)
【コインパーキング】
収入相場=貸出料金×貸出時間×台数×稼働率
管理委託をしている場合は、収入相場に委託料率をかけたものが手元に残る収入となります。また稼働率とは、1日のうちに何時間駐車されていたかを表す割合のことです。
たとえば、次のような駐車場の収入相場を計算してみましょう。
- コインパーキング
- 1時間あたり400円
- 稼働率40%
- 貸出時間24時間
- 駐車台数10台
400(円)×24(時間)×10(台)×40(%)=3万8,400(円)
以上が1日あたりの収入なので、その収入が1ヶ月間継続すると月収は次のようになります。
3万8,400(円)×31(日)=119万400(円)
補足的に地域別の月極駐車場およびコインパーキングの料金相場を記載します。参考にしてください。
都市名 | 東京 | 大阪 | 愛知 | 福岡 | 北海道 |
月極駐車場(1台あたり) | 約2万5,000円 | 約2万円 | 約1万円 | 約1万5,000円 | 約1万円 |
コインパーキング(1時間あたり) | 約650円 | 約650円 | 約300円 | 約650円 | 約300円 |
駐車場経営の初期費用
駐車場経営にかかる初期費用について、月極駐車場とコインパーキングに分けて紹介します。まず月極駐車場の初期費用がかかる項目は、次のものになります。
- 土地整備
- 車止め
- 駐車スペースのロープ張りやライン引き
- 照明の設置
- 屋根の設置
以上にかかる初期費用の相場は、約50万〜100万円と言われています。
コインパーキングの初期費用として必要なのは、次の項目です。
- ロック板
- 機械
- 看板設置
- 設備工事
コインパーキングの場合、駐車台数が多ければ費用が上がる傾向にあります。10台くらい停められる駐車場であれば200万〜300万円ほどの初期費用がかかると言われています。
初期費用について詳しくは「駐車場経営の初期費用はコインパーキングと月極で違う!ランニングコストも解説」をご参照ください。
駐車場経営の維持費・税金
駐車場経営における維持費のほとんどが税金です。駐車場経営にかかるのは、次の5つの税金です。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 所得税
- 事業税
- 住民税
税金額は、駐車場として活用する土地の特徴や収益の多少によって異なります。
もちろん、税金の他にも維持費となるものがあります。たとえば、次のようなものです。
- 管理会社への委託料
- 精算機などの機械メンテナンス
- 電気代
- 雑費
管理会社への委託料は、駐車場経営で得た収入の5〜10%程度と言われています。雑費には町内会費などがあります。
さらに詳しい維持費や税金について知りたい方は、「駐車場経営の税金種類と計算シミュレーション!確定申告、固定資産税も解説」で解説しているので、ご確認ください。
駐車場経営で届け出・申請が求められるケース
駐車場経営は、基本的に土地があれば誰でもすぐにはじめられます。しかし、次のような条件に該当する場合は駐車場法にもとづいて市区町村の役所に届け出なければなりません。
- 不特定多数の人が自由に駐車場を利用する
- 駐車場面積が横25メートル・縦22メートルで500㎡の広さを超える
- 駐車場が都市計画区域内にある
- 料金を徴収する
ちなみに「駐車場面積が横25メートル・縦22メートルで500㎡の広さを超える」の目安は、乗用車10台分程度です。
駐車場経営に関する資格・法律
駐車場経営をはじめるのに、とくに資格は必要ありません。とはいえ、常に収支の計算を行う事業であるため会計知識を身につけられる日商簿記の取得がおすすめです。基礎レベルである2級を取得してコスト計算やキャシュフローの感覚をつかめるようにしましょう。
