実家を相続して活用!手続きの流れと税金対策も解説

親が亡くなって実家を相続するときには、どうやって活用したら良いか、どんな流れで相続手続きをするのかが疑問になるでしょう。相続税が高いと聞いて相続放棄を検討している人もいるかもしれません。この記事では実家を相続して有効活用する方法をご紹介します。

実家を相続して活用!手続きの流れと税金対策も解説のイメージ

目次

  1. 1実家を相続したらどうしたら良いか?
  2. 2実家相続の手続きの基本ステップ
  3. 3兄弟で実家を相続する場合
  4. 4実家相続に伴う税金と節税のポイント
  5. 5実家を相続して活用するなら駐車場経営もおすすめ!
  6. 6まとめ

実家を相続したらどうしたら良いか?

実家を相続したときにはさまざまな活用方法があります。ここでは実家の使い道で悩んだときに参考になる使い方を紹介します。
 

自分で住む

実家を相続したらマイホームにして自分で住むことができます。古い家の場合にはリフォームが必要な場合もありますが、新築住宅を建てるよりも費用を抑えられるのがメリットです。
 

賃貸併用住宅として利用する

実家を相続したら賃貸併用住宅にする活用方法があります。相続しても広すぎるというときに有効な方法です。自宅を確保しながら、余剰のスペースを賃貸住宅として貸して家賃収入を得ることができます。
 

賃貸住宅として貸す

自分では住まずに実家を一戸建ての賃貸住宅にする方法もあります。賃貸併用住宅よりも高い家賃にできることが多いのがメリットです。自宅が別にあるときには実家をそのまま生かせる魅力的な方法です。
 

店舗や施設として経営する

実家を店舗や施設として事業に利用することも可能です。内装のリフォームは必要ですが、建物自体はそのまま使えます。小売店、クリニック、美容室、マッサージ店などのさまざまな目的で活用できるでしょう。
 

店舗や事務所として貸す

実家を自分で店舗や施設として使用するのではなく、店舗物件や事務所物件として賃貸経営をする選択肢もあります。駅に近いなどの立地条件が良い物件の場合には借り手が見つかりやすく、賃料を高めに設定することも可能です。
 

家を解体して土地活用をする

実家をそのまま利用するのが難しい場合には、解体して土地活用をするのがおすすめです。土地を差更地にしてしまえば活用方法が広がります。土地をそのまま定期借地で貸すことも、アパートやビルを建てて賃貸経営することも可能です。アパートやビルが多いエリアなら月極駐車場、駅や商業施設が近くにあるならコインパーキングも利益を上げやすいでしょう。更地にすれば立地に合わせて活用することで収入源にできます。
 

売却する

相続した実家を売却すれば現金にできます。相続の時点では故人への想いがあったり、有効活用できる道があると考えたりしていたけれど、実際には有効活用する方法が見つからないという場合もあります。そのまま実家を所有していると固定資産税や都市計画税の負担もあるので、手放してしまうのも選択肢の一つです。

等価交換をする

等価交換による取引で実家を活用する方法もあります。不動産会社や建設会社に実家または更地にした土地を提供し、その土地に建てたマンションやアパートの一部を譲り受けるというのが典型的です。広い土地のある実家を相続したときには取引先が見つかりやすいので有効な方法ですが、土地と建物の権利関係が複雑となるため慎重に検討しましょう。
 

実家相続の手続きの基本ステップ

相続が発生したら基本的な手順に従ってやるべきことをこなしていきましょう。ここでは実家の相続に必要な手続きを進める基本ステップを説明します。被相続人が亡くなった時点で何をすべきかを確認しましょう。
 

遺言書の確認

相続が発生したときにまず必要なのが遺言書の確認です。遺言書が遺されている場合には相続は遺言に従って進めることになります。公正証書遺言があった場合にはその通りに進めるのが原則です。公正証書ではない遺言書が見つかったときには、家庭裁判所で検認を受けて有効にします。また、エンディングノートの場合には法的拘束力がありませんが、遺産分割の際には加味した方が良いでしょう。

