2021年09月01日公開
2021年09月01日更新
モータープールとは?駐車場用語の由来、大阪で使用されている理由を紹介
モータープールは、水泳ができるプールとは全く関係ありません。モータープール=駐車場のことです。この記事では、モータープールの語源や由来、大阪に多い理由について解説します。モータープールは関東では全く馴染みがない言葉で、関西でも大阪と奈良で多く使われています。
モータープールとは
「モータープール」という呼称は、関東では全く馴染みがありません。多くは、関西圏の駐車場にて使われている呼び名です。関西出身以外の人が、モータープールという言葉を始めて聞いたら、駐車場をイメージするよりは、夏のレジャーの定番(水泳)プールに何か関連するものというイメージにしかなりません。
尚、このモータープールという名称を使う駐車場は、大阪府内に圧倒的に多いようです。大阪市港区と中央区の民間駐車場を取りまとめる「大阪駐車協会」に加盟する駐車場のうち、実に8割にはモータープールという呼び名が使われています。
それだけ、大阪府内で馴染み深い「モータープール」ですが、なぜ関西圏の特に大阪府内で使われているのでしょうか?また、モータープールの語源や由来、一般的な駐車場との違いは何でしょうか?
この記事では、「モータープール」について解説します。
駐車場との違い
一番気になるのは一般的な駐車場との違いになりますが、特に違いはありません。モータープールは、関西圏特に大阪府内で使われている固有の言葉で、主に有料で使用する駐車場を指し、大半が月極駐車場となっています。
モータープールの語源・由来
「モータープール」とは、もともと戦後日本国内を支配していたアメリカの進駐軍の車両の待機場所ことを言っていたのが語源です。その、モータープールという名称が初めて登場したのは、昭和28年に阪急梅田駅の南東にできた「梅田モータープール」です。
更に、同年5月20日付けの毎日新聞によると、梅田モータープールができた同じ年に国鉄大阪駅前にあった「第一生命ビルデイング」にモータープールという呼び名が使われており、これらが今確認できる日本で一番古いモータープールとなっています。
尚、モータープールという呼び名の由来に関して、また大阪など関西地方でこの呼び名が浸透している理由については全くわかっていません。梅田モータープールには、戦後進駐軍の接収地があったようですが関連性はなく、モータープールについての真相は未だわからないのが実情です。
大阪(関西地方)で多く使用されている理由
モータープールという呼び名は、大阪府内と奈良県内でのみ多い名称です。月極駐車場においては、大阪府全体で約35%、奈良県内では約50%と高い使用率でありますが、隣の京都に行くと約5%と同じ関西地方でも使用率には大きな差があります。
日本経済新聞の記事によると、大阪府内でのモータープールの認知度の調査を行ったところ、50代以上では認知度が高く日常的に利用する人も多いのですが、30代40代になると意味は知っているが日常的には利用しない人が殆どで、20代以下ではモータープールの意味すらわからない人が過半数を超えています。
つまり、モータープールは比較的年配の人には浸透しているが、若い世代ほど浸透していないことになります。なぜこのような調査結果になったのか?実は、このモータープールが多く開設された時期にポイントがあるようです。
モータープールは、昭和30年代に大阪や奈良を中心に創業されているということです。以前は、墨のメーカー、若しくは寺に関係した事業を行っていた町工場等が、高度経済成長を機に事業転換したケースが多くあります。市中に車が急速に増えたことから、駐車場を始めるケースが相次ぎました。
このような時代背景から、年配者には比較的馴染み深いモータープールですが、近年モータープールを名乗る駐車場の新規開設は稀で、コインパーキングにしても「タイムズ」や「リパーク」が、都市部では多く見受けられます。モータープール=古い時代のものという認識が、モータープールのお膝元でもある大阪府内でも徐々に浸透しているのではと、推測されます。
モータープールの認知度(年代別)
先述でもご紹介しましたが、モータープールの認知度を年代別に紹介します。
年代 | モータープール認知度 | 日常的な利用 |
20代以下 | 約40% | 0% |
30代 | 100% | 0% |
40代 | 100% | 0% |
50代 | 100% | 約35% |
60代 | 100% | 約75% |
80代 | 100% | 100% |
※各年代ごとに、関西出身者を中心に50人に聞き取り調査した結果です
実際に、モータープールを利用しているのは、50代以上となっています。モータープールは、月極駐車場が大半であるので、その用途はマイカーや社用車の駐車スペースなどが考えられます。マイカーを駐車するのは主に一戸建て住まいの世帯です。大阪府内にはまだまだ古い下町風の街並みが多く、このような立地には間口の狭い古い一戸建てが立ち並んでいるエリアがあります。
モータープールは、昭和30年代に多く作られたことから、エリアとしては古くからの下町エリアに多くが点在しているのです。その後、時代の流れから世帯の核家族化・少子高齢化により実家を引き継ぐケースは少なくなりました。
若い人たちは都市部の高層マンションや、新しく開発された新興の住宅街で駐車場付きの一戸建てに住むようになり、モータープールを利用する機会がだんだん少なくなっています。よって、街に残った年配者が主にモータープールを利用しているのです。
まとめ
モータープールは、アメリカの進駐軍駐留時代の車両置き場が語源であるものの、誰がこの言葉を作ったかなど由来に関しては一切わからない、ある意味不思議な言葉です。しかし、大阪府や京都の一部地域では未だに多くのモータープールが存在しており、利用者も多くいます。
モータープールとは、単なる駐車場のことになるのですが、あえてカタカナ語で表記するということが、昭和30年代当時、大阪風の粋なギャグであったのかもしれません。「モータープール?」「どこがプールやねん!!」というようなボケとツッコミ文化の最たるものが、「モータープール」という呼び名であったとしたら、この言葉を発明した人は間違いなく生粋の大阪人であると予測できます。
と、ここまで推測で話をしてきましたが真相はわかりませんので、皆さんも独自にモータープールの由来を想像してみるのもよいのではないでしょうか?