また駐車場経営には、次のような法律が関わっているのである程度知っておくことをおすすめします。
- 駐車場法・・・駐車場内でのトラブルの処理や設備、届出方法などについて規定されている法律。
- 都市計画法・・・都市の計画的な開発をするために土地の活用方法について規定した法律。駐車場の立地によっては許可が必要なケースもある。
- 道路交通法・・・車の交通に関するルールを定めた法律で、駐車場の定義や駐車場内でのトラブルについて規定している。
駐車場経営をするには、切っても切り離せない法律なので、気になることがあるたびに確認するようにしてください。
駐車場経営者の収入例
ここまで駐車場経営の概要や基礎知識をお伝えしてきました。しかしまだ具体的にどうすれば駐車場経営で収入を得られるかを、イメージできない方もいるでしょう。そこでここでは、駐車場経営者が得ている具体的な収入例を紹介していきます。駐車場経営をはじめる際の、参考にしてください。
駐車場経営者の収入例①一括借り上げを選んだAさん
最初に、月極駐車場の経営から運営会社への一括借り上げで経営を安定させたAさんの収入について紹介します。
Aさんは、20台停められる月極駐車場を経営していました。1ヶ月あたりの賃料は、2万円です。Aさんの駐車場経営は安定しておらず、解約が増えて現在は駐車場の半分の10台分しか契約者がいません。
そこでAさんは思い切って、契約者のいない10台のうち9台分を運営会社に一括借り上げしてもらいコインパーキングにシフトしました。月額賃料は2万5,000円です。残った1台分のスペースは精算機の設置に利用しています。
月極駐車場のみの月間収入は、次のようになります。
10(台)×2(万円)=20(万円)
9台分を一括借り上げのコインパーキングにしたときの月間収入は、次です。
月極駐車場:10(台)×2万(円)=20万(円)
コインパーキング:9(台)×2万5,000(円)=22万5,000(円)
合計:42万5,000(円)
月極駐車場から一括借り上げのコインパーキングにしたことで、Aさんの駐車場経営と収入は安定したのです。
駐車場経営者の収入例②一括借り上げを選んだBさん
続いて相続した家を駐車場にして、収入を得られるようになったBさんの話です。
Bさんのお父さんが亡くなり、Bさんがお父さん所有の家を相続することになりました。Bさんにはすでに自宅があったので、相続した家を有効活用できないかと考え、一括借り上げによるコインパーキング経営を決意したのです。
まずは初期費用として建物の解体と駐車場のアスファルト舗装の費用、ブロックフェンス設置の費用がかかりました。
- 建物の解体:130万円
- アスファルト舗装:50万円
- ブロックフェンス:20万円
- 合計:200万円
そして駐車スペース10台のコインパーキングとなり、Bさんは運営会社から1台あたり月額賃料2万5,000円を受け取っています。Bさんのコインパーキングから得られる年間収入は、次のようになります。
10(台)×2万5,000(円)×12(ヶ月)=300万(円)
Bさんは以上のように1年もかからずに初期費用をまかなえて、100万円の収益を得られました。
駐車場経営者の収入例③一括借り上げを選んだCさん
短期間のコインパーキング経営で収入を得たCさんについてお伝えします。
Cさんはマンションを建てるためにマンションを購入しました。しかし契約の手違いでマンションの建設工事が2年後(24ヶ月後)になったのです。Cさんは、マンション建設がはじまるまでの間にコインパーキング経営をして収入を得ることにしました。できた駐車スペースは30台で、経営は一括借り上げです。運営会社から1台あたり月額1万円を受け取ることになり、2年間でCさんが受け取れる収入は次のようになりました。
30(台)×1万(円)×24(ヶ月)=720万(円)