相続人の確定

次に相続人を確定します。遺言書で相続人が決められている場合にはその通りにするのが原則です。遺言書がない場合には法定相続をおこないます。被相続人との親族関係と存命している人によって相続人が誰かが決まります。配偶者は相続人になりますが、子供や直系尊属、兄弟姉妹も相続人の候補です。相続人の存命状況によって法定相続分が決定されます。

参照:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁
 

財産調査の実施

遺言書の確認や相続人の確定と並行して進める必要があるのが財産調査です。財産調査は被相続人が所有している財産を調べることです。被相続人が住んでいた家の中にある所有物だけでなく、銀行や証券会社や保険会社などに残されている預金や有価証券や生命保険なども財産になります。土地や建物も貴重な財産で、実家以外に持っている場合もあります。逆に借金についても負の財産になるため、消費者金融なども含めて調査することが必要です。

【期限3ヶ月】相続放棄や限定承認の申述

遺産が明確になったら遺産分割協議を進めますが、遺産相続では単純承認、相続放棄、限定承認から選ぶことが可能です。もし相続放棄や限定承認をするなら相続が開始されたと知ったときから3ヶ月以内に被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で申述をしなければなりません。

被相続人の債務が多いときや債務の程度がわからないときには、単純承認をして遺産相続をすると負の財産を抱えることになります。3ヶ月以内に判断することが難しい場合には、家庭裁判所で相続の承認又は放棄の期間の伸長を申し立てることも可能です。やむを得ないときには期間の伸長を申し立てて、時間をかけて相続の可否を検討しましょう。

参照:
相続の放棄の申述 | 裁判所
相続の限定承認の申述 | 裁判所
相続の承認又は放棄の期間の伸長 | 裁判所

 

【期限4ヶ月】被相続人の準確定申告

準確定申告は相続人が相続開始を知った日の翌日から4か月以内におこなう必要があります。準確定申告とは被相続人の代わりに相続人がおこなう確定申告です。被相続人が死亡した年の年金収入が400万円以下、あるいは給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただ、高額医療費などの還付を受けられる場合には準確定申告をした方が良いでしょう。

参照:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁

 

【期限10ヶ月】相続税の申告・納付

相続では申告と相続税の納付の期限が10ヶ月と定められています。通常は被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に、遺産分割協議書などの必要書類を作成して申告書と合わせて税務署に提出することが必要です。提出する税務署は被相続人が亡くなったときの住所地を所轄する税務署です。なお、相続税の納税は税務署だけでなく金融機関などでも対応しています。期限を過ぎてしまうと延滞税などがかかるので早めに手続きを終えることが大切です。

参照:No.4205 相続税の申告と納税|国税庁
 

実家の相続登記

相続税の申告・納付と前後しても構いませんが、実家を相続するときには登記が必要です。相続登記は所有権移転登記で、管轄の法務局で手続きをすれば実家の名義が変更されます。相続登記は令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化されることになりました。3年以内の投機が求められているので、実家を相続したときには早めに手続きを済ませましょう。不安があるときには司法書士に依頼して登記手続きをしてもらうこともできます。

法務省:不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
 

兄弟で実家を相続する場合

実家を相続するときに兄弟姉妹が相続人になるときがあります。相続財産として実家をどうするかは悩みになる点です。ここでは兄弟で実家相続をするときに起こることが多いトラブルと相続における対策方法を紹介します。
 

兄弟で実家を相続する注意点

兄弟姉妹で実家を相続するときには共有するのが原則です。法定相続の場合には持分割合は兄弟で均等になるため、二人兄弟で相続をした場合には持ち分は1/2ずつです。実家を共有することに不満はないと思うかもしれませんが、共有不動産は流動性が低いという問題があるので注意しましょう。

実家を一人が所有した場合には所有者の意志で売却することが可能です。実家を解体して更地にしたいときにも一人の判断で済みます。しかし、共同名義になっている場合には共有している全員の同意がなければ売却や解体をすることができません。兄弟の一人が行方不明になってしまって連絡が取れなくなっただけでも売れない、解体できないというトラブルが発生します。

共有名義のときには2次相続、3次相続によって名義人が芋づる式に増えていく場合もあります。処分できない資産になってしまうリスクが高いので、兄弟で実家を相続するときには注意が必要です。
 

