2022年06月17日公開
2022年06月17日更新
障害者用駐車スペースとは?必要性、一般車の駐車に関する違反・罰則の有無を紹介
障害者用駐車スペースについての用語解説記事になります。障害者用駐車スペースは、スーパーや商業施設などに設置され、主に車いすドライバーなどの乗降用です。なぜ、障害者用の専用区画があるのか?一般車が駐車するとどんな弊害があるのか?また罰則について解説します。

障害者用駐車スペースとは
スーパー、コンビニ・大型商業施設、サービスエリアなど、多くの集客が見込める施設には、車いすのマークが車室に書いてある障害者用駐車スペースがあります。障害者用駐車スペースとは、車いすを使っている人や身体が不自由な人、高齢者やケガをされている人が乗降する際に使用されます。
障害者用駐車スペースは、平成18年に制定された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」をもとに、上記施設には設置の義務付けがされています。更に、設置台数も決められており、収容台数が50台以下は1台、100台以下は2台、150台以下は3台、200台以下は4台となっています。また、200台を超える場合は、収容台数に1/100を乗じた数に「2」を加えた数、以上の設置となります。
更に、車いすの乗降などでは、車両脇にスペースが必要なため、障害者用の駐車スペースでは車室幅が3.5m以上が確保されており、一般車室より広くなっています。尚、障害者用駐車スペースは施設に一番近い所など、利便性が良い所に設置されています。
この障害者用駐車スペースに一般車が駐車すると、違反や罰則はあるのでしょうか?

障害者用駐車場スペースの利用実態
身体障害者用車両限定の運転免許保有者数は、年々増加しており近年では20万人を超えています。よって、障害者用駐車スペースのニーズも年々増加しています。そんな多くのドライバーが障害者用駐車スペースを使う時に一番困ることは、「一般車に駐車される」です。
商業施設やサービスエリアなどでは、障害者用駐車スペースが施設入り口の一番近い所に設置してあるため、車いすを使うドライバーではない一般車の駐車で困ったことが多々あるようです。鉄道の駅でも、本来は車いすの人用のエレベーターに、普通の健常者が一目散に乗っているのをよく見かけます。
我々、健常者はその施設が何のために設置してあるのか、考え直さないといけません。
一般車が駐車したときの違反・罰則
日本の法律で、障害者用駐車スペースに一般車が駐車しても、違反や罰則の規定はありません。よって、一般車が障害者用駐車スペースに停めても違反・罰則はなく、個々のドライバーのモラルに頼っているのが現状です。
尚、バリアフリー先進国のアメリカでは、障害者用駐車スペースに一般車が駐車すると、違反・罰金となります。州により異なりますが、ハワイ州では最高5万円の罰金です。世界的には罰金制度を導入している国が多い中、日本でもこのように罰則を設ければ、一般車の利用は減少するでしょう。
障害者用駐車スペースの必要性
車いすを使うドライバーが、車から乗降するには少なくともドアを全開にする必要があります。ドアを全開にしなけらば、車いすを車内から出したり収納したりすることができないのです。一般車の車室の幅は概ね2.5mであるので、車のドアを全開にすると隣の車に接触してしまいます。
よって、ドアを全開にしても接触しない幅3.5m以上の車室が必要になるのです。
○車いすのドライバーが乗車するときの手順
- ドアを全開にする
- 車いすから車の座席に移動する
- 車いすを車内に収納する
○車いすのドライバーが降車するときの手順
- ドアを全開にする
- 車いすを車外に設置する
- 車の座席から車いすに移動する
障害者用駐車スペースに関連するマークの意味
ここでは知識として、障害者用駐車スペースに関連するマークの意味について紹介します。
車いすマークの意味
青地に車いすの人が座っているマークを、障害者用駐車スペースではよく見かけます。このマークは、正式名称は「国際シンボルマーク」と言われ、障害者が利用できる設備や建物・場所を表しており、世界共通のマークなのです。
このシンボルマークは福祉車両についているのをよく見かけるので、この車両に障害者がいることを示すマークと思っている人も多いようですが、その理解は正しくありません。
チョウチョ・四つ葉マークの意味
車によく貼ってあるものと言えば、黄色と緑の初心者マークやクローバーの形をした高齢者運転者マークが思い浮かびます。では、チョウチョや四つ葉マークの意味とは何でしょうか?
チョウチョのマークは、聴覚障害者が運転していることを示します。法令で決められた条件を満たすことが必要ですが、マークを車体の目立つところに貼ることで、普通自動車を運転できます。尚、車両にはワイドミラーの装着が義務となります。
四つ葉のマークは、身体障害者が運転していることを示すマークです。肢体不自由ですが、一定の運転技術はあることから、マークを貼ることで普通自動車の運転ができます。
まとめ
障害者用駐車スペースは、障害のある方が主に車いすでの乗降ができるように、車室幅を広くしています。よって、一般車が駐車することは、車いすのドライバーにとっては大変迷惑なことなのです。しかし、現行の法律では一般車の駐車に関する、違反・罰則の規定がなく、個々のモラルに任されているのが問題です。
障害者用駐車スペースが、何のために設置されているかを個々が考えることができれば、自ずと一般車の駐車はなくなるはずです。