短期間の駐車場経営でも、大きな収入を見込めることがわかる事例です。
駐車場経営者の収入例④個人経営を選んだDさん
Dさんは余った土地で、コインパーキング経営をはじめることにしました。コインパーキング経営をするには、次のような初期費用がかかります。
- アスファルト舗装:50万円
- ブロックフェンス:20万円
- 駐車場機器:300万円
- 合計:370万円
Dさんのコインパーキングは、駐車スペース10台、賃料1時間500円、24時間経営です。毎月1台あたり5万円の売り上げをあげていました。
5万(円)×10(台)=50万(円)
そこに維持費として、次のコストが必要だったようです。
- 固定資産税・都市計画税:2万円
- 管理費:4万円
- 合計:6万円
以上を踏まえると、Dさんの年間の収入は次のようになります。
(50万(円)−6万(円))×12(ヶ月)=552万(円)
個人経営でも、初期費用以上の収入を得られた例です。
駐車場経営者の収入例⑤個人経営を選んだEさん
続いてコインパーキング経営を、不動産の購入からはじめたEさんの例を見ていきましょう。Eさんは、不動産を購入して個人経営でコインパーキング経営をはじめることを決意しました。その初期費用は、次のようになっています。
- 不動産購入:5,000万円
- アスファルト舗装:30万円
- ブロックフェンス:20万円
- 駐車場機器:250万円
- 合計:5,300万円
Eさんのコインパーキングは6台分のスペースがあり、毎月1台あたり10万円の売り上げを出していました。その一方で次のような維持費もかかっていたようです。
- 固定資産税・都市計画税:3万円
- 管理費:4万円
- 電気代:5,000円
- 保険代:5,000円
- 合計:8万円
するとEさんの年間の収入は次のようになります。
(10万(円)×6(台)−8万(円))×12(ヶ月)=624万(円)
年間624万円の収入を得るために、最初に5,300万円の費用をかけているので実質的な利回りは次のようになります。
624万(円)÷5,300万(円)×100=約11.8%
Eさんは、高い利回りを実現できています。
駐車場経営者の収入例⑥管理委託を選んだFさん
Fさんは、管理を業者に任せながらコインパーキング経営をしています。Fさんのコインパーキングは、次のような条件になっています。
- 駐車台数:10台
- 賃料:1時間あたり500円
- 経営時間:24時間
- 稼働率:40%
- 管理委託料:月間売り上げの10%
すると月間の売り上げは、次のようになります。
500(円)×24(時間)×10(台)×40(%)×30(日)=144万(円)
管理委託料として、144万円の10%である14万4,000円を支払うことになるので、Fさんの月間収入は次のようになります。
144万(円)−14万4,000(円)=129万6,000円
駐車場経営者の収入例⑦管理委託を選んだGさん
収入事例の最後として、管理委託で月極駐車場を経営しているGさんの収入例を紹介します。Gさんは、父が経営していた月極駐車場を手伝っていましたが、父が高齢になり自分が経営することになりました。しかし他にも仕事があったGさんは、管理の手間暇が省けることから業者への管理委託をしたのです。
Gさんの月極駐車場の経営条件は、次のようになっています。
- 駐車台数:6台
- 現在の契約台数:4台
- 賃貸料金:月額1万5,000円
- 管理委託料:月間売り上げの10%
Gさんの月極駐車場の月間収入を計算すると次のようになります。
4(台)×1万5,000(円)=6万(円)
6万(円)×10(%)=6,000(円)
6万(円)−6,000(円)=5万4,000(円)
年間収入は次です。
5万4,000(円)×12(ヶ月)=64万8,000(円)
駐車場経営者の収入を同条件の土地で比較!