兄弟で実家を分ける方法

兄弟で実家の相続をする方法には遺言書に従う、遺産分割協議をするという2つがまず選択肢になります。遺言書がない場合には遺産分割協議を通して実家をうまく分けることが必要です。
 

遺言書の通りに相続する

遺言書を被相続人が遺していた場合には、実家の相続は原則として遺言書の通りにおこないます。兄に相続することを被相続人が遺言として遺していたなら、兄の名義で実家を相続します。

ただし、全財産を兄に譲り渡すといった遺言書の場合には他の相続人は不服に思うでしょう。遺言書の内容に大きな偏りがある場合には遺留分を請求する権利が認められています。例えば、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合には配偶者には1/2の遺留分があるので権利を主張することが可能です。


参照:法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)|法務局

 

現物分割をする

現物分割は実家を分割して相続する方法です。実家を分ける方法として使えることはあまり多くないですが、被相続人の持っている実家の状況によっては分割できます。広い土地のある実家を相続するときには分筆による現物分割をできる可能性があります。分筆とは土地を複数に分けて登記することです。実家が建っている土地が広ければ、土地を切り分けることで均等な価値の資産を兄弟で分けられる場合があります。

分筆すると土地が狭くなる点には注意が必要です。土地活用をしようとしても選択肢が少なくなります。
 

代償分割で補う

代償分割は実家の相続でよく用いられています。法定相続では、ある相続人が多額の財産を相続するときに、不公平が生じないように代替資産を提供して補うことが可能です。例えば、5,000万円の相続財産があったときに、2人兄弟が相続人になったとします。評価額が3,000万円の実家を兄が相続する場合には、兄が弟に500万円を支払えば2,500万円ずつしたことになります。

基本的には相続の過剰分を現金等で補うことでバランスを取るのが代償分割です。現金での支払いができないと過剰分を相殺できないので注意が必要です。
 

換価分割をする

実家を兄弟で均等に分ける方法として換価分割もできます。換価分割とは実家を売却して得られた現金を遺産として分割する方法です。遺産相続協議を通して相続人が合意した上で、不動産の仲介や買取を利用して実家を売却します。実家を売れば現金になるので兄弟間で均等に分けることが可能です。

換価分割は平等に財産を分けることができますが、兄弟の誰かが実家に住みたい、実家を相続して使いたいという場合には使えない方法です。相続のタイムスケジュールを考慮すると急いで売らなければならないことが多く、高く売れないリスクもあります。
 

共有持分を設定する

共有持分を設定して共有名義で実家を相続することも可能です。相続の段階では平等感があるかもしれませんが、所有者全員の同意がなければ譲渡や売却、解体などができないので後々にトラブルが起こるリスクがあります。固定資産税などの分割についてもトラブルの原因になりがちです。相続の選択肢の一つではありますが、共有名義での相続は避けた方が良いでしょう。
 

実家相続に伴う税金と節税のポイント

実家を相続するときには税金を納める必要があります。税金を少しでも抑えて相続できる財産を多くしたいと思うのがもっともなことです。ここでは相続人が納める義務がある税金の種類と節税する方法を紹介します。
 

実家相続に伴う税金

実家相続では相続税と登録免許税の納税義務があります。ここでは相続税と登録免許税の概要を説明します。
 

相続税

相続税は相続財産の総額に応じて課される税金です。実家の課税評価額は土地と建物の相続税評価額によって決まります。相続税の税率や控除額は相続による取得金額によって異なり、10%~55%の範囲です。相続税は基礎控除があり、3,000万円と【法定相続人の人数×600万円】を課税遺産総額から引くことができます。

参照:No.4155 相続税の税率|国税庁
 

登録免許税

実家の相続登記をするときには登録免許税を納めなければなりません。相続では実家の土地と建物について評価額の0.4%の税率で納税を求められます。登録免許税は売買や贈与の場合には2%の税率なので、相続の方が負担が軽減されます。

参照:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

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実家相続に伴う節税のポイント

実家相続をするときには控除や特例などを利用することで節税できます。ここでは相続全般に利用できる制度と、実家だからこそ使える制度についてまとめました。併用すれば大きな節税になる可能性があるので活用してください。
 