ここでコインパーキング経営を個人経営、一括借り上げ、管理委託のそれぞれで行なった場合の比較を確認しましょう。
比較する項目は、次の5つです。
- 初期費用
- 月額運営管理費
- 管理委託料
- 月収
- 年収
コインパーキングの経営の条件は、次のようにします。
- 初期費用合計(アスファルト舗装、ブロックフェンスなど):300万円
- 駐車台数10台
- 賃貸料金:200円
- 経営時間:24時間
- 稼働率:40%
- 月額維持費(税金や電気代など):10万円
- 管理委託料:月間売り上げの20%
- 1台あたりの月間賃料(一括借り上げ):3万円
経営方式 | 個人経営 | 一括借り上げ | 管理委託 |
初期費用 | 300万円 | 0円 | 300万円 |
月額運営管理費 | 10万円 | 0円 | 0円 |
月間管理委託料 | 0円 | 0円 | 11万5,200円 |
月収 | 47万6,000円 | 30万円 | 46万800円 |
年収(1年目) | 271万2,000円 | 360万円 | 252万9,600円 |
年収(3年目) | 1,413万6,000円 | 1,080万円 | 1,358万8,800円 |
駐車場経営で高収入を得て儲けるコツ
本記事の最後に、駐車場経営で高収入を得て儲けるコツを紹介します。紹介するのは、次の7つのコツです。
- 自身の土地が駐車場経営に向いているか確認する
- 周辺環境から需要を調べる
- 初心者が駐車しやすい配置にする
- 利用者が気づきやすい看板を設置する
- 適切な価格設定を維持する
- 実質利回りで稼働率を考慮しながら検討する
- 柔軟に対応してもらえる管理会社に委託する
それぞれ、みていきましょう。
①自身の土地が駐車場経営に向いているか確認する
駐車場経営で高収入を得るには、そもそも自分の土地が駐車場経営に向いているかどうかを確認する必要があります。車通りが明らかに少ないところに、コインパーキングを設置していても意味ないですよね。そのため大前提として駐車場経営ビジネスが、その土地で成り立つかどうかを考えるようにしましょう。
ここでは、高収入を得る土地の特徴を月極駐車場に向いてる場合とコインパーキングに向いている場合とに分けて紹介していきます。
月極駐車場が向いているケース
月極駐車場に向いている土地の特徴は、次のようになります。
- 近隣に中・大規模の会社やオフィスが並んでいる
- 住宅街、もしくは集合住宅がある
- 月極駐車場が周辺にある
たとえば、オフィス街なら通勤で車を使っている人の利用が見込めますし、住宅街なら自家用車の駐車に利用される可能性があるでしょう。月極駐車場を経営するなら、その土地の付近に毎日訪れる人がいるかどうかを予測してみましょう。
コインパーキングが向いているケース
コインパーキングの経営に向いているのは、次のような特徴を持った土地です。
- 大型商業施設などの人が多く集まる施設の近く
- 大通りに面している
- 周辺に駐車禁止や停車禁止エリアが多い
- オフィス街や住宅街など訪問者が見込める
コインパーキング経営は近くに利用したい場所があり、利便性の高い場所にある土地で行うのがいいでしょう。そのため、大型商業施設やオフィス街など訪問者が訪れる見込みが強い場所がおすすめです。さらに大通り沿いなど、駐車場への出入りがしやすい場所にするとベストです。
②周辺環境から需要を調べる
周辺の環境から需要があるか、すなわち利用者が見込めるかを確認しましょう。需要を調べるのに、確認しておくべき項目は次のようなものになります。参考にしてみてください。
- 近隣に利用者が集まるような商業施設やオフィス街はあるか
- 車通りは多いか
- 近隣に月極駐車場もしくはコインパーキングはあるか
- 運転手から発見されやすい、もしくは使いやすい場所にあるか
③初心者が駐車しやすい配置にする
ドライバーは初心者にしろベテランにしろ、誰でも停めやすい駐車場を好みます。そのため誰にとっても停めやすい駐車場にすれば、利用者は自然と増える可能性があります。そして誰でも停めやすい駐車場にするには、最も運転に慣れていない初心者を基準にするのが手っ取り早いですよね。
そのために、意識しておくべきことは次のことになります。
- 入りやすいように入り口を設定する
- 車路幅を広めにとる(3.5〜5.5mほどがおすすめ)
- 1台の駐車スペースを広めにとる
- 切り返しをしやすくする
また駐車場を使いやすくすると、駐車場内でのトラブルや事故を未然に防げる可能性が高まるので経営の安定化が図れます。
④利用者が気づきやすい看板を設置する