配偶者控除を利用する

相続税には配偶者控除が認められています。配偶者控除は配偶者の法定相続分相当額または1億6,000万円の大きい方に適用できます。遺産総額が小さかったとしても、実家の相続税をなしにできる可能性がある大きな控除です。相続税を申告するときには配偶者控除を適用することが大切です。

ただし、相続税の申告期限までに遺産分割が完了していないと配偶者控除の対象になりません。配偶者のみが使える制度ですが、税務署に申告するだけで控除が適用されるので節税に活用しましょう。


参照:No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁

 

小規模宅地等の特例を適用する

小規模宅地等の特例は実家の相続の節税対策として有効です。居住用の宅地として利用されていた土地の相続税評価額の減額をすることができます。被相続人が住んでいた住宅の場合には330平米までの土地について80%の減額になります。5,000万円の相続税評価額の土地だったときには1,000万円の評価額になるので節税効果が大きい特例です。

小規模宅地等の特例は事業用の宅地についても適用できます。用途によって限度免責と減額割合が異なりますが、200平米~400平米を上限として50%~80%の減額を受けることが可能です。

参照:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
 

空き家を売却したときの特例を使う



実家を相続してから売却することを考えているなら控除を受けられる可能性があります。実家が空き家になるケースでは「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を適用できる場合があります。相続空き家の3,000万円特別控除と呼ばれる特例で、最大で3,000万円の控除を受けることが可能です。

  • 1981年5月31日以前に建築された一戸建て
  • 被相続人が一人暮らしをしていた住居
  • 相続開始から3年を経過した年の年末までに売却すること など

上記のような厳しい条件があるので適用可能かどうかは確認が必要です。

参照:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
 

取得費の特例を用いる

実家を相続してから売却や譲渡をする場合には譲渡所得について特例を受けることができます。「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の適用によって、相続税の一部を取得費にすることが可能です。

取得費の特例では取得費に相続税の一部を含められるので節税効果があります。相続開始の翌日から3年10か月の期間に譲渡すれば適用することが可能な特例です。

参照:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

 

配偶者居住権を行使する

配偶者居住権は直接的な節税対策にはなりませんが、相続を円滑に進めるために有効活用できる権利です。被相続人が所有していた実家に配偶者が一定期間は無償で住み続けられる権利が配偶者居住権です。建物の価値を所有権と居住権に分割し、息子が所有権を相続して配偶者が居住権を相続するといった方法です。

原則として配偶者が亡くなるまで配偶者居住権は存続します。配偶者が亡くなったときに息子が相続するのに比べると二次相続による税金をなくせるメリットがあります。

参照:
1 配偶者居住権の概要 
No.4666 配偶者居住権等の評価|国税庁
Q.「配偶者居住権」は配偶者にどんなメリットがあるのですか? | 相続・贈与 | 一般社団法人 全国銀行協会

 

実家を相続して活用するなら駐車場経営もおすすめ!

実家の相続をしたときには駐車場経営で運用するのがおすすめの方法の一つです。実家を相続して住みたいと思っている場合はそれがベストでしょう。しかし、実家を相続しても住む予定はなく、どうしたら良いか困ってしまう場合は多々あります。活用せずに放置していると固定資産税や都市計画税がかかるだけなので、利益になる使い方をしましょう。

駐車場経営をするには家を解体して更地にする必要があります。駐車場の運営会社に委託すれば、更地の状態でも駐車場に必要な設備などを設置して運営してもらうことが可能です。月極駐車場やコインパーキングのニーズがある場所なら安定した収益を得られます。相続した実家の活用方法としてぜひ検討してみてください。
 

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まとめ

実家を相続したときには自分で住むだけでなく、さまざまな活用方法があります。実家相続を終えて自由に使える状況になったら、有効活用できる使い方を検討しましょう。住みたいというわけではないなら、実家を解体して土地活用をするのがおすすめです。駐車場経営は土地を生かして安定した利益を得る方法です。他にも相続した実家を活用する方法はあるので、放置せずに今後の運用について前向きに考えていきましょう。


※本記事は可能な限り正確な情報を元に制作しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。引用元・参照元によっては削除される可能性があることを予めご了承ください。また、実際の土地活用についてや、税金・相続に関しては専門家にご相談されることをおすすめいたします。
 

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