駐車場経営をはじめても、ドライバーに駐車場があることを気づいてもらわなければ経営は成り立ちません。そこで看板を設置しておくことをおすすめしますが、設置する際に次の点に注意してください。
- 遠くから認識できるようにできるだけ高く大きめにする
- 木や建物に隠れないようにする
- 価格を記載しておく
- 駐車場の入り口付近に設置する
他にも、のぼり旗を駐車場の近くにおくのもドライバーに気づいてもらうのに有効です。
⑤適切な価格設定を維持する
駐車場経営において、適切な価格設定にするには周辺の駐車場の価格相場に合わせるのがおすすめです。なぜなら相場より価格が高すぎると利用者が集まらず、価格が低いと近隣の駐車場も価格を落として意図しない価格競争に巻き込まれるからです。
たとえば周辺の駐車場の料金相場が400円なのであれば、その価格に習うようにしましょう。とはいえ自分の土地の立地が良かったり、駐車場スペースが広く使いやすかったり、利用者の多い施設に最も近い駐車場であったりなど、他の駐車場にない付加価値があればその分価格をあげるのもいいでしょう。
駐車場の料金設定は、周辺の相場に自分の土地の付加価値を加味して決めてください。
⑥実質利回りで稼働率を考慮しながら検討する
駐車場経営での利回りとは、土地や設備代などのかかった費用に対して、どれくらいの収入を得られるかを表す指標です。利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」があります。
表面利回りとは、1年間の売上に対する初期費用の割合を表す指標のことです。式にすると次のようになります。
表面利回り(%)=1年間の売上÷初期費用×100
実質利回りとは、1年間の売上から維持費を差し引いた額に対する初期費用の割合のことです。
実質利回り(%)=(1年間の売上−1年間の維持費)÷初期費用×100
実質利回りが、収入の実態に近いため、自分の目標とする利回りは実質利回りをもとに決めるようにしましょう。実質利回りの計算式には、稼働率が反映されていません。自分の目標とする実質利回りが、どれくらいの稼働率で達成できるかを計算式をもとに検討してみてください。ちなみに稼働率70%の駐車場の実質利回りの計算式は、次のようになります。
実質利回り(%)=(1年間の売上×70(%)−1年間の維持費)÷初期費用×100
さらに詳しく駐車場経営の利回りについて知りたい方は、下記の「駐車場経営で重要な「利回り」とは?コインパーキング収益最大化のための知識」に記載があるので、合わせてご確認ください。
⑦柔軟に対応してもらえる管理会社に委託する
管理会社の経営手腕によって、経営の成否が分かれるということもあり会社選びは重要です。必ず複数の業者を比較し、納得のできる会社と契約を結ぶようにしましょう。とくに管理会社は料金設定など収益をあげるノウハウを持っているだけではなく、次のように柔軟な対応をしてくれるところに委託するのがおすすめです。
- 契約の管理更新
- 事務作業
- 清掃
- メンテナンス
- トラブル対応
- 賃料の督促
- 不正駐車や放置車両などへの対応
まとめ
駐車場経営は、低リスクで安定収入を得られる土地活用方法です。本記事で紹介した収入例から、駐車場経営のやり方と収入を得る方法をご理解いただけたのではないでしょうか。駐車場経営で高収入を得るためのコツも参考に、駐車場経営に挑戦していただければ幸いです。
本記事の内容をまとめますので、振り返りにご活用ください。
- 駐車場経営は土地を活用するビジネスのなかでも、低リスクで安定収入を狙えるビジネス。
- 駐車場経営のメリットは「初期費用を抑えられる」、「管理の手間が少ない」、「狭い土地でも経営できる」、「短期間で経営を始められる」、「撤退が素早くできる」ことなど。
- 駐車場経営のデメリットは「税金対策がしにくい」、「土地の利用効率が低い」ことなど。
- 月極駐車場とは、月単位で契約して駐車スペースを貸し出す駐車場のこと。
- コインパーキングとは、30分や1時間などの一定の時間ごとに駐車料金を決めて、駐車スペースを貸し出す駐車場のこと。
- 駐車場経営には「個人経営」、「一括借上」、「管理委託」の3種類の方法がある。
- 駐車場経営で高収入を狙うには「自身の土地が駐車場経営に向いているか確認する」、「周辺環境から需要を調べる」、「初心者が駐車しやすい配置にする」、「利用者が気づきやすい看板を設置する」、「適切な価格設定を維持する」、「実質利回りで稼働率を考慮しながら検討する」、「柔軟に対応してもらえる管理会社に委託する」などのコツがある。